「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第193回>
Honda Canada Inc.
ホンダカナダインコーポレーテッド
Senior Vice President 鶴薗 圭介

トロントから車で30分程、マーカム市に本社のあるホンダカナダインコーポレーテッドの鶴薗SVPにお話を伺って参りました。ロビーのショールームには、四輪車、二輪車、汎用パワープロダクツなどのお取り扱い製品に加え、長年スポンサーをされているトロントブルージェイズのオフィシャルカーや、NHLホッケーチームのグッズなどが多数展示されていました。鶴薗氏には、Acuraブランドのスポーツカー、NSX2019年モデルと共に写真を撮らせて頂きました。

2018年4月にご着任された鶴薗氏が、過去に取り組まれた2つの新事業について、それを可能にした、ホンダさんのご発展の根源でもあるホンダフィロソフィーについてなど、興味深いお話をじっくりとお伺いしました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(鶴薗氏)ホンダカナダインコーポレーテッドは、輸入品を含めた、四輪車、二輪車、汎用パワープロダクツ製品を販売するホンダカナダという販売会社と、ホンダオブカナダマニュファクチャリング(HCM)という、四輪車のCivicとCR-Vを生産する生産工場の2社から構成されています。

ホンダカナダは1969年に設立され、二輪車の輸入販売からスタートし、1973年に四輪車Civicの販売を始めました。今月、3月11日に50周年を迎えました。HCMは、設立から今年で32年。カナダでの生産拠点として、CivicとCR-Vを年間40万台規模で生産しており、約10万台がカナダ国内向け、残りは主に米国への輸出で、当社の北米四輪事業の重要な生産拠点という位置づけです。
社員数はホンダカナダが460名規模、HCMは4200名規模となっております。

(松田)御社にて取り扱われている製品を、ご紹介いただけますでしょうか。

(鶴薗氏)主要事業は四輪車で、HondaとAcuraの2つのブランドを持っています。Hondaブランド、Acuraブランド共に、乗用車(パッセンジャーカー)とライトトラック(SUV等)のカテゴリーに、それぞれ幅広いラインナップを揃えています。

Hondaのチャネルは2018年で17万5千台、Acuraのチャネルは2万台という実績です。Hondaブランドの主力製品の一つ、Civicは年間の販売台数が6万~7万台で、カナダ国内で乗用車ナンバーワンの販売実績を更新しています。昨年2018年も例年に引き続き、21年間連続の記録を達成致しました。

カナダだけでなく、米国も同様ですが、自動車市場が飽和状態の中、需要は乗用車からライトトラックに徐々に推移しております。我々もそのトレンドに沿い、昨年、AcuraブランドのSUV中堅モデルであるRDXの商品力を更に向上させ、フルモデルチェンジをしました。

また今年の初めには、PassportというCR-VとPilotの間に入るミドルサイズSUVを新規上市いたしました。日常のシティライフからオフロードの走行まで幅広く楽しみたいというお客様の要望に合致したモデルです。ホンダはこのように、お客様の嗜好の変化にもしっかりと応えて参ります。

(松田)二輪車についてもご説明ください。

(鶴薗氏)当社では、いわゆる二輪車(バイク)の他に、ATVやSide by Sideといった四輪オフロード製品を、二輪車・パワースポーツというカテゴリーとしてビジネスをしています。2018年の実績で二輪車(バイク)1万2千台、四輪オフロード製品もほぼ同じ1万1千台、併せて年間約2万3千台を販売しております。

ホンダの二輪事業と言うと、新興国でのコミューターとしての事業の印象が強いと思いますが、カナダ、そして米国の二輪事業は、二輪車(バイク)では、子供用の小さなオフロードバイクからゴールドウイングという最上位機種まであり、四輪オフロード製品にも様々なモデルを投入し、幅広いラインナップを揃えてお客様に対応しております。

子供用のオフロードバイクでは、JRR(Junior Red Rider)という、小さなお子様が気軽にオフロードバイクを体験できる場を、カナダ各地にて提供しています。幼少期からホンダの製品に触れ、ホンダのものづくりの考え方を知ってもらうことで、将来ホンダのファンとなって頂ければと考えております。

(松田)御社が扱われている汎用パワープロダクツ製品についてもご説明いただけますでしょうか。

(鶴薗氏)汎用パワープロダクツ事業は、「役立つ喜び広げたい:Helping people get things done」という社内スローガンのもと、汎用エンジンをコアに、そのエンジンを供給するOEMビジネスと、それを搭載した高品質の完成機を提供するビジネスを全世界で展開しています。

汎用パワープロダクツというと、新興国でのポンプや耕運機等、仕事に役立つ商品群のイメージが強いかと思いますが、カナダでは、OEMビジネスではポンプや高圧洗浄機、完成機ビジネスでは冬場の除雪機やレジャー使用を含めた発電機が事業の中心です。昨年のカナダの販売実績は、OEMビジネスが6万9千台、完成機ビジネスが7万4千台となっています。

商流に特徴があるのですが、汎用パワープロダクツは、一般的に先進国では他社との併売店、新興国では街の金物屋のようなお店で取り扱って頂いていることが多いのですが、カナダでは二輪商売がオフシーズンとなる冬場に、ホンダディーラー様にて除雪機や発電機に注力して販売して頂いています。

二輪の販売店が汎用パワープロダクツ商品を扱うことで、一年を通じて安定して商売を継続することが可能で、結果、お客様へ質の高いサービスが提供できる構図になっています。米国では汎用パワープロダクツはホームセンター等でも取り扱われていますが、カナダでは現時点ではその販路は選ばず、ホンダ製品に精通したディーラー様からご購入頂くことで、お客様の満足度を高め、結果的に良いビジネスが出来ていると感じています。

(松田)カナダの気候やお客様のご嗜好を鑑みられた販売方法なんですね。年々ご成長を遂げられているホンダさんですが、御社の強みはどちらにあると思われますか。

(鶴薗氏)ホンダは、「需要のあるところで生産」と言う基本ポリシーがあり、早くから各事業の現地化を進めて参りました。全世界の地域を6極に分けた地域本部制にて、投資判断まで現地が行う事業形態で、その中でホンダフィロソフィーをしっかりと理解したローカルマネージメントがきちんと育っています。

カナダで言うと、ホンダカナダインコーポレーテッドのCEOは2013年からカナダ人が務めており、我々駐在員はサポートに徹しています。インターカンパニーの売上を含めると、ホンダグローバル事業の約一割の売上の現地法人を、実質ローカルマネージメントが運営しています。

現CEOのみならず、次のCEO候補となり得る人材が、「お客様嗜好で」「現場現物で」といったホンダフィロソフィーを日々口にしており、そうしたローカルマネジメントが次の世代、その次の世代としっかりと控えています。特にカナダはそれが大変顕著です。

ホンダの強みは、創業者から引継ぐ確固たるフィロソフィーと、そのマインドを持ってしっかりと業務遂行できる各地のローカルマネージメントです。

こういった人材育成は思い立ってすぐ出来ることではなく、ブレのない基本ポリシーがある上で、40年、50年と長い年月をかけて育まれたものです。私の役割と責任は、この体制を後戻りさせることなく、しっかりと次の世代に繋ぐ橋渡しをすることだと考えています。

(松田)ホンダさんのフィロソフィーが、日本人社員のみならず、文化や宗教の異なる世界中の社員の方へも浸透されているというのは、驚くべきことだと思います。その秘訣はどちらにあるとお考えでしょうか。

(鶴薗氏)ホンダフィロソフィーには、「人間尊重」、「三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)」、「地球的視野に立ち、世界中の顧客の満足のために、質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす」等々ありますが、手前味噌ですが本当に創業者は良く考えたものだと思います。

シンプルだけど色褪せず、時代が変化しても不変の考え方。複雑なことに直面した時に、ここに立ち返るとあらゆることに答えが見えてくるんです。私もホンダ人生30年弱ですが、何度も助けられました。

フィロソフィーに関して、小さなハンドブックは存在しますが、事細かに書かれた手引きのようなものは存在しません。それぞれがホンダの一員になってから、現場で諸先輩方から叩き込まれ、自分の現場での経験の中で咀嚼し、皆が自分自身のホンダフィロソフィーを身につけているんです。
そのため、人によって解釈は変わりますので、オペレーション方法について、この人はアグレッシブだな、等と感じたこともあります。只、フィロソフィーが健在であるため、根本にある大事な骨格部分がずれないんです。それを社員同士も分かっており、尊重し合っています。そのため、駐在員同士でも言われますが、当社では異動の際の引継ぎやマニュアルが殆どありません。必要がないんです。

フィロソフィーが、シンプルであるが故に、例え文化が異なれど、人間の真髄に響くものであるということ、そしてそれが押し付けられるものではなく、先輩方からの教えと経験を通して自分自身の解釈で体得するものであるということが、世界中のホンダで浸透している理由ではないかと思います。

他社で仕事をした経験がありませんので比較はできませんが、5年ほど前に約一年間、『フォーラム21』という各官庁を含めた異業種交流プロジェクトにホンダの代表として参加したとき、初めて、フィロソフィーをとにかく大事にする当社の企業姿勢の特徴を相対的に感じました。もちろん、それぞれの会社が各々の特徴や強みを持っておりますが、フィロソフィーを大切にし根付いている、これが当社の特徴なんだと改めて再認識した次第です。

(松田)単にビジネス上の社是ではなく、生きる上での指針ともなり得るところに、ホンダフィロソフィーの凄さがあるんですね。それでは、鶴薗SVPが今後注力していかれたいことはどのようなことでしょうか。

(鶴薗氏)電動化、自動運転、コネクティッド等々、自動車業界は様々な技術革新から、正に100年に一度の大きな変革のときを迎えていると言われています。もちろん当社もグローバルで様々な取組みを進めているわけですが、カナダの販売元の最前線である我々は、カナダのお客様の要望の変化を的確に捉え、カナダのお客様に必要なサービスを提供することを第一に考えます。

サブスクリプション、ライドシェア等、所有からサービスへと同業・異業種他社も様々な展開をする中、我々はそれらに安易に踊らされることなく、フィロソフィーに立ち返り、お客様を見て、お客様と地域社会から求められる価値、新しい価値を、ローカルマネージメントチームと考えて行きたいと思います。

我々には、長年かけて相互の信頼関係を共に築いた、Hondaで237店、Acuraで51店のディーラー様があります。新しいサービスというと、とかくe-commerce等になりがちではありますが、我々は、カナダ全土にてお客様の側にいるディーラー様とWin・Winとなるビジネスモデルを築き、確かなサービスを粛々と提供していく所存です。

また、カナダではホンダのシェアが約10%です。カナダの自動車業界は、他国よりもリース商売が進んでいます。子会社であるホンダカナダファイナンスに整った販売金融体制があり、コールセンターの統一化等に取り組んだ結果、当社ではリースの比率が更に高くなっています。

お客様のご要望は多様化しており、リースの延長で様々な可能性が考えられます。お支払いを通じて毎月お客様と接点を持つことができるリースの特徴を活かし、お客様とコンタクトではなくコネクトと言える事業モデルを模索して参りたいと思います。

(松田)それでは、鶴薗SVPのご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(鶴薗氏)両親は鹿児島出身ですが、私は生まれも育ちも千葉です。ホンダには1992年に入社しました。当時はバブル崩壊の頃で、就職先として、ものづくりである製造業、特に自動車メーカーが人気でした。

また私は学生時代に、Wonder Civic SiというCivicの中古車を友人から12万円程で買い、乗り回していました。オンボロだったのでボディはベコべコの状態でしたが、エンジンが素晴らしく全く壊れずに常にしっかりと動いてくれていました。そこから、ホンダのものづくりに興味を持ち、幸いにも採用して頂きました。

入社後最初の5年は当時のシステム部に在籍し、社内のシステム構築を担当しました。CobolやFortran等、今ではあまり出てこない言語でのプログラミングもしていました。

1997年に汎用パワープロダクツ事業本部に異動し、海外営業として勤めた後、2003年にタイのバンコクに赴任しました。当時、汎用GXエンジンを欧米に輸出開始するプロジェクトがあり、当時の欧米基準に沿い、コンテナ単位の生産・輸出・トラッキングの仕組みを即席で作り、なんとか立上りに間に合わせました。

とにかくあの頃のタイはエネルギーに溢れていました。活気みなぎるローカルメンバーを率いて、それまでは在庫商売で製造後に偏在を調整していたサプライチェーンを、コンテナオーダー単位生産に変えて効率を向上させました。

その後、2008年9月にバンコクからアトランタに異動し、米国国内のOEMエンジンビジネスを担当しました。正にリーマンショックが起きた時で、コンシューマー商売が大きく落ち込み、商売の立直しに大変苦労しました。

2012年に日本に帰国後、それまで同様、汎用パワープロダクツ事業の新興国の海外営業課長を務めました。2014年からは同事業の事業管理室長を2年務め、2016年から2年は欧州地域本部にて同事業の事業部を任されました。その後2018年4月より、ここカナダトロントにて、四輪車、二輪車、汎用パワープロダクツ製品すべてを含めた事業のSVPを務めております。

(松田)鶴薗SVPがこれまでのご経験で最も印象に残っているお仕事についてお聞かせ頂けますでしょうか。

(鶴薗氏)2014年から事業管理室長を務めていた時期に、ホンダとしては新しい事業の「歩行アシスト」を日本国内で上市しました。

アシモで培ったリズム歩行の技術をベースに、術後や病気など様々な理由で歩くことが難しくなった方々に、毎回身体に取付けて歩行を補助するのではなく、理学療法士との30分のトレーニングで歩き方を思い出させ矯正し、そしていずれ自分の足で歩けるようにするという商品です。その結果をデバイスを使ってデータとして目で見ることができるのですが、30分のトレーニングではっきりと向上していることが分かり、驚きました。

 
 歩行アシスト

ホンダは確固たるフィロソフィーのもと、四輪車、二輪車、汎用パワープロダクツ、それぞれにおいて質の高い商品を適正な価格で供給するため、営業・工場・研究所・購買・品質・認証法規・サービス、部品、等々、それぞれの機能が商品カテゴリーの中で確立しています。

「歩行アシスト」は、お客様に新たな価値を提供できる、とても夢のある商品ですが、このような新規事業はこの確立したシステムにうまく当てはまらず、事業規模からしてすべての機能を持った事業本部を新たに作ることも叶わない中、この確立したフローに合わせることに大変苦労しました。

正直に申し上げますと、上記の理由やお客様も異なる新分野への進出ということで、当時、社内でも事業化する体制がはっきりとしませんでした。この素晴らしい商品を必要とされているお客様に提供したいという思いから、我々の部門で事業化することとなりました。引き受けたからには当然しっかりとしたプロセスを経て、社内基準を満たすよう尽力しましたが、ホンダとして新しい商品を世に送り出すことの難しさを体感しました。

医療業界の商習慣に合うよう、ホンダファイナンスを巻き込んだリースの条件設定、新たに選定した生産委託先にはホンダの品質基準を担保できるよう、汎用パワープロダクツのマザー工場をかなり強引に引きずり込みました。

また図面発行や部品表展開においてもそれまでの人間関係を頼り、志を熱く語って担当部門を巻き込むような、様々なところで手を借りながら、どうにか立ち上げまでこぎつけた、という状態でした。それが5年程前の話ですが、現在は業界ではかなり認知され、多くの方々の歩行支援に役立てて頂いているとのことです。

(松田)通常業務に加え、ご自身で新規事業参入に手を上げられるというのは、相当な葛藤もあったと思いますし、勇気のいることだったと想像できます。

(鶴薗氏)今思えばこんな強引なことが出来たのも、私を含め、私と共に活動してくれた皆の中にあるホンダフィロソフィーが、お客様視点で道を拓いてくれたんだと思います。ホンダは「すべての人に、“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」という2030年ビジョンを掲げています。

この中にはモビリティカンパニーでありながら、さらに“生活が変わる・豊かになる喜び”を提供していこう、という趣旨も加わっています。歩行アシスト事業はまだ生まれたばかりですが、この方向性に合致しています。

(松田)他にも新しい事業に携わられたそうですが、お話し頂けますでしょうか。

 
 パワーマネージャー
フランクフルトモーターショーにて
(鶴薗氏)2016年から担当した欧州でも、また異なる分野ですが、インバーター発電機技術を発展させた『パワーマネージャー』という商品のフィジビリティスタディを開始しました。簡単に言うと、制御技術を使い、電気を上手くコントロールする商品です。太陽光発電など自然エネルギーで電力を得ても、現段階では電力を貯めることができないために巨大な設備が必要となっています。

『パワーマネージャー』をご家庭やビルなどに設置し、電気自動車などを繋げることで、電力需給のアンバランスをオフセットすることが可能です。欧州で普及している電気自動車を活用し、このシステムを多く導入できれば、電力会社が原発などの電力ピークに合わせる設備投資が不要になり、環境にもエネルギーコストにも寄与するというビジネスモデルに取組みました。

これもまた既存ビジネスではないため、前述した歩行アシストのように、社内プロセスで色々と苦労しました。言い出した人間が進めねばならないという、ある意味ホンダらしいのですが、信用のおける現地マネジメントを選任し、志ある関連の方々と熱い思いを語りながら、フランスでの政府系機関とのフィジビリティスタディーに繋げました。これもフィロソフィーに突き動かされて私たちは取組んでいたんだと思います。

両者とも、立ち上げ前の段階では、事業性もなく、結果どのように進むのかも不明瞭な状態で、熱意と志だけでやり遂げてしまった、という気はします。正直申し上げて、事業性を顧みると、企業として取り組むにはリスクが高すぎる案件であったと思います。

しかし、マネジメントレベルで、やってみよう、という人が一人でもいたらやれるのがホンダなんです。もちろんお客様に迷惑を掛けないことが大前提ですが、失敗をしなければ成功は生まれない、例え失敗をしてもそこに至るまでに培った経験や築いた関係により、新たなる成功に導くことができればそれは正義となる、というフィロソフィーに基づいた考えが定着しているホンダだからこそ実現できたプロジェクトだと思います。

(松田)現状に甘んじることなく全く新しい事業に取り組まれている御社の姿勢にも感嘆いたします。鶴薗SVPがお仕事を進める上で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(鶴薗氏)当社のフィロソフィーに三現主義(現場・現物・現実)という考え方があります。入社してからこれまで、幾度となくこの考え方の大切さを身をもって経験しました。机上で仮説を立てることは、その後のPDCA(Plan、Do、Check、Action)には重要ですが、答えは結局現場にしかない、現場には必ず答えがある、ということを常に念頭に置いています。

そして、管理をする立場になると、限られた情報で判断を下さなければならなくなります。必ず意思決定は必要ですが、必ずしも正しい判断というのは、未来を見ることができない我々には大変難しいことです。

それを是々非々でかつ大きな視点で考えるため、ちょっと気持ち悪い表現ですが、今置かれている自分の状況を、100メートル上空から、幽体離脱して眺めて俯瞰するように心がけています。そうすると、不必要な要素に案外簡単に気づくことができ、「社会正義のためには」「お客様のためには」というシンプルなロジックを重点に、その場の意思決定に繋げられます。

これから需要が多様化し、社会が激変する中では、細かい過去の知識の積み上げからだけの判断ではなく、結局、是々非々での判断がより重要になってくるのではないでしょうか。なので既成概念を捨て、出来るだけ、それがお客様のためになるのか、社会のためになるのかと自分に問いかけて判断するようにしています。

(松田)意思決定の方法は大変ユニークですが、日常生活でも役に立ちそうですので私も鍛錬したいと思います。プライベートなことも少しお伺いしたいのですが、ご趣味は何でしょうか。

 
JAMA CUPでホンダチームが優勝! 
(鶴薗氏)若い頃はウインドサーフィンやスキー等、色々と楽しみましたが、就職してから続けるのが難しくなり、今はゴルフくらいですね。バンコクに駐在していた頃は、毎週末、土日に行っている程でした。トロントも夏場だけですが、ゴルファーにはとてもいい環境ですね。いいコースがたくさんありますし、気候も良く、昨年は20回程は周りました。

お酒を飲むのも好きですね。最初はビールから始まって、その後は食事に合わせて、醸造酒系も蒸留酒系も何でもいけます。一緒に飲む人に合わせて種類も量も楽しめるというのが、特技かもしれません(笑)。ついつい飲みすぎてしまうので、特にトロントの冬は要注意ですね。運動不足でカロリー過剰摂取となってしまう恐れがありますので、コンドミニアムのウォーキングマシンで、時間があれば汗を流すようにしています。

(松田)カナダにご在住中に、新しく挑戦したいことはありますか。

(鶴薗氏)カーリングです。何度かできる機会があったのですが、未だ実現できていません。日本でも平昌オリンピックで話題になり、選手の言葉が流行語大賞も取りましたね。かなり戦略的で面白いと聞きましたので、環境も整っているカナダにいる間に、是非プレイしたいです。

あと、先日30年くらいぶりにテニスをやって楽しみました。屋内テニスコートも多いようですので、冬場には持ってこいですね。運動不足を解消するためにも、身体を動かすことに色々と挑戦したいと思っています。

(松田)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(鶴薗氏)昨今、米国を基点に欧州を含め、世界の各地で自国第一主義が台頭しています。そういった背景の中、日本企業の駐在員として、或いは日本に何らかの関連があって、トロント日本商工会に属している我々にとって大切なことは、日本という国と日本人であるという誇りを持ちながらも、グローバル視点で物事を考えていくことだと思っています。

仕事上のみならず一個人としても、そのような姿勢で物事に臨み、また知見を広げるためにも、事業規模や業種の括りなく、商工会会員として皆さんと情報交換を密に進められればと思いますので、是非、引き続き宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂き誠に有難うございました。



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