トロントで活躍する日系団体に聞く



Japanese Football Club of Toronto(JFT)副代表 兼
JFT ATHLETICS CANADA  


代表 海上 誠


今回は、トロントの日系コミュニティーでサッカークラブ・スクールを運営されている団体で中心となって活躍されている海上さんにインタビューさせていただきました。サッカーを通じて、日系コミュニティーの環を広げたい、強くしたいとの思いを感じます。

(伊東、以下〝伊“)まずは、ジャパニーズ・フットボール・クラブ・オブ・トロントの生い立ちと活動内容をご紹介いただけますか。

(海上、以下“海”)2006年に、トロントで開催されているAsian Community Gamesに日系サッカーチームとして出ないかとの声かけをいただき、そこから日本チームを作ろうということになり、急遽選手を集めて出場しました。

それがきっかけとなり、大会が終わった後もこのメンバーでサッカーをやりたいよね、と自然に声があがり、定期的に活動を続けていくにはどうしたらいいかを話し合い、地元のリーグに加盟して活動を始めました。

ただ、メンバーにはワーキングホリデーの人や留学生の人が多くいるのでメンバーの入れ替わりが多く、また、活動を続けていくための資金も厳しい状況でした。資金的に安定し、活動を続けていくにはどうしたらいいかを考えた末、唯一できるサッカーを子供たちに教えるスクールを始め、いくらかの資金をサッカーの活動に回せるようになりました。

(伊)最初に集まった時のメンバーは何人ぐらいだったのですか。

(海)その時に集まったのは20人くらいでしょうか。自分も2004年にカナダに来て、地元のカナダ人チームなどでサッカーをやっていたのですが、日系チームに参加してくれないかと声をかけてもらい、参加することになりました。

(伊)すると設立から10年以上経つわけですが、設立当時から現在も続けられている人は何人くらいいるのですか。

(海)そうした人たちが現在のJFTのコアになっているメンバーで、JFT設立当初からのメンバーは私を含めて4名です。現在はそこに2人加わり6名の幹部で運営しています。ある程度長い目で活動を見るためには長く続けられる人が必要で、それができるのがその6名となっています。

メンバーにはワーキングホリデーや留学生など短期滞在の人が多く、全体の人数は確保できるのですが長い期間続けられる人は限られてしまいますね。チームとしてみると、毎年違うメンバーが揃うので、違うチームが生まれ、新しい血が流れるという感じで既に12年続いてる状況です。

メンバーが固定していて、毎年年齢が上がっていきチームが高齢化していくということもよく聞きますが、JFTの場合には、毎年19歳から24歳くらいの若い人たちが中心となってチームを作っていく形になっています。

(伊)すると、常に20名くらいのメンバーがいるという感じですか。

(海)やはり、年によって波はありますね。また、参加するメンバーにもレベルの違いがあります。本当に初心者レベルでサッカーを楽しみたいという人から、社会人、Jリーグレベルの人までいるので、途中でレベルを分けて、チームが増えていった経緯があります。

最初は子供とレクリエーションレベルのチームを作って始めたのですが、上級者チームができ、その後、女子チーム(混合ミックス)ができて、多いときにはJFTの中に4チームあったことがあります。それくらい多くのメンバーが集まると活動パワーもあり、ちょうどそれが4年前のワールドカップの時で、その勢いで当時の応援イベントができたのだと思います。

設立直後から続けてきたJFTサッカースクールも大きくなってきました。設立当初は、どのくらいのお子さんたちが参加してくれるかまったく見当もつかなかったので、当時補習校でチラシ配布をさせていただきたいと問い合わせ、敷地外であればいい、との許可をもらい、チラシを配らせてもらいました。

その時の会場は補習校に近いオークウッド高校でした。その時は6人くらいの参加があり、選手(お子さんたち)より、教えるコーチのほうが多かったのを覚えています。そこからスタートして大きくなり、多い時には100人くらいまで増えました。

スクールを卒業した後、大人のチームに入ってくる選手も出るようになり、また大人のチームにいた人がコーチになったりしており、我々が目指しているサッカーを通じた環ができてきていることを感じています。

(伊)小さなお子さんから大人のチームメンバーやコーチの人まで含めると、どのくらいの年齢層の人が参加されているのですか。

(海)一番下は4歳のお子さんから、上は46歳ですね。個人的な目標としてはもっと広げたいと思っています。1歳くらいから60歳くらいまで、サッカーを軸にしてつながりができたらいいなと思っています。

(伊)その年齢層まで広がっていくと、3世代でサッカーを楽しめるようになるかもしれませんね。

(海)まさにそんな形が夢ですね。

(伊)運営面・資金面ではいかがですか。会場などを借りるにもお金がかかりますね。

(海)最初の頃は、サッカースクールの参加費で得た資金をJFTという母体を通じて、大人のチームの活動に還元しながら運営をしていました。そんな状況が4、5年続きましたが、だんだん大人のチームが独自に運営できるようになってきました。

JFTという母体から支援がなくても回るようになってきたので、スクールで得る資金はスクールの活動を広げることに使おうということになり、昨年12月にスクールだけJFTから独立し、JFT ATHLETICS CANADAとして事業化しました。

(伊)事業化ということは営利団体になったということですか。

(海)そうですね。スクールは事業体として独立し、大人のチームは従来通りコミュニティーサッカークラブとして活動を続ける体制になりました。

(伊)活動は基本的に土曜日ですよね。

(海)はい、そうです。スクールは土曜日ですね。大人のチームに関しては、今3チームあって、2チームは日曜日、1チームは木曜日に活動しています。1年に一回、他のチームとの交流戦をしています。

(伊)スクールと大人のチーム、それぞれの運営で問題になっていることは何ですか。

(海)会場費などコスト面ではいつも悩んでいます。また、スクールのコーチも短期でこちらに来ている人が多く1年毎に替わってしまい、コーチの確保が悩みですね。サッカーを教えて欲しいという生徒の数が増える一方でコーチが不足してしまい、生徒数とコーチ数のバランスが取れないことがありましたし、コーチの質の維持が難しい時もありました。

今は、長く続けてくれているメンバーも増え、今後どうしたいかという理念を理解してくれるようになってきたので、運営の土台がしっかりしてきたと感じています。大人のチームのほうは、参加したいリーグを見つけることや選手のリクルートなど、これまでJFT本体でやってあげなければいけなかったことを各チームに任せられるようになってきました。

そのため、JFT本体がこれまでそこに割いていた力を他のところに使えるようになってきました。今JFTで力を入れているのは、ピックアップ・サッカーという、誰でも気軽に参加できるサッカーの場の提供です。そこからサッカーを本格的にやりたい人は大人のチームを紹介したり、スクールのコーチをお願いしたり、といった展開を目指しています。

(伊)場所はどこから借りているのですか。

(海)4年前にワールドカップのパブリックビューイングをやったトロントハーバーのサッカードームがメインです。時々、プライベートな場所やトロント教育委員会の施設を借りたりもするのですが、手続きに時間がかかったり、土曜日の午前中など取りたい時間を取れなかったり、費用が高かったりします。サッカードームとはいい関係を保てており、メインとして借りています。

(伊)サッカーは、お子さんの怪我なども心配ですが、その対応についてはどうされていますか。

(海)もちろん怪我が付き物のスポーツなので、保護者の方には了解してもらい免責書を出してもらいますが、コーチの何人かは応急処置ができる資格を持っています。もちろん怪我をさせないというのが第一で、コーチ全員、注意しています。もし怪我などが起きてしまった時の対応のため、施設とJFTで保険に入っており対処できるようにしています。

(伊)今後の計画をお聞かせください。

(海)今スクールの対象年齢が4歳から13歳となっていますが、もう少し下の年齢向けにプログラムを作ってみたいと思っていますし、また上の世代で身体を動かしたいと思っている人向けにもプログラムを作りたいと思っています。もう一つは、JFTの活動をもっと日系コミュニティーに広げたいと思っています。

サッカーを通じて、環をもっと大きくしたいと考えています。そして、それがある程度できたら、もっとトロントの外へも出ていきたいです。3つ目は、サッカーを通じて日系コミュニティーが一つにまとまれるような活動をしたいと思っており、その例としてワールドカップのパブリックビューイングなどのイベントを開催したいと考えています。

(伊)今年もワールドカップがありますが、具体的な計画はありますか。

(海)今年も計画を進めており、6月24日(日)を予定しています。前回は震災へのチャリティーとタイアップの形をとりましたが、今回はサッカースクールというコミュニティー活動を多くの人に知ってもらう場にしたいと考えています。

家族が来やすいイベントにして、子供たちがスポーツの楽しさや凄さを体感してもらえるような機会にしたいと思っています。時間帯は、試合開始が午前11時スタートなので、多くの方に来ていただきたいと願っています。これから詳細を詰めて、ご案内していきますのでよろしくお願いいたします。

(伊)ワールドカップのイベント、楽しみですね。商工会でも会員さんにご紹介していきたいと思います。本日はお忙しい中、お越しくださりありがとうございました。














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