「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第163回>
(個人会員)滝沢 純 Product Manager
OMORI NORTH AMERICA INC.
オーモリノースアメリカの滝沢氏に取材をして参りました。オフィスの場所はトロントの北西に位置するBoltonで、トロントからは1時間弱のドライブです。

オフィス内には、製品である包装機械が陳列されたショールームや、プラスチックトレイとパッドを貼り付ける作業場、そして広い倉庫が内設されていました。

スライドやビデオによる会社説明と、包装した商品のサンプルをご用意下さり、大変分かり易くご説明を頂きました。また、初めて耳にした、ミニベロでポタリングというご趣味についてもお話しいただきました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(滝沢氏)オーモリノースアメリカは、包装機械の製造販売メーカーである大森機械工業株式会社のカナダの子会社です。事業内容は大森機械工業の包装機械の販売サービスと、食品用の包装資材の加工販売、そして同じ敷地内にあるグループ会社ICPの機械や資材の運送業務も行っています。それら全てを含めると現在33名の従業員がおり、日本からの出向者は私1名です。

創業は1987年です。当時はB.W. Cooneyという社名で、大森機械工業の代理店でした。2012年10月に大森本社が株の50%を取得しまして、オーモリノースアメリカという社名に変更いたしました。

また、こちらは北米本社ですので、カナダ・アメリカの北米全体を管轄しています。アメリカにはホームオフィスとしてサービスの者がおりますが、現在アメリカにもオフィスを作ろうと話を進めており、来年頃から本格的に計画を進めていく予定です。

(松田) 御社の製品である包装機械について、ご説明頂けますでしょうか。

(滝沢氏)お客様は、主にカナダ、アメリカの食品や医薬品などのメーカー様です。主力機種は主に2つあり、横ピロー包装機と横流れ式ストレッチ包装機です。合計して700台以上の販売実績があります。

横ピロー包装機についてですが、フィルムのロールを使い、最初に筒を作ってシールをし、その筒の中に食品や医薬品といった商品を定ピッチで送りこみ、商品と商品の間をシール&カットして1つ1つのパッケージを完成させるという工程を自動で行う機械です。

パッケージの例として、カナダのスーパーに売っているチーズがあります。このパッケージが枕の形に似ているために“ピロー包装”という名称で、また、商品を水平に搬送していく工程で包装する機械なので“横”ピロー包装機と呼ばれています。当社では製造していませんが、例えばポテトチップスなど、重力によって落下する工程において包装する縦ピロー包装機というものも存在します。
もう一つのストレッチ包装機は、例えばスーパーで売られている肉類やマッシュルームの包装に使用されます。商品が入っているトレイをストレッチフィルムと呼ばれる伸びるフィルムで包装し、トレイの底側にフィルムを折り込んで包みます(折込包装)。この工程を自動的に行う機械です。

この横流れストレッチ包装機は、大森機械工業の創業者である大森昌三が、世界で初めて開発した機械です。彼が開発した当時からこのような包装をする機械は存在したのですが、大森の機械は、商品を横流れにすることによって高速包装を可能にしました。当時存在していた機械は毎分30パックが最高だったところ、大森の機械は80パックを包装することができました。

その後も技術的な改良を重ね、現在では毎分180パックの包装が可能です。数十年前に開発された製品ですが、いまだに北米でベストセラーになっており、特に北米では肉類がたくさん消費されますので、食肉メーカー様に非常に好評な製品です。

(松田)包装機のビデオ内で、包装された肉類が更に別のパッケージで包装されていましたが、あれは何でしょうか。

(滝沢氏)肉類はその性質から数日で色が変わってしまいますが、北米では大抵の場合、スーパー等のリテイラーのバックヤードではなく、プロセスセンターというところで加工から包装までを行い、リテイラーに配送されます。北米では地理的に、プロセスセンターからリテイラーまでの距離が遠いところが多いため、配送に、数日から遠いところでは一週間近くかかってしまうことがあります。

ビデオ内の機械は、パックされた肉類を数個まとめて一つのピロー包装で再度包み、配送中の変色を防ぐために、そこに窒素や二酸化炭素等のガスを注入するものです。これは地理的にプロセスセンターとリテイラーの距離が近い日本では行っておらず、北米特有の製品です。

(松田)北米の環境に合わせて開発された機械なんですね。では、包装資材の販売事業についてもご説明いただけますか。

(滝沢氏)当社の事業の中で2番目の大きな柱である包装資材販売ですが、日本でラップと呼ばれる包装用のフィルムの販売と、発泡スチロールのトレイに、お肉のドリップ(水分)を吸収するための吸水パッドを張り合わせる事業の2つを行っています。当社ではトレイとパッドを他社より購入し、ここ本社内の設備にて貼り合わせ、それを食肉メーカー様に再販売しています。その事業が包装資材販売の中で一番大きな売り上げを占めています。

売り上げの比率的には、機械販売よりも資材販売の方が多いのが現状です。ストレッチ包装機はベストセラーで安定して売れていますので、前任者や私のような日本からの出向者の使命は、横ピロー包装機の拡販であり、今後引き続き力を入れていきたいと思っています。

(松田)御社の強みはどちらにあると思われますか。

(滝沢氏)大森機械工業の製品は、カスタムメイドが可能なものが多いため、基本的にはお客様のご要望にお応えした機械を製造いたします。お客様とやりとりを重ねた上で、機械のスペックを決め、ソリューションをご提案させていただいておりますので、無理難題もなるべく断らず、実現することが、強みであると思っています。

また、先ほども申し上げましたが、世界最高速のストレッチ包装機をラインナップとして持っていることは非常に大きな強みです。

ピロー包装機に関しても強みがありまして、高速密封性に非常に長けた機械を作っています。密封性とは、簡単にいうとシールの強度です。当社の機械ではシール強度を上げることが可能ですので、長期間の日持ちが可能です。当社には、強度の密封をしながら、毎分400パックという高速で包装できるピロー包装機があり、おそらく密封できる機械の中では世界最速であると思います。

(松田)世界最速の機械を2種類も持っているということなんですね。では御社が今後特に力を入れていきたいことはどのようなことでしょうか。

(滝沢氏)数年前から、横ピロー包装機の拡販のために、製菓製パン業界へ拡充を試みておりましたが、現在順調に販売が伸びておりますので、引き続き力を入れていきたいと思っています。また、数年前に日本本社がインドのピロー包装機メーカーを買収して、今はOMORIグループの3ヵ国目の製造拠点となっています。

その会社は、インドの製菓製パン業界に強く、特にクッキー・ビスケット包装では横ピロー包装機のトップシェアを持っております。彼らのノウハウを北米でも活用したいと思っており、彼らに定期的に来てもらって、一緒にお客様を訪問する予定です。

また、“包装”というと、特に日本では、過剰包装というイメージが先行してしまって、包装は環境に良くないというイメージを持っている方がいらっしゃるのが現状です。けれど実際は、包装には商品を衛生的に保護する意味と、賞味期限を保つという役割があり、特に食品や医薬品には欠かせないものです。

一方で、包装材料は、包装を剥がした瞬間にゴミになりますので、きちんと分別されずに捨てられてしまったり、地面や海等に捨てられてしまったりすると、生態系に影響を与えてしまいます。フィルムが首に巻きついてしまった海鳥などの映像も存在するなど、ゴミ問題は非常に深刻です。

我々が着目しているのは、リサイクルが容易にできる包装資材への対応、そして、時間を置くと自然に土に還る、生分解性プラスチックに対応した包装機械の開発です。生分解性プラスチックは、コスト的な問題でまだ一般的にはなっておりませんし、これは我々包装機械メーカーのみでできることではなく、包装資材メーカー様やそれらを買ってくださる食品メーカー様と一緒に、将来的に進めていけたらと考えています。

(松田)未来の地球環境に配慮されたプロジェクトで素晴らしいですね。では滝沢さんのご経歴についてもお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(滝沢氏)東京で生まれて、小学校の時に埼玉に引っ越しました。高校と大学は東京に通い、大学卒業後に埼玉県に本社のある大森機械工業に就職しました。

私は映画が大変好きで、ハリウッド映画などをよく観ていました。ある時字幕で見ていたら、主人公のしゃべっている英語と字幕の内容が違うことに気づいたんです。英語は実際なんて言っているんだろうと気になり始め、そこから英語に大変興味を持ち始め、大学時代は英会話サークルに入り、英会話を学びました。そのため、就職するに当たっては、海外と接点をもったものづくり企業に入社したいと希望し、縁があって大森機械工業に就職しました。

(松田)ご入社後は、どのようなお仕事をされていましたか。

(滝沢氏)入社後に配属されたのは、国際部という海外営業を担う部署で、最初の1年は先輩のお手伝いという形でシンガポールやオーストラリアの担当をしました。その後フランス、イタリア、スペインといった南ヨーロッパと、北米を担当するようになり、それを昨年まで続けていました。

仕事内容は、各国にある代理店からプロジェクトをもらったら、それに対するソリューションを提案するために頻繁にやり取りを行い、時には代理店の方とお客様へ同行訪問をするというものでした。所属は営業部なのですが、本社の技術部には英語ができる人が限られていましたので、海外のお客様や代理店からの包装機に対する技術的な質問に対する仲介役としての仕事もしていました。

技術面の勉強はなかなか苦労をしたのですが、そういった知識が営業にも生かせるとわかってからは、技術部に頻繁に通って質問をするなどして積極的に勉強をし、その知識は今の仕事にも大変活かされています。

そして昨年の7月にカナダに着任しました。

(松田)ご駐在としては海外は初めてとのことですが、実際来てみて意外だったことはありますか。

(滝沢氏)北米を担当していましたが、出張はアメリカの方が多く、カナダには3回しか来たことがありませんでした。そのためあまり深くは知らなかったのですが、実際にこちらに来てみると、カナダの方々は、仕事と生活の調和が非常によく取れていると感じました。当社の従業員も、とにかく早く仕事を終わらせて、時間が来たらすぐに家に帰って家族と時間を過ごそう、という姿勢で、大変素晴らしいと思います。

また、アメリカではできるだけ“Sorry”と言わないようにと言われて心がけていたのですが、カナダでは皆普通に“Sorry”と言いますし、日本人に近いと感じられてその違いに大変驚きました。カナダの方は穏やかだという印象を持っています。

あと、アメリカと比べてですが、食べ物が美味しいですね。アメリカでは多くの料理がアメリカ風にアレンジされているのに反し、カナダでは移民の文化を尊重していますので、地元の味をそのまま味わうことができ、美味しいお食事が多いと思います。

(松田)では滝沢さんがこれまでで一番印象に残っているお仕事はどのようなものでしょうか。

(滝沢氏)大分昔の話になるのですが、機械の点検でアメリカに緊急出張した時のことが大変印象に残っています。アメリカの食肉メーカー様に納入した横ピロー包装機の調子があまり良くないということで、代理店から緊急出張で技術者を送って欲しいという要望がありました。私は本社で北米を担当していたので、一緒に通訳兼コーディネーターとして同行しました。

最初は単純な機械の調整不足だろうと思ったのですが、現地で確認してみると、その原因というのが、代理店の販売担当者とお客様の間で機械のスペックに対する認識の違いが生じており、前行程から受け取る商品のスピードに対応していない機械を納入してしまっていたんです。

そのような状況では、本来でしたら他の高速対応の機械に置き換えさせていただくように対応しますが、当社の機械はカスタムメイドなので、再納入までに時間がかかります。そして、そのお客様は生産のノルマがあるということでしたので、何とか現地で解決をしなければならず、何日か徹夜を重ねて改良を行いました。

徹夜も辛かったですが、一番辛かったのは、食肉工場なので工場内の気温が2、3度ととても寒かったことです。夏の時期だったのですが、休憩時間になると厚着のまま屋外に飛び出して、日なたでホットコーヒーを飲んで体を温めていました。

2週間ほどそのような作業を行い、条件付きではありますが何とか生産に繋げることができました。しかしお客様のノルマがショートしておりましたので、工場長には怒られるだろうと覚悟しながら報告に行ったのですが、開口一番「お前たちはよくやってくれた」と褒めて頂き、「まだ改良が必要なことはわかるが、我々ができることは教えて欲しい」と言ってもらい、それがすごく驚いたと同時に感極まってしまいました。

帰国後はすぐに改善策を練り対応し、そのお客様からはその後何十台も機械を購入して頂いております。本社の社風でもありますが、“すぐには諦めない”ということを、現地でも貫いたことが結果として良かったんだと思いますが、それを身を持って体験した、大変思い出深い出来事です。

(松田)滝沢さんがお仕事を進める上で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(滝沢氏)お客様のお問合せに対して、“求められている以上の回答を提示すること”そして“メーカーのエゴを押し付けないこと”を心がけています。

お客様のご要望に対して確実に応えることは最低条件ではありますが、お客様の環境や条件に応じて、多少ご要望とは異なっても、よりお客様にとって良いと思える新しい提案ができるように、そして、機械メーカーとしては、こだわりのあるスペックを前面にアピールしてしまいがちなのですが、それはお客様にとってはあまり関係のないこともあります。そういったメーカーのエゴのようなものを押し付けないように、お客様にとってのメリットを察知することを常に念頭に置いています。

(松田)プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味はなんでしょうか。

(滝沢氏)中学までは軟式テニスをしておりました。しかし球技全般にセンスを感じられなかったので(笑)、高校では映画サークル、大学では英会話サークルに所属していました。

また、4年くらい前からサイクリングを始めました。サイクリングと言いましても、ロードバイクと呼ばれる本格的なものではないんです。ミニベロってご存知でしょうか。小径車という、タイヤが小さい自転車なのですが、それに乗って、ポタリングをしています。

(松田)すみません、ミニベロもポタリングも初めてお伺いしましたが、どういったものでしょうか。

(滝沢氏)ポタリングとは、スピード重視のサイクリングではなく、ゆっくりと景色を楽しみながらサイクリングをすることです。車よりもゆっくりと走れるので、風景が楽しめたり、気になるお店があったらすぐに止めて立ち寄ることができたりします。一時期は、移動はほとんど自転車で、車に全く乗らない時期もあったほど、大変楽しんでいました。

ミニベロで100㎞走ったこともあります。片道50kmを走り、ラーメンだけ食べて帰ってきたのですが、サイクリングショップの方には、変態レベルだと言われてしまいました(笑)。タイヤは小さいのですが、変速機が付いているため、漕ぐ回数が少なくてもたくさんタイヤが回るようになっているんです。いわゆるママチャリよりは早く、時速20km台で走ることができます。

(松田)ミニベロはこちらにも持って来られているんですか。

(滝沢氏)こちらが夏の間にやりたいと思っていたので、先日日本に出張があった際に持ってきたんです。それは折りたたみのミニベロなのですが、一番大きいサイズのスーツケースに入るんですよ。また、折りたたんで簡単に持ち運びができるので、ポタリングの後に疲れたら、帰りはTTCに乗って帰って来れます(笑)。

(松田)スーツケースに入るなんてびっくりです。初めて聞きましたが、大変興味が出てきましたので、また詳しく聞かせてください。ご着任から丁度1年が経ったところですが、今後カナダ在住中に挑戦したいことはありますか。

(滝沢氏)キャンプはしてみたいと思っています。日本ではあまり行う機会がありませんでしたが、若い時はボーイスカウトに入っていました。しかし、そこでのキャンプは、キャンバス地のテントを木に括り付けたり、雨の対策のために周りに堀を掘ったりと、テントを張るのに数時間かかるような本格的なものだったため、苦労した思い出しかありません(笑)。けれど、今は道具も進化していてもっと気軽にできそうなので、自然がいっぱいのカナダにいるうちに体験したいと思っています。

また、ワインが好きなので、ナイアガラ地域などのワイナリーを訪問したいのと、あとは音楽、特にテクノ(EDM)が好きなのですが、こちらではフェスやクラブなどのイベントが盛んなようなので、足を運びたいと思っています。

(松田)色々なご興味があり、これからが楽しみですね。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(滝沢氏)弊社はB to B企業でニッチな業界におりますが、商工会が主催しているイベントなどを通じて、全く異業種の方とお目にかかり学ばせていただくことが多く、商工会を始め会員の皆様にも非常に感謝をしております。カナダに来ている日系の包装機械メーカーというのは他にはないとのことですので、会員の方やお知り合いの方がパッケージについてご要望や質問がありましたら、是非お声がけを頂ければと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

 
 社長夫妻とクリスマスパーティーにて


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