「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第161回>
仲 順也 トロント補習授業校 校長Principal
多田 豊秀 トロント補習授業校 教頭Vice Principal

The Japanese School of Toronto Shokokai Inc.(トロント補習授業校)

今回の代表者インタビューは、トロント補習授業校にこの4月にご着任された、仲校長先生と多田教頭先生にお話を伺って参りました。

トロント補習授業校は、St. Clair Westエリアにある現地校Mcmurrich Junior Public Schoolと、Winona Drive Senior Public Schoolの校舎を借用し、土曜日に授業を行っています。大規模校として、日本の文部科学省から2名(校長・教頭) の教員が派遣されている学校です。今回は、校長先生と教頭先生が平日にご常駐されている事務局にて、過去のご経歴や、教育・学校運営目標、プライベート等についてお伺いしてきました。

(松田)トロント補習授業校について、ご紹介をいただけますでしょうか。

(仲校長)トロント補習授業校は、1973年9月にトロント日本商工会により設立され、現在も商工会の支援を受けて運営しております。文部科学省の学習指導要領に基づいて、日本の国語、社会、算数、数学、理科、生活科の教科書を使い、児童・生徒に教えています。毎週土曜日を授業日とし、日本の学年相応の授業を年間40日間で行いますので、児童・生徒は大変な努力が必要です。

歴史は積み重なり、児童・生徒数も増え、現在は幼稚部から高等部まで併せて600名(2017年6月現在)が通学しています。教職員数は我々2名を含めて45名です。

(松田)4月の上旬にご着任され、丁度2ヵ月程が経ちますが、今後はどのような目標をお持ちでしょうか。

(仲校長)学校全体のビジョンとしては、児童・生徒、教職員、保護者がしっかりとした絆で結ばれ、それぞれが寄り添って作っていく学校でありたいと思っています。そのために、我々は学校運営の中で、教育課程の編成などにしっかりと力を注いでいかなければいけないと考えています。

(松田)仲校長先生のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(仲校長)兵庫県伊丹市で生まれ育ちました。大学は奈良に行きましたが、就職の際には伊丹市に戻り、自身が通った伊丹小学校に勤めました。その後、1996年4月から2000年3月まで、スペインのマドリッド日本人学校に4年間勤務しました。日本に帰国後は、また伊丹市に戻り、教頭職、校長職を務め、最後の2年間は幼稚園の園長を兼務しました。

(松田)今回文部科学省のシニア派遣としてご着任されましたが、どのような経緯でご応募されたのでしょうか。

(仲校長)マドリッド日本人学校での経験の中で、在外教育施設の厳しい状況下でも頑張る子供たちの姿を見ながら、在外教育施設にもう一度勤めたい、日本人学校や補習授業校にて管理職になり、学校造りに力を注ぎたい、という気持ちになりました。退職までその気持ちは消えることなく、27年度シニア派遣の募集に応募し、1年間の登録の後、今年トロントに着任いたしました。

在外教育施設は、アイデアがすぐに活動に活かせるという良さがあります。学校長や教職員一人ひとりのアイデアから様々な活動が生まれるとともに、生きる活動としてすぐに展開できる、それが一番の魅力でした。トロント補習授業校でも、アイデアを活かしてさまざまに教育活動ができればと思っています。

(松田)仲校長先生がこれまでの教員人生を通じて、大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(仲校長)座右の銘といいますか、大事にしている言葉は、「筍(まこと)に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」という「大学」という中国の書物の中に含まれている言葉です。その言葉が表すように、“日々がいつでも新たになるように修養に心がける”ということを常に念頭に置いています。

また、企業マネジメントにおいて、マーケティングとイノベーションの大切さはよく説かれますが、それは教育においても同じです。教育におけるマーケティングとイノベーション(不易と流行)、これまで大切に培ってきた不変なるものはしっかりと育て、同時に新しいものへの挑戦を忘れずに新規開発をしていく。その時代に合った課題をしっかりと見据えて、解決し、学校の中で子供たちが生き生きと活動できる教育課程の編成を行いたいと思っています。

(松田)多田教頭先生にもお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(多田教頭)生まれは山形県です。大学卒業後は、埼玉県の中学校の社会科の教員をしておりました。1996年4月から1999年3月の3年間は、北京の日本人学校に赴任をしました。日本に帰国後は、また埼玉県の中学校の教員に戻りましたので、正直申し上げて、校種は日本人学校での小学部以外は中学校のみしか経験がありません。

(松田)北京の日本人学校では、どのようなご経験が印象深いですか。

(多田教頭)当時、北京の日本人学校の生徒数は、小学部と中学部を併せて300名から400名を推移する程でした。私の担当は中学部が主でしたが、日本国内と比べて生徒たちは時間の制約が多い中での活動でした。子供たちはスクールバスで通学しますので、授業が終わればすぐに帰宅。放課後に活動できる時間はほとんどありませんでした。しかしそうした状況の中でアイデアを出し合い、様々な行事、例えば運動会や文化祭などを、生徒たちの手で創り上げていたのが印象的でした。

海外にいるということで、学力面での心配もあったと思いますが、生徒たちは皆大変努力をしていたことも、心に残っています。

また、小学部と中学部を交えて縦割りの活動というのが年に何回か取り入れられていましたが、その時の中学生の小学生への接し方が、大変親身でしっかりとしていて、普段の教室では見られない姿が随所で見られました。教師からすると意外だと思える生徒が、小学生に優しく声をかけていたり、手を引いて歩いていたり、と生徒一人一人が持つ良さが学校生活の中で出ていたことが印象深いです。

また、これは学校の話ではないですが、着任1年後くらいから、日本人が考えている“豊かさ”というものに疑問を抱き始めました。それまでは、“お金がある=豊か”のように考えてしまいがちでしたが、90年代後半の北京にはお金をあまり持っていない人々も多かったと思いますが、それにも関わらず、彼らの方が豊かなのでは、と感じたことを今も覚えています。日々の生活が充実しているように感じたんですね。このことに関しては、未だに私の中で答えは出ていません。

(松田)多田教頭先生がこれまでの教員人生を通じて、心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(多田教頭)まずは、生徒に対してですが、“静と動”を意識して行動できるようになることを指導するよう心がけています。身体を動かさずに座っていれば“静”。その中にも、頭の中で考えを巡らす“動”もあるのです。

あとは実際の身体の動きですね。動くときは動く、止まる時は止まる、という指導をやってきました。それが出来る子ども達が集う学校であれば、学力そして生活指導の両面で成果が上がると考えてやっています。

学校運営という面では、“継承と創造”です。過去から培われた継承すべきもの、そしてそれを土台にして次に創り上げるもの、その二つを常に考え、心に留めて運営したいと思っています。

(松田)お2人のプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、仲校長先生のご趣味は何でしょうか。

(仲校長)小さい頃から剣道をしています。20歳からサッカーを始めたため少し間が空いてしまいましたが、再開し、今四段です。先日、トロントの日系文化会館を訪れましたら、道場で大人と子供が剣道のレッスンをしていました。私も仲間に加わり、少しずつ始めていければと思っています。

また、三味線をはじめています。私は後輩の教員に、「絶対に自分のためになるから、海外の日本人学校に行くように」と言っています。そして、手に技をつけて行くようにと伝えています。技というのは、日本に根付いている何かということです。

例えば、太鼓や三味線などの音楽でも良いですし、他の日本文化でも良いですね。私は三味線を学びたいと思い、1年程ですが津軽三味線のレッスンを受けてきました。少しだけですが曲を弾けるようになりました。そういった楽器を弾ける仲間が出来て、一緒に演奏したりできれば楽しいでしょうね。

(松田)三味線の生演奏を聴ける機会はなかなかありませんので、児童・生徒さんたちも喜ばれるのではないでしょうか。では、トロントにはどのような印象をお持ちですか。

(仲校長)私は毎日Yonge x St. Clairからストリートカーに乗ってSt. Clair Westエリアへ通勤していますが、この通り沿いには古い教会や古い建物が多く、古さの中に新しい街づくりがあって、上手く融合されているきれいな街だと感じています。

(松田)多田教頭先生はご趣味はありますか。

(多田教頭)テニスを少しやります。特別習ったことはなく、好きで続けているという感じですが。年数で言えば20年ほどになるのですが、週1回、ラケット振っているよりも喋っている方が多いのでは、と言われるような集まりでしたので、それほど上手ではありません(笑)。

(松田)これからトロントは気持ちの良い季節ですので、色々と楽しんで頂きたいですね。多田教頭先生は、トロントにはどのような印象をお持ちでしょうか。

(多田教頭)私はノースヨークエリアに住んでいるのですが、我々のようなアジア人もいれば、白人、黒人、中東系の人たち、といった様々な人種がごく当たり前に一緒に暮らしているというのが、知識としては知っていたものの、それを実際目の当たりにして驚いています。そして、人々がフランクで大変過ごしやすいですね。これがトロントの一番の良さなんだろうと、感じています。

また、日本がゴールデンウイークであった5月初旬頃の寒さにはびっくりしました。日本では夏日が続いていたのに、こちらでは連日10度以下でしたね。また、4月初めに来た時、飛行機から見る景色は“茶色”だったんです。しかしこの1ヵ月であっという間に緑が増え、色濃くなり、木々の芽吹きの速さに驚いています。

(松田)トロントでは、1日で緑が増え、朝と夕方の印象がガラッと変わる日もあるんです。素敵なところもたくさんありますので、これから楽しんでください。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(仲校長)補習授業校は商工会の皆様のご支援で成り立っています。皆様の期待に応えられるように、しっかりとした学校造りを進めていきたいと思います。子供の笑顔が消えることのないような良い学校にしたいと思っておりますので、引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

(多田教頭)通学してくる子供たちのために頑張りたいと思いますので、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。


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