「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第196回>
Simcoe Parts Service Inc.
シムコパーツサービス
President 堀岡 豊

自動車業界にて物流事業を営むシムコパーツサービスの堀岡社長にお話しを伺いました。所在地は社名のとおり、Simcoe CountyのAllistonでトロントからは1時間ちょっとのドライブです。広い敷地内に100台以上はあるという巨大なトレーラーが並ぶ光景は圧巻でした。

会社説明のスライドをご用意頂き、物流事業の奥深さや物流に留まらない事業などを含め、理解を深めることができました。また、合計6年間に渡るブラジルとアルゼンチンでのご駐在時のご経験は、大変刺激的で魅力的でした。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(堀岡氏)まずは当社の親会社であるホンダロジスティクスの説明をさせていただきます。ホンダロジスティクスは、本田技研工業の子会社として、日本では埼玉、鈴鹿、熊本、浜松などにあるホンダさんの生産拠点に隣接し、調達・生産・販売を一貫物流で支えるロジスティクス分野を始めとし、業容に合わせたサポートを行っています。

事業概要は、DCC(Delivery Consolidation Centre:四輪・二輪の生産拠点が必要とする部品を必要に応じた形でラインサイドへ供給する)業務、完成車を各ディーラーさんのもとへ運ぶ運送業務、部品メーカーさんとホンダさんの架け橋となり製造部品を集荷・配送する業務、また、倉庫内での保管・管理業務、開梱・検品・仕分けなどの納入代行、部品・製品の梱包や海外出荷。

その他には、輸送効率を上げるための物流機器開発や、モノの流れを最適化・効率化し一元的に管理するためのシステム開発など、物流とそれに付随するあらゆる業務を行っています。

海外には、14カ国、28法人にて事業展開をしており、日本国内と同様に、ホンダさんのグローバルビジネスをサポートしています。

(松田)シムコパーツサービスさんのご紹介もお願いいたします。

(堀岡氏)シムコパーツサービス(以下SPS)は、ホンダロジスティクスの100%子会社として、カナダにて事業を行っています。設立は1988年で、昨年30周年を迎えました。

設立当初は20名という小規模な会社でしたが、ホンダさんと共に成長を遂げ、現在の総従業員数は912名です(2019年3月末)。Simcoe County内の従業員数ランキングでは、民間企業として3本の指に入りますので、多少は地域にも貢献出来ているのではないかと自負しております。

日本同様、ホンダさんの生産拠点であるHonda of Canada Manufacturing(HCM)に隣接しています。部品サプライヤーさんの製品をラインサイドへ供給する業務は、HCM敷地内にあるオンサイト施設にて効率的に作業を行っています。総施設面積はオンサイト施設が約40万Sqft、オフサイトが約60万sqft.で、100万sqft.を超えています。

(松田)主にどのような事業に携わられていますか。

(堀岡氏)主要事業は、HCM生産ラインへの部品配送供給(DCC)、倉庫保管・管理、タイヤとホイールの組み付け、輸送の4つです。

特に我々の事業の柱となるのがDCCと言い、生産拠点にて必要とする部品を、必要な数だけ、必要なタイミングで、ラインサイドに供給する業務です。HCMさんにて使用される部品のほとんどが、カナダ国内、アメリカ、日本等のサプライヤーさんから、当社に集められます。

かなり簡略化した説明ですが、部品の受入、確認、仕分け、保管や在庫管理を行い、HCMオンサイトへ運び、再度、受入と仕分けをし、ラインサイドへ供給します。供給部品総数は、1年間に3500万以上です。HCMさんの生産が滞ることがないように、必要な部品を必要な数だけ「ジャストインタイム」で供給を行っています。

(松田)御社事業のうち、タイヤとホイールの組み付け業務は意外な気がしますが、ご説明頂けますでしょうか。

(堀岡氏)タイヤとホイールの組み付けは、物流会社としては珍しい業務だと思いますが、ホンダロジスティクスでは全世界14カ国にあるホンダさんの四輪生産拠点ほぼ全てにて行っているコア事業です。

タイヤは安全に直接大きく関わる部分ですので、高い管理基準を保持し、高品質な製品を提供しています。ホンダロジスティクスは、ただモノを運ぶのではなく、物流を通じて新たな価値を提供することを目指し、このような幅広い事業を行っています。

SPSでは、年間約200万本のタイヤ、ホイールの組み付けを行い、ラインサイドに供給しています。また、タイヤの回転時のバランスを取るためにバランスウェイトという金属をホイールに取り付ける作業があるのですが、当社では、地域のビジネスサポートを心掛け、それらに使用する素材の8割をカナダ国内から供給を受けています。

(松田)御社の強みというのはどちらにあるとお考えでしょうか。

(堀岡氏)自動車業界は現在、変革の時代にあります。電動化や自動運転など、次々と新技術が導入され、進化しています。自動車メーカーさんも、車の製造販売だけではなく、サービスという点にも注力されています。

自動車産業に物流として携わっている私達にとっても、高付加価値の部品が増え、時代の要請が高まる中、お客様のニーズに沿って物流を変えて行かなければなりません。

先ほども触れましたが、親会社のホンダロジスティクスでは、グローバルで管理のできる物流システムを独自に開発しています。日本やアメリカにある技術部門の力を借りながら、ホンダさんのカナダでの生産サポートを強化するために、物流のテクノロジーをどのように導入するかがSPSとしての課題ですが、社内でグローバルに対応できるネットワークをしっかりと構築しているところが当社の強みだと思います。

(松田)今後会社として注力されたいことはどのようなことでしょうか。

(堀岡氏)当社には900名以上の従業員がおりますが、人材の定着が難しいというのが課題です。夏場は特に、農業や道路工事、住宅建設などの季節性のある仕事へと従業員が移動する傾向があります。

また、人材の不足という点は、この辺りの企業全てが抱える悩みですが、これは北米全体の問題でもあります。そのような状況下でも、SPSで働き続けたい、SPSで働いて良かった、と思える会社になる必要があります。

最近社内のマネージャークラスに向けて、自前で資料を作成し、マネジメント研修を行っています。当社の実務を行うため、部下を育てるという観点から、またはプロジェクトを遂行するためなど、様々な状況下でのマネージャーの役割やマネジメントのポイントについて、私の経験を元にレクチャーをしています。

約900名の従業員に対し、社長は私1人です。私が900名全ての従業員を覚えられなくても、全ての従業員が私のことを知っています。一昼夜でできるような簡単なことではありませんが、自らが従業員に示しながら、人材育成やノウハウの継承に力を入れ、魅力のある会社づくりに注力していきたいと思っています。

また、当社の従業員の殆どが、40-50kmの範囲から通う地元の人達ですので、地域に対する社会貢献も、しっかりと行っていきたいと思います。

(松田)堀岡社長のご出身から現在までのご経歴をお話しいただけますか。

(堀岡氏)出身は三重県の鈴鹿です。1985年に入社し、約10年間DCC業務を担当しました。その後、7年間、総務などの事業管理の職務に携わり、その後、埼玉の狭山にて8年間、引き続き事業管理業務を担いました。

その後、南米に赴任し、ブラジルのサンパウロに1年、アルゼンチンに2年、またブラジルに戻りマナウスで社長として3年、計6年間、主に二輪の完成車の輸送業務に携わりました。そして2018年4月に、ブラジルよりカナダに着任し現在に至っています。

(松田)これまでのお仕事で、特別印象に残っていることはどのようなことでしょうか。

(堀岡氏)これまで様々な経験をしましたが、南米駐在時の経験が、私の中では一番印象深いです。新興国の南米では経済の浮き沈みが非常に大きく、アルゼンチンのインフレ率は年率で約40%と、大変不安定な状況でした。

アルゼンチンには、2010年に会社を設立し、私が赴任したのは2013年から2014年でしたが、当初はブラジルからの荷物を受けるという仕事がほとんどで、事業としては全く成立していませんでした。私が着任してから、この状況をどうにかしようと、事業を企画しホンダさんに提案を行い、10か月くらいかけて業務を獲得し、立上げることができました。

ホンダさんの二輪の完成車を工場からディーラーに配送する際に、それまで木枠で梱包していたのですが、木枠は高価ですので、別の方法に変えることで費用を抑えることができ、積載台数も増えると提案しました。

ただそのためには専用車両を作る必要がありました。ブラジルでは行なっている技術でしたので、図面を活用し、専用荷台を作ってくれる会社を一つ一つ自ら当たり、交渉をしました。また、我々の事業に協力する輸送会社を一から探し出すことに本当に苦労しました。

南米では、アミーゴ、つまり友だちがとても大切なんです。付き合いの中で仕事が回っているところがあるため、確実に事業のために良い方法を提案しても、付き合いを守るために首を縦に振らないことも多々ありました。新たなお付き合いをしていただくために信頼を得ること、これにも大変時間がかかり、一番骨を折りました。

しかしその事業のお陰で会社の運営を軌道に乗せることができましたし、お客様に対して大きな効果を生み出すこともできました。仕事を獲ったことにより危険な目にあった先輩の話も聞いていたので不安もありましたが、やはり貫いて良かった、自分の判断に間違いはなかったと実感でき、嬉しかったです。また一緒に立ち上げてくれた従業員にも大変感謝しています。

話は変わりますが、私がブラジルのマナウス支店に着任した時は、ホンダさんの二輪完成車の輸送シェアは40%ほどだったところを、私が駐在中に100%にしました。この時も同様に、大分危ない思いをしましたね。

(松田)不思議なことに、南米に行かれた方は危険な目に会っていてもまた戻りたいと仰る方が多いのですが、同じように感じられますか。

(堀岡氏)その気持ちはわかります。日系移民の人がいますので、食事にはそれほど困らないですし、ブラジルのサンパウロはご存知の通り大都市、マナウスも名古屋より大きい規模です。それなのにマナウスは陸の孤島で、物資は全てアマゾン川をつたい船で輸送されます。良くも悪くも日本と違うところに魅力があるんでしょうね。

観光資源も豊富です。アマゾンでは釣りをしたり、トレッキングをして野生動物を観たり、水上ハウスでアナコンダを首に巻いたりもできます。水上ハウスのコミュニティがあって、学校や教会もあるんです。それを見るだけでも価値がありますよ。

またアマゾン川は雨季と乾季によって、高さ15mも水量に差がでます。乾季に森に入ると、木々に雨季の時の水の跡が付いていて、ここまで水があったんだと実感できます。

リオのカーニバルも有名ですし、国を跨げばマチュピチュやナスカの地上絵、アルゼンチンの最南端で見れる大氷河など、日本からはなかなか行けない世界遺産を沢山見ることが出来たのは、南米に駐在した特典ですね。

(松田)お話を伺う限りとても魅力的ですね。またの機会にもっと聞かせてください。では、堀岡社長が、お仕事を進める上で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(堀岡氏)ブラジルの時から社長職を務めていますが、トップダウンよりボトムアップのマネジメントをするようにしています。現場に足を運び、従業員個々と話をする時は、経験や勤続年数、役職などに関わらず、相手の立場に立って話を聞き、生の声を拾い上げるように心がけています。

同様に、傾聴力「聞く力」を大切にしています。相手の気持ちに寄り添いながら聞き、相手が本当に話したいことを引き出して理解することができれば、より適切な提案をしたり、問題解決に導いたりすることが可能だと思います。

また、個々の力を育むために、とりあえずやらせてみて、出来たら褒める、上手くいかなかったらその理由を自分で考えさせて次に活かせるようにする、といったマネジメントをするように心がけています。

(松田)プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツはありますか。

(堀岡氏)高校生まではずっと野球をしていました。その後はジェットスキーに夢中になり、30歳くらいまではレースに出たりと結構真剣にやっていました。カナダでも湖でよく見ますよね。近くにシムコ湖がありますし、淡水なので管理も楽ですし、機会があればまたやってみたいと思いますが、身体を痛めても良くないですので悩むところです。

最近の趣味というと、ゴルフと旅行くらいですね。ブラジルにいた時は年間50ラウンドくらいしていましたが、去年は6回くらいしかできませんでした。今当社に駐在している岡本もゴルフが好きなので、今年はもう少し回りたいと思っています。

(松田)今後カナダで挑戦したいことは何かありますか。

(堀岡氏)昨年着任した時に、自分の紹介スライドを作って挨拶をし、そこにカナダでやりたいことも書いたんです。ロッキー山脈に行く、Yellowknifeへオーロラを見に行く、ホッケーを見に行く、など色々と書きましたが、先日全く達成できていないことに気づきました。ロッキー山脈は絶対行きたいですし、今年は少しずつでも実行していきたいと思います。

(松田)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(堀岡氏)昨年は事業や生活に慣れることで精一杯の日々を過ごし、会社が遠方にあることもあり、これまであまり他企業の方とお会いする機会はありませんでした。今後は商工会のイベントなどへ参加して会員の方々と交流をさせて頂き、プライベートでもご一緒させて頂ければと思っています。是非宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただきありがとうございました。





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