リレー随筆



トロントでの剣道
Murata Power Solutions Inc. 小山 高則


息子が小学校1年のころ、近所にある剣道道場の勧誘広告を見つけ、その辺の棒を拾っては振り回していた息子にやらせてみようと思いたち、それなら自分も数十年ぶりに竹刀を振るか、と共に道場の門をたたいたのが約7年前でした。

それから約4年後トロントに来ることが決まり、それまで親子共々続けていた剣道を何とか続けることはできないかと着任早々道場を探し始めました。

認知度が低そうな剣道の道場を見つけるのは難しいのではないか、とはじめは考えていました。しかし、その数は私が考えていたよりも意外と多く、そのうち自宅から比較的近い2箇所に下見に行き、最終的に補習校に近い道場に行くことに決めました。

初めて稽古に加えていただいたときの印象は、「同じだ」でした。国が違えども、稽古しているものは「剣道」なので当然のことではありますが、メンバーはもちろん日本人だけではありませんし、指導は英語で行われており、これが非常に新鮮でした。剣道も英語で教えることができるものなのかと変に感心してしまった記憶があります。

試合にもいくつか出させていただきました。大きな試合となるとかなり遠方からも参加者が集まります。日本では京都の道場に所属していましたが、試合をするのに京都から出たことはありませんでした。

そんな私がデトロイトで行われた試合にも国境を越えて参加させていただきました。剣道の試合でパスポートを携帯し、国境で「KendoというMartial artのTournamentに参加する」と説明することになるとは夢にも思いませんでしたが、国際試合に出たような気分になり、なかなか面白い経験でした。

また昇段試験も経験しました。まずは自分や所属する道場の情報等をCKF(Canadian Kendo Federation)に登録しておく必要があります。試験はカナダ各地で行われますが、私の場合はトロントで行われるときを狙い、先生の了承を得て受験申し込みしました。

試験内容は筆記と実技です。まずは実技試験の日までに筆記試験にパスしなくてはなりません。剣道について英語で書くのは難しく、どのように表現するのがよいか色々模索し何度か書き直した後、メールで送付して筆記試験を何とかクリアすることが出来ました。

筆記にパスすると、いよいよ実技試験となります。内容は日本と同じ、3人一組で2試合こなし、その後「剣道型」の演武。何とか合格し、昇段することができました。

日本は剣道人口が減ってきているとはいえ本場であり、子供たちにとっても競いあう相手を見つけるのはそれほど難しいことではないと思います。一方で、トロントにも剣道を練習している少年少女剣士が存在します。私の息子もトロント近郊で開催されるJunior Tournament に何度か参加させていただきました。ただ、やはりその人数が少ない事は否めません。

剣道に限らず、基礎稽古は味気なくなりがちで、また上達しても稽古内容は厳しくなっていきます。その中で競える相手が多くいることは続けることにおいて励みとなるに違いなく、その相手が少ないのは残念だと思っていました。

そこで少しでも頑張っている子ども達の役に立てないかと、最近では所属している道場で子ども達の練習の手伝いをさせていただいていました。カナダで剣道をしている子供たちがこの先も剣道を楽しみ、続けてくれればと願ってやみません。



この号の目次へ戻る   「リレー随筆」記事一覧ページへ