「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第137回> 
YUSEN LOGISTICS (CANADA) INC.
二村 彰人 Vice President

カナダ郵船ロジスティクスの二村氏にインタビューをして参りました。オフィスはブランプトンにあり、大きな倉庫が隣接しています。入社以来ずっと営業畑にいらっしゃるという二村氏は、流石にお話が上手で、また大変気さくに色々なエピソードを聞かせていただき、ふと気付けばすでに1時間が経過していました。
ドイツ赴任やスーダン出張時のエピソード、理想とする職場つくりやプライベートのお話など、印象深いお話の数々です。

(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(二村氏)カナダ郵船ロジスティックスは、海上と航空の輸送事業(フォワーディング)と、倉庫業(コントラクトロジスティクス)の二つの事業を柱とし、カナダにおける物流事業を行っています。

郵船ロジスティクスは世界40カ国に展開しており、470以上の拠点を持っています。近年、毎月のように拠点数が増え、拡大しております。

世界に拡がるネットワークを活かして、多様化高度化するお客様のご要望に、陸海空の輸送モードの最適なソリューションを展開して世界トップレベルのグローバル物流企業を目指している会社です。

カナダの社員数は現在約100名で、日本からの出向者は私を含めて2名おります。
もう1名の役割はちょっとユニークで、SAFETY&QUALITY MANAGERという
主に倉庫の安全・品質向上や業務改善に力を入れてやってもらっています。
設立は1988年、再来年に30周年を迎えます。

(松田)カナダではどのようなお客様がいらっしゃいますか。

(二村氏)お客様は多岐にわたりますが、これまでの経緯から多いのは自動車産業です。カナダでは航空機産業のお客様もおり、他にも家電、鉄鋼製品、工作機械などの業界のお客様もいらっしゃいます。現在全社で力を入れている、食品業界やヘルスケアなどの医療機器や医薬品関連も扱っています。

(松田)御社の強みはどちらにあると思われますか。

(二村氏)当社の強みは、第一に会社のモットーである“誠意、熱意、創意”です。

そして第二に“人”です。昔から当社の財産は“人材”である、と社が掲げており、人材が作るネットワーク、サービス、ノウハウが当社の強みです。

当社の親会社である日本郵船(NYK)は、物流のみならず、様々な子会社を持っており、グループ内の人材交流も行われています。ユニークなところでいうと、港を管理運営する港湾ビジネスを行っている会社もあります。

また、モノ運び・テクノロジー・インスティチュート(MTI)という会社では、輸送時の安全や品質保持などを数字で管理したり、最先端の輸送技術を追求しています。コンテナーの振動レベルを測ったり、赤道直下のルートを通る際に実際の温度上昇を測ったりと、様々な技術が我々にシェアされています。

グループ内で物流に付随した様々なノウハウをもっており、それが蓄積しているということも、他社にはない我々の強みであると思います。

(松田)より質の高い物流を行うために色々な会社があるんですね。二村さんはカナダに来て5ヶ月目ということですが、カナダという市場について、実際いらっしゃってみて感じられたことはありますか。

(二村氏)郵船ロジスティクスは、世界5極体制という名称の下、世界を地域別に5つに分けて管理しているのですが、カナダを含むアメリカ大陸は、米州極として一つのくくりになっています。私の勉強不足でもありますが、カナダのマーケットがこんなに小さいとは思っておらず、来てみて驚いた点です。

マーケットの規模からいっても、アメリカが一番目立つ存在というのは当然のことであり、規模では勝つことはできませんが、ただアメリカの影に埋もれてしまうのではなく、輸送品質やサービス品質といった、業務の質を一つ一つ上げて、米州極の中でカナダ会社が一目置かれる存在にしたいと思っています。

(松田)今後注力されていきたいことはどのようなことでしょうか。

(二村氏)我々は輸送会社ですが、主となる事業はサービス業なんです。トラックと倉庫はもっていますが、飛行機、船などは別の業者にお願いしてやってもらう代理店業なんですね。お客様には、我々のサービスを買っていただいているという気持ちで行っています。

また、先程申し上げたとおり、現代社会はデジタル化が進んでおりますが、物流のベースはやはりアナログです。想像いただければわかると思いますが、カナダの家から日本に荷物を送りたい、と依頼をされた時に、トラックを運転しピックアップに来るのは“人”です。

荷物を一時的に預かる倉庫でも、人が仕分けをし管理をします。それを空港や港に運び、管理をするのも人です。そして、日本に到着したら、倉庫に運び、仕分けをし、送り先までお届けするのは人なんです。物流は絶対に人が絡まざるを得ず、人で成り立っている産業なんです。

この“人”が行う“サービス”という点では、私は日本が世界一だと信じています。日本のサービスを海外に浸透させたい、という思いが強く、カナダでも日本のサービスを浸透させていきたいと思っています。

もちろん日本のサービスを100%当てはめるということではなく、バランスを見てカナダに馴染んだやり方を生み出し、カナダの会社や日系他社とは一線を画したサービスを提供することができるように、力を入れていきたいと思っています。

(松田)それでは、二村さんのご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(二村氏)出身は名古屋市です。30年以上、名古屋で過ごしました。海外希望などは全くしていなかったのですが、32歳の時にドイツのフランクフルトに約6年赴任しました。その後また名古屋に戻り、3年後、四日市市にある三重営業所に約7年勤めました。そして2015年の10月にカナダに来ました。

(松田)御社にはどのような経緯でご入社されたんですか。

(二村氏)当社は、私の入社当時は旅行業もやっていたんです。郵船航空サービス、として貨物部門と旅行部門がありました。私は昔から乗り物が好きで、特に電車が好きなんですが飛行機も好きで、また当時の花形職種でもあったツアーコンダクターに興味があり、旅行部門を希望していました。

けれど入社してみたら貨物部門に配属が決まり、正直入社時は何をするのかさっぱりわかっていませんでした(笑)。その後、旅行部門は私の入社5年後くらいに業績不振のため分社をし、郵船トラベルという別会社になりました。

始まりはそのような経緯ですが、今となっては私の性分は貨物業の方が向いていたと思いますし、様々な経験をさせてもらって感謝しています。

(松田)ドイツに赴任されていた時はどのようなお仕事をされていたんですか。

(二村氏)ドイツへは、最初はセールスマネージャーとして行きました。今も同じですが、日本人の海外駐在員は何でもマルチに行わなければいけませんから、雑用みたいなものです(笑)。日本との調整役、トラブル処理、経理関係等、様々な業務に携わりました。

3年後にフランクフルトの支店長に昇格しましたが、それほどやっていることは変わりませんでしたね(笑)。

当時ドイツの製造業はドゥッセルドルフなどに固まっており、フランクフルトにはあまりありませんでした。また東欧へのシフトが盛んな時期で、日系会社はハンガリー、チェコ、ポーランド等に製造拠点を移しはじめていました。

そのため我々はフランクフルトを経由地として東欧へトラックで運ぶサービスを始めました。ドイツ向けというよりは他国向けの仕事をやっていた感じでしたね。

(松田)今までで一番印象に残っているお仕事はどのようなものですか。

(二村氏)ドイツ着任1年目頃に、アフリカのスーダン大使館の仕事がありました。スーダン国内に通信機器を配達するという仕事だったんですが、当時スーダンでは内戦が行われていたんです。日本からよりヨーロッパの方が近いからヨーロッパから配達することになり、私が行くことになりました。

まずは、スーダンに提携している代理店がないため、それを探しに1回目の出張に行きました。自力で数社回って代理店を決め、その後ドイツに戻り、搬入時の指示を遠隔で行い、実際の搬入のために2回目の出張に行きました。各一週間ずつくらいですね。

(松田)現地はどのような状況だったんですか。

(二村氏)内戦をしているため、ホテルからふらっと出ることはできないんですね。ほとんどの時間をホテルで過ごし、代理店との打ち合わせは、代理店の方に車で迎えに来てもらって、現場に直行し、視察して帰る、それだけです。

ですが、私はドイツに行くまでほとんど海外に行ったことがなく、その中でいきなり危険だとされる地域に行くことになったので、色々と衝撃を受けました。

信号で止まればすぐさま物乞いが集まってきますし、大使館の車で搬入場所に連れて行ってもらう際に、大使館の方が間違って一方通行の道を逆走してしまったことがあったのですが、そしたら警備をしていた警官に銃を向けられたんです。

両側から、運転席と助手席に銃を向けられて、凍り付きましたね。説明したらわかってもらえたんですが、あの経験はもう二度としたくないですね。搬入場所でも、建物の外にライフル銃を構えた人達が4、5人は立っていて、もちろん警備のためで我々を守ってくれるためなのですが、ずっと緊張していました。

けれど、逆にそういった仕事でもないと行く国じゃないので、貴重な経験をしたと思います。

(松田)銃を向けられる経験をされた日本人はなかなかいませんよね。私は遠慮したいですが(笑)、貴重なご経験ですね。

(二村氏)今思うと、当時は今と比べてテロの危険があまりなかったので、一般人はそこまで危険ではなかったのかもしれませんが、

ただ、2回行って2回ともお腹は壊しました(笑)。原因は食事なのか水なのかわからないんですが、スーダンにいる時は気が張っているためか発症しないんですが、ドイツに帰国すると発症するんです。

幸い感染症ではありませんでしたが、1回行くと5kg痩せるため、上司にも「“スーダンダイエット”だな」と言われていました。もしかしたら、最終日に“ナイル川の焼き魚”を食べたせいかもしれません(笑)。

(松田)5kg痩せるのはちょっと羨ましいですけど、ダイエットはもっと堅実な方法でしたいと思います(笑)。もう一つ思い出深いお仕事があったとのことですが、お聞かせいただけますか。

(二村氏)日本に帰国してからなんですが、大型貨物の輸送依頼がありました。船では間に合わず、でも普通の飛行機では載らないくらいの大型だったため、ソ連が軍用に作ったアントノフ124という特殊な飛行機をチャーターし、日本からカナダへ輸送をしました。

アントノフを使用する輸送は年に数回ほどはあるのですごく珍しいことではないのですが、私はそれを約3年の間に100回以上やりました。一人で100回以上経験したというのは業界の中でもなかなかいないと思います。

空港までその貨物を持っていくにも、大きすぎて道を走れませんので、大体深夜や早朝に行われます。飛行機への積み込み作業も早朝から始まりますが、私はそれにほとんど立会いました。一度は元旦にやらなければいけないことがあって、当然誰も行きたがらなかったので私が手を上げていきました。

実は、スーダンへの出張も自ら手を上げて行ったんです。自分の成長のためにも、人が嫌がることを敢えて経験したいという気持ちは昔からありますね。その二つの業務が、問題なく遂行され、無事にやり遂げられたということが、これまでの会社人生で思い出深い出来事です。

(松田)稀有なご経験をされてきた二村さんですが、お仕事を進める上で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(二村氏)申し上げたとおり、私は日本のサービスが一番だと思っており、日本のやり方が最適だと思っています。カナダ人社員には、日本のやり方の通りこういう風にして欲しい、と言うのではなく、これまでのやり方と比較してバランスをみたら、こっちの方が良いでしょ、という風に説明して理解してもらえるようなアプローチを心がけています。

基本的な考えややり方を理解して納得してもらえれば、違う案件が来た時に最適な方法を自ら考え、更なる新しい提案をしてくれるようになると思っています。

私の理想としている職場は、私が方針だけを伝えたら、やり方は問わないので自分で考えて動いてくれる社員達がいる職場です。もちろんそんな簡単にはできないのは重々承知しておりますので、第一歩として、そういう方向に向かっている、という職場つくりを目指しています。管理職が楽をしたい、というだけな気もしますが(笑)。

(松田)もう一つ心がけていらっしゃることがあるとのことですが、どのようなことでしょうか。

(二村氏)もう一つは、日本にいるときからですが、何でも話し易い職場の雰囲気づくりです。現在私には副社長という役職がついていますが、役職というのは私の立場に過ぎなくて、特別秀でている、というわけではないんです。

私が部下や後輩から学ぶこともたくさんあるはずだと思っています。そのため、率先して話し易い環境を作り、お互いが学び、知り、情報交換のできる機会を逃さないようにしたいと思っています。

私は昔から、言いたいことが言えないという環境が一番嫌いなんです。本音で話をしたいんですね。これは職場だけではなくお客様も同じで、私が相手を信頼して会話をすれば、相手も本音で話をしてくれます。

すると相手が本当に望んでいるのは何なのか、本当はどう思っているのか、ということがストレートに伝わりますから、希望にあった回答、希望にあったサービスを提供する事ができます。

具体的には、“相手の気持ちを理解する”ように努めています。これはとって付けたようですが、実は私は入社面接でも同じことを言っているんです。その時は何の気なしに言ったと思うんですが、今となっては間違ったことではないと思います。上司、部下、お客様の気持ちを理解するよう努め、求められている最適なものを提供できるよう、常日頃心がけています。

(松田)社員の方たちにとっても働き易い職場だと想像ができます。それでは、プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツはありますか。

(二村氏)高校時代は野球部でした。社会人になってからも日本ではプレイもしていましたが、もう年齢も年齢ですし、最近はもっぱら観戦のみです。名古屋でしたので、もちろん中日ファンです。

私が人生の中で尊敬している人の1人は、落合博満氏です。本などを読んでも考え方も共感できますし、彼は試合中に一切笑ったり怒ったりせず、じっと座っているだけなんですよね。

サヨナラ勝ちをしても喜びを表に出さないんです。裏では色々なことを考え、実行されていると思いますが、表情や感情を出さないというのはすごいと思います。

(松田)中日の試合がトロントで観れないのは残念ですね。今季から是非ブルージェイズのファンにもなっていただきたいです。お休みの日はどのように過ごされていますか。

(二村氏)家族が4月に来る予定ですが、現在単身赴任なので、最近は1人で街を歩いています。ダウンタウンは混んでいるだろうと足が遠のいていましたが、行ってみたら週末は意外と空いているんですね。

日本でもぶらり歩きが好きで、特に観光地でもない普通の街に妻と行ってぶらぶらと歩く、というのを好きでやっていました。自分の足で歩かないとなかなか気付かない路地だとか小さい店などを見つける楽しみもあり、それをカナダでも続けたいと思っています。

家族が来たら、電車が好きなので、バンクーバー~トロント間を走っているカナディアンパシフィックには乗ってみたいと思っています。あとはベタですけど、カナディアンロッキーに行ったり、オーロラを観にいったりという旅行もしたいですね。犬を連れてくるので、一緒にキャンプにも行ってみたいですね。

(松田)暖かくなってご家族がいらっしゃたら、たくさんカナダを楽しんでいただけそうですね。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(二村氏)まだカナダに来て5ヶ月の新参者なので、これからどうぞ宜しくお願い致します。また、こんな風貌をしているんですが、実は私お酒を飲めないんです。100人中100人全員の方に驚かれるくらい意外なようなんですが(笑)。けれど、飲み会などの集まりに出るのは大好きですのでどうぞお誘いください。

これから暖かくなるともっと商工会会員の方々とお会いする機会も増えると思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上となります。今日は有難うございました。




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