「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<153回>
小岩井 純 President
TS Tech Canada Inc.

TS Tech Canadaの小岩井社長にインタビューをして参りました。オフィスはニューマーケット市です。隣接している工場も見学させていただきました。

本インタビューでも触れられている、2015年に新規導入された設備により、自動化・ロボット化が進んでおり、特に、AGC(自動搬送カート)が、無人でフレームを搬送している姿には驚きました。

駐在生活がもうすぐ18年、そして20年ぶりにカナダに戻られた小岩井社長の、様々なご経験やプライベートをお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(小岩井氏)テイ・エス・テックカナダは、四輪車載用のシートコンポーネントの生産をしております。 主要なお客様はホンダオブカナダMfg.で、こちらに隣接している工場にて、CivicそしてCR-Vのフレーム溶接とシート組立を行っております。先月まで近隣にもう1つ工場があったのですが、CR-Vの新型の導入とともに現在の形に集約いたしました。年間生産量はCivicとCR-V合わせて2016年度実績で約41万台、従業員数は約770名です。設立は1996年で、昨年20周年を迎えました。

テイ・エス・テックのグローバル本社である日本の下に、米州、中国、アジア/欧州、日本と4つの地域拠点がありますが、テイ・エス・テックカナダは、米州のテイ・エス・テックアメリカズという本社機能の傘下に入っております。米州には、生産品目別にシート5拠点、内装3拠点、部品8拠点があり、テイ・エス・テックカナダは、オハイオ、インディアナ、アラバマ、ブラジルと同じシート拠点の1つです。カナダにはスカボロー市にトライモント社というドア内装工場もあります。

製品であるシートは、プレス部品、溶接SUB、そして樹脂部品やシートの表皮、ヘッドレストといったパーツを北米内の各シート拠点や部品拠点から輸入し、こちらで組立をしています。

(松田)御社の工場では、新しい機械を導入されたとのことですが、ご説明頂けますでしょうか。

(小岩井氏)量産に伴い、工場では著しく自動化が進んでいます。最近では2015年9月に多くの機械を新規導入いたしました。専門的になってしまいますが、生産能力435台/シフトのスライドレールリベット機、SWS(Seat Weight Sensor)組み付け機、そして一括溶接機を始めとした様々な機械を取り入れました。

これまでのフレームはフロントバッグフレームとクッションフレームをそれぞれ締め付けるフレーム構造だったのですが、現在の2016年版Civicから、全ての部品を治具にセットし一緒に溶接できる仕様に進化しております。そのためCivic専用の一括溶接機を2台、CR-V用に2台と合計4台導入しました。

その他には、物流効率改善のため、360脚フレームを保管できるフレームバッファ、そしてAGC(自動搬送カート)も導入しました。AGCにて無人で搬出をし、自動的にメインラインに供給します。そしてASRS(自動倉庫システム)では、完成品が搬入されると、入出庫や在庫を自動で管理し、出荷スケジュール通りに出荷していくことが可能です。

(松田)工場を見学させていただきましたが、新時代の工場という感じでした。成長を続けられている御社の強みはどちらにあると思われますか。

(小岩井氏)CivicとCR-V、これらは世界中で生産・販売されている車種です。そのため、部品等をグローバルで調達が出来る、製造の方案や技術、改善案を世界中と共有し合うことが出来る、ということを含めて、最適な生産が出来るということが、強みだと思っています。

先日、日本で生産技術会議があり、当社の駐在員と現地スタッフが参加しました。その会議では世界各国から担当者が集まり、それぞれの生産現場での技術や改善策等を共有し合います。もちろん全ての情報を北米の生産にそのまま活かせるということではありませんが、様々な観点・状況からの意見や情報を得ることができ、品質管理や生産技術の進化において大変有意義な場となっています。

(松田)今後御社が特に力を入れていかれたいことはどのようなことでしょうか。

(小岩井氏)テイ・エス・テックの企業理念は「喜ばれる企業」と「人材重視」です。CSR活動に力を入れ、地域と一緒になり、地域に喜んでもらえる活動をしていきたいと思っています。そしてそのためには、当社で働いている従業員が幸せになることが第一だと思っています。

従業員が幸せを感じ、会社に行くのが楽しい、仕事をしているのが楽しい、そんな風に感じられる会社造りができればと思っています。これは来期からの中期目標に入れていき、中期的なスパンで達成していきたいと考えております。

(松田)小岩井社長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(小岩井氏)出身は神奈川県の相模原市です。小学1年生まで相模原で過ごし、その後父の仕事の関係で千葉県の流山市に転校しました。5年ほど過ごした後、埼玉県の坂戸市に引っ越し、その後はずっと坂戸市におりました。そして、大学を卒業後、埼玉県朝霞市に本社のある東京シート株式会社(現テイ・エス・テック)に入社しました。入社が1986年でしたので、昨年でちょうど勤続30年となりました。

小さい頃から車が好きで、車関係の仕事がしたいと思っていたのですが、私が大学生の当時、ホンダさんの車が大変人気があり、部品関係もそれに伴い大変伸びておりました。東京シートは名前の通り車のシートを生産し、あらゆる内装や部品も生産しており、また埼玉県内の同業者で売上高も一番だったのです。

また、東京シートは、現在テイ・エス・テックアメリカズの子会社であるトライコン社をその当時既に子会社化していました。私は、大学の時に1カ月ずつ2回、アメリカにいる叔母の家に滞在していた時期があったのですが、その時の経験から、アメリカで仕事をしたい、グローバルに活動する会社で働きたいという思いを抱いたのですね。そのため、入社を決意しました。

(松田)ご入社後はどのようなお仕事に従事されましたか。

(小岩井氏)入社後は、狭山工場(現在は行田工場と統括されて埼玉工場)の品質課に配属されました。当時狭山工場は内装品を作っており、私はドアライナーの品質担当となりました。そして2年後の1988年の3月に、オハイオ州にあるTS Trim Industriesに応援に行くようにと言われました。

何人かと一緒の出張だったのですが、他の皆は3カ月という指示だったのに、私だけ何故か6カ月と言われ、結局延長して7カ月滞在し、日本に帰国すると「また2カ月行ってください」と言われ、結局年を越して帰国すると「また行って下さい」と言われ、結局その1年のほとんどをオハイオで過ごしたのです。

そうこうしているうちに、「ビザが取れました」と言われて驚いたのですが、1989年の7月にTS Trim Industriesに赴任することになりました。そこでは、アコードのドア生産の品質管理をしました。不具合も色々とあり、厳しい立ち上げではあったのですが、半年ほど経ち「落ち着いてきたな」と思った頃に、オハイオ州の少し田舎のアーセンズというところにあるTS Trim Industries の裁断、縫製工場に異動することになりました。そこはトリムカバーを生産している工場で、その異動後も大変多忙でした。

駐在が決まった時に、家内と籍を入れ、日本で結婚式を挙げることにしたのですが、日本に帰国した翌日に衣装合わせと打ち合わせをし、その翌日に結婚式を行い、その翌日にアメリカに戻る、といった大変バタバタとした帰国になってしまいました。

家内がアメリカに来てからも、なかなか家にも帰れず、本当に苦労をかけてしまったと思います。ただ、その駐在中に2人の子供が生まれましたので、大変思い出深いですね。そこで5年間過ごした後、95年の春に日本に帰国しました。

帰国後は、朝霞本社の品質管理部に所属となりました。その後、フィリピンに裁断縫製の工場が出来るということで、 私のアーセン工場での経験が買われ、2カ月間に5回の出張を合計10カ月続け工場の立ち上げに携わりました。当時は子供が小さかったので、2カ月毎に家に帰っても、「この人誰?」みたいな感じだったので、少し寂しい思いもしましたね(笑)。

(松田)ご入社数年で、ご希望のアメリカでのお仕事に就かれましたが、本当にお忙しかったんですね。その後カナダに来られることになるんですね。

(小岩井氏)品質管理部には2年半ほど在籍し、1997年、ちょうど20年前に、ここのニューマーケット工場を立ち上げるため、カナダに駐在をすることになりました。実はテイ・エス・テック・カナダはその少し前からあったのですが、アリストンにあるホンダさんの工場の敷地内でシートを生産していました。

そしてニューマーケットにTS Tech Canadaの工場を作ることになったのですが、距離の関係もあり、工場移転と共にアリストンから移ってきてくれる従業員はあまりおらず、12名ほどでした。そのため、当地にて従業員をたくさん採用したのですが、当然のことながら、全くの新人に教える、ということがどれだけ大変なことなのか身に染みましたね。

例えば、ある工程で使用する部品はきちんと纏めておいてあるのに、出来上がったシートに不具合があったので解体してみたら、他の部署から持ってきたボルトが使われていた、という想像できないような間違えをされてしまったこともありました。そういった経験を経て、教育計画を練り直しました。

現在、20年後に当地に戻ってきましたが、その当時からずっと働いてくれている従業員もおり、副社長やマネージャーとして勤めてくれています。大変感慨深いですね。

(松田)工場の立ち上げ、教育をしっかりとされたからこそ生まれた、従業員の方々にとって働きやすい環境という証ですね。

(小岩井氏)事業としては、最初はCivicだけでしたが、その後ミニバンのOdysseyを立ち上げました。その後、ホンダさんがアメリカのアラバマ工場を新設するということで、当社もアラバマに工場を作ることになり、私は2001年にアラバマに赴任(転勤)することになりました。

アラバマには8年いました。その工場は全くの新工場で、経験者はゼロ人でした。カナダやUSAから人を送ってもらい、また私もカナダでの経験から、新工場の立ち上げはある程度要領よくできました。

ただ、アラバマの人たちは温かい人が多かったですが、勢いで進めてしまうという傾向がありました。それは良い時と悪い時とありましたが、皆の勢いに乗ってどんどんと進められるという利点もありました。そこはカナダ人との違いだと感じましたね。

また、トロントはその当時から便利で、中華料理も豊富で食事にも苦労しませんでした。けれどアラバマはかなり田舎でしたので、少しカルチャーショックを受けましたね。

(松田)例えばどのようなことがありましたか。

(小岩井氏)例えば、アラバマの補習校は、小中学校を合わせて生徒数が20名程しかいなかったため、1学年の生徒数が1〜3名程だったのです。そのため、親が会計係をしたり、運動会も親が手作りで行ったりと、皆で協力し合いました。

そういう点でもトロントとは大違いで、トロントに駐在に来られている方は大変恵まれていると感じます。ただ、アラバマは8年間おりましたし、プライベートも充実して過ごすことができ、大変思い出に残っています。

アラバマに8年の駐在の後、2009年に日本に帰国し、栃木のエンジニアリングセンターに配属になりました。それまではずっと品質をやっていましたが、エンジニアリングセンターでは機種計画室という製品の生産工程設計、つまり作り方を考える部署で、そこに7年間おりました。そして、2016年の4月にカナダに再び社長として赴任することになりました。

(松田)海外駐在が、もうすぐ18年になるということですね。では、小岩井社長がお仕事を進める上で、心掛けていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(小岩井氏)大切にしていることは、ホンダさんのフィロソフィーにある、「現場・現物・現実」という三現主義ですね。会議で話したり、プレゼンを見たりしても、現場に行ってみると違うということは現実にあるんですね。そして現場に行って見てみると、それ以上のことがわかるものです。

三現主義を大事にして、現場で何かあった時や説明を受けた時は、必ず現場に足を運び、自分の目で見て、情報を確認するようにしています。

(松田)プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、スポーツは何かされますか。

(小岩井氏)学生時代はテニスをしていました。社会人になってからゴルフを始め、海外に出るようになると、周りの方々の影響もあり、ゴルフ一辺倒になりました。ゴルフブームもありましたが、海外は日本に比べると大変安くプレイができますので、毎週末のように行っていましたね。特にアラバマにいた時は、ゴルフ場の中にある家に住んでおり、部屋から4番ホールを見下ろすことができました。

ただ、その頃に腰を痛めてしまって、ゴルフができなくなってしまいました。それからはずっとゴルフを諦めていたのですが、日本の医師に見てもらったら、「少しずつならやっても大丈夫」と言われたので、一昨年の夏に打ちっぱなしから再開してみたんです。やってみたら結構できたので、昨年は仕事が多忙で2回ほどしか行けなかったのですが、今年の夏はほどほどに、プレイしたいと思っています。

(松田)カナダの夏のゴルフの気持ち良さはご存知だと思いますが、折角ですので楽しまれてください。他にはご趣味はありますか。

(小岩井氏)あとは釣りをします。アラバマでは、バス釣りのトーナメントも開催されるような有名な湖が近くにありました。カナダは夏の5カ月程しかできませんが、アラバマでは1年中できるんですね。それが嬉しくて、モーターボートを購入して、釣りに勤しみました。釣りも昨年は行けなかったので、今年の夏はもっと行きたいと思っています。

また、レース観戦も好きなんです。日本で栃木に住んでいた時は、茂木のサーキットがありましたし、他にも筑波、富士、菅生、と色々と見に行きました。カナダでもモントリオールでF1グランプリがありますし、トロントでホンダインディも観れますね。昨年観に行けたので、レース観戦は今年も楽しみにしています。

(松田)趣味が多く、プライベートもとても充実されているようですね。

(小岩井氏)そういえば、20年前にここに赴任していた頃、アンティークオークションがあったんです。家具やピアノなどを始め、色々な品物が出品されるのですが、私が狙っていたのはアンティークの時計でした。

日本では手に入らない品をかなり安く買うことができ、とても楽しかったんです。当時は週に2回程開催されていました。今回も行きたいんですが、ネットで探しても見つけることができないんですよね。どなたかご存知だったら教えていただきたいです。

(松田)とても興味深いですが、アンティークオークションの話は聞いたことがないですね。私も情報がありましたら、ご連絡いただきたいです。それでは、最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(小岩井氏)トロント近郊には様々な業種の企業さんが集まっていますが、関連会社との情報交換ももちろんですが、それだけでなく、業種を超えて様々な企業さんと情報交換をすることにより、経済効果を発展的に高めていくことができたらと望んでいます。

また、20年前と比べると、今は日本の情報も含め本当にたくさんの情報を簡単に得ることができますが、商工会のセミナーやイベント等の生の情報は、私共を始め皆様に本当に役に立つと思いますので、引き続き活発な活動をお願いしたいと思います。今後もどうぞよろしくお願い致します。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき有難うございました。



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