専務理事のばたばた日記 

第125

商工会事務局 伊東 義員


8月事務長会議日 世界中から集まる海外子女教育施設事務長会議


商工会では、1973年に駐在員帯同子女のためにトロント補習授業校を設立した。設立当初は、トロント日本語学校に支援をいただき、1974年4月に第1回入学式が挙行された。

以来40年以上経過し、最大のピークは1990年前後。児童生徒数は800名を超え、ノースヨークに分校を開設、一時的に派遣教員も3名になった。この時期より、商工会事務局の専務理事職が補習校の常任運営委員・事務長として運営管理を行っている。

現在、補習授業校のような海外子女教育施設は全世界でみると、日本人学校89校、補習授業校216校となっており、4万人以上の子供たちが通っている。その支援を行っている海外子女教育振興財団主催の事務長会議が隔年で開催されており、今年も出席した。

今年の参加は41校で過去最多。会議構成は、外部講師による講和3回、全体会2回、分科会5回となっており、前日の懇親レセプションを含め、2.5日の会議。朝8時過ぎから午後5時近くまでかなり密度の濃い会議となっている。

今回の事務長会議で特徴的なのは、初参加の方が12名、2回目の方が13名と、新しい顔ぶれが半数以上となったこと。海外教育施設の運営も新世代に入ったことを感じた。ちなみに、自分は6回目でもはや古株、古タヌキの仲間でうるさがられている。

今回の講和は、外務省より「安全対策」、文部科学省より「現状と支援策」そして、事例紹介として香港日本人学校より「事務長の役割とジレンマ」となっており、それぞれに興味深いお話であった。

5回設定された分科会は、日本人学校・大規模校、日本人学校・中規模校、日本人学校・小規模校、補習授業校の4グループに分かれ、さまざまな問題について報告、意見交換をする機会となっている。国により、法律規制が違うが、非常に参考になることが多い。補習授業校で問題となっていることは世界各国、ほぼ共通のようだ。それは、教員確保、教室確保、永住者子弟の増加。

教員確保については、それぞれの学校が様々なネットワークを使って募集しているが、興味深かったのは、日本人歯医者さんのオフィスに募集広告を貼らせてもらうというもの。これが結構効果があるらしい。そのほか、日本食材店の掲示板などもいいようだ。大学院に留学に来ている学生も結構採用されているとのこと。

トロント補習授業校の場合、ワーキングホリデーの人が多いが、大学院留学生にもっと目を向けてもいいかもしれない。教室確保はもう一つの重要課題。日本人学校の校舎を借用している場合は大きな問題もないようだが、独立の補習授業校の場合、ほとんどが現地校を借用している。

私学から校舎を借用し、その最新設備をフルに使わせてもらっているといううらやましい学校もあるが、現地教育委員会から借用している場合には突然使えなくなる不安を抱えており、いかに現地借用校、教育委員会とよい関係を維持するかが大きなポイント。どの学校もその点には、苦心している様子だった。

そして世界的に課題となっているのが、永住者子女の増加。日本に帰る子供たちを前提としたカリキュラムの実施が難しくなってきている。いわゆる帰国組と永住組と言われ、それぞれ補習校に期待するものが違う。

学校の教育方針そのものをどうするかという大きな問題もあるが、一番悩んでいるのが現場の先生。日本語力に大きな差がある子供たちが同じ教室で勉強するために、予定した授業案が進まず、限られた日数で該当学年の教科書を終えるのが非常に難しくなっているようだ。

しかし、児童生徒個人個人で見ると必ずしも帰国組にいる児童生徒の日本語力が高いというわけでもないようだ。近年は、教師用デジタル教科書の活用なども進めているが、やはり家庭の協力が一番。補習校はあくまで補習であり、家庭学習を前提に成り立っていることを理解してもらいたいとの声が強い。

一方で、日本側からは、日本をもっと海外に発信することを求められており、その重要な拠点となるのが、日本人学校・補習授業校と位置付けたいようだ。日本語を通じて、日本を理解するのが一番というのは十分理解するが、実践するとなると今の体制でできるかどうか。学校運営の要となる事務長はますます多くの課題を抱えることになりそうだ、というのが今回の会議の成果であった。

(上記記述は、筆者の個人的意見、判断で書かれているもので、商工会の意見・意向を反映しているものではありません。また、個別内容について、誤解、理解不足等があるかもしれませんが、それらは全て筆者の責任によるものです。)



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