「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第166回>
Mitsui & Co. (Canada) Ltd./カナダ三井物産株式会社
宮本 史昭 社長


現在、商工会の理事もお勤め頂いております、カナダ三井物産株式会社の宮本社長にお話を伺って参りました。カナダでの新規事業についてや取り組みなど詳しくご説明頂きました。日々将来を見据えて新しい事業展開をお考えのご様子がとても伝わるインタビューとなりました。また南米、北米にて10年以上に渡って海外赴任をされたご経験やプライベートの話もお伺いさせて頂きました。


(平林)御社の事業内容についてご紹介お願い致します。

(宮本氏)弊社は総合商社ですので、多岐に渡って事業を行っております。現在、カナダではトロント、バンクーバー、カルガリーにオフィスを構えております。都市によって扱う事業が異なっており、主にトロントでは自動車、鉄鋼製品、化学品が中心になります。

バンクーバーは菜種を中心とした穀物・油脂ビジネス、カルガリーでは石炭、エネルギー・輸送インフラ向け鋼材商内や最新技術を活用した農業(精密農業)など幅広く行っております。

現在カナダ全土では約60人体制で、そのうち日本からのスタッフは7名となっております。大きく分けて10部門ある中の6部門では、すでにカナダ三井物産採用のスタッフがジェネラルマネージャとして活躍しており、より現地・現場に根付いた体制で事業展開しています。

(平林)それぞれの都市の事業の特色を詳しく教えていただけますか。

(宮本氏)まずトロントは、自動車関係ですとトヨタ車の輸入、販売を50年以上行っております。またトヨタさんがカナダで生産する車両の鉄鋼製品や車のインテリア関係の化学品素材関係も取り扱っております。その他にもトヨタ自動車さんが新車を組み付ける際の部品のジャストインタイム方式の輸送も行っております。

以前はトヨタさん専用の物流会社として立ち上げた弊社のグループ会社が、この輸送・物流部分を四半世紀に渡って担っておりました。しかし、輸送・物流部分において更に地場に根差したパートナーと事業統合をした方がより良いサービス、経営ができるということで、2015年に弊社が北米で大規模なロジスティクスのネットワークを持つPENSKE TRUCK LEASEに2割出資した際に当該事業を統合しました。

現在はPENSKEがトヨタさんへの輸送・物流業務を引き続き行っております。また、オンタリオでは発電所への投資なども行っております。
 
(平林)トロントだけでも幅広い事業を行っていらっしゃるのですね。では、他の都市はいかがでしょうか。

(宮本氏)バンクーバーからは、食料の菜種、石炭を日本へ輸出しています。実際に菜種が取れる場所は、バンクーバーではなく、カナディアンロッキーより少し東側になります。菜種については日本向けの輸出として、弊社が約35%のシェアを現在持っております。

その他には、ウッドペレットと言って発電所で燃やすバイオの素材を日本の発電会社へ輸出しております。

ウィニペグでは、精密農業(プレサイス・アグリカルチャー)として、人工衛星から情報・データを取りつけ、天候や土壌の質などを自動的に判断するという新しい形の農業を行っております。最適な時期に種まきを行い、肥料や水についても、栽培するものに合わせて最適な時期を判断する施肥量最適化を図ることが出来ます。

これは、カナダの地場の財閥や保険会社と一緒にジョイントベンチャーとして行っています。時間のかかる事業ですので、まだまだすぐに結果を出すことが難しいですが、将来に繋がる楽しみな新しい取り組みを行っています。

(平林)人工衛星で最新の農業が可能になるのですね。では、御社の強みはどういった部分になりますでしょうか。

(宮本氏)弊社は昔から「人の三井」と言われてまして、「挑戦と創造」という考えが弊社のDNAとして埋め込まれている部分があります。新しいものに積極的にチャレンジをし、新規事業を作り出し発展させ育てていくというところだと思います。

したがい、カナダ物産の社員には、弊社の企業文化や考え方を理解して頂く機会を作る意味で、なるべく現場や日本へ出張する機会を作り、人を育てる機会を意識して作っています。

(平林)今後の目標や展望などがあればお願い致します。

(宮本氏)デリバラビリティという言葉をよく社内で利用するのですが、意味はとにかく結果を出す、信念として実現させるということになります。10年先をにらんだ新規事業の開拓、カナダの地場の戦略的パートナーを探して、一緒に新たな事業を創出していくことがミッションだと思っています。

(平林)では、このあたりで宮本社長のご経歴を教えてください。

(宮本氏)出身は大分県で大学からは東京になります。就職する時、海外、特に中南米に関わる仕事をしたいと思い、33年前に三井物産へ入社しなんとか希望どおり海外に関わる仕事ができています。

入社後は、東京で日本の自動車部品メーカーさんの商品を海外の自動車メーカーへ輸出する業務を行っていました。入社して以来、中南米に非常に興味がある旨しつこく上司に何度も何度も駐在希望を申し出ていたところ、入社5年目にトレーニー制度を利用して修業生としてブラジルへ行くことになりました。

まず最初の1年間はベロオリゾンチでポルトガル語の語学研修を行い、その後2年間はサンパウロで主に鉄道・機械関係の仕事をしていました。その後日本へ一旦戻ったあと、今度は南米チリにあるトヨタチリ(弊社100%出資)の販売担当取締役として5年赴任しました。

その頃、ちょうどタイの経済危機が起こり、それがアルゼンチンやチリへも波及して、現地通貨が対ドルでかなり安くなりました。チリにおける自動車販売は基本すべて輸入の為、販売価格を上げざるを得なくなり、マーケットが冷え込み、過剰在庫を抱えることとなり、自動車の販売が非常に困難な状況でした。

その後チリからブラジルに転勤となり、ブラジルでは2年間、飛行機のオペレーティング・リースの債権回収業務を行っていました。その後は、日本に戻り、名古屋勤務を経験し、ニューヨークに2年赴任し、今に至ります。

(平林)海外生活も長いですが、苦労されたことなどございますか。

(宮本氏)苦労と言う苦労はしていないと思うのですが、債権回収の仕事は、精神的にかなり辛い部分がありました。我々、債権を回収する側も苦労するのですが、債務者側も非常に厳しい状況だったと思います。

貸す側の立場というのも判断が非常に難しいとは思うのですが、回収に至る経緯の前に新たな商売を創る際に何か出来ることがあったのでは・あるのではないかと思いつつ回収業務を行っていました。

また、中南米は「待つ」というのが仕事、という時もお国柄でありましたが、そこは郷に入れば郷に従えですので、日本に対して状況説明をしっかり行い理解を得ること、待つだけではなく打開策含めた多様な切り口を変えて前へ進むための工夫を日々するようにしていました。

私生活の部分ですと、日本から距離が離れていますし、当時はネットなどもありませんでしたが、本や日本食の食材などに少し不便を感じた程度で、その不便さがまた懐かしいと思っています。

(平林)仕事をしている上で大切にしていることは何かありますか。

(宮本氏)仕事を行う上で「明るく、正しく、美しく」ということを大事にしています。役職上、例えば社長という肩書がつくようになると、周りのチーム・メンバーからは直接話しかけにくかったり、情報が集まって来ないということがないように、実際には難しいのですが、常に「明るく」自分から声がけするように心がけています。

「正しく」というのは、法令順守、コンプライアンス、会社の内規を守るということだけでなく、世間一般の常識、何か範たり得るものなども含めた正しさというものを求めなければいけないのではないかと思います。

「美しく」というのは、昨今インテグリティ、日本語訳だと高潔という解釈もありますが、私は相撲が好きなので白鵬で例えますと、ただ勝てばいいということではなく横綱相撲で真正面から受けて綺麗に美しく勝つということを心がけたいと思います。この3つが延いては、「ハイパフォーマンス ウィズ ハイインテグリティ」に繋がっていくのではないかと思います。

(平林)相撲がお好きと言うお話がありましたが、こちらでもスポーツ観戦などされていますか。

(宮本氏)それほどよく行くわけではありませんが、ニューヨークにいる時は野球やテニスを観戦しに行きました。ニューヨークではヤンキースやメッツの試合なども見に行っていましたし、トロントでは5月にブルージェイズの試合も観戦に行きました。

昨年初めてテニスのUSオープンで、錦織選手が逆転してマレーに勝った試合を見に行ったのですが、直接会場へ行くとやはりテレビとは違って錦織選手がギアチェンジするところが肌に伝わってきて、臨場感があり非常に良かったですね。

 
 NY駐在中、メッツの球場に生のイチロー(マーリンズ)を見に。

(平林)休日はどのようにお過ごしですか。

(宮本氏)ゴルフはばね指のため、ここ4~5年はしてないですね。そのためニューヨークにいた時は、通信教育で日本大学の大学院の修士コースを、2年間かけて勉強しました。レポートも合計24本提出しましたし、また修士論文は60枚位書き上げました。

年に一度、日本でのスクーリングにも参加しましたし、修士論文の際には口頭試問のために日本へ行ったりもしました。今回の通信教育では、日々の積み上げの大事さを非常に実感することが出来る良い機会となりました。

(平林)カナダで何かしたいことはありますか。

(宮本氏)中南米が長かったということもあり英語がイマイチですので、カナダの方ともっと交流を持ち、英語でジョークをとばせるくらい英語力を向上していきたいと思っています。

(平林)最後に商工会会員へのメッセージをお願いいたします。

(宮本氏)本年は理事もさせて頂いており、微力ながらもトロント商工会に貢献し、盛り上げていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

(平林)インタビューは以上となります。どうもありがとうございました。


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