「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第140回>
Kintetsu International Express (Canada) Inc.
廣田 久 General Manager


第140回は、近鉄インターナショナルエキスプレスの廣田支店長にお話を伺ってきました。ミシサガにあるオフィスには、日本を含め、世界中のご旅行先のパンフレットがたくさん置いてありました。

廣田支店長は、大変お話が堪能で、短い時間の間に、ユーモアを交えて面白く様々なお話をしてくださいました。ミシサガにオフィスを構えられている理由や、今後の展望、駐在員から移住の道を選ばれたご経歴、お仕事に対する思い、そしてプライベートまで、色々と伺ってきました。





(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(廣田氏)近鉄インターナショナルエキスプレスは近畿日本ツーリストのカナダ法人で、旅行業を社業としております。日本からカナダにお越しになるお客様のカナダ国内のご旅行のアレンジ、企画、仕入れ、並びに、カナダにお住まいのお客様へご旅行商品の提供をしております。

“近畿日本ツーリスト”という名前は音的に英語スピーカーの方には受け入れにくいということで、我々の一番の親会社である“近畿日本鉄道”の略称である“KINTETSU”という名称を海外では昔から使用し、事業展開をしております。

オフィスはバンクーバーとトロントにあります。カナダ法人の本社はバンクーバーにあり、バンクーバー支店は日本からのお客様へのサービスをメインに、私共トロント支店は、カナダにお住まいのお客様へのサービスをメインに行う事務所として機能しております。

トロント支店の現在の社員数は、臨時要員も含めて9名です。

(松田)御社の設立について教えていただけますか。

(廣田氏)近鉄インターナショナルのアメリカ法人が設立されたのが1970年代で、そのアメリカの一部として1990年にミシサガにセールスオフィスを構えました。その後1993年にカナダ法人を設立するに至り、バンクーバーに本社を置き、ミシサガのオフィスはトロント支店として組織替えをいたしました。

(松田)お客様はどのような方が多いでしょうか。

(廣田氏)中心となるのは、当地にある日系企業、または日本とつながりのある当地企業といった法人のお客様です。

もちろん一般のお客様への家族旅行やバケーションのご相談も数多く承っておりますが、当社はアメリカ法人の一部として設立したときに、日系進出企業のお手伝いをすることを第一の目的としたため、ダウンタウンではなく日系企業のオフィスが多くあるミシサガにオフィスを構えたという背景があります。

そこが当社と同業他社さんで大きく違う点かと思います。そのため、現在も法人のお客様のご出張、褒章旅行、業務研修などのお手伝いが、どちらかというとメインの業務になっております。

(松田)御社の強みはどちらにあると思われますか。

(廣田氏)法人のお客様からのご要望の取り扱いに精通したスタッフが揃っているという点です。

法人のお客様の出張手配と一般のお客様のご旅行について大きな違いは2つ、ご旅行が直前に決まるケースが多い、そして最後まで変更が多い、という点です。

一般のお客様のバケーション等の旅行は大抵の場合、お仕事や学校のお休みに合わせて何ヶ月か前から決まりますよね。しかし、ビジネスの旅行は間際で決まることが多いんです。

そのため、法人のお客様の旅行手配で一番大事なことは即時性です。ビジネスの旅行では、予定を変更して急遽前日入りすることになった、帰国日を延長することになった、別の都市を訪問することになった、など仕事の内容に応じて様々な変更が生じます。

航空券をインターネットで個人で簡単に購入できる時代になり、自分で手配するという方もいらっしゃると思います。金額だけをみると、航空券はインターネット上の値段が残念ながら最安値の時もありますが、急な手配が必要な際や変更が生じたときなどは、我々のようなエージェントを間に介していただくことで即時に変更に対応することができます。

また、お忙しい中ご自身で煩わしい手続きを行う手間を省くことができ、結果として経済的で効率良く動いていただけることが多々あるかと思います。当社にはそのような作業に精通したスタッフが揃っていますので、我々のサービスは非常に有効に活用いただけているのではと思っています。

(松田)貴社の長けていらっしゃる点が分かりやすく理解できました。それでは、廣田支店長が今お薦めするご旅行先はどちらでしょうか。

(廣田氏)最近はメジャーなご旅行先はすでに行かれた方が多く、未開の地や秘境へ行きたいというご要望をいただくことが多々あります。先日お客様からお話をいただいたのがボリビアです。

ウユニ塩湖という塩の湖があるのですが、乾季と雨季で大分表情が違って、夏季は水が干上がってしまい塩で地表が真っ白になるのですが、雨季は水が張り、風が止まると、まるで大きな鏡のようになるんです。大地と空の境目が全くなくなり、空が180度反転して足元にも広がります。地球上のものとは思えないほど大変美しく、ものすごく神秘的な場所です。

カナダから行くと日本から行かれるよりも時差が少なく、費用や時間の面でもたいへん手軽ですので、ご駐在で来られている方には是非カナダにいらっしゃるうちに中南米に行って頂きたいですね。

(松田)私もウユニ塩湖の写真を見たことがありますが、本当に美しいですよね。それでは御社が今後力を入れていかれたいことはどのようなことでしょうか。

(廣田氏)2つありまして、1つは社是でもあります日系、及び日本に関連する企業の業務活動のお役に立つことです。残念なことに、私が初めてカナダに来た20年ほど前に比べると、日本人駐在員の数は徐々に減っている傾向にあり、管理運営を現地化される企業が大変増えました。

そのため当時と今では大分変わっておりますが、それでも出張、旅行の手配において、旅行会社がお役に立てる部分はゼロにはならないと思います。ですので、お客様のお役に立てる事業は継続していかなければいけないと思っています。

もう1つは、訪日旅行のお客様のお手伝いです。訪日旅行者数は昨年1,970万人を超え、2020年までに2,000万人といった目標値をほぼ達成してしまいました。

そのため先日政府が新しい目標値として、倍の4,000万人といった驚く様な数字を提示していましたが(笑)、その需要の流れは大変顕著です。我々はカナダにある日系エージェントとして、日本を訪れたいカナダのお客様のお手伝いができる組織であるべきと思っています。

旅行手配で一番最初に必要なのは航空券とホテルです。近年、航空券は自分で簡単にインターネットで買えるようになり、またその料金は多くの場合、航空会社のコントロール下に置かれているため旅行会社としては販売が伸ばしずらいところではあります。

ホテルに関しても同様な傾向はみられますが、当社には日本の近畿日本ツーリストが国内外のホテル・旅館さんより長年のお付き合いから頂戴できている特別な料金と部屋数の仕入れがあり、それを海外のお客様にご提供することができます。

ホテルを始めとした訪日旅行のお手伝いはカナダのマーケットで日系エージェントの優位性が出せる部分ですので、そちらの方も引き続き伸ばしていければと思っております。

(松田)それでは、廣田支店長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(廣田氏)生まれも育ちも名古屋です。ただ、大学の時に4年間京都におりましたので、関西人には一発で見抜かれる、偽物の関西弁を時々しゃべります(笑)。大学卒業後、近畿日本ツーリストへ入社しました。

今はなくなってしまったのですが、当時当社には海外旅行を専門に扱う海外旅行支店がありました。元々私は海外かぶれで、旅行も好きだったため海外旅行支店を希望し、名古屋の海外旅行支店で法人のお客様向けの部署に配属されました。

そういった意味では、私が今こちらでしている仕事というのは、実は旅行会社に入って最初に覚えた仕事と重複する部分もあり、原点に戻るんだなと感慨深いですね。

(松田)旅行会社にご入社を決められた理由はありますか。

(廣田氏)旅行が好きだった、これだけですね。昔から私の信条は「好きこそものの上手なれ」なんです。自分が旅行が好きだから、人様の旅行のお手伝いをして、同じように充実感や楽しさを味わってもらいたいと思うんです。

正直なところ、旅行業は手作業が多くなかなか効率化を図るのが難しい業種です。「そんなに大変なら、マニュアルを作れば良い」と色々な方々から言われるのですが、旅行に対するお客様のご要望は千差万別、十人十色ですので、これが正解!と簡単にマニュアルを作ることはできないんですね。

お客様それぞれのお好みを引き出しながら一番良い答えを導き出していくというのは、正直なところ相当の手間がかかる作業でして、そういった外からは見えない厳しい部分もあるせいか、残念ながら旅行業というのは人材の出入りが結構激しいんです。

そんな環境の中で、お客様一人ひとりと向き合い、オーダーメイドのお世話をすることに喜びを感じられるかどうかは、好きかどうかにかかっていると思うんです。好きだから、お客様の痒い所に手が届く、より良い仕事ができるという風に思っています。

これまで数多くの様々な方に出会いお話を聞くことで、自分にも別の人生があったのではないか、と考えたこともありますが、やはり私は自分の好きな旅行という方向に舵を切ったのは、自分としては正解だったと思っています。

(松田)その後、カナダにいらっしゃるまでにどのような経緯がありましたか。

(廣田氏)法人のお客様相手のお仕事を7年ほどする間に、社内で研修の一環として海外駐在ができるシステムがあるというのを聞き、資格試験を受けました。無事試験に通り、配属先がカナダに決まりました。

私が当時お世話をさせて頂いていたお客様はカナダとアメリカに拠点を持っている企業だったため、頻繁にカナダ、特にトロントとモントリオールの手配を行っており、私も仕事で来たことがありました。他国に比べたら慣れ親しんだ国だったので、縁を感じましたね。

(松田)念願の海外駐在を始められ、当初はいかがでしたか。

(廣田氏)1999年の9月にトロント支店に配属になりました。最初はカルチャーショックでしたね。出社しても、日本の新入社員と同様、電話を取ることしかできないのですが、英語で電話を受けるだけでもものすごく大変で。

パンフレットを送ってと言われ住所を聞くのですが、番号と通りの名前だけ言われて、「それだけ!?」と驚いたり、最初はかなりドギマギしましたね(笑)。

けれど、こちらの上司や先輩に恵まれ、非常に楽しく任期を過ごすことができました。特に、日本では私は営業部署にいたのですが、数字を任せられるようになると、営業部のエキスパートになることを求められました。

ですので折角旅行会社に入社したので、法人だけではなく一般のお客様のご旅行関連の仕事もしたいと思っていたのですが、実現することはありませんでした。

しかしカナダのオフィスでは、カナダに関連する全てのお仕事を取り扱うことができ、そこで初めて旅行業の全体が見えたような気がして大変面白かったんです。

法人のお客様のお世話はもちろん、家族旅行、学生旅行、個人、団体、お子様連れから年配の方まで、色々なお客様のお手伝いをする機会がありまして、そこでまたこの仕事に魅了されました。

(松田)そして、移民という道を選ばれることになるんですね。

(廣田氏)元々海外で働きたい希望があった上、仕事も面白く、生活も心地良かったため、何とか居座れる方法はないかと思ってしまい、移民について調べたらカナダは合法的に移民権が取れ、しかも比較的取りやすい、ということがわかりました。

当時は旅行業のバックグラウンドで点数をもらえたので、自分が移民権を取れるラインにいることを確認し、帰任命令により帰国する前に申請準備をしていきました。

帰任して1年半弱でビザが取れたため、取れたということは戻れと言われているのかな、と勝手に解釈し(笑)、こちらにポジションがあることを聞いた上で日本法人に辞表を提出し、カナダ法人に入社しました。

(松田)廣田支店長のこれまでのご経歴の中で、今までで一番印象に残っているお仕事のエピソードを教えてください。

(廣田氏)印象的と言いますとたくさんありますが、入社して初めて海外添乗をした時のことをお話しましょう。日本では添乗員の資格を取った後、独り立ちするまでに必ずサブ添乗という、チーフの添乗員についてOJT研修をしなければなりません。私はその研修でオーストラリアのケアンズのツアーに添乗しました。

初めてで右も左もわからない中、自分なりに勉強をして、先輩に教えてもらいながら進めていましたが、ある日の夜、ホテルのレストランにお客様をお連れして夕食をいただくディナーオプションがあり、先輩はそれを私に一人で行くようにと指示しました。

そのレストランには、シグネチャーメインとしてワニの肉がありました。事前に先輩にも、オーダーを取る前にワニ肉が仕入れられているか確認するように言われ、その手順通りレストランに着いてから最終確認をし、「ワニ肉がある」と言われたのでお客様のオーダーを取りました。日本人にとっては珍しいので、皆さま全員ワニ肉をご所望されました。

そして私がウェイターにオーダーを通すと、そこで突然「ワニ肉はできない」と言われたんです。今考えると海外ではありそうなことですが、私は事前に確認もしましたし、まさかそこで断られると思っておらず、またお客様ももちろん私をいじめるつもりはありませんが、当然がっかりされますよね。

私はその場の雰囲気を上手にまとめることができず、お恥ずかしながらお客様の前で涙をこぼしてしまったんです。お客様からのご要望に自分がきちんと対処できなかったことが、非常に悔しかったんですね。後にも先にもお客様の前で泣いたことなど、その時1回きりですが、ものすごく恥ずかしい思いをしたという、その出来事が私の原点ですね。

今は場数を踏んでそういった不測の事態にも難なく対応できますが、やはりその時に、お客様をがっかりさせることがこの仕事をする上でどれだけ悔しく、どれだけ避けなければいけないことなのかということを学んだ気がします。

(松田)私が新入社員だった時のことも思い出してしまいます。それでは、廣田支店長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(廣田氏)やはり、お客様の期待を裏切らないということです。近年、テクノロジーの進化で、お客様ご自身で完結できてしまうことが増えてきました。旅行を作るというのはご自身の楽しみでもありますので、それを否定するつもりはもちろんありませんが、航空券にしろホテルにしろ、ただ単に機械的にクリックして予約したものが、必ずしもベストチョイスではないだろうと私は思っています。

ご自身でできるかもしれないところを敢えて我々に頼んでいただいている以上、それなりの付加価値をお客様にご提供しなければいけません。

そのため、どんな小さな案件であっても、お客様に伝えることができるささやかな楽しさや喜び、私たちの経験を通して知りえた旅のTipsみたいなものは、大事にしながらご旅行商品を作って差し上げたいですし、そういう考えに共感していただき我々にお話をいただけるようでしたら、決して期待は裏切らないようにしなければと常に思っています。

(松田)それでは、プライべートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツは何でしょうか。

(廣田氏)テニスとゴルフです。日本にいる頃はスキーもしましたが、トロント周辺では魅力的なスキー場が少なく、機会がほとんどなくなってしまいました。

ゴルフは言うまでもなく夏は最高な環境だと思いますし、テニスは屋内のコートがありますので年中通してプレイできますので、毎週1回楽しんでプレイしています。

マーカムにあるテニスクラブに入会していて、毎週木曜日に日本人と日系人の方々とプレイしています。常時メンバーを募集しておりますので、ご興味のある方は是非お声がけください!

(松田)スポーツ以外にご趣味はありますか。

(廣田氏)あとは旅行ですね。私は個人的にバリ島が好きで、何度行っても色々な楽しみ方ができるところなので日本にいる頃はよく行っていました。カナダからだと遠いのが難点ですが。

バリの空港にて   美しいバリの風景

また、最近日本国内も良いなぁと思うようになりました。これは海外に出てきた利点かもしれませんね。食事も美味しいし、人も優しいし、宿泊先も色々なところがありますし、季節に応じて雰囲気が様変わりしますし。良いところだらけです。

2年前くらいに初めて夏の東北に行き、青森のねぶた祭と秋田の竿燈まつりを見てきましたが、本当に素晴らしかったです。こうしたイベントは時期が限られてしまうのでなかなか難しいですが、機会があれば是非行かれた方が良いと思います。お薦めです。

(松田)私もカナダに住み始めてから日本国内を旅行したくなりましたので、機会を逃さないようにしたいと思います。それでは、最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いいたします。

(廣田氏)繰り返しになってしまいますが、お仕事、プライベート問わず、ご旅行をお考えの際は是非、プロの提案を利用していただきたいですね。もちろん半分はビジネスの側面から申し上げていますが、残りの半分は単純に、知っている人、経験のある人に聞く、というメリットは大きいと思うんです。

もしかしたら金額的にもメリットがあるかもしれないですし、せっかくのご旅行の機会をより素晴らしい思い出にするために、頼って損はないと思うんですね。何かご相談をしていただくことでプラスを生むことがきっとあると思いますので、是非お声掛けいただきたいと思います。

旅行を楽しまれる廣田支店長 オーストラリアにて


(松田)インタビューは以上となります。本日はどうも有難うございました。



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