「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第176回>
Nippon Express Canada Ltd./
カナダ日本通運株式会社

中澤 裕/ President


今回はトロントピアソン空港近くMississauga市にオフィスのあるカナダ日本通運の中澤社長にお話を伺ってまいりました。日本通運と言えば日本では引っ越しなどでお世話になった方も沢山いらっしゃると思います。現在の事業展開の様子やプライベートのお話などご紹介いたします。


(平林) 御社の事業内容をお願いいたします。

(中澤氏) 現在日本通運は、世界42ヵ国267都市、678拠点にあり、連結子会社を含めると、従業員が70,000名そのうち海外オフィスの従業員が18,000名となっており、おそらく皆さんの想像以上に国際的な事業展開となっています。

事業内容としては、陸、海、空の運送業、倉庫業、引っ越しなどとなっております。日本では個人のお客様と接点のある引っ越しの部分の印象が強いかと思いますが、実際の売上はあまり大きくありません。

全体の売上に対して、現在海外の売上が36%程まで来ておりますが、現在弊社3カ年計画の中では、今後この売上を40%に伸ばしていこうと動いているところです。

カナダでは基本的に企業間物流B to B を中心に行っておりますが、現在力を入れているのは、今までの物を運ぶだけの運送業務から、倉庫でお客様の商品を保管、管理し、配達や配送を担う保管運送事業を広げてきているという状況です。特に日本のお客様に対しては、物の在庫状況や動き、配送状況がわかるサービスを合わせて提供していくことに、より力を入れています。

カナダ日通の営業拠点としては5ヵ所、西からバンクーバー、カルガリー、エドモントン、トロント、モントリオールとありまして、通関の拠点としては2カ所、ウィンザーとフォートエリーにあり、全部で7ヵ所となります。従業員はカナダ全体で170名、トロントでは100名程となっています。

(平林) 御社の売りや強みはどういった点だと思いますか。

(中澤氏) 大手の運送会社と呼ばれる中でも世界でのネットワークの広さですね。特にアジア、その中でも中国、南アジアでは世界の同業他社の中でも5本の指に入る規模になっているかと思います。そのネットワークを使いながらお客様に最適な物流を提供できるという部分だと思います。

(平林) 何か新しい取り組みなどお考えはございますか。

(中澤氏) 今あるベースの部分を大切にしながら、カナダに合った対応、取り組みが出来ないか今考えているところです。今までは、得意分野(電気精密、自動車、機械)を基軸に提供できるサービスを展開してきましたが、これからはエネルギー、木材、食料品など、カナダで今動いている商材物流に対して何が出来るのか考えているところです。

(平林) 個人のお客様ですと引っ越しのイメージが強いかと思いますが、引っ越し事業では以前と比べ何か変化はありましたか。

(中澤氏) やはり多いのは、海外赴任でカナダに来る際に日本からの引っ越しをサポートするケース、または任期終了後に今度は日本への引っ越しをサポートさせて頂くケースです。

ここ最近増えてきているのは、家族帯同でカナダに来られた後、お子様の教育の関係でご家族のみ日本へ帰国し、ご本人が単身になる際に、今まで住んでいた家では広すぎて暮らしにくいので、アパートなどに引っ越しをするといった市内引っ越しも増えています。

またその他に増えているのが北米大陸内での移動で、アメリカ赴任からカナダ赴任またその逆もかなり増加傾向にありますので、ドメスティックなインターナショナルの引っ越しも取り扱わせていただいております。

日本人の方が求めているサービスの提供が出来るように色々な方に合わせたサービスを設けています。その一つに女性中心のエプロンチームといって、食器類、衣類など、特にデリケートなご家財については女性スタッフが梱包を行います。

家の中の物を片付けて全て持ち出すお手伝いをさせて頂く事も出来ますし、家の中まで見られたくない方には、梱包以降のサービスを提供する事も出来ます。

(平林) カナダで日本と同じ引っ越しのサービスが受けられるのは有り難いですね。

(中澤氏) 引っ越しという商品については千差万別で、ここまでやっても足りないというお客様もいらっしゃいますし、そこまでやらなくてもいいんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいますので、やはり非常に難しい分野だと思います。引っ越しは物流とは全く別のサービスだと見ておりますし提供しているつもりです。

(平林) 今後力を入れていきたい事はございますか。

(中澤氏) 先ほども少し話しましたが、カナダにとって日本通運が何が出来るかということと、また社内の中でカナダマーケットというのをどれだけ広めて売り込んでいくかということが私の課題ではないかと思います。

実はこちらに赴任する前はカナダはアメリカと同じような感じだと思っていましたが、実際に来てみると国民性も違いますし、考え方も全く違う国だなと大きく気づかされたところです。社内ではまだまだカナダについて詳しく認識されていない部分があります。カナダに対する正しい認識を社内でも共有しビジネスの拡大に繋げていければと思います。


(平林) ではプライベートのお話もお伺いしたのですが、ご出身から今までのご経歴をお願いします。

(中澤氏) 生まれは東京の杉並ですが、小学校3年の時に父の実家である長野に移りまして、高校まで長野で過ごしました。その後、東京の大学を卒業し日本通運に入社しました。 初任配属は広島で、今回のトロント赴任に至るまで、どの配属先も約5年から6年くらい経験しており、人に言わせればある意味バランスが良いと言われますね。

広島が6年、その後アメリカのデトロイトに6年、東京が7年、香港が6年、ここに来る前が名古屋で5年、そして現在に至る状況です。入社時は特に海外赴任を強く希望していたというわけではありませんが、海外も可ということは会社に伝えておりました。配属された業種が国際航空貨物でしたので、配属された時点で海外もあるのかなとは意識していました。

(平林) 今まで基本的に国際航空貨物のお仕事に携わっていたのでしょうか。

(中澤氏) そうですね。名古屋にいた最後の1年半は特定のお客様のプロジェクトに従事してましたが、それ以外は基本的に航空国際貨物事業に従事してまいりました。ただここカナダでは全体の責任者として赴任しておりますので、航空貨物のみでなく海運、倉庫、引っ越しなどすべての業務を見ています。

(平林) 就職活動の際に日本通運を選ばれた理由は何ですか。

(中澤氏) 色々な場所で働いてみたかったということ。それから、私が就職した頃は文系出身ですと金融が1番人気でしたが、金融にはあまり興味がなく、メーカー以外となると選択肢はかなり限られて来る中で、運送業界というのは色んな場面で社会の下支えであり、長く存続する業界だなと感じ興味を持ちました。

(平林) アメリカや香港でもお仕事をされていらっしゃいましたが、カナダとの違いはございますか。

(中澤氏) カナダは外部から来た人に非常に優しい国だなと感じています。アメリカの場合は「なぜアメリカにいるのに英語がうまく話せないんだ」という感じを受けました。

アメリカにいた頃はカナダをあまり意識していませんでしたし、アメリカ人にとってもそうだと感じるのですが、カナダで生活しているとアメリカを意識せざるを得ないと感じます。また、アメリカの人よりとても開かれていてインターナショナルなイメージがあります。

(平林)今までのお仕事の中で何か印象に残っているプロジェクトなどはございますか。

(中澤氏) アメリカ駐在時に、西海岸で港湾ストといって10年に1回くらい港が閉まってしまうという事象が起きています。その当時はアメリカで日本からの輸出を受ける立場だったのですが、通常であれば飛行機で運ぶようなものではない自動車用の高張力鉄薄板を飛行機を何十機もチャーターして、港が開くまで調達を続けたことがあります。

今度は逆に直近の話になりますが、日本から輸出する立場でも同様の事がありまして、これもまた通常であれば船で送る工場生産用の部品を、飛行機を何十機もチャーターしてアメリカに届けました。

発着空港の調整、当時世界で飛んでる貨物機をどれだけ確保できるか綱渡り的な状況だったのでこの2つがとても印象に残っています。

最初に体験したストでは11日間港が止まったのですが、実際にもしこの期間部品の供給が出来ないとなると、製造の現場では半年以上の影響が出る可能性があると思います。もう1つ恐ろしいのは、ストを起こした側もこれだけ大きな影響を与えることが出来ることを知ってしまったということだと思います。

我々も2度目に経験した際は、ある程度事前に手を打っていましたので、前回よりまだ影響は少なかったのですが、根本的な解決にはなっていません。この経験はインターナショナルの企業として、思わぬ脆弱性に気づかされた部分でもあったと思います。

(平林)お仕事をされるうえで大切にしていることはありますか。

(中澤氏)物事に対して絶対はない、相対的だと心がけるようにしています。先ほども引っ越し事業の話の中で、お客様の受け止め方は千差万別ということを申し上げたのですが、私がこうだと思って言ったことが、そのまま伝わっているかどうかは必ずしも担保出来ることではありません。

また自分が正しいと思ったことが絶対に正しいかどうか、これまた担保できない話ですので、絶対はなく相対的に物事を考えるという事を今は管理的な立場に回って日々考えている所です。

(平林)お好きなスポーツや趣味はありますか。

(中澤氏)スポーツ観戦が好きでして、特にフットボールはなかなか日本や香港にいる時は見ることが出来なかったので、今は週末にカレッジとプロのフットボールを見ることが楽しみですね。家族からのひんしゅくは買ってますが。


北米大陸はプロスポーツが盛んですので、ホッケーや夏のメジャーリーグも楽しみですね。ただし当社のナショナルスタッフには「心はデトロイトにおいて来た」と言ってますので、今でもホッケーはレッドウィングス、ベースボールはタイガースをトロントにいても応援していこうと思っております。


あとは、カナダは北極圏にも近く、手付かずの自然がこれだけ残っているところはないと思いますので、旧跡名所にこだわらず色々な所に家族と訪れてみたいですね。



(平林)最後に商工会会員の皆様へメッセージをお願いします。

(中澤氏)我々創立80周年を迎えて、コーポレートメッセージとして、We Find the Way を制定しました。このWeと言うのは、チーム日通の色々な業務を結集させてチームで取り組みます。Findと言うのは、お客様のために最適な方法を探し出します。最後のthe Way というのは、その最適な方法は色々あるかもしれないけれど、お客様のためには1つの道the Wayでありますと言う気持ちを込めたコーポレートメッセージとなっています。

我々これから会員の皆様、企業にその気持ちを持って業務に取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(平林)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。



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