「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第147回>
Connect Conveyor Belting Inc.
白井 則夫 Vice President

本年5月より商工会にご入会いただいた、Connect Conveyor Belting Inc.の白井Vice Presidentにインタビューをして参りました。オフィスはミルトンにあり、トロントからは約1時間のドライブです。3月にカナダの会社を買収され、お一人で出向されております。

製品であるベルトについてビデオやサンプルと共にご説明を頂きましたが、様々な種類と用途があり、驚くほどに奥が深く、更に興味が沸いてきました。ドイツでの駐在経験や買収時のご苦労等、色々とお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(白井氏)Connect Conveyor Belting Inc.は1992年に設立され、2016年3月1日からは、ニッタ株式会社のカナダの拠点として、伝導用、搬送用のベルトの加工、販売、取付サービスをしております。日本やアメリカ, オランダにあるニッタの工場から基材を仕入れて、当社で加工を施して販売をしております。

当社は、特に“加工”に優れた技術を持っており、お客様からご要望があれば、決して「できない」と言わずに取り組み、仕様、耐久性と品質を満たし、要求に沿った製品を実現化するところに強みがあります。これまではニッタアメリカと取引があり、北米を中心に商売をしていたのですが、そのような特殊技術に対してニッタ株式会社が興味を示し、買収に至りました。

(松田)御社の製品について、ご説明いただけますでしょうか。

(白井氏)一概にベルトと言っても、単純に右から左へ製品を流すだけではなく、形状、材質、厚みや長さ、機能、耐久性、といったあらゆる要因によって違いが生じます。

例えば形状ですと、平ベルトという裏面がフラットなベルトや、タイミングベルトという裏面に凹凸がある製品があります。これらは標準的な製品として多くの市場で利用されています。

これに対して、ある特徴的な用途の一つに、”引取りベルト”というものがあるのですが、窓枠など複雑な形状の押し出し成型されてきた製品を上下2本のベルトで引き取るという用途で、一般的な製品では対応できません。ここで、基材となるベルト、表面に利用する特殊ゴムの材料、形状などお客様の仕様に応じて最適な組み合わせを当社で提案して、提供しています。

材質も、不織布、樹脂、ゴム等、様々な素材から、お客様の用途に最適な材質を選定、必要であれば開発を行います。

それらに突起を付けたり、穴加工を施したり、スポンジやシリコン等のカバーを付けるといった加工により、お客様の用途に最適なベルトを作り上げます。裏面に違う素材を張り付ける場合、ただ貼りつけるだけならば簡単なのですが、走行中に剥がれないものに仕上げるためには技術が必要となります。

(松田)実際にどのような現場でどのように使われているのですか。

(白井氏)例えば、紙工関係の製造現場では、扱いの難しい紙を高速で送る必要がありますので、位置がずれないようにベルトに穴加工を施します。また製品に接着剤が着いているものがあるため、付着しにくい素材を使用することもあります。

食品工場では、生地(Dough)を流すベルトにはくっついてしまわないように凹凸を付けたり、異物混入を防ぐために横側も完全に樹脂でカバーされることもあります。

繊維工場では、3cm以下の細い幅に対して、150mを超える長さのベルトが利用されたりしています。この用途では長さが長くなるほど寿命が短くなりやすいため、100メートル以上という長さと寿命を保つことに苦労したのですが、独自の製品、加工技術によってそれが可能となりました。

(松田)ありとあらゆる工場で使われているんですね。ベルトは製造現場には欠かせませんね。

(白井氏)そうですね。ただ、製造現場に限らず、実は皆さまの日々の生活の中でも使われているんです。例えば銀行のATMで機台にある金庫からお金を出し入れするためだったり、駅の自動改札機で、切符を入れてパンチが打たれて出てくる一連の流れの中でも使われています。

郵便局でハガキの仕分けをする郵便機にも使われており、1時間に4万枚程の量を仕分けすることができます。これは皆さまも目にされると思いますが、スポーツジムなどにあるトレッドミルのベルトは、ジョギングシューズとの摩擦で起きる静電気を除電するような工夫もされています。

(松田)私たちの生活の中でも、様々なところで工夫を施されたベルトが使われているんですね。先ほど、御社ではどのような案件にも取り組むと仰られましたが、白井さんが実際にカナダに来られ、驚かれたことはありましたか。

(白井氏)お客様から難しい要望があった時、もしかすると担当者自身の判断で「これはできない」と回答するのかなと気にしていたのですが、逆に何に対しても「トライしてみる」と言います。その場のカラ返事ではなく、実際に様々なことを挑戦しますので、その姿勢は感心させられることが多いです。

また、加工と取付のサービスは、本当に365日、24時間体制で取り組んでいるんです。もちろん実際に毎日作業がある訳ではないですが、交代で携帯電話を持ち、土日に働いたり、空港の取付作業などでは夜中の3時まで取付を行ったりしています。もっと休暇やプライベートを重んじているかと思いましたが、こちらが驚くほどに仕事に対して積極的かつ行動的です。

そういった地道な仕事を通してお客様と関係を築き、通常は出入りできない工場の内部を見せて頂けたり、工場の別のラインでの依頼を受けたりと、新しいビジネスの機会を得ることもあり、刺激を受けますね。

私は元々買収に絡んで来たため、これまでのマネジメントの中に突然私が外様で入り込んだという形でした。そのため最初はある程身構えていたのですが、従業員は初日から大変親切にサポートしてくれ、かつモチベーションを高めてくれますので、大変有り難く、こちらも還元していかなければと頑張っています。

(松田)休日昼夜を問わず働くカナダ人というのは、私の感覚からも意外に感じましたが、お仕事へ誇りを持たれていることの表れですね。それでは御社は今後、どのような展望をお持ちでしょうか。

(白井氏)当社にはまだご説明できていないたくさんのユニークな加工技術があり、また社員数25名という規模のため、一件一件のご要望にしっかりと取り組み、カスタマイズができるという柔軟性と身軽さがあります。それらを活かして成功例を築き、ニッタ社内および社外に対してConnect Conveyor Belting Inc.のプレゼンスを上げていきたいです。

また、ニッタの販売チャネルを利用することでもっと大きなビジネスの実現が可能ですので、一歩でもスタートさせ、将来は北米のみならずヨーロッパや中国など、世界に特徴ある製品を広げていきたいと考えています。

会社の中期経営計画として2020年に向けてターゲットが掲げられていますので、一つの区切りとしてそこを目指して、販売を伸ばしていければと思います。

(松田)それでは、白井さんのご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(白井氏)愛知県豊橋市です。その後、学生時代を京都で過ごし、そのまま関西に本社のあるニッタ株式会社に入社しました。

大学では機械工学を専攻し、技術職として海外、特にアジアで仕事をしたいと希望したところ、ゴム・ベルト関係の会社を薦められたこと、また会社の規模が丁度良い大きさだと思ったため選びました。大きすぎず小さすぎないため、最初から最後まで一連の工程に関わることができると思ったのです。

入社後は奈良工場に配属され、1998年から2009年まで技術関係の仕事をしていました。そして2009年から2015年まではドイツで技術ダイレクターとして勤務しました。2015年6月に日本に帰国し海外営業部に配属されましたが、すぐにカナダに来る話が持ち上がり、その8ヵ月後の2016年2月にカナダに着任しました。その時は家族共々慌てましたね(笑)。

(松田)奈良工場ではどのようなお仕事をされていましたか。

(白井氏)奈良工場では、工場勤務の技術職でしたが、お客様を訪れることが多かったです。
お客様に直接話を聞き、ご要望に合った材料の選定や開発、または評価実験といったことをしていました。ウレタン、PVC、シリコン等、多くの材料に対してそれぞれに硬度の違いなどもあるため、製品の種類は数百を超えますが、その中から材料の選定をしていました。

硬いベルトは強度も増しますが、その分、硬く柔軟性が損なわれることで寿命が短くなってしまうため、強度と寿命のバランスを見て最適なものを開発していました。開発後、優れた製品をPRするために評価試験を行い、その結果をまとめてお客様に提案していました。

(松田)その後行かれたドイツではどのようなお仕事をされましたか。

(白井氏)ドイツでは、日本と比べて機械メーカーさんと直接やり取りをする機会が多くありました。ドイツの製品は信頼性が高く、世界中で扱われているものが多数あります。大元である機械メーカーに当社の製品を承認・採用してもらうことで、世界各地からリピートオーダーが期待できます。

大元である設計部隊とのやり取りを行い、要求される厳しい仕様に対して、日本にいる技術部とのやりとりをしていたのですが、元々技術出身である自分が直接技術部とやりとりができたことで、採用につながるという経験ができました。非常に有意義でやりがいがある時間を過ごさせてもらったと思います。


(松田)これまでで、特に印象に残っているお仕事はどのようなものでしょうか。

(白井氏)精神的に大変だったのは、当社の買収前、特に前日の2月29日ですね。日本ではチームで取り組んでいたのですが、現地到着後は突然孤独になり、現地弁護士との最終確認から、想定されるリスクの全てを考えて前日の24時間は本当に不安で、振り返ると短いのですが、24時間以上に長い1日を過ごしました。

今となっては笑い話のように話せますし、なかなか出来ない貴重な経験をさせてもらったと思っています。

(松田)それでは、白井さんがお仕事を進める中で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(白井氏)バランスですね。先ほどから、ベルトの製造に関しても“バランス”と何度か申し上げたと思いますが、人間関係や仕事の進め方でもバランスを大事にしています。

先ほど、当社では“どのような案件も必ずやる”と申しましたが、本当に何でもやろうとするんです。ただ、それはマネジメントの観点からは、必ずしも良いことばかりではありません。

これは本当に必要なのか、他に代替は出来ないのか、ということを提案したりしていますが、彼らにもこれまでのやり方や仕事へのプライドがありますので、バランスを見て、少しずつ探りながら行っています。最初は難しさも感じたのですが、少しずつ成功事例を作ると彼らも理解をして取り入れてくれるようになりました。

勿論、物事には0か100かということもあるかと思いますが、そうではない場合の多くはそれぞれの比重の置き方が大事だと思いますので、話を聞いたり情報を集めた上で、バランスを見て、最適な結論を出すように心がけています。

(松田)それでは、白井さんのプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、ご趣味は何でしょうか。

 
 シアトルマリナーズ 青木宣親選手
(白井氏)野球観戦が好きなので、カナダに来てからは、トロントにMLBの日本人選手が来るときは観に行くようにしています。ミーハーなんですが(笑)、近づいてサインを頼んでもらっています。練習の時などは特にもらえることが多いですよ。

(松田)私も次回スポーツ観戦をする時はサインを頼みにいきたいと思います!ではスポ ーツは何かされますか。

(白井氏)ジョギングやマラソンをします。カナダに来てすぐにトロントマラソンに参加したんですが、Young Streetから、トロントのダウンタウンなど普段走れない道のど真ん中を走れて気持ちよかったですね。

家にいると、つい携帯電話でネットブラウジングをしてしまうのですが、1、2時間ふらっとジョギングに出かけると、電子機器から離れることができます。さらにジョギングをしていると次第に小さな悩み事などはどうでもよくなり、本当に大事なことだけが頭の中に残るんです。更にある程度の答えまで出てきたりして、頭の整理をするのにお薦めですよ。

(松田)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(白井氏)現在カナダに来て半年ほどですが、商工会のセミナーやイベントでカナダの情報を得ることが出来、また日本人駐在員と知り合うことができましたので、大変感謝しております。
商工会会員にはメーカーさんも多くいらっしゃいますので、ベルトについて知りたいことがあれば、お気軽にお声がけいただければと思います。

当社は駐在員一人のため日本語に飢えておりますので(笑)、ビジネスに関係なく、カナダで頑張る日本人として交流ができれば嬉しく思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。本日はお時間をいただき有難うございました。



戻る   過去の新代表者紹介インタビュ一覧はこちら