「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第194回>
Mizuho Bank Ltd., Canada Branch
みずほ銀行 カナダ支店
Managing Director, Country Head, Canada 飯島 圭一郎

2018 年7月に着任された、みずほ銀行の飯島支店長にお話をお伺い致しました。所在地は、トロントダウンタウンのファイナンシャルディストリクトです。

成長を続けられているみずほ銀行さんのカナダにおける展望や、香港とウィーンにて拠点の立ち上げに携わられたご経験などを、じっくりとお伺い致しました。




(松田)御行の事業内容のご紹介をお願い致します。

(飯島氏)みずほ銀行カナダ支店は、主に日本企業、アジア企業、カナダ企業のお客様へ、幅広く法人向け金融サービスを提供しています。

業歴は約40年です。現地法人からスタートし2007年に支店化、つまり、みずほ銀行の直接の支店となりました。支店となることで、拠点の信用度が高まり、お客様とお取引がしやすくなるとともに、貸付金額に関する上限が緩和されるなど規制面の自由度が拡大するため、お客様のご要望に一層柔軟に対応できるという大きなメリットがあります。

当行は、カナダに現在進出している邦銀三行の中で、真っ先に、かなり早い段階で、支店化のライセンスをカナダ金融当局から頂くことができました。そのような背景もあり、現在カナダでは、お客様向けの貸出残高については当行が邦銀最大となっています。

拠点はトロントとカルガリーの二拠点体制で、現在併せて約60名の行員で運営しています。トロント拠点からは、カナダ東部の自動車産業やその他製造業、通信、化学、ITなど、多岐にわたる様々な業種のお客様へサービスを提供しています。カルガリー拠点からはカナダ西部をカバーし、主にエネルギー産業のお客様が中心となっています。

経済環境が良いおかげもあり、先述した貸出残高を含め、日系企業向け、非日系企業向けビジネスとも順調に拡大中です。

(松田)ご成長を続けられている御行の強みはどちらにあると思われますか。

(飯島氏)40年の歴史の中で培ったネットワークと、それを活用した“One Mizuho”での営業体制です。当店では、日系のお客様担当と非日系のお客様担当の二部署が同じフロア内で密接に連携しています。

お客様のビジネスも益々グローバル化していますので、これまでにない新たなアイデアを欲しておられる中、同じ屋根の下で日系担当と非日系担当が協力し、国や地域の枠を超えた幅広いネットワークを活かすことで、お客様のご要望に沿う情報やサービスをご提供できるよう、日々取り組んでいます。

(松田)現在、特にどのようなことに注力されておりますか。

(飯島氏)近年、支店内のディーリング機能を強化し、カナダドルや外国為替の取扱い力は従前対比格段にパワーアップしています。我々金融機関にとって通貨はビジネスの根幹。カナダドルはグローバルに見ても主要通貨の一つであり、カナダドルの提供力はライバル他行に負けない自負があります。

またカナダ独特の強みについての情報収集・発信にも取り組んでいまして、昨年はカナダにおけるAI(人工知能)業界動向に関するレポートを発刊、今年は天然資源に新たな目線で焦点を当てて取り組み中です。当店には金融業務のみならず、各種事業を実際に経験したプロが多々おり、この「人材力」は競合他行にはない強みとなっています。

(松田)今後は、どのようなことに取り組まれるご予定でしょうか。

(飯島氏)カナダは、多くのビジネスチャンスに溢れる大変ポテンシャルの高い国です。製造業含め厚みのある産業構造に加え、オイル・ガス、金属などの天然資源も豊富です。人口も増え続けていますし、IT分野ではシリコンバレーに負けず劣らずの成長を遂げており、アカデミック面での強みもあります。

また、英語圏であることも大きな利点です。私自身、過去にアジアと欧州に駐在していましたが、非英語圏の政府や経済界のトップの方々の現地語でのコミュニケーションを的確・正確にフォローアップするのは大変ハードルが高いというのが実情ではないでしょうか。ここカナダでは、英語で生の情報を各方面から得ることができる、コミュニケーションが取れるというのは、日本企業にとってビジネス上の大きなメリットです。

さらに、昨年末に待望のTPPが発効となり、またとないチャンスが巡ってきています。様々な分野で起こりうる新たな展開を見逃さないよう、各産業の動向を注視しています。過去を振り返れば、これまでは自動車産業が中心であった日本の海外展開ですが、昨今は、食品・飲料、アグリカルチャー、IT、リテールなど多くの分野で日本企業の進出が顕著になってきました。

TPPが追い風となり、あらゆる産業からカナダに新規進出して頂けるよう、また既進出済企業に対しては更なる業容拡大に資するよう、日本企業の皆様へ幅広くサポートを提供することが、今年の最重要ミッションと考えています。

(松田)飯島支店長のご経歴もお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(飯島氏)出身は東京近郊です。昔から凝り性なところがあるため、職人志望がそもそも強く、お固いカルチャーながら職人的雰囲気を感じて、銀行に就職することにしました。

最初の配属先は、渋谷支店という、当時来客者数が日本最大の店舗でした。常に賑わっている大変忙しい店舗で、在籍は2年間だけでしたが、銀行員としての基本を根底から鍛えて頂きました。

そうこうしているうちに、想定外の「香港転勤」の話が来ました。もともと海外志望とは就職時の履歴書には書いていましたが、大量採用時代の一般入行組であり、同期のエリートたちのような海外留学のオファーなどは当然ながら一切なく、これからも国内でしっかり銀行員修業を続けようと思っていた矢先の話でした。

行先もよく聞けば、銀行の香港支店ではなく、証券業務を行っている香港現地法人で、そこで、一年半ほどトレーニーで、との辞令でした。当時は、長年禁止されていた銀行による証券業務が正に解禁されようという時代で、日本国内に先駆けて海外では許可されていたんです。

当時の香港支店は国際部門のエリート集団でしたが、私の着任した証券現法は国内営業現場からの叩き上げの野武士的な上司・先輩が中心で、当時25歳独身の私を公私含め、厳しくもとても可愛がってくれました。

証券業務という、銀行の中では形も決まっていない新しい分野のため、皆手探りで行っているような状況でしたが、当時はアジアの時代と言われていましたので、業績は右肩上がりで、諸先輩とワイワイ楽しくやりながら気づいたらあっという間の6年間のアドベンチャーでした。その間に証券トレーダーとして1997年の香港の中国返還とアジア通貨危機も経験し、当時大変でしたが、今となっては良い思い出です。

(松田)アジアの大変動期にその地にいらっしゃったんですね。その後日本へご帰国され、どのようなご業務に従事されましたか。

(飯島氏)アジア危機も冷めやらず、まだ日本の金融界全体が不良債権問題で苦闘していた1998年に久々に帰国し初の本部勤務となりました。当時の邦銀は国際的にも信用力が低下していて外貨調達に苦労していた時代でした。

そんな最中に私の銀行含め「3邦銀が統合」という発表があり、そこからは本部総出の準備作業に巻き込まれ、早く現場復帰を、と願いながらも叶わぬまま結局2002年4月の3行統合をはさみ9年間、投資銀行部門の本部にいました。本部といいましても私のいた部署は少人数で、現場や上司から舞い込んでくる前向き・後向き様々な宿題・懸案が常時山積で、気が付けばほぼ会社に住み着いたような日々でした。

ようやく落ち着いて来たところで上司に志願してM&A関連部署に転勤させてもらい何とか現場に復帰できました。M&Aは未体験でしたので、先輩のみならず後輩たちにもずいぶんサポートしてもらい、その間リーマンショックなどもありましたが、長らくの本部仕事の後のとても新鮮な3年間でした。

(松田)そしてまた香港に戻られるんですね。

(飯島氏)既に日本帰国後12年が過ぎ海外勤務はこの先ないだろうと思い始めていた2010年、また香港行きの辞令がありました。

アジア地域本部の香港での立ち上げ、というミッションで、初仕事が当時東京にあったアジア本部の香港への移転という異例のプロジェクトでした。これまたかなりのドタバタ劇の後、当時の上司・同僚とともにほぼ同じフライトで香港へ向かうという、非常に稀な“団体赴任”での幕開けでした。

色々と苦労はありましたが、全員の努力で何とか3ヶ月ほどで香港での機能を立ち上げ、アジア本部として各国現地拠点のサポート業務を開始するに至りました。ところが、やっと一息つき始めた1年後に、今度はアジア本部機能を東アジアと東南アジアに二分するということに。

私は香港に残りましたが、一緒に来たメンバーの半分が東南アジア部門開設のためシンガポールへ移動することになりました。もろもろ含め、組織変更とその立ち上げに追われた3年間でした。

そんな状況下で仕事は多忙を極めていましたが、プライベートでは2回目の香港在住ということで家内も、そして今度は子供もおりましたので、家族で楽しい日々を過ごしました。息子が当時通った学校がたまたまカナディアンのインターナショナルスクールで、オンタリオ州の教育システムを採り入れている学校でした。

通常、英語初心者の子供はインターナショナルスクールには入学できないのですが、さすがカナダ、その学校は寛容で英語力ゼロの息子を温かく受け入れてくれました。先生はカナダ人でしたが、生徒は地元香港、インド、韓国など様々な国から生徒が来ていて、今思うとまさにトロント的な学校でした。

(松田)カナダとの不思議なご縁ですね。きっとカナダの学校同様、ESLのプログラムが充実しているんですね。その後はどのようなご経歴を辿りましたか。

(飯島氏)その後は東京に戻り、1年半ほどM&A関連の仕事を行った後、オーストリア・ウィーンへの転勤辞令を受けました。私自身欧州は全く初めてという状況の中、ウィーンでの支店新規開業がミッションでしたので、最初はどうなることかと思いました。

もともとウィーンの提携先銀行に当行から出向中の方が一名既にいらしていて、この方の熱心な応援のおかげで何とか新天地の環境に慣れることができました。その後新メンバーが順次新拠点に加入し、開業準備が本格化していき、2015年7月末に晴れて開業に漕ぎ着けました。この支店はみずほの欧州事業としてはかなり久々の新設拠点でした。

担当地域はオーストリアだけでなく、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニアといった主要国に加え、セルビアやマケドニアといったバルカン諸国も含む、中央・東ヨーロッパの計16か国。全域を駆け巡りました。初年度の開業準備と正式業務開始、その後の現地各国政府や地元金融機関とのパートナーシップ組成、日系・欧州系現地顧客の新規開拓など、業務の基礎づくりにおいて、様々多くのチャレンジがありましたが、大変充実した日々でした。

新設拠点故え少人数での旗揚げでしたが、メンバー全員が本当によく頑張ってくれました。私一人では何もできませんでしたが、支店のメンバー一人一人の努力が難易度の高かった開業プロジェクトを成功に導いてくれました。当時のメンバー全員、また背後で支えてくれた欧州・東京の本部・他拠点の仲間たちに今も感謝の気持ちで一杯です。

そしてその後、また青天の霹靂でカナダ赴任の辞令を受け、昨年2018年7月に着任しました。

(松田)海外での拠点や新規事業の立ち上げに多く携わられていらっしゃるんですね。特別に印象に残っている仕事についてお話し頂けますでしょうか。

(飯島氏)その時々全力投球でしたので、振り返ればすべて想い出深いのですが、やはり直前までいたウィーン支店の開業・立ち上げでしょうか。

 
ウィーンでボールルームダンス 
支店を開業する際は、通常、開業式典を行うのですが、みずほとして支店を新設したことを対外的にアピールする好機ですので、盛大に開催したいと思っていました。しかしウィーン支店の場合、拠点はオーストリアにありますが、担当エリアが中東欧全域と広く、大宗のお客様は国外にいらっしゃいました。お客様がわざわざ国外出張してウィーンでの式典にお越し頂けるのか、不安な日々を過ごしたのを覚えています。

しかし、これもまた支店メンバーの努力と関係本部・拠点のサポートのおかげで、当初100名未満の集客を予想していたところ、結果的に200名以上のお客様に出席頂き、大変盛大に催すことができました。

式典終了後は充実感に包まれ、それを弾みにその後は全員で業務拡大に邁進することができました。中東欧地域では邦銀最後発での開業で、まだまだ発展の序章段階ではありましたが、短期間ながらこの地域で相応の存在感を出すことが出来たと思っています。

私にとって、また多分開業メンバー皆にとっても、支店開業の醍醐味、つまり、店の形が徐々に出来ていき、みずほの名前が少しずつ現地市場で知られるようになり、お客様が増えていく様子を実際に体験し、銀行拠点の成り立ちや発展の行程、そしてその存在意義や役割をあらためて認識する貴重な機会になりました。

(松田)飯島支店長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(飯島氏)少人数で様々なプロジェクトを行ってきた経験から、私自身、一人ひとりの力の重要性が身に染みています。従って、ここカナダでも「一人ひとり」の力を信じて大切にしています。現在カナダ支店には約60名の行員がいますが、私も含め、各々様々、個性もあり、強みもあり、弱点もあり、千差万別です。個々人の今持っている実力だけではなく、潜在能力を発揮できる職場づくりをすることが、私の支店長としての最大の仕事だと思っています。

ヨーロッパでは、銀行のビジネスを“People’s Business”と言うんです。色々な意味が含まれていますが、つまりは、人で成り立っている仕事、ということです。この言葉の意味する通り、銀行の仕事は「一人ひとり」が大事、ということを常に肝に銘じています。

これに関連して、着任して以来、行員全員に「エキスパートになろう」と繰り返し伝えています。海外拠点は専門家集団であるべきというのが私の信条です。カナダ支店でも、営業、ディーリング、事務、人事、リスク管理、コンプライアンスなど、色々な役割がありますが、それぞれがその道のエキスパートになってもらいたいと願っています。

もちろん組織のためということもありますが、個人として専門性を高めスキルを発揮することで、その当人に新たなチャンスが社内でも社外でもどんどん舞い込んでくるはずです。店内各人がそれぞれの担当職務の「真のエキスパート」を目指し、さらにこれを後押しするべく、年齢や経験を問わず、彼らが新しいことにチャレンジ出来る環境を拠点マネジメントとして整えていきたいと思っています。

(松田)飯島支店長のプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、ご趣味は何でしょうか。

(飯島氏)ずばり食べることです。香港時代に香港の人たちのたくましさに触れ、「食」こそがパワーの源泉ということを体感しました。私自身、グルメでも何でもないのですが、ただシンプルにおいしいものをたっぷり食べるのが大好きです。

今一番ハマっているのが、「肉」でして、トロントにお詳しい方のご紹介もあり、ノースヨークやフィンチの韓国焼肉店に最近通うようになりました。先日は、アルバータ牛のステーキをご馳走になる機会がありまして、本当に美味しかったです。夏になったらバーベキューグリルを買って、バーベキューもしたいですね。今から楽しみにしています。

(松田)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(飯島氏)繰り返しになりますが、カナダは様々なチャンスに溢れている国です。我々みずほとしては、事業会社の皆様と共にカナダ発のビジネスを一緒に作り上げていくことが出来れば、と切に願っています。ここカナダにおけるビジネスパートナーとして是非ご気軽にお声掛けください。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂き有難うございました。



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