「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第187回>
Mitsui Sumitomo Insurance Company Limited
三井住友海上火災保険株式会社
Chief Representative for Canada
中村 善紀

今回は2018年春よりトロントに着任された、三井住友海上火災保険の中村氏にお会いしてまいりました。昨年締結されたカナダの保険会社とのグローバルパートナーシップについてや、今後の保険業界の変革についてお話を伺って参りました。着任されてまだ数か月ですが、既に交友関係も広くプライベートでもアクティブにご活躍の様子をお届けします。




(平林)御社の事業内容についてご紹介お願い致します。

(中村氏)私共は三井住友海上火災保険のカナダ支店として業務をしております。カナダでは、Chubb Insurance Company of Canada(CICC)と提携しCICCのオペレーションを活用させて頂きながら、効率的な業務運営をしております。現在カナダではトロントオフィスのみですが、こちらで全土をカバーしております。

日系法人企業を中心に個人保険も含めお取り扱いさせて頂いており、地区別お取扱い割合につきましてはオンタリオ州が約8割、その他ブリティッシュコロンビア、アルバータ、ケベック等が2割くらいとなっております

(平林)法人、個人とお取り扱いされていらっしゃいますが、どういった商品の販売が多いのでしょうか。

(中村氏)カナダにおける法人の場合ですと、お客さまの財物を火災、水災、盗難、破損等のリスクからオールリスクで保障させて頂く保険、その他に企業活動において被る賠償責任の保険、自動車保険の3つが代表的な保険となっております。

それ以外にも貨物保険、建設工事保険、航空保険などの各種保険をお取り扱いさせて頂いております。個人の場合は自動車保険や家財に対する保険などを中心にお取り扱いさせて頂いております。

(中村氏)香港にも駐在されていらしたと伺っておりますが、日本、香港、カナダと保険を販売するうえで何か異なる点などありますか。

(平林)日本では保険代理店マーケットになっていますが、香港とカナダはブローカーマーケットですので、基本的にはお客様がアポイントされたブローカーを通じて保険の販売をさせて頂いています。

ただし、同じブローカーマーケットといってもカナダと香港では少し違う印象を持っています。
香港ではブローカーマーケットではありながらも日本の代理店マーケットに近く、例えば新商品ご案内の場合には、保険会社がブローカーと一緒にお客様を訪問し、ご案内させて頂くことも多くあります。
一方、カナダの場合にはブローカーとの取引がほとんどであり、保険内容のお打合せでお客さまのところに直接伺うようなケースは基本ございません。従って、日本とカナダが対極にあり、香港がその中間といったイメージです。

(平林)代理店制度、ブローカー制度とありますが、双方の良し悪しなどありますか。

(中村氏)ブローカーは経験豊富な保険のプロですので、お客さまの商売に合わせてマーケットの最適な保険商品を選定、アドバイスをできるというメリットはあると思います。

一方、特定の保険会社の専門性を要する特殊なケース等では保険会社を交えて直接話した方が早いという点はあると思います。ブローカーが保険会社の許容できる範囲をつかんでいないと、一旦持ち帰って確認・折衝する時間が必要となるかもしれませんね。

(平林)昨年の夏にカナダの保険会社、フェアファックス社との間での包括的な業務提携をされたと拝見しましたが、大きく変わった点等ございますか。

(中村氏)フェアファックスとの包括的な業務提携では再保険やデジタル技術の活用等を含めグローバルでの更なる成長実現を目指したものとなっております。

一方、先日発表された弊社の中期経営計画(Vision 2021)でもデジタライゼーション推進は重点施策の1つとして掲げられてお
り、特に最近話題になっているInsura-techの分野では大きく変わっていくものと期待しております。

(平林)もう少し具体的にInsura-techについてお伺いできますか。

(中村氏)Insura-techとはInsuranceとTechnologyを掛け合わせた造語です。これまでの新商品開発や企画・販売方法、保険契約や査定・支払プロセス等について、ITデジタル技術を活用し変革を起こす動きを言います。海外ではこの動きが活発化しており、米国シリコンバレーやカナダではウオータールー地区にいくつかの研究拠点があります。

新商品開発で言うと、例えばテレマティック保険のように、車両にアプリ、機器、センサーなどを搭載して急ブレーキや加速、スピード等を通じてドライバーの運転特性を読み取り、そのデータを基に保険料を算出するようなものです。

また、企画・販売についてもWebやSNSに連動させてその人の嗜好をAIが分析し、オーダーメイドの保険商品を提供することや、事故処理について書類のかわりにネットで決済も含めた全ての手続きを完結するなどAIを使ってIT化を図っていくというのがInsura-techになります。

デジタル技術を活用した的確且つタイムリーな新商品開発・提案活動の実現のみならず、各種業務プロセスが効率化されていくことによりお客さまとの接点強化が期待できるものと思います。

(平林)保険業界でもAIの活用が進んでいきますね。

(中村氏)ただし、AIは全てにおいて入れ替わることはできないと考えております。企業は絶えず進化し、新しい事業を展開していく中で過去のデータ分析のみでは想定できない様々なリスクが発生するものと思います。その新リスクを発見・分析し、それに対応する商品を創り出していく領域は、まだまだ我々人間が行っていく必要があると考えております。

導入時期についてもいつから変わりますということではなく、出来る分野から徐々にひとつひとつ積み重ねていくことになると思います。

(平林)御社の売りや強みはどこにあると思われますか。

(中村氏)オーダーメイドでリスクを分析してお客様に最適な商品、サービスをお届けすることや、事故が発生した場合には丁寧に事故査定しお客さまにとって早期にお支払いをすることを心掛けております。また、賠償責任保険などではお客さま目線でサポートさせて頂くことをモットーとしております。

(平林)今後力を入れていきたい点はどんなことでしょうか。

(中村氏)日頃ご契約を頂いているお客さまへ感動品質の商品とサービスをお届けすることに最大の価値観を置いています。

Insura-techやAIの分野は保険会社として将来を見据えた目標であり、このデジタライゼーション推進にはカナダ駐在員として何らかの形で会社に貢献していきたいと考えております。

(平林)さて、中村さんご自身のお話も少しお伺いしたいのですが、ご出身から今までのご経歴をお願いします。

(中村氏)出身は千葉県野田市、キッコーマンのある醤油の街です。中高は地元の学校に通い、その後早稲田大学へ進学、大学卒業後1995年に弊社に入社しました。

入社後10年間は東京勤務で貨物保険の査定、営業をしておりました。その後、大阪で同じく貨物保険営業を6年間経験した後、香港に5年駐在し、2年の東京勤務を経てカナダに今年赴任いたしました。

(平林)保険会社へ入社されたきっかけは何かあったのでしょうか。

(中村氏)実は私の父が就職したかった会社が三井海上でした。高校、大学も私の父が行きたかった学校でして、ここまで父の夢を叶えたのであれば会社もそうしてみようかなと思ったのがきっかけです。

実は3歳下の弟がいるのですが、今、損保ジャパン日本興亜で働いていまして、大学は慶応なんですよ。なぜが私のライバルの学校、会社に行ってますね。本人は意図的と言ってますが(笑)。

(平林)香港、カナダ、日本と色々なご経験をされていると思いますが、今まで印象に残っているお仕事はありますか。

(中村氏)香港は最初の海外駐在でしたので思い出深い場所です。今まで一番印象に残っているのは、香港の物流会社に係る貨物保険売上高1%について、ユニセフを通じアフリカの子供達へポリオワクチンを提供する社会貢献活動をはじめたことです。

その当時香港の保険会社で売上を直接寄付するという考えはありませんでしたので、実現するまでに乗り越えることも多く非常に大変でしたが、そういった寄付がアフリカの子供達へ届けることができたのはとてもうれしかったです。

(平林)企画に携わったとのことですが、どのような経緯があったのでしょうか。

(中村氏)アフリカ資源開発ビジネスに携わる中で、実際に南アフリカへ出張し現地へ行ってみると、今までの想像とは全く異なる世界があり、自分の中でも考えさせられる部分がありました。

一方の香港は当時景気も良くこの対極のギャップの中で、ただ売上を上げて会社に貢献するだけでなく、同時に社会にも貢献できる仕組みはできないだろうかと考えて思いつきました。着任して1年後にようやくこの仕組みが実現し、私が異動後の現在も途絶えることなく続いております。

(平林)お仕事を進める上に大切にしていることはありますか。

(中村氏)お客様との信頼関係です。最適な保険商品をご提供させて頂く上で最初の情報をしっかりと得ることが出来なければ正しく理解し設計することができません。従ってリラックスして何でもお話頂けるような信頼関係を構築することに最大の価値観をもっています。

(平林)先ほどカナダではブローカー制度で直接お客様に接する機会がないというお話でしたが、このような状況の場合、信頼関係の構築はどのようにされていますか。

(中村氏)商工会などを通じて、色々な日系企業の皆様と繋がることが出来ましたし、更にその横のつながりを広めているところです。

保険のお話を直接することはできませんが、お客さまからお伺いする色々なビジネスのお話で背景を理解し、ブローカーさんから保険商品設計の依頼を受けた際に、そういった背景と組合わせることにより全体像が良く見え、より最適な商品が提供でき、お客様からの信頼にも繋がっていると思います。


(平林)ご趣味はありますか、また休日には何をされていますか。

(中村氏)まだカナダでは行っていませんが、香港に居た時はトレイルをやっており、毎年いくつかの国際大会にも出場していました。4人1組で30数時間かけて100㎞くらい山の中を完走するものですが、体力やメンタル以上にお互いの信頼関係が最も重要な競技です。

ちなみに香港と言えば夜景やショッピングというイメージかもしれませんが、それは国土の2割ほどで、8割は山なんです。国際大会ができるトレイルコースも4カ所ほどあります。香港にはタヒチやモルジブにも負けないくらいのコバルトブルーの綺麗な海もあります。

カナダと言えば大自然というイメージでトロントの街に来たのですが、残念ながらそういう所がないのが残念ですね。プライベートではゴルフが好きになりましたが、ゆくゆくはトレイルとかスキー、大学時代にもやっていたアイスホッケーをやってみたいです。

ただ、アルゴンキンパークなどのお話を伺うのですが、車で3~4時間と聞くと少々腰が重い状況です。(笑)


(平林)最後に商工会会員へのメッセージをお願いいたします。

(中村氏)弊社は保険を通じて会員の皆様とお取引をさせて頂く中でベストなサービスを提供させて頂きたくことが使命だと思っております。私自身は単身赴任でトロントに来たばかりですので、公私ともにどうぞお付き合いください。

(平林)インタビューは以上となります。本日はどうもありがとうございました。


CaledonのDavis Feed and Farmのひまわり畑にて




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