「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第175回>
Icynene Asia Pacific Co. Ltd./ アイシネン アジアパシフィック
Eric De Groot/ President



今回の代表者インタビューは、Icynene Asia Pacific Co. Ltd.のEric De Groot 社長にお話を伺ってまいりました。今回は親会社であるIcynene Incorporated of Canada のMississaugaにあるオフィスにてインタビューさせて頂きました。De Groot氏は現在、親会社の副社長も兼任されていらっしゃいます。長い日本生活のあと、数十年ぶりに故郷のトロントに戻られ楽しんでいらっしゃるプライベートのご様子もお話頂きました。


(平林)御社の事業内容をお願いします。

(De Groot氏)Icynene Incorporated of Canadaは1986年にトロントでウレタン断熱材を製造販売する会社として設立されました。現在は北米市場ナンバーワンの販売シェアをもち、世界35カ国以上に輸出、販売をしております。

断熱材は大きく分けて2つ、繊維系のグラスファイバー、セルロースと、ウレタンタイプがあり、ウレタンタイプは低密度と高密度(硬質)の断熱材タイプがあります。繊維系はコストが安く燃えにくいので今でも支持されていますが、徐々にウレタンタイプにシフトしています。

高密度の発泡ウレタンは60年くらい前から既に販売されており、性能は非常に優れていますがコストが高いため、40年から50年前は断熱性能が厳しい場所、例えば冷蔵倉庫や工場のパイプなど高度な断熱が必要な場合にのみ使用されることが多い製品でした。でも現在は、商業施設や大型ビルなどにも使われています。

1985年頃に低密度の発泡ポリウレタンを我社が開発し製品化しました。液体を屋根裏や壁に直接吹き付け断熱材を作ることができ、とてもふわふわしていて軽量ですが、高気密で接着がしっかりしているのが特徴です。通常の断熱材ですと屋根の裏に設置するには重量的、構造的にも貼付けが難しいのですが、当社の製品ですと屋根裏の断熱としての利用も可能になります。

(平林)カナダと日本の断熱材の使用に違いはありますか。

(De Groot氏)日本の建設会社の工期は非常に早いので、値段は高いですが高密度ウレタンを利用する確率がかなり多いです。逆にカナダの工期時間は日本の倍以上かかります。

大きなビルや倉庫などの建築現場を目にする機会があるかと思いますが、多くは外壁から黄色い断熱材ボードを貼り付けているケースが多いと思います。これは材料のコストは低くすみますが、ボードの隙間を埋めたり、貼り付けることに時間がかかるので、個人的な意見としては工期の時間、人件費を考えると実際にコストが安いかは疑問な部分もあります。
弊社は1999年頃に初めて日本で戸建てに使用する軽量の低密度タイプ発泡ウレタンの販売を始めました。高密度の製品を取り扱うメーカーはたくさんありましたが、弊社のような低密度発泡ウレタンを取り扱う会社はありませんでした。

弊社で販売を開始した後、日本でも開発され独自の低密度発泡ウレタンを日本の企業も販売するようになりました。低密度の製品は繊維系のものに比べるとコストは高いですが、日本の建設会社の工期を考えると、施工時間の人件費などが抑えられるので利用価値は高いと思います。

(平林)現在御社のマーケットはどのようになってますか。

(De Groot氏)アメリカは一番大きな市場で次がカナダ。ヨーロッパとアジアは同じくらいの規模で、アジアでは日本、韓国を中心に中国やオーストラリアでも展開しています。

昨年秋に、アメリカのテキサスにある競合会社を買収しまして、Icynene全体の規模が2倍程度になりました。現在は個別に経営しておりますが、今年4月頃からは別会社を設立し徐々に一つにしていく予定です。

(平林)益々大きな会社に成長されていらっしゃるのですね。御社の強みや売りはどこにあると思いますか。

(De Groot氏)先ほどもお話しましたとおり弊社の直接吹き付けるタイプの断熱材(発泡ウレタン)は、高気密で建物を内側から丸ごと覆うことができ、非常に高い断熱率を維持することができます。繊維系の製品はコストは安いですが、風によって断熱率が下がってしまいます。

断熱材と言えば寒さ対策と考えがちですが、暑さ対策にも極めて重要な要素であり、弊社の現場発泡ウレタンは繊維系の断熱材と比較すると建物の暖房・冷房のラニングコストが約半分に節約でき、エネルギー削減、環境保護に大きく貢献しています。

弊社は現在日本で95%を住宅向けに販売をしています。ただし高密度の商品はまだ販売をしておりません。これはアメリカやカナダと規制が異なるためです。日本は特に防火規制がかなり厳しいです。

他の部分ではヨーロッパのほうが厳しい規制があったりと各国の考え方や気候などによって大きく異なりますが、弊社の売り上げの8割以上は北米になるため、北米を基準で製品を開発してきました。

日本は今、省エネ住宅に非常に注目しており、現在、ある基準に達した断熱性能のある住宅建築に対して、補助金を支援するプログラムを国が行っています。ただし2020年から断熱材もJIS認定を受けた製造会社の製品でないと補助金を受け取ることが出来なくなります。

そのため弊社でも1年以上かけて申請を進めてきました。そして昨年9月に検査官がカナダに来て審 査をし、11月に無事JIS認定を得ることができました。

日本のメーカ以外でJISマークをもっている会社は台湾(アメリカの会社が所有する工場)と弊社のみで、北米ではもちろん弊社が1社のみです。そのためこれから日本へもっとマーケティングして今後は住宅のみでなく商業施設などにも販売を広げていくつもりです。

(平林)今後力を入れていきたいことはありますか。

(De Groot氏)現在低密度発泡ウレタンの市場は年に10~15%成長しています。住宅業界は通常年2~3%の上昇が一般的ですので、繊維からウレタンに市場が変化してきてるのが分かります。この商品の伸びは今後も非常に面白くなると思います。

現在全てのメーカーは、現場発泡ウレタン断熱材に難燃剤を加え製造しています。今後、燃えにくいウレタン断熱材を開発することが出来れば画期的な開発となると思います。

あとは歩留まり(生産性や効率性の優劣を量るひとつの目安)といって、同じ量の原材料からどれほど多くの断熱材を実際に生産できるかも非常に大切です。各メーカーで歩留まりを競い合っており弊社でも研究開発中ですので、どこまで生産率を伸ばすことができるかというのも別のチャレンジですね。

(平林)プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、まずはご経歴についてお願します。

(De Groot氏)私はトロント スカボロの出身です。1988年にトロント大学卒業の頃にテレビで日本のバブル経済の様子をみて、日本に興味を持ち友人と二人で日本へ行きました。その後、日本で英語講師として半年くらい働きながら9か月間滞在しました。

この時に今の妻と出会いまして、日本滞在後に一緒にトロントへ戻りました。再度1991年に妻と大阪に戻りまして、日本語を本格的に勉強しながら、関西外国語大学や松下電工の研究センターで教える英語講師を4年程していました。

その後1996年からその当時神戸にあったブリティッシュコロンビア州政府事務所で、カナダ中小企業の日本進出をサポートするために、日本企業のマーケティングや世論調査などの仕事を行っていました。

1998年に政府系団体であるBCウッド(カナダにある木材関係の中小企業を支援する団体)に転職しました。その後2003年からオランダの建材(床材)メーカーの東京営業所長を10年務めた後、2014年から現在のIcynene Asia Pacificの社長として東京で勤務後、2016年8月に故郷のトロントへ戻ってきました。

(平林)何かお仕事の中で印象に残っているプロジェクトなどありますか。

(De Groot氏)大和ハウスがコンビニエンスストア、ローソンの店舗を設置する際に我社の低密度発泡ウレタンを使用して頂くことができました。また先ほどもお話しましたとおり弊社は北米で初めてJIS規格の認定を受けることができました。認定を受けるまでには様々な条件をクリアする必要があり1年以上かかりましたが、無事取得することができました。

(平林)仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(De Groot氏)私は理系ではないので化学関係のことをもっと勉強する必要があると思います。また常に日本の建築規制の変更に注意したり、競合相手がどういった動きをしているかを常にリサーチすることが必要だと思います。


(平林)好きなスポーツや趣味はありますか。

(De Groot氏)好きなスポーツはホッケーです。子供のときから高校くらいまでやっていました。そのあとしばらくやっていなかったのですが、大阪に滞在していた31歳の時に、モントリオール出身の友人から誘われて再開しました。日本では大阪と神奈川の社会人リーグに入って約20年プレーしていました。

現在もトロントでリーグに入って引き続き頑張っています。あとは料理も好きで、先日家のキッチンの改装工事が終わったばかりですので、新しいキッチンで料理をするのを楽しみにしています。

その他には、トロントから北東に4時間くらい行ったところにコテージを持っておりますが、日本に居たときは年に1度しか行けなかったので今は季節を問わずもっと行きたいと思っています。冬にはスノーシューやアイススケートなどもできますし。

(平林)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(De Groot氏)日本人はカナダというとバンクーバーのイメージ、例えば山と湖とサーモンという感じなのが残念です。トロントのすばらしいところを広報していきますので、トロントの魅力をたくさん楽しんでください。


(平林)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。





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