「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第182回>
Kohan Kobayashi Canada Inc./(株)コーハンカナダ
President 小林 久記

オクトーバーフェストでも有名なKitchenerにオフィスのあるKohan Kobayashi Canada Inc.の小林社長にお話を伺って参りました。あまり一般の方には馴染みのない、金型交換装置や反転機の製造販売をされております。今回は分かり易く、丁寧に事業の内容をご説明頂きました。

(平林)御社の事業内容についてご紹介お願い致します。

(小林氏)弊社は主に自動車関連向けの生産設備を当地カナダで設計/製作し納入して います。生産設備といっても、樹脂成形機やプレス機の金型交換設備が主力で、業界で言う金型段取り設備になります。金型を安全に早く交換させる設備になります。

カナダ進出前は日本から弊社設備を北米市場向けに輸出しておりましたが、保守点検なのため設計者を派遣して欲しいという要望もあり、1989年に日本の子会社としてカナダに会社を設立しました。

その後、現地生産も視野に入れ1990年に設計者を派遣し、現地生産を協力して頂けるパートナーを探し、1991年から現地生産を始めました。現在はカナダ、アメリカ、メキシコへ販売しております。

(平林)取り扱い製品について詳しくお伺いできますか。

(小林氏)
例を申し上げますと、様々な部品ごとに個別の金型が必要になる場合、樹脂成形機などでは、その金型を取り付けて部品を生産することになりますが、樹脂成形機1台で複数の部品を生産する場合が多く、部品毎に金型を交換する必要があります。

金型を交換している時間は、樹脂成形機やプレス機の生産が停止してしまいますので、その時間を可能な限り短縮し、生産効率を向上させる目的の設備になります。

また金型の重量は部品によって相違がありますが、重いものになりますと30トン、40トンという重量物になりますので、安全に交換する目的もあります。

いずれも客先の仕様に相違があるため、基本的に受注生産品になってしまいます。

弊社段取り設備に関連しては、金型を成形機内やプレス機内で自動で固定する日本のクランプメーカー(コスメック社)や金型保全などで安全に金型を反転する日本の金型反転機メーカー(デンソン社)の北米代理店にもなっております。その他、近郊の顧客向けに専用設備や製缶部品なども対応しています。

(平林)実際どのくらいの時間で金型交換することが可能でしょうか。

(小林氏)何十年も前は大型機用など40分から1時間かかっておりましたが、現在は数分程度にまで短縮されており、多品種少量生産を可能にしています。

例えばご存知のとおり車の製造には多くのパーツが必要ですが、もし一つのパーツのみをまとめて量産し次にまたパーツを量産するとした場合、在庫が溜まり保管するスペースが必要になります。

ここまで短縮することができたのも、Just in Time(必要な時に必要分の製造を行う)のニーズや日本では特に在庫を抱えるスペースの問題などがある中、解決策を考え、お客様と一緒に開発をしてきたことによって実現したと言えます。


(平林)何かご苦労されたことなどありましたか。

(小林氏)日本と異なり北米は十分な敷地があるということもあり、私がカナダに来た頃は大手米系自動車メーカーなどでは、なぜ交換時間を短縮する必要があるのかという返答が来た時代でした。現在はそういったメーカーでも品質や在庫の管理費を配慮し、段取り時間を短縮するという方向になっています。

あとは長年ビジネスをする上で為替には苦労しています。弊社の場合、主には米加の為替変動が重要ですが、1991年カナダに勤務以来、レートで言うと0.9から1.6の変動差を経験しており、振れ幅が70%位ありましたので、一番難しい部分ですね。

お客様から何年か前と同じ見積もりの依頼を受けた時でも、為替の影響で価格が大幅に跳ね上がることもあり、お客様からはコストダウンをしていなかったのかと怒られることもありました。 

また極端な話を言いますと、アメリカの田舎の担当者の方ですと、まずはカナダドルとアメリカドルに相違があるということをご理解して頂かないといけない事もありましたし、オンタリオ州はアメリカではなかったのかと仰る方も何人かいました。そういった中でご理解頂くことには苦労しました。

(平林)なぜカナダ、キッチナーにオフィスを構えたのでしょうか。

(小林氏)日本から輸出していたということもあり、カナダで現地設計/生産をする上で、メーター法を採用したく、カナダはアメリカよりメーター法の対応が可能ということと、NAFTAによってアメリカ市場に関税なしで出荷ができるという利点が、まずはじめにカナダを選んだ理由です。

またオンタリオ州には既にトヨタさんやホンダさんの自動車工場がありましたので、我々が必要とする購入部品メーカーが近距離にあったこと、そしてオンタリオ州の設備安全規格は非常に厳しいので、ここをパスできればほぼアメリカ全土で規格適応がしやすいというのも要因です。

またオンタリオ州にはESA PHRという州令に基づく実機検査があり、その規格対応のためにオンタリオ州にオフィスがあるほうが日本よりも対応がしやすかったという点もあります。

最初にカナダに会社を設立した際には、ミシサガにオフィスを構えましたが、製造するパートナーを探していた際に、パートナー企業がキッチナーにありまして、ここはドイツ系移民の多い街ですので機械製造に必要な加工工場なども多くあり、設計と製造は同じ場所の方が良いということから、キッチナーに引っ越しました。パートナーとはもう28年一緒にやっております。

(平林) 先ほどお話にでた安全規格のお話ですが、アメリカとカナダで大きな違いというのはありますか。

(小林氏)アメリカでも当然安全規格はありますが、弊社設備に関して大きな相違は納入前や納入時の公的な実施検査がないことです。そのため規格を準拠しているかどうかの正確性は、メーカーと使用する側の責任になってきます。

事故が起きて初めて検査が入ることになり、問題がないかどうか実機検証することになります。カナダの場合は使う側にとって安全かどうかを事前に実機検査しますので、使う側にとってはリスクが少ないと思います。

(平林)御社の強みはどういったところだと思われますか。

(小林氏)現地で設計、製造をしていますのでユーザーに近い分、色々なご意見がすぐ伺えることと、迅速な対応ができることだと思います。

設備を導入頂いた後で、お客様が独自に改善されている場合もあり、こちらでは把握しきれないこともありますが、現場に直接伺うことにより改善部分を直接確認することが出来ますし、次回納入する際には、設計に反映した設備をご提供できるメリットがあります。

また日本人とは操作される方の体格なども異なりますので、日本で製造していたものでは寸法的に合わなかったり、強度的にも弱かったりすることもありますので、当地の現場の状況を直接確認しお客様に合わせて改良することが出来るのも強みだと思います。

(平林)今後の目標や展望などがあればお願い致します。

(小林氏)広範囲で販売を行っておりますので、日本と同じように瞬時にサービス派遣することが難しいという部分があります。アメリカにもサービス派遣者はおりますが、国土も広く、人数に限りもある中でどのように充実させていくことができるのかは課題の一つです。

そのため気を使っているのが、取説(取り扱い説明書)です。3Dでどういった部品を使っているのか詳細を明記し、何か緊急対応が必要な際には、お客様でも対応できるよう取説の充実を図っています。

購入部品につきましても、日本から部品を取り寄せないと直せないということがないように、極力お客様が現地調達可能な部品を使用するように心がけています。

   


(平林)では、このあたりで小林社長のご経歴についてお伺いできますか。

(小林氏)出生は三重県の伊勢市になりますが、育ったのは名古屋です。大学卒業後、家業である今の会社に入りましてすぐに旧西ドイツに1年、イギリスに1年、その後、トヨタ関連の北米工場の立ち上げの際に研修生としてアメリカに1年滞在しました。

その後日本へ戻り自動車関連の営業をしたあと、カナダに会社を立ち上げることなり設立準備の後でカナダへ出向となりました。そして1997年に日本の株式を全て買い取り、現在に至ります。

(平林)印象に残るプロジェクトなどございますか。

(小林氏)仕事上なかなか詳細をお話することが難しいのですが、初めてメキシコのプロジェクトに携わった時は大変でした。今でこそ多数日系企業が進出され色々な事が充実されてきていますが、その当時はまだ打ち合わせに行くのにも勇気がいりました。

レンタカーを借りてもナビゲーションは当然ありませんし、メーターが壊れていたり、地図の解読も難しく、夜間の移動で迷子になって四苦八苦した経験もあります。今でも時折メキシコへ出向きますが、当時は大変だったと記憶しています。

(平林)仕事をしている上で大切にしていることは何かありますか。

(小林氏)誠実にお客様のニーズに答えることだと思います。我々の設備は正直に結果にでてきますし、重量物ですのでミスが大きな事故に繋がりますので、そこだけは特にに注意して行っています。

(平林)カナダに長く滞在されていますが、何か思い出に残ることなどありますか。

(小林氏)西ドイツ、イギリス、アメリカは独身時代で行ってましたのでなんとも言えませんが、家族で暮らすにはカナダは良いところだなと思います。子育てにおいても特に受験などもありませんので、のびのびと成長し非常に良い環境だと思います。


子供二人が成長過程でアイスホッケーを始めまして市代表のAAAやAなどに入るようになり遠征に行くようになったのですが、親類縁者がおりませんので、家内と手分けして別の場所に遠征に同行するのが結構長く続きまして、有給休暇は遠征に使っていた時期がありました。

もちろん二人とも学年が異なりますので、同じ日に妻と手分けして行ったりもしていました。さすが国技だけに、良くこれだけ小さな町にもアイスリンクがあるものだと感心しました。

クリスマス明けには必ずトーナメントがありますし、あまりご存じない方だと冬だけのスポーツを思われる方も多いかと思いますが、春はスプリングホッケー、夏はAAAに受かるためのトライアウトなどがありますので、冬ほどではないですが、年間忙しいスポーツです。

(平林)プライベートの休日の過ごし方、趣味などございますか。

(小林氏)夏は、友人や顧客との大事なビジネスツールでもあるゴルフをやっています。冬は家内が好きな踊る方のバレー鑑賞に定期的に行きます。トロントのナショナルバレーも観に行きますし、ご存知ない方もいるかもしれませんが、ボリショイやマリインスキー、ロイヤルバレーなどを映画館でライブ鑑賞することができます。

連休を利用して、イギリスやワシントンなどに観に行く機会もありました。年齢的にも段々とそういったものに落ち着いてきたかなという感じですね。

(平林)これから何かやってみたことなどありますか。

(小林氏)家族でゴルフに行きたいなと思っています。次男は当地カナダで大学に通学しており今年からゴルフを開始、長男がいま東京で就職し離れているので、どこか家族で旅行しながらゴルフコンペでも出来たらいいなと思っています。

(平林)最後に商工会会員へのメッセージをお願いいたします。

(小林氏)キッチナーに来てからは、あまり商工会に参加出来てはおりませんが、もっと参加しなければいけないなと反省もしております。ラッシュなど渋滞で一日がかりとなることもありますし、冬になると雪もありますのでなかなか難しいですが、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

(平林)インタビューは以上となります。本日はどうもありがとうございました。







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