「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第198回>
Canon Medical Systems Canada Limited
キヤノンメディカルシステムズカナダ社
CEO 石原 正敏

2018年9月にご入会頂いた、キヤノンメディカルシステムズの石原CEOにお話を伺って参りました。オフィスはマーカムです。カナダは2回目のご赴任で通算7年目とのことで、公私ともに充実されているご様子でした。研修生の方にも同席頂きましたが、石原CEOは社内でも有名な人徳のある方とのことで、短いインタビューの中でもそのご様子が垣間見られました。

最新の医療用画像診断機器、カナダの医療市場について、また日本人CEOとローカル社長の2トップ体制とされた件など、大変興味深いお話が満載です。過去のご経験や、多趣味なプライベートについても、ご紹介いたします。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(石原氏)キヤノンメディカルシステムズカナダは、キヤノンメディカルが日本にて開発、製造している医療用画像診断機器のカナダにおける販売とサービスを行っております。

取り扱い製品は、CT、MRI、X線診断装置、アンギオグラフィー(血管造影撮影装置:カテーテルを通し血管の状態を見る装置)、超音波診断装置、そして撮影した画像をネットワーク上で処理する付属機器です。それらの機器を、病院のCEO、医師、看護師、放射線技師といった医療関係者へ販売しております。

1980年代に、東芝カナダ社の一部門として東芝メディカルシステムズカナダが設立されたのがカナダの始まりです。2016年にキヤノンが東芝メディカル部門を買収しキヤノンメディカルと社名を変更し、カナダでも2018年2月にキヤノンメディカルシステムズカナダと社名変更しました。

社員数は約130名です。その内の約40名がこちらのマーカムオフィスにおり、残りの90名はモントリオール、カルガリー、バンクーバーを主要拠点とした営業部隊と、カナダ全土にて活動するサービスエンジニアです。

(松田)現在最も注力されている製品についてご説明頂けますでしょうか。

(石原氏)現在当社が主力としている製品は、CT装置です。CT撮影では装置の中に患者さんが入り、画像撮影をします。従来機器では心臓や肺の撮影だけでも10秒以上かかるため、身体がぶれないように息を止めたりする必要がありました。CT撮影のご経験があり、その緊張感のご記憶がある方もいらっしゃると思います。

しかし弊社の主力製品であるAquilion ONE™ / GENESIS EditionというCT装置は、0.275秒で心臓等の3D画像の撮影が可能です。息を止めるのが難しい患者さんや乳幼児にも適し、患者さんの負担も大変軽減されます。専門的になりすぎてしまいますのでここでは割愛させて頂きますが、他の様々なメリットも含め他社製品よりも性能が優れていると、当社が注力している装置です。

(松田)私もCT撮影の経験はありますが、10秒が0.275秒まで短縮されているというのは驚きです。日本と比べ、カナダの市場はどのような特徴がありますか。

(石原氏)カナダは国土の広さも影響し、日本と比べて病院の数が大変少ないです。カナダの人口は日本の約3分の1しかないにも関わらず、一人当たりの病院数は、日本の5分の1しかありません。

例えばMRI装置は、日本でも台数は多くはありませんが、通常診断の翌日から1週間程度でMRI撮影となります。しかしカナダでは、平常で約3か月待たされてしまうほど、人口と装置台数の差が大きくなっています。3ヵ月間予約を待っている間に症状も進行しますし、患者さんの不安も募ります。

この現状を危惧し、利益を重視するというよりも患者さんの負担を少しでも減らし力になれることを目指しているというのが、正直な気持ちです。さきほどご紹介しましたCT装置は、撮影時間が早いために一日に診断できる患者数が3倍以上になり、患者さんの待ち時間短縮という効果もありますのでこのようなメリットを病院関係者の皆様に訴求することでヘルスケアへの貢献を目指しています。

加えて、カナダの医療機関の多くは公的機関のため、装置の導入には政府予算が大きく関係します。簡単な状況ではありませんが、出来る限り早く、より良い装置を国土の多くに据え付けて頂くことを目標として、病院と政府関係者への説得を日々行っています。

(松田)御社の強みはどちらにあるとお考えでしょうか。

(石原氏)当社では、販売活動や技術はもちろん大切ですが、それだけに囚われず、人間関係を重視しています。お客様との関係も、商売相手というよりも信頼関係をしっかりと築くことを大切にしています。

例えば、装置を販売するだけでなく、迅速できめ細やかなアフターサービスを10年、20年と続けていく。それを長い歴史の中続けてきましたので、例え当社の製品の方が他社より高価であったとしても、安心感とサービスを評価して頂き、購入して下さるお客様が多くいらっしゃいます。

また、社内的にも組織の縦割りを出来る限り排除しています。私はCEOという役職ですが、一般社員が相談や雑談をしに、普通に私の部屋に入ってきます。特殊な業界ですので同業他社の中で人材が行き来することが多くありますが、他社から来た者からは「こんなに皆がフレンドリーで話しやすい会社はなかった」と言ってもらえますので、風通しの良い環境を作れているのだと思います。

確かな技術と品質の良い製品がある上で、130名の社員一人ひとりが、社内外共に、信頼関係を維持するだけでなく伸ばしていこうと務めている点が当社の強みであると思います。

(松田)御社では、今年に入ってから石原CEOとローカルのPresidentという体制に変えられたそうですが、その背景をお話し頂けますでしょうか。

(石原氏)今回の赴任当初は私の肩書はPresident & CEOだったのですが、現在はローカルのトップにPresidentを任せています。私は長年営業をしておりましたので現在もお客様である病院の先生などと直接会いますが、「本社の日本人がトップをしているという組織体系は信頼が置ける」と良い評価をして頂けます。

けれど、カナダだけではありませんが、海外にある日系企業で日本人駐在員がトップであると、言葉や文化の面で通じ合えない部分があるのではないか、ローカル社員をしっかりと引っ張っていく現地人のトップがいれば、社員一人ひとりに目が届き、また日本人駐在員に対しての印象も変わるのでは、組織としてより上手く回るようになるのでは、と感じていました。

今回、私の右腕とも呼べる信頼のおけるローカル社員に、Presidentとしてオペレーションに関する責任者を担って欲しいと任命しました。そのお陰で、社内の従業員に対しても日本人トップとローカル社員トップが信頼関係を築き上手くやっていると示すことができ、また、私はCEOとして意思決定の最高責任者であり、彼は会社経営面での責任者だという役割分担も明確にしたことで、日本人がいることに疑問を抱いていた社員も理解を示してくれるようになりました。

さらに波及効果として、連立とはいえローカル社員トップも存在することで、どうせ日本人がトップだからと思って頭打ちになるローカルの中間管理職にとって、キャリアアップへの大きなモチベーションにもつながると確信しています。

ただ最も大切なことは信頼できる人材です。彼とは前回の駐在時から一緒に働いており、私が日本に帰任した後、別の部署ですが日本で3年程働き、日本の組織、文化や経営陣について等を学んでもらった経緯があります。彼とは長年にかけて公私ともに良い付き合いをしていたので、そのような人材がいた私は恵まれていたと思います。

(松田)石原CEOのご経歴をお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(石原氏)出身は埼玉県です。1991年に東芝メディカルに入社し、東京、栃木、海外を5年毎に周っていました。カナダ赴任は2回目で、1回目は2007年から2011年、今回の2回目は2018年6月に着任しましたので、現在合計7年目となります。

(松田)ご入社に際し、きっかけはありましたか。

(石原氏)大学生の頃にバスケットボールをしていたのですが、足をすくわれて腰から落ちて歩けなくなってしまったことがありました。病院で、超音波、X線、CTを撮ったのですが、原因がはっきりせず1ヵ月ほど痛みが取れずに入院しました。

そこでMRIを撮ろうといういうことになり、当時は台数も少なかったため3ヵ月待ちと言われました。その後医師が掛け合ってくれて1ヵ月後に撮影できることになりましたが、撮影をしたらすぐに原因がわかり、治療を行い、その1週間後には完治しました。

寝たきりで歩けなかったような時期が1ヵ月ほど続いた後だったため、目から鱗が落ちるほど驚き、こんなすごいものを作っているのはどこの会社なのかと興味を持ちました。それが当時の東芝メディカルの製品だったため、その時点でこの会社で働きたいと思い、希望通りに入社することができました。

その裏話なのですが、怪我をする前は公務員を目指していたのですが、入院をしている間に公務員試験が終わってしまい、結果受験すらできなかったんです。そのため、その時期に怪我をしたことも含め、運命だったのかなと思っています。

(松田)ご入院中は苦労されたと思いますが、患者側のお気持ちもその時にご理解され、正に運命に導かれたようですね。これまでで一番印象に残っているお仕事のお話をして頂けますでしょうか。

(石原氏)日本にいる時に、国内外様々な地域を担当しました。中南米や中近東を担当した時ですが、それらの地域では現地法人がないため、現地の代理店と契約をして、製品を販売していました。その内、トルコは市場規模が大きく、また優秀な代理店があったため、そのトルコの代理店と合併し現地法人化するというプロジェクトを担当しました。

中近東の方の特徴の一つかもしれませんが、金額交渉が大変シビアで、合意点を見つけるのにかなり苦労しました。また、2、3ヵ月おきに出張に行く生活を1年間ほど続けましたが、文化の違いも大きいと感じました。食に関しては美味しいものは多く、また親日家が多いので楽しい経験もしましたが、長期間暮らすと考えると向き不向きがあると思います。

ビジネスとしても身体的にも、大変なプロジェクトではありましたが、やりがいもあり、成果を上げることもでき、大変良い経験になりました。但し私は立ち上げまででしたので、出来れば駐在を経験してみたかったですね。

(松田)石原CEOがお仕事を進める上で大切になさっていることはどのような事でしょうか。

(石原氏)人間関係です。技術がいくら進歩しようと、ビジネスは人と人との関係無しでは成り立たないと思います。信頼を得るために、当たり前ですが、言うべきことは言い、聞くべきことは聞き、押し付けたりするのではなく話し合う。

言葉や文化が異なっても、そうした実直な姿勢を積み重ねることで、理解し合うことを繰り返してきました。お客様だけでなく、社内の人間関係も同様な姿勢で、構築、維持するように心がけています。

(松田)今後、石原CEOが挑戦されたいことはありますでしょうか。

(石原氏)若手の育成です。自分が頑張っても段々と年を取っていきますので限界があります。日本の若い人たちにもっと海外に出てもらい、私が経験していることや目指すことなどを知ってもらいたいと、本部に掛け合い、今回初めて研修生を派遣してもらいました。

現在駐在員が私一人ですのでそのサポートも兼ね、実務研修だけでなく、海外でのコミュニケーションや話を上手に進める方法など、現地だからこそ学べる文化的なことも含め、短い期間ですが色々と身につけ、今後活用してもらいたいです。そして将来、彼が同じポジションで活躍してくれたら嬉しいですね。

(松田)プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味はありますでしょうか。

(石原氏)スポーツはバスケットです。先日のラプターズの優勝は興奮しましたね。流石に最終戦は行けませんでしたが、一度Jurassic parkにも観戦に行きました。栃木にいた時は栃木フレックスも大好きで、国内で優勝した時も観に行きました。観戦だけでなく、たまにですがプレイもしています。私ともう一人のみが50代で残りは皆20代というチームですので、無理をして怪我をしないように気を付けています(笑)。

また、1度目のカナダ赴任時にアイススケートをするようになりました。スケート靴を購入し、冬は屋外スケート場にて楽しんでいます。

(松田)スポーツ以外のご趣味も豊富そうですね。

(石原氏)写真撮影も好きですね。カナダに来てから綺麗な野鳥を多く見かけたため、一眼レフを購入してそれからずっと撮っています。旅行先には常に持って行きますが、写真はいくつになっても飽きないので続けていきたいです。

あとは20年以上となる趣味ですが、日本で競馬の一口馬主をやっています。おこずかい程度の額ですが出資をして、レースに出場する時は夫婦で応援に行っていました。

ビールも好きです。1度目の赴任時はトロントのクラフトビール数は100程だと聞いていましたが、今回の赴任で聞いた話だと700以上あるとのことで驚いています。飲むのももちろん好きですが、10年以上前からブランドロゴの入った世界のビアグラスを集めています。

今150個くらい集まり、その内カナダのビールグラスを中心に半分程を、今回カナダに持ってきました。友人や同僚を家に招待した時にビールと同じブランドグラスで出すと喜んでもらえるので、私自身も楽しんでいます。

   
Jurassic Parkにて   オタワリドー運河にて 
   
本人撮影によるBlue jay   ビアグラスコレクション 


(松田)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(石原氏)商工会会員の皆様とは、仕事上ではあまりお会いする機会はありませんが、業界も専門もポジションも異なる皆様とも、プライベートで是非ご一緒できれば幸いです。その際はどうぞよろしくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きまして有難うございました。




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