リレー随筆


釣りを通じて知るカナダ


Mazda Canada. Inc

森川 和幸


カナダで大物を釣る!日本の釣り仲間に豪語してカナダの地を踏んではや数年。逃がした「大物」は数あまた。成果はさておき、釣りを通じて日本と異なるカナダの文化に触れながら、こちらでの生活を楽しんでいる。

ブラックバスを対象魚とするバスフィッシングはカナダでも一際人気が高い。日本では固有種を食い荒らす外来魚として忌み嫌われるが、生まれ故郷の北米ではネームバリューもありステータスも高い。

釣りは、日本では誰でもいつでも楽しめるが、カナダでは生態保護から釣りができるシーズンが決まっており、ライセンスを購入しなければならないと知った時は驚いた。

日本は釣ったら食べる文化が定着しているが、その日本でさえ食べるイメージがほとんど無いブラックバス。それがなんとスーパーマーケットで堂々と売られている。とあるレストランのメニューの中にこのバス料理を発見、思い切って頼んでみたが、臭みがなく上品でさっぱりとした味でこれが美味!良い意味で期待を裏切りブラックバスのイメージががらりと変わった。

自分のモットーはまず郷に入れば郷に従え。折角カナダに来ているのだからその地の文化に浸って同じ目線で行動する。プライベートでもなるべくカナダ人とカナダ的な遊びをするよう心掛けている。

釣りでも一緒に行って色々教えてもらった。カナダでの規則や状況に応じて使うルアー、誘いや仕掛けなど、日本との違いがいろいろあって面白い。

その経験の中でも記憶に残っているのはカナディアンカヌーでのバスフィッシング。
このカヌーは一見どっかりとした作りで安定しているかに見えるが、大人が3人も乗るとバランスを取るのがかなり難しい。
しかもパドルはシングルで操舵する。一人がルアーをキャスティングすると船体がぐらつく。その度に残りの二人が身をかがめて船の両脇を握りしめる。手さぐりでライフジャケットの装着確認。

しかし避けて通れない問題はトイレ。このような船内の状況で立つことはサーカスの綱渡りに匹敵する覚悟がいる。そんなバランス感覚を持ち合わせていない我々は、あえなく途中で断念。

やはり一番無難なのはボートフィッシング。カナダは日本と比べてレンタル費用も安い。何よりも確実にポイントにアクセスができる。


自分が通う湖はスモールマウスという種類のブラックバスが良く釣れる。日本でも水温が低いところに見られる種類で小ぶりな体格からは想像もできない馬力で引いてくれるのでいつも楽しませてくれる。

ボートフィッシングの醍醐味は何と言っても景色。人口的なものが一切目に入らない澄んだ湖と空を360度で眺めると心が洗われるし、釣れなかった時の慰めと言い訳にもなる。

来年こそは大物狙い!と心に言い聞かせながら、春の訪れを心待ちにしている。






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