「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第168 >

Sumitomo Mitsui Banking Corporation, Canada branch
/三井住友銀行 カナダ支店

遠山 達也  支店長/Principal Officer & General Manager




今回のインタビューは、今年の4月に着任された三井住友銀行の遠山支店長にお話を聞いて参りました。話し上手な遠山支店長に、ついつい聞き入ってしまうインタビューとなりました。趣味である料理男子としての腕前も皆さまにご紹介させて頂きます。

(平林)御行の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(遠山氏)三井住友フィナンシャルグループの商業銀行である三井住友銀行(以下SMBC)のカナダ支店として、オイル&ガスを始めとするカナダの地元企業および自動車関連等の日系企業など、法人のお客様に対し、ご預金、お貸出、為替決済等一般的な銀行サービスを提供させて頂いている他、風力発電等に対するプロジェクトファイナンスにも取組んでいます。

現在は、日系企業よりも非日系企業のお客様に対するお貸出し金額の方が多く、よりカナダに根付いた事業を展開しております。

2016年11月に支店化致しましたが、もともとは現地法人であり、その設立は1982年に遡りますので、当地でビジネスをさせて頂いて35年となります。カナダのオフィスはトロントのみで、現在、従業員数は67名、約半数が女性で、日本人駐在員は6名です。

(平林)支店化に伴い、どのような利点が生まれたのでしょうか。

(遠山氏)一番のメリットは、お客様に対してお貸し出し出来る上限金額が大きく増えたことです。当地の規制上、一顧客への貸出金額には、銀行の資本規模によるキャップが課されるのですが、支店化により、SMBC本体の資本が貸出上限額算出のベースとなりましたので、お客様のご要望に応じて、より大きなご融資を提供できることとなりました。

(平林)前回取材をさせて頂いた3年前より、何か変化はありましたでしょうか。

(遠山氏)3年前に比べて、資産規模は1. 5倍以上になりました。また、カナダの地元企業へのご融資は先数、金額共に増加しており、ご融資の金額で申せば、現在3分の2がカナダの地元企業向けとなっています。地域的には、現在もアルバータやオンタリオが中心となります。

(平林)他の国と比べてカナダのマーケットは何か特徴がありますか。

カナダのお客様は、日本のお客様と同様、銀行とのリレーションを非常に大切に扱って下さるので、信頼関係を深く築くことが出来れば、長期のビジネスパートナーとして、一緒に成長していくことが可能だと感じています。

銀行にとって、ファイナンスというのは、謂わば、取引を始めるための入場チケットのようなもので、良い席をとるためには高い入場料を払わなければなりません。ただし良い席に座れば、お客様からも、貸出額の大きさ、即ち、レンダーとしての取引地位に応じて、ご融資以外の付帯お取引、例えば、債券や株式の発行、デリバティブ、FX等に係る手数料など頂戴することが出来ます。

ただ、お客様も既存のお取引銀行との関係を大事にされるので、いきなり良い席が取れるという訳ではありません。お取引開始後に少しずつレンダーとしての地位を上げていく必要があるため、どうしても時間がかかります。

逆に、一旦関係が崩れてしまうと回復させるには、レンダーとしての取引地位を上げていく以上に相当な時間とエネルギーを費やす必要が生じます。ビジネスパートナーとして辛抱強くお客様をご支援していくことが信頼関係を築く上で非常に重要となります。あくまで私見ですが、この点は、同じ北米でも、アメリカとの違いかもしれません。

アメリカの場合、一般的に、銀行とお客様の関係性がもう少しドライと言えます。それは、投資家の数や層が厚く、銀行以外のファイナンス手段も豊富で、金融マーケットが極めて発達していることの表れでもあると思います。銀行の観点で言うと、銀行が取っている信用リスク、クレジットに見合った適正な対価が得やすいマーケットとも言えます。

(平林)御行の強みはどちらにあると思われますか。

(遠山氏)カナダの金融市場は、五大行あるいは六大行と呼ばれるカナダの大手地場行が圧倒的に強いマーケットです。我々に強みがあるとすれば、それはグローバルなネットワーク、とりわけアジアにおける拠点網と金融サービス提供能力であり、アジア進出を展望されるカナダ企業のお役に立てると思います。

(平林)今後注力されたいことはどのようなことでしょうか。

(遠山氏)特に目新しいものはありません。基本路線は、邦銀の責務として金融サービスの面から引き続き日系のお客様をご支援させて頂くとともに、カナダ地場企業のお客様に関しては、支店化のメリットを生かして長い目で地道に取引地位を高めて行き、出来るだけ多くの付帯取引獲得を目指していく、ということだと考えています。

(平林)支店長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(遠山氏)愛媛県今治市です。タオルと造船が有名な町ですが、最近は、串に刺さずに鉄板で焼く「やきとり」や数年前のゆるキャラグランプリで優勝した「バリィさん」も注目を浴びているようです。

高校卒業後、京都の大学に進み、当初は大学院進学も考えておりましたが、私が就職した1991年(平成3年)は、学生にとっては非常に有難い時代で、沢山の企業からお誘いを頂き、最終的に住友銀行に世話になることになりました。

たくさんのお誘いを受けた中、住友銀行に入社を決めたポイントは実際に就職する前にお話をさせて頂いた方、特に入社2~5年目位の若い世代の人たちのお話から自分が入社してどれだけ刺激を受けられる組織なのかを判断材料として最終決定いたしました。

(平林)ご入行後のご経歴をお話しいただけますか。

(遠山氏)入行後3年ほど、大阪の心斎橋支店で基本的な支店業務を経験した後、2年間、外務省に出向させて頂きました。外務省では銀行業務からは完全に離れ、幾つかの国連機関に対する日本政府の拠出金の管理等を担当させて頂きました。

その後、東京本部の国際部門で、企画、予算管理、業務推進、当局対応等一通り経験した後、1999年当時、ビッグファイブと言われた米国の会計事務所アーサー・アンダーセンのニューヨーク・オフィスで、国際税務や米国税務の勉強を1年間やらせて頂きました。

再び東京本部の国際部門に戻ると、さくら銀行との合併等を経て、2003年にニューヨークの不動産ファイナンスのチームに異動しました。2008年に再び東京本部の国際部門に戻って、アジアの地場行との提携等を担当した後、2011年にシンガポールのアジア・大洋州統括部に異動、アジア戦略の策定や域内拠点の管理等に従事、2017年4月にカナダ支店長を拝命しました。

入行26年目となりますが、その約半分が海外駐在、また、所謂、国際部門での業務という意味では20年以上と言うことになりますね。

(平林)様々なご業務をご経験されていらっしゃいますね。アメリカ、シンガポールでのご勤務を経て、カナダという国はどのように感じられていますか。

(遠山氏)トロントにやってきてまだ5ヵ月、国内の出張も、モントリオール、エドモントン、カルガリーと、まだまだ経験不足ですし、厳しい冬も未体験ですが、一言で申せば、カナダと言うのは「非常に豊かな国だなぁ」という印象です。

まず、カナダは、水、天然資源、電力、農産物、土地が豊富な「持てる国」です。また、厳しくて長い冬のせいだと思いますが、夏場には多くのカナダ人が定時には仕事を終え、野球観戦、クルージング、ゴルフ等で日の長さを存分にエンジョイしています。

週末や夏季休暇には、別荘やキャンピングカーで家族や友人と大自然を堪能と、所謂QOL(生活の質)が総じて高い。多くの日本人が無縁な「人間の生活」がそこにはあり、その「豊かさ」が、この国の人々の受容性、寛容性、大らかさを生んでいるのではないかと。

この点、本来、同じく「持てる国」である筈にも拘らず、不寛容が極大化しているように思われる現在の米国とは極めて対照的だと感じます。

これに対し、シンガポールは何も「持たざる国」です。1965年にマレーシア連邦から追放される形で独立した都市国家は、自国には、水も、天然資源も、農産物も、土地もありません。

建国の父、リー・クアンユーが、スクラッチから作り上げた「株式会社シンガポール」は、約50年掛けて様々な政策を通じ、極めて効率的で制御された先進国家となりましたが、一方で窮屈さを感じている国民もいるようです。

ただし生活面では、今までの海外経験の中で一番働きやすく、暮らしやすい国だと思います。シンガポールの方はとても日本に対して好意的であり、勤勉でもあります。治安も良く、日本の食材も手に入りやすいですし、国自体がとても機能的にできていると思います。

(平林)支店長がこれまでのご経験の中で、一番印象に残っているお仕事はどのようなものでしょうか。

(遠山氏)2003年にニューヨークの不動産ファイナンスのチームに異動となった際、私はチーム内でただ一人の日本人駐在員で、しかも不動産ファイナンスどころか、営業経験もほとんど無しの状態でした。

着任当日、米国人のボスは、私に “Go home. This is not a place for you.” と言い放つ一方で、チーム員には「奴は、東京本部から送り込まれたスパイだ。俺たちのノウハウや顧客を盗もうとしているから情報は一切渡すな」との指示を出していたそうです。

もちろん今となっては笑い話の一つです。当時の米国人ボスは、今やSMBCの執行役員で、我々は言わば盟友。当時は一部署に過ぎなかったチームも現在では独立の部となり、米州本部の中でも立派な稼ぎ頭の一つとなっています。

(平林)支店長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(遠山氏)エイリアンとして生活することになる海外経験の中で自ずと得た教訓なのかもしれませんが、大事だと感じていることは、相手に対する「リスペクトの気持ち」です。

これは、お客様のみならず、新米支店長である私どもを日々支えてくれる従業員は勿論、コンドやレストランのスタッフ、スーパーやLCBOのレジ係、タクシードライバー等、日常生活において、お世話になる全ての方々に対するリスペクトと感謝の気持ちは忘れないようにしたいと思っています。

(平林)支店長のプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、ご趣味は何でしょうか。

(遠山氏)いわゆる「料理男子」ですね。週末を含め、お客様との会食や社内の呑み会が無いときには、全て自分で料理しています。そのうち自分でお弁当も作ろうかなと。

学生時代に焼肉屋の厨房でバイトしていたので、結婚当初は、間違いなく家内より私の方が料理は上手だったと思います。現在住むコンドの地階にあるスーパーマーケットに食材を仕入れに行くときには、心が躍ります。
     
 ズッキーニとナスのグリル&ピーチ。ピーチにはシナモン、ブラックペッパー等のスパイスを  ムール貝の白ワイン蒸し  焼鳥 ハツ

だいたいその日の気分で、心惹かれる食材を選び、適当に調理して食べています。見たことがない野菜とか、珍しい食材を見つけると嬉しくなったりするので、殆ど病気ですね。

週末は、音楽とともにカナダ産のビール、ワイン、ウイスキー等々を適当に嗜みつつ、好きな料理を作る。私にとっては至福の時間であり、外出も儘ならないとされる冬季も、コンドの地下にあるスーパーとLCBOのお陰で案外乗り切れそうな気がしています。

ただ、こんな話をしていると、「料理の前に、お客様と回れるようまずはちゃんとゴルフの練習をしろっ」と各所よりお叱りを受けそうですが。

(平林)今後カナダでやってみたいことはありますか。

(遠山氏)お恥ずかしい話ながら、この歳になって初めてゴルフを始めました。お客様とゴルフの機会もあり、一日も早くお客様と一緒に回れるレベルにならないといけないのですが、あの小さなボールはどうしても棒の先にうまく当たってくれません。

現在、ゴルフコンペへの出席は、部下の皆さんに全てお任せしている状況ですが、来シーズンには何とかデビューできるよう、鋭意精進したいと思います。

また、カナダの醍醐味と言えば、やはり大自然。単身赴任であり、折角の大自然の感動を誰かと共有することもできず、一人で旅行するインセンティブも沸かないのですが、家族が遊びに来た時にでもトライ出来ればと思っています。

(平林)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(遠山氏)平素より、商工会会員の多くの皆様からお取引を頂戴しており、誠に有難うございます。また、邦銀の責務として、金融サービスの提供を通じて、当地に進出されている日系企業の皆様少しでもサポート出来るよう尽力したいと思っております。何なりとお声掛け頂ければと存じますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

(平林)インタビューは以上となります。是非来年の商工会のゴルフ大会にご参加して頂ければと思います。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。



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