リレー随筆


オランダ VS カナダ

HMC Connections 
ハルトン地区コミュニティースペシャリスト 矢嶋 しのぶ


私は、以前ソーシャルワーカーの勉強をしていましたオランダにて5年、そしてカナダで約10年、合計で約15年、移民の生活をサポートする機関で働いております。

  
2006年よりハルトン地区のHMC Connections(www.hmcconnections.com)というところに勤務 していますが、弊社で働きはじめてまず驚いたのは、カナダ、オランダでの移民政策そして移民の種類の違いです。
オランダの移民というとオランダ人を配偶者に持ち、他の国から移住してきた方、又は難民として対外戦争、民族紛争、人種差別、宗教的迫害、思想的弾圧、政治的迫害、経済的困窮、自然災害、飢餓、伝染病などの理由によって居住区域(自国)を離れた、あるいは強制的に追われた人たちが大半を占めています。

オランダに移住してきた人は(労働許可所持者を含む)、まず移住した都市にある役所へ住民登録をしなければなりません。その後、各自オランダ生活に必要な情報を役所の移民担当者より入手します。

オランダでの移住者は(長期旅行者、労働許可所持者を除き)オランダ語の習得そしてオランダの歴史や文化のテストが義務づけられており、オランダ語習得のために通う語学学校を理由なしで欠席すると学校から直接、移民局へ連絡がいきます。

移民局は公共機関、自治体とのネットワークが充実しており、オランダ内での移住者の流れをほぼ把握しているように思われます。

私もカナダへ引っ越すために住んでいた役所の住民登録を抹消したところ、約2週間後には移民局から「オランダでの住所を抹消したようですがオランダに住所を持たない方はオランダでの永住権を維持することができません。3ヶ月内に移民局へご連絡ください」との連絡がありました。

オランダとは対象に毎年平均25万人の移民を受け入れている国、カナダ。
壮大な自然に囲まれたカナダ、オランダとは国の規模(オランダは九州の土地面積とほぼ同面積)、移民の数が違い、この2つの国を比較するのは難しいかもしれません。

カナダはマイノリティーに対する差別がもっとも少なく、宗教、年齢、性的指向、肌の色などによる差別が法律上ゆるされていないこと、教育水準の高さ、そして英語、フランス語が公用語であり、他の語学習得も可能というのが子供の将来の教育等を考えた上でこれからどこかへ移住しようとする方たちがこの国を選択する理由だと思われます。

実際私もこの国で約12年ほど暮らしておりますが「人種差別??」と感じるような体験を経験したことがありません。

またカナダ政府がどのような移民を受け入れるかという面でこの国での貢献度が期待できるであろう学歴、職務経験、語学力などを基本としたポイント制での条件を満たしたスキルドワーカーと呼ばれる高度な技術、資格をもった移民が約60パーセントを占めているというのもオランダとは大きな違いです。

過去、約15年間、オランダでは難民としてオランダに移住してきた人、そしてカナダではいろいろな国からハルトン地区へ移民としてきた方々をサポートしてきましたが、いつも感心し、刺激を受けるのは「この新しい国で新たな生活、人生をゼロから築きあげよう!」とする強い意志です。

平和で安定した日本で生まれ、もし何かあったらいつでも日本へ帰れるしなどと考えていた私はいつも反省させられています。

2018年も健康で穏やかな日々をおくれたらなどとは言ってられませんね(笑)。




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