「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第192回>
AUTEC Canada Inc.
オーテック カナダ
General Manager 足立 一平

マーカム市にオフィスのあるAUTEC Canadaの足立氏にお話を伺って参りました。お寿司を作る工程を機械化する“寿司ロボット”を販売されており、ショールームを兼ねたオフィスでは、様々なタイプの製品を拝見させて頂きました。

製造元は、音響機器メーカー、オーディオテクニカ社ということで、レコードプレーヤーの技術が応用されていたり、ヘッドホンをデザインのモチーフにされている製品もあるそうです。ご飯のふんわりとしたお寿司をカジュアルな寿司店でも食べられるようになるのが、個人的には楽しみでたまりません。

単身アメリカに渡られ、カナダオフィスの立ち上げをお一人でされた足立氏のご経験や、今後の更なるご発展への展望、プライベートなこと等、色々とお伺いしてきました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(足立氏)AUTEC Canada は、アメリカ、ロサンゼルスに本社のあるAUTEC Inc. の100%子会社として、2018年2月に設立されました。会社グループとしては、ロサンゼルスとニューヨークに続き、3番目の営業拠点となります。

親会社であるAUTEC Inc. は、日本の音響機器メーカー、オーディオテクニカ社の特機部という部署で製造している食品加工機械、主にお寿司を自動で作る業務用寿司ロボットの、北米地区における専売代理店として、アメリカ、カナダ、メキシコの市場へ、輸入、流通、アフターサービスを行っています。我々AUTEC Canadaは、その内カナダ全土を管轄しています。

AUTECの前身は、製造元であるオーディオテクニカ社特機部が、2000年に北米進出の拠点としてロサンゼルスに設立した北米支店です。その後、当時従業員として働いていた現社長の田中が、2010年に株式の100%を取得し、全事業を承継しました。今現在は、オーディオテクニカ社と資本関係はありません。

当社は、グループ全体としても若干13名の小さな会社です。AUTEC Canada は、立ち上げたばかりということもあり、現在は私一人で業務を行っていますが、業績も着実に伸びており、事業の拡大を見込み、増員を考えています。

(松田)御社の製品を扱われるお客様はどのような方でしょうか。

(足立氏)我々の商品を実際に使用されるエンドユーザーは、寿司レストラン、パッケージ寿司を提供する大手スーパー、寿司メニューを提供する大学、病院、ホテル、そして食品工場などです。国土の広いカナダでは、我々だけでは十分にお客様へ満足頂ける対応が難しい為、各エリアの現地販売代理店に協力をいただき、実際のエンドユーザーへ販売とアフターサービスを行っています。

(松田)御社の製品についてご説明ください。

(足立氏)我々のメインとなる製品は、お寿司を作る“寿司ロボット”です。当社は、寿司を作るそれぞれの工程に特化した製品を揃えています。ご飯と寿司酢を混ぜて酢飯を作るミキサー、握り寿司のシャリ玉を形成する機械、巻き寿司用の酢飯を薄く伸ばす機械、そして酢飯を伸ばして巻くところまでを行う機械、また巻き寿司を均等にカットする機械など、それぞれの用途に合わせた製品を選択頂けます。

その他にはおにぎりを作る機械もあります。今徐々に北米におにぎりのブームが来ておりますが、現時点では、カナダではまだ需要は多くありません。

 
 家庭用寿司メーカー「にぎりっこ」
第一号となる寿司メーカーは、1984年に発売された「にぎりっこ」という、家庭用で握り寿司のシャリ玉を作る機械でした。当初は話題性もあり爆発的に売れたのですが、1年程で停滞してしまいました。しかしその当時の日本では、お寿司が高級寿司屋で食べるだけのものではなく、大衆化され始めた頃で、近い将来、業務用の寿司ロボットが必要になる時代が来ると見込み、事業を継続したという歴史があります。

その後発売した業務用寿司ロボットは、大手スーパーや持ち帰り寿司チェーン店に採用され、普及が進みました。海外展開後は、寿司の世界的ブームにも乗り、誰でも質の高いお寿司を作れるパートナーとして、高い需要を得ています。

現在お寿司は日本食の代表として世界中で食べられており、様々な形態のお店が出ています。特にカナダの東部では、お客様が注文してすぐにその場で作るファストフードスタイルのチェーン店が多く、お寿司を食べることがより身近でカジュアルになっています。そのような中で、質が高く安定したお寿司をいかに早く提供できるかが、このような形態のビジネスのキーポイントとなります。

機械化による利点としては、まずはお寿司を作る時間の短縮、そして、お寿司の品質の安定です。つまりは生産性の向上が見込めます。また、店舗運営の仕組みや作業手順をより標準化する事ができるため、今まで以上に対人業務に注力できるようになります。

必ずしも人の仕事を全て機械に置き換えるのではなく、機械と共に働くことが、我々の業務モデルです。時間のかかる単純作業は我々の寿司ロボットで代用し、お客様対応は人間がしっかりと行うことで、更なるお客様満足へと繋げることができます。

もちろん導入コストは安いとは言えませんので、経営者の方々には長期的に見て頂く必要がありますが、人件費の高騰、人材確保など、経営者の方々の頭を悩ます問題の解決策の一つとして、機械化は大事な選択肢の一つになると考えています。

(松田)お店にとっても経営者にとっても、機械を導入することのメリットは高そうですね。手で扱うのも簡単ではないご飯を扱われている御社の機械は、とても繊細な技術を要していることが想像できますが、その機能を生かすためにはご飯の状態が大きな要因となるのではないでしょうか。

(足立氏)当社のお客様は95% 以上が非日本人です。もちもちしている日本米は、他国のお米に比べ独特なことは皆さんもご存知だと思いますが、やはりお寿司を生業とされていても難しさはあるようです。

私は職人ではありませんし、寿司作りの経験もないですが、お客様にお米の種類やご飯の炊き方、水分の割合や寿司酢の配合等の、アドバイスやコンサルティングも提供しています。当社の機械のパフォーマンスを最大限発揮するためには、酢飯の仕上がりが大きく影響しますし、単純に美味しいお寿司を作っていただきたい、という気持ちも大きいですね。

前述のとおり製造元は日本の会社ですが、現在、日本国内のマーケットは飽和状態で、海外市場の方が、製品の需要ははるかに伸びています。我々が管轄する北米市場は特に成長が著しいため、これからの新製品開発において、北米市場の顧客のフィードバックやニーズは非常に重要な要素です。そのため、我々はプロジェクトチームを組み、日本の製造元と一緒に機能面、デザイン性など新製品の共同開発を行っています。

今後は新製品として寿司を作る全行程が一台で完結する、よりロボティックな製品の開発、そして遠隔で管理を行うリモートメンテナンス機能を導入すること等を視野に入れています。

リモートメンテナンスは、既に実際に大型医療機器や工業機械では導入されていますが、作業中の機械の状態全てのログをサービスセンターにて管理することで、不調な部分を把握し、壊れる前に当該部品を交換したり、実際に不具合が出た時点でどの部分にどのような不備が起きたのかが分かるため、効率の良い修理作業が出来るという利点があります。

それにプラスして、IoTやAIなどの要素も今後の商品開発の重要なポイントになってくると思います。もちろんそれらの技術性能と販売価格の折り合いを付けなければいけませんが、導入できれば、お客様にとってより満足度の高い製品となると思います。

(松田)御社の強みはどちらにあるとお考えでしょうか。

(足立氏)我々の競合となる会社が数社ありますが、他社も質の高い製品を出しており、正直機能的な部分の優位性は出しづらいのが事実です。しかし、競合他社の中で、営業・サービス拠点をカナダに置いている会社は、AUTECのみです。

メーカーとして製品を売る中で、販売した後のアフターサービスやメンテナンスは大変重要な部分ですので、タイムリーで充実したサービスを代理店やエンドユーザーのお客様へ提供できること、そして、この事務所がショールームを兼ねていますので、購入を考えていらっしゃるお客様に実際に製品を見て頂けるという点においても、営業拠点がカナダにあるということは大きな強みです。

(松田)今後会社として注力されたいことはどのようなことでしょうか。

(足立氏)まず、寿司ロボットに関しては、お客様のニーズに合った機械を開発し、提供していくことに注力していきます。また当社は、現在は北米マーケットの専売代理店ですが、今後、ヨーロッパや、オーストラリアを中心としたオセアニア地域、南アメリカなどにも、販路拡大に向けて活動していきたいと考えています。

そして先程申し上げたとおり、AUTECは、製造元のオーディオテクニカ社と資本関係がありませんので、取扱製品 に対する制約などはありません。現在当社は、寿司ロボットという一つの柱のみですので、会社としては安定性に欠ける部分があります。そのため、寿司ロボットという商材に加え、今後会社の別の核となる商品や新しいサービスを発掘していきたいと考えています。

日本には技術的に優れた製品がたくさんありますが、海外へ進出するリソースが無い為に、準備に時間がかかり、結果海外の他社にマーケットを奪われてしまうということが少なくありません。我々には北米で培った経験とリソースがありますので、優れた日本製品の北米進出のために活用することができればと、我々の第二の柱となり得る新しい商品と協業パートナーを求めています。

(松田)今後のご発展をお伺いするのが楽しみです。では足立さんのご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(足立氏)兵庫県の但馬地域、朝来市というかなり田舎で生まれ育ち、高校卒業まで過ごしました。自然が豊富で良いところですが、当時は都会への憧れと言いますか、早く家を出たいとずっと思っていました。

念願かなって大阪の大学へ進み、卒業後はそのまま特にこだわりもなく、医療機器の輸入販売会社へ就職しました。その会社は、アメリカ、ドイツなど医療機器先進国から製品を輸入し、日本国内市場へ導入するという事業を行っていました。

私は国内営業でしたので、海外の取引先と関わる事はほとんどありませんでしたが、海外事業部のスタッフは、海外で製品の販売権契約を締結するという、いわゆる世界を股にかけた仕事をしており、その姿は単純に格好良いと思いましたし、英語を使って仕事をしている姿にも憧れました。海外へ目を向けるようになったのはそんな始まりだったのですが、きっかけってそのように実は単純なものですよね。

仕事に従事するうち、医療業界はグローバル規模で市場が動いている為、グローバルに適応できるようにならないと今後仕事の選択肢がどんどん狭くなっていくという危機感を感じるようになりました。例えば会社から解雇されてしまった時 、又は転職したいと考えた時に、このままではその後の選択肢がない、仕事を選ぶ権利すらないという状況になりかねない、と思ったのです。

そんなネガティブな発想から始まりましたが、やりたいことを自分で選べる人間になるために、変化に対応できる適応力を身に着け、スキルや経験を高め、ビジネスパーソンとしての戦闘力を上げていかなければという意識へだんだん変わっていきました。

そして、9年働いた会社を辞め、学生としてアメリカのカリフォルニアに渡りました。指定のビジネスコースを終了後に就労ビザが取得できるというプログラムがあり、約1年半かけて何とか卒業する事ができました。

アメリカへ行く前は、自分はかなりのオールドルーキーだと思っていたのですが、実際は自分より年配の方もたくさん学ばれていて、何かを初めるのに遅すぎる事はないと実感しました。人生の中で大きな決断でしたが、そこで行動を起こしたことは今振り返ってみても良い選択をしたと思っています。

就労ビザを取得し就職活動をしている時に、インターネットの採用募集の掲示板で当社を知り、応募しました。実は応募期間は過ぎていたみたいですが、面接してもらう事ができ無事採用されました。その後ロサンゼルスの本社で約1年半働き、カナダ法人設立と同時に、2018年4月にカナダに異動してきました。

(松田)現地法人をほぼお一人でゼロから設立されたというのは、かなりご苦労があったと思います。

(足立氏)正直、毎日が手探りでした。アメリカ本社からのバックアップも当然ありましたが、同じ北米と言えども国が違えば法律もビジネス環境も違いますので、一致しないことは多く、こちらで確認しなければいけないことがほとんどでした。しかし、様々な方にお話を伺い、助言を頂き、幸い同じような経験をされている方にお会いできたりと、多くの方々に助けて頂きました。

とにかく自分で調べて進めてみるのですが、果たして本当に合っているのか確信が持てず、「これで合っていますか」というような質問を、商工会事務局にもたくさんさせて頂きました。どうにかここまでたどり着いたというのが本音のところです。

(松田)現在業績も右肩上がりというのは足立さんのご尽力の賜物だと思います。お仕事を進める中で、特に印象に残っていることはありますでしょうか。

(足立氏)カナダへ異動してからの事ですが、お客様からクレームが入りました。そのお客様は、弊社の寿司ロボットを何台も所有し、長年愛用されていた方でした。クレームの内容は、2年以上前から寿司ロボットの一台に不具合があり、前任者と代理店の担当者と対応していたが、当時はアメリカからサポートしていた事もあり、様々なミスコミュニケーションが発生し、未だに解決されていないとのことでした。

私は状況を確認する目的でお客様のお店に行きました。最初に機械のチェックをしましたが、見たところ機械に大きな問題は無いんです。しかしお客様はご不満な様子です。話を聞くうちに、お客様のご不満は機械の不具合ではなく、今までの対応やコミュニケーションの不備などが2年間のうちに積もり積もっていることに気づきました。

1時間半ほど過去の経緯などの話を聞いているうちに、お客様の表情はだんだんと穏やかになり、最後にはすっきりされた様子で、帰り際には「来てくれてありがとう。トロントに行くときは良いお店を教えてね」などと、明るい笑顔で送り出してくれました。

この経験から、クレーム対応において、問題の根幹を解決することはもちろん大事なのですが、話を真摯に聞くことが最も大切だと再認識しました。

私は、母国語ではない言語がコミュニケーションツールとなる場合、言葉だけでは100%理解し合う事はできないと思っています。理解するためには、お互い理解しようとする姿勢が必要なんです。自分が相手を理解したいという姿勢で会話をすることで、相手もきっと自分を理解しようと努めてくれるようになります。コミュニケーションにおいて“気持ち”が大切だということを身をもって感じ、それ以来常に念頭に置いています。

話はそれますが、個人的な見解ですが、顧客と会社つまり買い手と売り手という関係において、日本では、お客様が第一、という考え方が強く、パワーバランスの差が大きいと感じます。こちらでは、お互いの関係がよりフラットに近いように感じます。お互いがプライドを持ち、共に繁栄するパートナーのようにお互いをリスペクトしていると感じ、ビジネスにおいても発展的で、心地良いですね。

(松田)プライドを持ち、かつ相手を尊重する姿勢は私も感じます。見習うべきですよね。足立さんがお仕事を進める上で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(足立氏)第一に、当たり前な事ですが、レスポンスを早くすることを心がけています。例えすぐに回答できない内容でも、その旨の返事を早くするようにしています。特にお客様へ機械を導入した後の質問や、トラブルが起きた際の対応のスピードは特別に意識しています。

不安や問題がある時に待たされてしまうのはストレスだと思いますし、少しでも早くお客様の悩みを解決する事は、良い評判にも繋がります。そのような対応は、製品の性能以上にお客様が求められている点でもあります。

第二に、事前の準備とシミュレーションに時間を費やすようにしています。よく言われることですが、準備が仕事の成功の大部分を占めている、と思っています。準備に不安がない時は自信を持って本番に挑めますし、特にネガティブなシチュエーションはよく想定しますね。単純に私が人一倍心配性なだけかもしれませんが(笑)。

第三に、とにかく真面目に誠実に対応すること、です。私自身そのような人と一緒に働きたいと思いますし、やはり真面目な人や正直な人が損をするような世の中であって欲しくないですよね。そのような基本的なことが最も大切なことで、その積み重ねでビジネス上での信頼関係が構築できると思っています。

(松田)プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツは何でしょうか。

(足立氏)学生時代からスポーツはやっていましたが、社会人になってから友達に誘われて始めたサーフィンにはまりました。かなり難しいスポーツなのでなかなか上達せず、それがむしろ闘争心を駆り立てるというか、夢中になりました。カリフォルニアでは勉強より仕事よりサーフィンをしていたような時期もありました(笑)。

トロントに海は無いですが大きい湖がありますので、条件が整えばサーフィン可能だと聞いたのですが…まだやった事はありません。

他には、スポーツ観戦は趣味ですね。とくにテレビ観戦です。スポーツの種類にもよりますが、より詳しく楽しむならライブよりテレビで観る方が好きです。今はフットボール、NFLにはまっておりビール片手に観戦しています。フットボールは、ルールを分かって観てみるととても面白いスポーツで、選手たちが複雑な戦略を全て頭に入れて動いていることが分かります。

野球を観戦する時は、私はピッチャー目線で観るのが好きなので、ピッチャーが抑えてスコアが少ない試合の方が断然面白いです。サッカーは、テレビではフィールドの全てを観ることができないので、ライブで観て全体の動きを観るのが好きです。後は、テニス、ゴルフ、陸上など、スポーツは何でも観ますが、やはり日本人が活躍している姿を応援するのが一番面白いですね。

(松田)きっと海が恋しいことと思いますが、トロントではウィンタースポーツも含め幅広いスポーツ観戦ができると思いますので、楽しんで頂きたいです。今後、カナダにご在住中に挑戦したいことはありますか。

(足立氏)カナダに来てからは、忙しいという言い訳で、ジムでのランニングや筋トレしかできていません。新しい事にもチャレンジできていなかったのですが、自然が好きなので、登山やキャンプなどのアウトドアに挑戦して、趣味を増やしたいと思います。

(松田)最後に、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(足立氏)我々は日本の代表料理であるお寿司を、より多くの方に、手軽に楽しんで頂きたいという想いで活動しています。寿司ロボットの販売を通してですが、日本の技術、伝統、文化を世界の方へ伝えたいという想いは皆さまと同じだと思っております。

会員の皆さまにはお仕事を通して関わる事は少ないかもしれませんが、個人的には色々な方と交流を広げていきたいと思いますので、是非プライベートで色々とお誘い頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂き有難うございました。



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