「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第139回>
Hitachi Construction Truck Manufacturing Ltd.
渡辺 敏也 CEO and Director

日立建機トラックの渡辺社長にインタビューを行いました。オフィスはGuelph市にあり、トロントから1時間強のドライブです。60トン積みのトラックと一緒に写真を撮影しました。

インタビューの後には併設する工場を見学させていただき、大型トラックの製造過程や、開発評価用疲労試験装置、そしてGuelph市のクリスマスパレードに出されている古いトラックまで、様々なものを見せていただきました。
ヨーロッパでのご駐在経験や、超大型油圧ショベルを運転されたお話など、色々とお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(渡辺氏)日立建機トラックは、鉱山用のトラックの生産とトラックの補修部品の販売、及び設計開発を行っています。基本的に開発と生産は、親会社の日立建機より委託されており、北中南米の販売は、提携先のJohn Deere社の販売チャネルで行っています。

生産したトラックは世界中に輸出されており、今主力で生産しているメカニカルトラックは、主に北米、欧州、アジアに輸出しています。

(松田)御社の設立について教えていただけますか。

(渡辺氏)当社は元々アメリカにあるユークリッド(Euclid)という会社でした。1931年にEuclid Crane and Hoist社が設立され、こちらのGuelphに工場ができたのは1970年代です。

その後1994年に日立建機が資本を入れてEuclid-Hitachiという会社になり、2001年に日立建機が100%買収をし、社名が現在のHitachi Construction Truck Manufacturing Ltd.に変更されたのが、2004年です。

日立建機は鉱山用の大型ショベルが世界でトップシェアを持っていますが、自社でトラックを生産していませんでした。しかし、現場ではショベル1台に対してトラック5台程が必ずセットで動きます。日立建機がトラックに特化したEuclid社を買収したのにはそのような背景がありました。

(松田)御社の強みや売りはどちらにあると思われますか。

(渡辺氏)Euclid社は設立からずっとトラックのビジネスをしていたため、トラックに関して蓄積した技術を持つスペシャリストであるということは強みだと思います。

(松田)製品についてお伺いしたいと思いますが、種類はどのくらいあるのでしょうか。

(渡辺氏)現在メインで作っているのは、60トン積みのEH1100、95トン積みのEH1700、320トン積みのEH5000の3種類です。320トン積みのものは、運転席の高さで7メートルくらいの大きさです。

60トン積みのトラックは、荷台の部分のみを外してトレーラーで運ぶことができますが、それ以上のクラスのトラックは、分解して輸出しています。

大型の320トン積みトラックには、親会社の日立製作所が開発した技術が搭載されています。大型トラックはエンジンのみで動かすのではなく、エンジンでオルターネーターという発電機を回して電気を起こし、電動のACモーターを動かして稼働させています。

これは新幹線や、日立製作所が近年ヨーロッパにて大量に生産している電車にも使われている技術であり、メカニカルの変速機を必要とせず滑らかでスピーディな変速性能を有しています。

(松田)現在貴社が推進されている新しい事業はありますか。

(渡辺氏)日立建機の無人トラックが現在オーストラリアで試運転を行っており、近々世界中で導入される予定です。日立建機の子会社でバンクーバーにあるWenco International Mining Systemという会社が開発したFleet Management Systemという鉱山管理システムを使用し、トラックを遠隔で操作します。鉱山運営の効率化、コスト削減、安全性の向上に大きな役割を果たすことが期待されます。

(松田)無人トラックのビデオを拝見させていただきましたが、動作の正確性やトラブル対応等の柔軟性など、遠隔操作とは感じられない動きに驚きました。本格導入が楽しみですね。
それでは、今後御社が注力されていきたいことはどのようなことでしょうか。

(渡辺氏)ご承知のように、今コモディティーの値段が下がってきておりますので、単純に新車を売るという商売がなかなか成り立たなくなってきております。そのため、飛行機のリースのようにトラックもリースでお客様に提供するといったことが必要になってくると思います。その中で、他社と差別化を生むため特殊仕様のものを増やしていきたいと考えています。

例えば、現場でトラックが走る際に噴煙が立つのを緩和するために、水のタンクを積んで水を撒きながら作業をするようなトラックなど、少し付加価値のあるものです。こちらは特別に珍しいものではないのですが、これまで我々は積極的にプロモートしていなかったため、今後推進していきたいと考えています。

(松田)それでは、渡辺社長のご経歴についてもお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(渡辺氏)出身は、千葉県市川市です。大学は毛色の変わった東京商船大学(現在の東京海洋大学)を卒業しました。大学では機関科を専攻して機械工学等を勉強し、将来はどこかのメーカーで働きたいと思っていました。また、航海実習があるので、実習という名の下、海外に行けることも魅力で、私はアメリカの西海岸に行きました。

卒業後、1982年に日立建機に入社しました。7年間日本で生産技術を行った後、1990年にイタリアに行き、丸7年いました。その後日本に戻り10年間勤務した後、2007年にオランダに行きました。オランダで8年勤務し、昨年2015年にそのままカナダに来ました。

(松田)ヨーロッパに合計15年間いらっしゃったんですね。2国と比べてカナダの印象はいかがですか。

(渡辺氏)私は段々歴史の浅い国に来ているんですよね(笑)。イタリアはご存知のとおりローマ帝国が築いた古い歴史がありますし、オランダは一番栄えていた時代は東インド会社が活躍していた1600年代で、建物もその頃のものが多いです。カナダは新しいものが多いですね。

ただオランダとカナダで似ているのは、両方とも移民の国なんです。オランダはアフリカ系やトルコ、旧ユーゴスラビアからの移民が多かったのですが、そういう点で、様々な人種と働いてきたという経験はこちらでも活かせると思います。

(松田)貴社にはどのような経緯で入社したのですか。

(渡辺氏)大きいものが好き、というのが理由の一つです(笑)。先日もお客様のコロンビアの鉱山に行ってきましたが、やはり大きいものを作っていることが我々の楽しみですね。

また、日立建機は、結構商船大学や商船高専出身の者が多いんです。全部で150名くらいいると思います。一人で海外駐在に出たりする必要があるので、タフな人間でないとなかなか務まらないんですね。私も一人でどこへでも行けますし、我ながらなかなかタフだと思いますね。

(松田)ご入社からのご経歴を教えてください。

(渡辺氏)イタリア駐在の時は、生産技術系のアドバイザーという立場でした。

日本に帰国してからは、茨城県の土浦工場にて、組立課長や製造部長などを務め、一番多い時で部下が1500名ほどおりました。当時、日本での生産は土浦工場がメインだったのですが、その後、トラックを含めた大型の機械は生産を分けることになり、ひたちなか市にある工場ができる前までやっていました。

オランダでは、2つある工場をまとめる取締役を務めました。元々イタリアにフィアットとの合弁会社があったのですが、それを解消してオランダのアムステルダムに工場を作ったんです。工場では、中型の油圧ショベル、ホイルローダー、ミニショベル、クレーンを作っていました。

(松田)これまでのご経歴の中で、一番印象に残っているお仕事はどのようなものですか。

(渡辺氏)日本で組立課長をしている時に、総重量が800トン以上ある超大型油圧ショベル(EX8000)を試作したことが一番印象深いです。大きすぎて我々の工場では作れなかったため、北九州市にある新日鉄住金の工場の一部にある山九という会社のスペースを借りて作りました。

日本で一番大きく、世界でも最大級のショベルで、運転席の高さが約9メートルあるんです。一度運転をしたのですが、それは凄まじかったです。腕の部分を動かすため、車体が結構前後に動くんですね。

その衝撃がすごいのですが、運転手の身体の負担を軽減するためにサスペンションの柔らかいシートを付けているため、ガクンガクンと来ることはなく、フワフワといった感じなんです。当社に勤めていても超大型油圧ショベルを運転することはなかなかできませんので、とても良い経験でした。


EX8000
総重量837トン
エンジン出力 1944馬力X2基
最大掘削半径 22.3M
腕を除く本体の大きさ
長さ13.2MX幅8.65MX高さ9.9M

(松田)まるで3階建てくらいのビルを動かしているようなものですよね。一度この目で見てみたいです。
それでは、渡辺社長がお仕事を進める上で、心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(渡辺氏)カナダでもそうですが、色々なバックグラウンドの方々を理解することです。日本のやり方がそのまま通用しませんので、彼らがどのような考えを持っていて、どのようなアプローチで仕事をしたいのか、ということを理解しながら、上手く擦り合わせてハイブリッドなマネジメントをすることを心がけています。

当社のボードメンバーは、カナダ人、エジプト人、インド人、私の4名です。話をすれば、やはり文化の違いや考え方の違いを感じますが、それぞれが自分の意見をきちんと伝え、話し合い、擦り合わせることで納得して決断ができています。

バックグラウンドの違う者同士が集まることで過去に摩擦が起きたこともありますが、腹を割って、きちんと論理的に話し、お互いが理解する姿勢であれば、全員が納得のいく回答を生み出すことができると思います。経験上、彼らにとっては日本のやりかたの方が理解しずらいようですので、日本のやり方を客観視することも大事です。

オランダ人と仕事をするときは、決断するときは必ず議論に巻き込むようにしていました。最終的な結論が、彼らが考えていたものと違っていたとしても、議論の過程にいて、その結論に至った経緯を知ることで、決定事項に納得してくれていたと記憶しています。

(松田)プライベートなこともお伺いしたいのですが、好きなスポーツは何でしょうか。

(渡辺氏)今はしませんが、若い頃はバスケットとテニスをしていました。

オランダ時代はヨットをチャーターしてセーリングをしていました。ヨットは大学時代からのっていたのですが、アムステルダムにいる日本人で運営しているヨットクラブに入会していました。こちらではヨットのチャーターはなく、自分で購入しなければいけないようなのでなかなかできず、寂しいですね。

イタリアではスキーもしていました。国境の山に登り、気分によってイタリア側かフランス側かと選んで滑るんです。とても気持ち良かったですね。


クルーズ船上にて アムステルダムのセーリング仲間と

アムステルダムの帆船パレードにて
ポーランドの商船学校の帆船に乗船

(松田)ヨーロッパは歴史や文化だけでなく、スポーツも魅力的ですね。他にご趣味はありますか。

(渡辺氏)クルージング旅行は好きですね。ベネチアを出発し、アドリア海を下ってエーゲ海に入り、ギリシャやトルコを周るクルーズが良かったです。ヨーロッパって、国によって全然違う文化や特長がありますので、荷物は船に置いた身軽な状態で、色々な国を観光できる点がとても良いですね。

次に良かったのは、ドイツからノルウェーのフィヨルドに行くコースです。フィヨルドは、海岸から120㎞くらい内岸に船が入れます。両側が切り立った崖の間を進み、その崖から滝が流れているのですが、素晴らしい光景でした。

こちらでも、去年カリブ海のクルーズに行きましたが、アラスカの方を周るコースがあるそうなので、次回行きたいと思っています。

(松田)今後カナダで挑戦されたいことはありますか。

(渡辺氏)従業員でクロスカントリースキーをしている者がいるので、挑戦してみたいと思っています。

また、イタリアではトリノにいたのですが、バローロやバルバレスコ等、赤ワインの産地だったので、ワイナリーにも結構いきました。オランダ時代もフランスのシャンパーニュ地方まで車で行き、シャンパンを買ったりしていました。ナイアガラのワイナリーやアメリカのナパバレーにもまだ行っていないので、行きたいと思います。

(松田)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(渡辺氏)オランダにも商工会がありましたが、トロントの商工会は、セミナー・イベント、会報誌の発行等、活発に活動をされていると思います。すごく良い商工会だと思いますので、今後イベント等にも参加したいと思いますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)ご参加いただけるのをお待ちしております。インタビューは以上となります。お時間をいただき有難うございました。



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