トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング 再訪  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント街角巡り連載を始めてはや7年。「ネイバーフッド」と呼ばれるエスニックタウンやローカルコミュニティの商店街の風景は、その間にも絶えず変化してきています。第二次世界大戦後に移住してきた世代の多くが商店街でのビジネスをリタイヤし、アジアや中東、カリブ諸国からの移民が増え、トロント市の人口は270万人を超えました。モザイク都市トロントの街角がそれぞれどんな風に変わってきているのか…再訪、再発見をレポートします。


 

第34回 レズリービルLeslieville 再訪 ヒップスターに大変身!

フリーランスライター 三藤あゆみ

「ヒップスター(Hipster)」ってご存じですか?

北米の都会のサブカルチャーでいま一番盛り上がっているのがヒップスター。大雑把に説明すると、メインストリームに流されず独自のトレンドを追求し、意識も高い、でも「新しいモノ」大好きで、ある程度お金も持っているので消費力もまあまあの、30歳代を中心とした人々です。

男性はあご髭と口髭を生やしている人が多く、若い世代はベースボールキャップのツバを後ろにしてかぶっていたりします。ヒップスター系は、インディロックの音楽やレトロなレコードを好み、映画はアカデミー賞受賞作品よりも芸術性や政治的メッセージが強いものが好きです。少なくとも一度はバンドに所属していたことがあるでしょう。

こだわりがあるので「クラフトもの」が大好き。クラフトビールやコーヒー通です。ヘルシー志向でオーガニック食品も大好き、ベジタリアンもけっこういます。

ヒップスターの話が長くなりましたが、ここ数年トロントの街角で盛り上がって景気もよさそうなところは、たいていヒップスター達が集まっているのです。最近ヒップスター系住民が急増して、店も住居も彼らの大好きなブルックリンスタイルと化しているのが、レズリービル地区なんだそうです。

レズリービル地区は、トロントダウンタウンからクィーンストリート沿いを車で10~15分ほど東へ行ったあたりに広がります(主にCarlaw Ave.からLeslie St.の間)。

昔は労働者階級が多く住み、どちらかというと貧しい家が多く、工場跡地のDundas St. x Carlaw Ave.あたりは、暗くなったらできるだけ歩くのを避けたいような場所でした。レズリービルが急変したのは10年ほど前でしょうか。

工場跡地の再開発で、天井が高く窓が大きく内壁はレンガが露出したデザインの洒落たロフトやコンドができ、映画や広告関係のプロダクションやフォトスタジオが増えて、Queen St. 沿いには次々と個性あるカフェやバー、クラフト専門店、雑貨屋、ビンテージ家具の店などがオープンしました。

数年前このコーナーでレズリービルを取り上げた時は、クィーンストリート沿いに増えた新しい店の数々に驚いたものですが、それからの発展はこれまた目をみはるものがあります。30、40代の住民が増え、ヒップスターが流れ込んできて、商店街も彼らの好む店が増えました。

洒落たロフトや個性あるコンドが次々建てられ、3~4寝室の一軒家がワンミリオンで売れ、タウンハウススタイルの2寝室コンドが月5000ドルの家賃ですぐ借り手がつくといった具合。20年前のレズリービルの面影はもうほとんどありません。

ところでヒップスターは、個性を追求し、こだわりのある若い世代だといっても、結局は「ヒップスターのトレンド」というものがあるので流行ができてしまうのですが、ヒップスターじゃなくたって眺めて楽しい、「インスタ映え」する店がいっぱいです。

レズリービルを散策する機会があったら、ぜひブルックリンスタイルのカフェに立ち寄ってみてください。人気のカフェは、Merchants of Green Coffee、Boxcar Social、Lady Marmalade、Purple Penguin Café、Mercury Espresso Bar、Tango Palace Coffee Company、Remarkable Bean、Te Aroなど。

じつはうちの家族が運営する合気道道場も、レズリービルの「ヒップスター」な工場跡に入っているのですが、あご髭はやしてコーヒーもビールもクラフト派、ブルックリンスタイル、なんていうメンバーはあまりいません。ヒップスター系は武道に興味がないんでしょうか…?


戻る   「トロント街角めぐり」記事一覧へ