リレー随筆


マルチカルチャー

中野 美樹

ご近所さん
今年の秋でトロント郊外生活も早14年。ここは夫が生まれ育った町でもあります。彼が子供の頃はいわゆる白人社会だったそうですが、今ではいろいろな国の方が住んでいます。まさにIt’s a Small Worldです。ご近所さんはトルコ人、イラン人、インド人、ドイツ人、中国人、ルーマニア人、韓国人などなど。移民一世の家族がほとんどです。出身国は違っても、家族を大切に思う気持ちや、異文化の中での戸惑いは同じで、共感できることの方が多いように思います。

サマーキャンプの先生
昨年の夏、娘がインドア・プレイグランドのサマーキャンプに参加しました。娘のインストラクターはイラン出身の素敵な女性で、母国語であるペルシア語で数字の読み書きを教えてくれたそうです。ちゃんと発音ができるようになった娘は、得意げに私達にもペルシア語を教えてくれました。

クラスメート
娘のベストフレンドはアメリカ生まれのインド人です。娘は時々その子からインドの言葉を習ってきます。簡単なフレーズや、手遊びなど。多分その子が妹と遊ぶのと同じように、うちの娘に教えてくれているのでしょう。またある時、韓国人のお友達が韓国製のお菓子を持っていたそうです。それを見た娘は自分も韓国のお店に行った際に買って欲しいと言いました。子供達は異文化を異文化としてではなく、各家庭の違いとして受け取っているのではないでしょうか。

Multicultural Night
先日娘の学校でMulticultural Nightというイベントが開かれました。これは毎年恒例のイベントで、生徒や保護者の出身国を紹介し、異文化への理解を深めるためのものです。体育館を会場にし、国ごとにテーブルを並べ、各国の食べ物や装飾品等が紹介されました。まるで世界一周旅行を短時間に、短距離でできてしまうような光景でした。生徒達は小さな世界地図を手に持ち、各国のテーブルを周り、地図上にあるその国の場所にシールを貼ってもらいました。
日本の場所が分からない生徒に、「ここよ、日本はとっても小さな島国だから見つけるのが難しいわね。」と冗談めいて教えてあげたところ、「小さいけれど、僕は日本が好きだよ。素晴らしいものが沢山あるからね。」と答えてくれました。またお友達家族と共同で行った書道、折り紙、福笑いも大盛況で、1時間半のイベントは休む間もなく過ぎていきました。

カナダならではのマルチカルチャー。こうしてご近所や学校でのお付き合いを通し、異文化に触れることができることを、恵みに思います。勿論完璧ではないと思いますが、このコミュニティーで実現のできている、お互いの文化を受け入れ、違いではなく共通点に目を向けて行くことが、全世界でも実現できることを祈ります。そしてこの恵まれた環境に置かれている私達が共に生きる素晴らしさを全世界に示していかなければと思わされます。



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