「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第197回>
Orbit Academy Co., Ltd.
オービットアカデミー
Principal of North York Central Academy 伊藤 和也

小中高校生のお子様をお持ちの日本人に話題の進学塾、North York Central Academyを運営するOrbit Academyの伊藤塾長へお話を伺って参りました。今年2月に開校したNorth York Central Academyは、トロントノースヨーク地区の地下鉄Yonge- Sheppard駅に直結するHullmark Centre内に位置し、大変アクセスの良い場所です。

事務局からの訪問に、先生方皆様で明るくお出迎え下さいました。自習室を含めた4つの教室は眺めの良い窓があり、明るく開放的ながら静かで落ち着いた雰囲気です。

伊藤塾長は、指導方法や入試の傾向、子どもと大人のコミュニケーションの重要性など、一人の親としても興味深いお話を沢山してくださいました。生徒達を尊重し対等に耳を傾け、またご家庭でのご家族の触れ合いを重んじながら、家庭と学校以外の第三者として生徒達のことを一番に考えられているお姿が印象的でした。若い頃から情熱を注がれたご趣味についても、様々なエピソードと共に楽しくお話しいただきました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(伊藤氏)駐在員家庭のお子さんたちが帰国後、日本での入試、中学入試、高校入試、大学入試に、困らないように受験対応レベルの指導と教育情報を提供することを業務としています。

日本では、小学校は2020年度から,中学校は2021年度から、高校は2022年度から「新学習指導要領」が全面実施されます。また、大学入試センター試験が、2020年1月の実施を最後に廃止され、2021年1月からは新しい「大学入学共通テスト」に移行します。

この教育改革は小学校の授業内容から大学入試までを含めた大改革です。ですから、受験指導とともに改革の目的を噛み砕いて、子どもたちにもわかるように説明し日常的な学習がどうあるべきかを説きながら授業をしています。

現在通塾して頂いているのは、G3からG11(日本の学年で小3から高2まで)です。授業は、月曜から土曜まで、指導科目は英数理社国の主要5教科(選択制)と高校生には小論文を指導しています。まだ開校から5か月が経ったところなので、ニーズを聴き取りながら運営しています。

(松田)トロントに進出した経緯を教えてください。

(伊藤氏)今回の教育改革に向けて、民間教育に携わる者として子どもたちに最適な学習環境はどのようなものかを考えたときに、いくつかのキーワードがありました。

「高大接続」「双方向型授業」「英語4技能化」「PISA型学力」「記述式問題」「思考力・判断力・表現力」「大学入学共通テスト」「グローバル人材」などです。

その中で、「PISA型学力」と「グローバル人材」の育成は、とても重要なキーワードだと思いました。そこで、2年ほどかけてPISAのスコア上位国を視察して回りました。最終的に、トロントの社会・生活環境(安全性・多様性・教育感度の高さ)など、その素晴らしさに感動し、ぜひ駐在員家庭とそのお子さんの役に立ちたいと思い、昨年春に設立し、今年2月に新規開校いたしました。現在5名で運営しております。

(松田)「グローバル人材」とは定義が難しいと思いますが、伊藤塾長はどのように解釈されていらっしゃいますか。

(伊藤氏)「グローバル人材」とは、日本以外の場所で、日本人以外の人と協働して、成果を出せる人のことだと捉えています。多民族、多文化の環境が日常的にあるトロントでは、子どもたちは様々な体験ができます。公教育や習い事、各種スポーツクラブ等でいろいろな国の人と交流ができます。文化が異なる人たちが周囲にいることが当たり前になり、付き合い方も感覚的に身につけられます。この価値をこれからの日本や世界を牽引することになる子どもたち自身にも伝えるべきだと思いました。これは進出の本質な理由でもあります。

(松田)具体的にはどのように実践される予定でしょうか。

(伊藤氏)駐在員のご家庭にはグローバル人材の立派なお手本としてご両親がいらっしゃるので、国際感覚や社会性の部分については、私たちの出る幕ではありません。ただ、ご家庭と異口同音にこれからの人材に必要とされる能力がどういうものなのかを子どもたちに伝えていくのはとても重要な役目だと思っています。

PISA調査は、OECD(経済協力開発機構)が主催する国際調査で、学校のカリキュラムをどの程度習得しているかを評価するものではなく、「知識や経験をもとに、自らの将来の生活に関する課題を積極的に考え、知識や技能を活用する能力があるか」をみるものです。

私たちはPISA型にシンクロした教育が必要だと感じています。ですから「なぜ、この学習が必要なのか」「どんなことにどんなふうに繋がっていくのか」をそれぞれの科目の様々な側面から子どもたちに伝えられるように授業を実践しています。

(松田)授業を行う上で大切にされていることはどのようなことでしょうか。

(伊藤氏)個々の教師は、日本で15年以上のキャリアがありますが、授業については毎日、お互いに以下の10点を戒め合っています。
①十分に準備する。可能な限りの準備をする。どんな小さなことを教える場合でも準備する。
②教える順序に気を配る。
③前もって教える練習をする。
④前の日に準備していたとしても、直前に準備した資料に目を通したり、もう一度教える順番に目を通したり、ウォームアップをしておく。
⑤子どもたちの関心事を今から教える内容に結びつけられる方法を考える。
⑥生徒の知っていることからはじめる。
⑦教師は自分の教えている内容をおもしろがること。教師がつまらないと思いながら教えていても、生徒がおもしろいと思うわけがない。
⑧生徒と大いに語り、大いに聞くこと。
⑨はげますこと、ほめること。
⑩生徒に安心して質問させること。

(松田)学習塾というのは、とにかく知識を詰め込むイメージでしたが、生徒達の興味や対話を重視されていらっしゃるんですね。

(伊藤氏)私が知る限り、進学塾はこの30年間は準備した指導内容を「教え込む」というスタイルがほとんどでした。指導カリキュラムに沿って教師が発問し、生徒が答えるということを繰り返してきましたが、そこで突発的に沸き起こる子どもの興味関心に応じられる余裕も準備もありませんでした。教師には、子どもの興味関心がどんな風に横に展開していくかの想像力が不足していたと思います。

現在の入試では、中学入試、高校入試、大学入試の全てが知識だけでなく、社会性を持ち合わせていないと対応できない問題が増えてきています。それを記述問題で問うわけですね。大人から日常的に「耳学問」していないと解答できないものが増えています。ただ机に向かって勉強するだけでは通用せず、日常生活で感じた疑問を周りの大人に教わり、理解していく必要があります。そして、高校生になれば、世の中にはどんな課題があるかを知る必要が出てきます。

小論文の授業では、生徒同士で議論する時間を設けています。同級生の発言や自分以上の情報量に刺激を受けたり、クラスのみんなに説明をすることで自身に必要なものを見つけたりすることができます。そして、授業開始時の意見よりもグッと優れた結論を導き出します。議論の中で知識を増やし、その知識を更に展開して活用していけるような教育が、子ども達には必要です。教師自身も感度を高めて、準備を万全にして授業に臨まなければなりません。これからの指導は、通り一遍では済まされないのです。

(松田)今後、伊藤塾長が注力されたいことは、どのようなことでしょうか。

(伊藤氏)トロントにいる日本の子どもたちの「国語力を育てていく」ことに力を注いでいきます。言うまでもなく、語彙力のある子ほど国語では有利です。語彙数が少ないと、長文問題を読むことも、説明を聞くことも、問題文を読むこと自体も難しく感じます。2021年からの大学入学共通テストでは、国語だけでなく数学にも記述式の問題が導入され、さらに数年後には他教科にも記述式問題が導入される予定です。小論文でも記述力、課題文読解のために語彙力は極めて重要です。

そのため、語彙数を増やす機会はとても重要ですが、海外で生活している子どもにとっては、新しい日本語語彙の獲得は容易ではありません。ですから教師全員で意識的に日本語シャワーを浴びせる機会を作って、語りかけ続けています。生徒たちは言葉を知ることで言語感覚が磨かれていきますし、しっかりと知識として身につければ読解力も付きます。

子どもは子どもだけでいると(日本語の)語彙が増えません。ですから周りの大人が機会あるごとに、敢えてことわざや四字熟語を頻繁に使うのが、上達のコツだと考えています。国語の授業でも、まずは読み聞かせをしてから演習に入っています。

国語は、日本にいてさえついつい後回しになりやすい科目ですが、すべての科目のベースになりますので、とても大切な科目です。勉強や入試のためだけでなく、理解力や思考力、自我の形成にも重要な役割を果たします。帰国したときに、日本で学び続けてきた同級生たちに絶対に国語で見劣りしない学力をつけてあげたいと思っています。

(松田)トロントにいるお子様達から、どのようなことを感じられますか。

(伊藤氏)駐在員家庭の家庭内コミュニケーション量の多さには、驚かされます。子ども達から、経営戦略、マーケティングに関わる話などを聞き、感心させられることが多々ありますが、全てご家庭でご両親から教わった話だとのことです。特にカナダに来られてから、日本にいる頃よりも、お子様との時間を長く取られているご家庭が多いようで、お子様達にとっても大変良い環境だと思います。

また、子ども達は海外生活を通していろいろなことを身につけています。ご両親から聞いた話や自身の感受性の賜物なのでしょうが、日常の習慣や一般常識、マナー、ルールなど、日本とは異なるいろいろな文化を受け入れる柔軟性に驚きました。見事に異文化環境に順応しています。こんなふうに子どもの頃から環境適応力を身に付ければ、どんな条件のもとでも最適解を導き出す人材になるだろうなあととても心強く思います。

(松田)North York Central Academyの強みはどちらにあるとお考えでしょうか。

(伊藤氏)私たちは、子どもたちの表情から「小さなイエス」を読み取りながら、双方向性の高い授業に努め、不完全な理解を、できる限り見逃すことのないように授業に取り組んでいます。これは、映像授業ではできないことです。

ライブ授業では、子どもたちの表情や発言から、ハッとするような考えを引き出せます。海外就学生は、生活環境そのものや、現実にグローバルに活躍しているご両親から、とても良い影響を受けて育っています。ですから私たちは、その部分でも子どもたちへのリスペクトを忘れてはいけないと考えています。

生徒とのコミュニケーションから授業の導入をスタートしたり、高校生の小論文や中学生の記述対策講座の授業では、侃侃諤諤に議論を重ねたりすることで、お互いが得られるものの大きさに気付かされるのはアクティブラーニングの産物です。

また、日本から500冊近くの書籍を持ってきましたので生徒や保護者には、無料で貸し出しをしています。中学入試の出典本や本屋大賞や芥川賞などの受賞作品などの良書が多いのが自慢です。

(松田)英検の一次試験をこちらで受験できるとお伺いしたのですが、ご説明頂けますか。

(伊藤氏)日本英語検定協会より海外準会場資格を得て、第一回試験を6月に実施しました。英検2級、準2級、3級の一次試験の受験が可能です。年に3回開催する予定で、次回は10月を予定しております。

二次試験の面接は、ニューヨークや日本などの開催場所へ出向いて頂く必要がありますが、一次試験をトロントで受験できるということで、お子様や親御さんのご負担も軽減されるのではと思います。ご興味のある方は、是非お問合せください。

(松田)伊藤塾長のプライベートについても少しお伺いしたいと思いますが、ご趣味はなんでしょうか。

(伊藤氏)趣味は、料理とワイン(特にドイツワイン)を嗜むことです。10年前まではスポーツにも精を出していましたが、今は、内向的な趣味ばかりです。休日の度に、食材を求めてスーパー巡りをして準備を整え、半日はキッチンにいます。最近、新しいキッチンナイフセットを購入し、ますます料理が楽しくなっています。手間暇のかかる料理を作るのが好きです。料理をしない時は、食べているか、Netflixで映画を観ています。

(松田)ワインの中でも特にドイツワインがお好きというのはどのような理由ですか。

(伊藤氏)学生時代にアルバイトしていたレストランで知り合った方の紹介で、26歳の時にワイン協会に入会しました。そこでソムリエ協会の顧問の方に巡り合い、試飲会などにお誘いいただきました。試飲会では、産地や醸造家のエピソードを最初にご紹介いただきます。ワインにはそれぞれエピソードがありますが、ドイツワインのエピソードが一番面白かったんです。他にもブドウの種類、等級や年代、時代背景や歴史上の人物も関与していたりと、奥深さにどんどんと夢中になっていきました。

(松田)手の込んだお料理がお得意とのことですが、自信のあるメニューは何でしょうか。

(伊藤氏)ビシソワーズというジャガイモの冷製スープです。

 
毎日三食作られているお料理 
調理のプロセスにとても関心があって、食材が鍋の中で形が変わっていくということに興奮しました。学生時代は、アルバイトで貯めたお金で有名レストランを一人で食べ歩きしていました。ドレスコードというものを知らず、入店させてもらえなかったこともありましたが。

そして、あるレストランで初めてビシソワーズを食べたのですが、冷たいスープという概念がありませんでしたので、本当に驚きました。当時、厨房は料理人のみの場所で、アルバイトは皿洗い程度しかやらせてもらえませんでしたが、お金はいらないから働かせて欲しいと頼み込んで、働かせてもらいました。結局、お金もきちんといただけて、そこでビシソワーズの作り方を教えてもらったんです。

レストランでは、本当にいろんな体験をしました。ほとんどは、「どうしたら、かっこよく見えるか」ばかりでしたが、エスカルゴブルギニオンという料理を初めて食べた時は、トングの使い方を知らずにせっかくのエスカルゴを2つ床に落っことして大恥をかきました。調理の練習用にエスカルゴの缶詰を買ったことがありますが、蓋を開ける時の緊張は今でも忘れられません。

(松田)若い頃から興味のあることを追求され、今も楽しまれているお姿は、生徒さん達にとっても良い指針となりそうですね。最後になりますが、商工会会員の方へメッセージをお願いします。

(伊藤氏)会員のお子さんたちとお話しをしたいと思っています。お子さん自身が今、考えていらっしゃることや将来の夢を聞かせてくださったらうれしいです。ぜひ、お気軽に一度、お子さんを連れて教室に遊びに来てください。これは、外交辞令ではありません。

(松田)インタビューは以上となります。本日は、お時間を頂きまして誠に有難うございました。





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