リレー随筆


今しかできない事

President of BU-EN Dance Company Inc.
ヒンクル友里香(ゆりか)


私がトロントに移住したのは2004 年。14 年後の今、思うのは人生何が起こるか分からないと言うことですね。人生の折り返し地点に立った今、自分の優先順位やこれからの人生をどう生きるべきかをここ2、3 年で物凄く考えさせられました。

トロントに来たばかりの頃は友達もいなく、移民申請中で働けない状況下にいたのであまりお金もかけられず、とにかくする事がなくて軽いうつ病かも?と思うほどで家事以外何もしない毎日を半年くらい過ごしました。

その間に考えた事といえば日本にいる家族、友人の事、日本での生活習慣が無性に恋しくなり、遠くにいると言う事実が自分を孤独にさせました。離れてみないと分からないとはこういう事かと痛いほど感じました。日本を離れて異国の地で人生をスタートさせるというのはそう簡単な事ではないですよね。自分は強い人間だから大丈夫と思っていたけれどやはり考えは甘かったです。苦笑。

そのうち、移民申請も完了し仕事をするようになってからは少しずつトロントの生活にも慣れてきて友達も出来始めました。自分が経験した辛い孤独感を同じ状況下にいる日本人が少しでも楽になれるように、相談できる場、友達を作れる場、助け合える場を提供したいと思いコミュニティを立ち上げたこともありました。

その後、トロントに住めば住むほど日本が大好きになり、より一層日本人である事を誇りに思うようになり、日本人である事を常に感じていたいがために自分が大好きなダンスを通してトロントのコミュニティで日本文化を伝えられないかと思い、舞台演舞を企画しました。

その企画の一環として日本のよさこいダンスを取り入れた事があり今では桜舞トロントと言うよさこいチームの代表を勤め各イベントにて踊りを披露させて頂いています。

よさこいだけでなくダンスは私の心の支えとして続けています。カナダに来て始めたフラメンコ、大学時代にやっていたチアダン 。どれもジャンルが全く違うけれど私にとってダンスは生活の一部としてなくてはならないものとなっています。

ダンスをしている時は全てを忘れて無になれる瞬間で、その時間があるから自分の生活リズムのバランスを保っていると言っても過言ではないと思います。

大学時代に経験したチアダン は体育会系の真剣な部活で学生選手権大会、アメリカでのNCA DANZ Collegiate National Championship などを目標に毎日練習に励んでいました。

ダンスが上手くなりたい、優勝したいといった気持ちを仲間と一緒に目指しチームのあり方、仲間と一緒にチームの為に何がベストかを話し合い実行する過程を経験した事が社会に出てから大いに役立ちました。

当時はリーダーではなかったもののチームの為に自分は何を貢献出来るか、自分の役割は何なのかを考える事が出来たと思います。この経験があったからこそ10 年も桜舞トロントの代表を継続出来たのだと思います。

プライベートでは14 年前に結婚をし、10 年後には離婚をしました。離婚は自分にとって絶対にあってはならない事と信じていましたので決心するのに時間がかかったし、息子の事を考えて果たしてこの結論がベストなのか非常に悩みました。最終的には自分の精神が不安定なまま生きて行くのは子供にも悪影響だと気付き離婚に至りました。

今後のキャリアをどうしようかとここ3年くらいは暗いトンネルを走り続けていました。よさこい・チアダンを子供達に教えたいと思いついたのは3 年くらい前でしょうか。いつも、「そんなの無理、リスクが高すぎる、安定した仕事をつまらなくても続けるべき」という声が頭の中にありそれを無視して踏み出す勇気がありませんでした。

しかし、「今」は「今、行動を起こさなかったらやらずに終わる。やらなかったら一生後悔する。やってみなきゃ分からない」という声の方が大きくなり10 年以上のホテル業界でのキャリアに終止符を打つことを決心しました。決めた時は、不安と恐怖にもかられましたが企画を進めるにつれてその恐怖が自信に変わり「できる!」と前向きに考えられるようになりました。

日本の良さを離れて実感すると同時にカナダ、トロントの良さを見いだす事も出来ました。多国籍都市であるトロントで学ぶ事は多く日本にいた時よりも自分の視野が広がり今まで持っていた価値観がいい意味で変わり、また、気付かされる事も沢山ありました。

自分が経験して来たよさこい・チアダン の2種類のダンスをツールに集団の中で一人一人がどうチームに貢献できるかを発見し、仲間と助け合いながらより良いダンスを目指す環境を提供するダンススクールを立ち上げる事に決めました。

子供から大人までグループで楽しめる場を作り、Social Network Service がさかんなこの世の中、もっと人と人との繋がりを広げていけたらと思っています。また、子供達にコミュニティの大切さ、人と協力して一つの事をやり遂げる楽しさ、またリーダーシップを発揮できる場を与えていきたいと思っています。

この14 年間で、日本を離れて分かった自分の真の姿、カナダで学んだ事、元々ダンスが大好き、人に影響を与えたい、コミュニティに何らかの形で貢献したい、これらの要素と41 になった今の自分があるからこそ「今」しか出来ない事なのだと確信しています。

人生何が起こるか分からないと歳を重ねる度に実感します。何が起こっても対応出来るそんな人間で居続けたいと思う今日この頃です。

“Things happen for a reason” とカナダの友人からも言われます。本当にそうだなと思います。これまでの一つ一つの出会いに感謝しながら、常に感謝の気持ちを忘れずに人生の折り返し地点を通過したいと思います。

自分の居場所が欲しい方、お子さんに何か打ち込めるものを見つけて欲しいという親御さんがいらっしゃいましたら是非、お問い合わせ下さい!一生涯の仲間が見つかるかも知れませんよ。2019 年1月よりBU-EN Dance Company を設立予定です。







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