「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<152回>
多田 秀俊 President
Toyota Tsusho Canada, Inc.

豊田通商カナダの多田社長にインタビューをして参りました。オフィスはケンブリッジで、トヨタ自動車の工場Toyota Motor Manufacturing Canada Inc.(以降TMMC)さんの目の前にあります。カナダに5 つの関連会社・子会社を持ち、幅広い事業を行われております。

左のお写真は、豊田通商グループの今期からのコーポレートビジョン「Be the Right ONE」のポスターと共に撮影いたしました。地球を皆で担ぎ上げ、「やるべきことを皆でやろう」という意味が込められています。

今後の展望や過去のアメリカ駐在での思い出、印象的なお仕事のエピソード、そしてプライベート等をお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(多田氏)豊田通商カナダは、1988年にTMMCさん設立時に、豊田通商カナダ駐在員事務所としてこの地に設立されたのが始まりです。その後1993年に豊田通商アメリカの支店として事業を始め、豊田通商カナダとしてカナダ法人になったのは2003年です。

事業内容は、主にTMMCさんの生産に関わる輸出入、カナダ国内あるいは北米・メキシコの部材の調達・供給、そして生産周りのお手伝い等を行い、全体的にサポートをさせていただいております。

豊田通商カナダとしては、ケンブリッジとウッドストックに拠点が2カ所ございます。
又、関連会社が同地区に二つあり、一つは、Maple Automotive Corporation。タイヤとホイールの組み付けを行い、TMMCさんの生産に合わせて納入しています。

もう一つはGreen Metal Canadaといい、金属とプラスチックのリサイクルをしています。トヨタさんを始めとしたティア1の部品メーカーさんから、不要になった鉄やプラスチックを回収し、再処理業者にて再生を行います。このように、原材料の供給から、廃品の再利用まで、トータルのサプライチェーンをご提供する活動をしております。

そして他に2社、Goreway Power Stationというトロント空港近くにて発電所の運営をしている会社、そしてアルバータ州にて天然ガスの採掘をしているToyota Tsusho Wheatlandという子会社があります。両社は出資形態の関係から私の直接管轄ではありませんが、カナダの責任者として目を配っております。

(松田)現在力を入れて行っている事業はありますでしょうか。

(多田氏)今力を入れているのは、既存顧客以外の開拓、並びに自動車産業以外のお仕事を増やすことです。もちろん従来の仕事にも注力しつつ、より大きくより幅広く事業を拡大していきたいと取り組んでおります。

自動車産業では、カナダにある日系・米系の自動車メーカーさん、部品メーカーさんに、我々がトヨタさんとのお仕事の中で培った経験やビジネスモデルを横展開し、徐々にですがお取引を始めさせて頂いております。

また、自動車業界にて築いたビジネスモデルを、他業界のメーカーさんへ横展開を行う可能性、あるいは全く違うビジネスモデルをこれから追求するため、例えば、化粧品業界への材料の供給等の検討も行っております。

このように、自動車業界で培った事業の幅出しと、そして子会社の運営している資源・エネルギー関連のように全く違う分野についても、視野を広げながら取り組んでいきたいと思っています。

(松田)土台がしっかりされているからこそ、更に幅広い事業に取り組むことができるのだと思いますが、御社の強みはどちらにあると思われますか。

(多田氏)一つはネットワークです。世界中に張り巡らされているネットワークがありますので、世界のビジネス社会で何が起きているかといった新聞には載らない詳密なニュースや、トヨタグループとしてトヨタ自動車及び自動車業界の各地のトレンド等をいち早く掴むことができ、例えばカナダでしたらカナダ国内の運営に活かし、またお客様にその情報を提供することができます。

そして逆にカナダで得た情報を社内ネットワークにて他地域に発信し、共有することもできます。そのように、情報のソースが多いという点と、情報を得る・提供するスピード感が強みだと思います。

もう一つは、自動車業界で長く事業をさせていただいておりますので、色々な意味でノウハウを社内に集積出来ているのではないかと思っております。自動車メーカーさんや部品メーカーさんといったお客様から見た時に、痒いところに手が届くと言いますか、先を見据えたサービスや対応策を、事前にこちらからご提案ができる、というところも弊社の強みだと思っています。

(松田)御社が今後特に注力されたいことはどのようなことでしょうか。

(多田氏)現在取り扱わさせて頂いているビジネスも毎年変化がありますので、その変化に先回り
して対応できるよう、体制を整え、まずはしっかりとした足元固めをすることが重要だと考えています。

片や、長期的な目標・夢というのは、先ほど申し上げました通り、自動車産業以外の分野にて売り上げ比率を上げていくことです。

カナダにおいては現在9割以上が自動車業界での売り上げとなっておりますが、自動車業界での事業も拡大しつつ、自動車業界以外の比率も上げていき、全体的に現在の1.5倍、2倍といった数字を出すことを目標としています。自動車業界以外の足掛かりを作っていきたいというのが、私の当面の目標です。

(松田)それでは、多田社長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(多田氏)出身は兵庫県の西宮市です。私は実は豊田通商に入社したのは2004年で、以前は別の商社におりました。以前の会社では、主に電子関係の仕事をしておりました。新卒で入社した後、大阪勤務となり、3年目に海外研修でイギリスのロンドンとウェールズに半年程行きました。

最初の海外駐在は、2000年から2003年までの3年間、アメリカのサンディエゴでした。ただ、お客様はメキシコにいらっしゃいましたので、毎日ボーダーを越えてメキシコに通っており、昼間はほとんどメキシコ側にいましたので、実際はアメリカ駐在というよりもメキシコ駐在と言った方が良いかもしれません(笑)。

そして2004年に豊田通商に入社しました。入社後2005年から2007年の間、再びアメリカのインディアナ州プリンストンというところに駐在をしました。こちらには、トヨタ自動車のインディアナ工場があるんです。

そして2008年に、同じインディアナ州のインディアナポリスの近くにあるコロンバスというところに異動をしました。こちらには豊田自動織機さんのフォークリフトを作る工場があり、そのすぐ近くに当社の拠点がありました。

そして2010年にケンタッキー州のジョージタウンに異動しました。こちらにはトヨタ自動車のケンタッキー工場がありますが、その近くに当時豊田通商アメリカの本社があり、そちらにて勤務しました。豊田通商アメリカの本社機能は、今年ニューヨークに移動しました。

(松田)アメリカ国内の横異動続きだったんですね。

(多田氏)その後、東日本大震災後の2011年4月に日本に戻り、豊田通商東京に配属となりましたが、私が担当した部が東京と大阪にグループがあり、毎日のように新幹線で行ったり来たりをする生活でした。そして2016年の4月にカナダに着任しました。

社会人生活が現在26年となりますが、アメリカに9年、そして今回カナダに来ましたので、カナダ勤務が終わるころには北米勤務が半分近くになるのではと思っています。

実は私は過去4年以上同じ部署、同じ勤務地にいたことがないんです。3年経つと他部署や他勤務地に異動するという社会人生活を送ってきました。ですので、家族は非常に迷惑していると思いますね(笑)。まだ分かりませんが、今回のカナダ駐在で滞在4年以上の記録更新となるか、楽しみにしています。

(松田)これまでで印象に残っているプロジェクトについてお聞かせいただけますか。

(多田氏)それぞれの勤務地で良い・悪い思い出があるのですが、どちらかというと上手くいったことよりも、苦労したことや肝を冷やしたことの方が印象としては強く残っていますね。

前の会社の話ですが、サンディエゴ駐在の時に、ある電機メーカーさん向けにマレーシア製の部品の採用が決まりました。私はその導入の仕事をしていたのですが、製品の生産開始時期というのが1年以上前から決まっているので、そのため納入開始までの期間がはっきりとわかっていましたが、部品の細かい仕様はまだ決まっていなかったんです。

部品メーカーはマレーシアにあり、技術者や設計者も皆マレーシアにおりましたので、なかなか仕様決めが進まず、時間があっという間に過ぎていきました。そして、あと一週間後に仕様の最終決定をして最終承認を取らないと生産開始に間に合わない、という状況になりました。

部品納入に遅れが出ると、その電機メーカーさんが販売店と契約している製品納入期日を守れなくなってしまいますので、莫大な損失を発生させてしまいますし、そうなると億単位の補償問題になる可能性があります。それを避けるために、最後の一週間は、毎日メキシコとマレーシアをつないでテレビ会議を徹夜で行いました。

マレーシアが朝になる時間にこっちは夜7時頃、それから6,7時間ぶっ通しで会議を行い、そこで決定したものを、マレーシアからメキシコに来ていた何名かの技術者が、翌朝からテストをするんです。そしてその結果をまた夜のテレビ会議で報告し、今度はマレーシア側が昼間の間にモディフィケーションを行います。

その間メキシコは夜中ですが、結果をもらうまで寝るわけにはいかず、朝方にもらった結果を基に、メキシコでまたテストを行いました。それを一週間毎日行い、決定期日のほんの2、3時間まえに最終決定がなされ、無事に終えることができました。本当に手に汗握るような体験でした。

(松田)聞いているだけで大変な日々だったことが想像できます。もうひとつ印象深いお話というのは?

(多田氏)こちらは豊田通商アメリカでの思い出ですが、あるティア1メーカーさんに、日系部品メーカーのフィリピン工場から部品を納入していたのですが、それがたまたま様々な情報の行き違いからオーダー数が合わなくなってしまって、気づいた時には我々のお客様である部品メーカーさんから、「3日先の部品がない」という連絡がきたんです。

その部品が無くなってしまうと、その部品を納めている自動車メーカーさんの生産ラインが止まってしまいます。しかもその部品を使っている車種が大変売れ筋だったので、決して止めるわけにはいかず、フィリピンの部品メーカーにすぐに連絡を取りました。

通常は、生産計画を1カ月前に作り、それを基に材料を調達し、生産ラインを組み、人を配置して作りますので、いきなり3日前に今から作れというのはまずあり得ないのですが、この件に対しては、部品メーカーの社長に直接話をし、緊急体制で作ってもらいました。そのおかげで本当に異例ですが、一週間分くらいを翌日に作ってもらうことが出来たんです。

そしてそれをアメリカの自動車工場に運ばなければいけないのですが、普通に運んでいたら間に合いません。そこで、査証の関係で日本人の方が運んだ方が入国時の問題が少ないということで、そこの会社の日本人駐在員や日本人マネージャーにお願いし、2、3人のグループ3組に分けて、ハンドキャリーで持ってきてもらったんです。

何故3組に分けたかというと、1つに纏めて何かトラブルがあった時に止まってしまうのを避けるためです。機内持込ができるようにファーストクラスかビジネスクラスに乗ってもらい、1組はロサンゼルス経由、1組はデトロイト経由、1組はニューヨーク経由とバラバラの便を手配し、シカゴの空港まで持ってきてもらいました。

シカゴ空港ではアメリカ側のスタッフを待機させ、通関後にゲートで荷物を受け取り、そのまま車で走ってお客様のところに運びました。そしてラインが止まる2時間前に納入することができました。

とても省略してお話をしましたが、その4日間は毎日会議で詳細を検討し、心配もあって一睡もせずに対応をしていましたので、本当に生きた心地がしなかったですね。

(松田)その運ぶ過程と成功劇は映画のシーンみたいですね。それでは、多田社長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(多田氏)これだけはずっと忘れないでいたいと思っていることは、“チャレンジ精神”です。若い頃は放っておいてもそういう気持ちを持っているのですが、ある程度の年齢になるとどうしても守りに入ってしまいがちですよね。

守りに入ってしまうと、仲間や部下といった会社の人間からそれが見えてしまい、成長が止まってしまいます。そのため、まず自分がチャレンジ精神を持って何事も取り組むことを忘れず、そして一緒に仕事をしている人たちにもその姿を見てもらって、色々な意味でチャレンジ精神を持って仕事を行ってほしいと思っています。

それは無茶をしよう、ということではなく、些細なことでも良い方に変えるように考えたり、やったことのないことをやってみたり、といった小さなことで構わないんです。

もう一つ心がけていることは、“個の力を強くしていく”ということです。これは管理をする立場になってから感じ始めたのですが、当社の良い点の一つに、“チームワークでやろう”という風土があります。それは非常に大切なことですが、ただチームワークだけを重視すると、本気でビジネスをやる上では、甘えが出てきたり弱みが出てしまうという欠点もあり得ます。

そのため、私はチームワークで取り組みながらも個々の力をしっかりと付けることが大事だと考えます。 個々の力が強い者が集まったチームワークは最強だと思いますので、自分自身も含め、一緒に働く皆にも個々の力を付けて欲しいと思っています。

(松田)多田社長のプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツはありますか。

 
 社内ソフトボール大会にて
(多田氏)基本的にスポーツは大好きです。小さい頃は少年野球をしており、学生時代はバスケットをしていました。今も野球やバスケットを観るのは大好きです。当然日本のプロ野球も観ていましたが、中学生の頃からアメリカのスポーツが好きで、 NFLやNBA、メジャーリーグなどにすごく興味を持っていました。

当時はアメリカのスポーツのテレビ中継などほとんどなく、ましてや生中継などはありませんでしたが、気になって調べたりしていましたね。ですのでアメリカ駐在になった時は非常に嬉しかったです。テレビの生中継で観ることができて、実際にスタジアムやコートに行って観戦することもできて、とても楽しかったです。

今回のカナダ駐在でも、トロントにはバスケットと野球のチームがありますので、それらを堪能できるのが非常に嬉しいですね。と言いつつもブルージェイズの試合は今年2回しか観れませんでしたので、この冬にラプターズの試合をたくさん観たいと思っています。

(松田)ブルージェイズもラプターズも昨シーズンは大変好調だったので、今年も楽しみですね。現在約8カ月が経ったところですが、カナダご駐在中に挑戦されたいことはありますか。

(多田氏)最近徐々に寒くなってきていますね。カナダの冬は初めてですが、逃げるわけには行きませんので(笑)、冬をどうにかして楽しみたいと思っています。夏はお客様と一緒にゴルフを、ほぼ毎週プレイしました。この冬は、学生時代にスキーをしていましたので、久しぶりにスキーをしたいと思っています。ここから車で数時間走ればゲレンデがいくつかあると聞きましたので、その気軽さも良いですね。

もう一つ、カナダの国技といえばアイスホッケーですよね。私はアメリカのプロスポーツが大好きだった割に、アイスホッケーは観る機会があまりなかったのですが、せっかくカナダにおりますので、アイスホッケーの面白さも発見したいと思っています。

(松田)スキーとアイスホッケーと、カナダらしい冬を楽しんでください。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(多田氏)当社は拠点がケンブリッジとウッドストックにあるため、トロントに出る機会が頻繁にはないのですが、商工会会員の方々はトロント近郊の方々が多いと思います。今後できる限りトロントでの会合やイベントに参加して、会員の方々とお会いし人脈を広げたいと思っていますので、お会いした際はどうぞよろしくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき有難うございました。


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