リレー随筆


22年振りの秋のクラッシク


ソン ステファン チョイ

Sakagura Canada Inc. Executive Director


1993年の秋、10月23日のスカイドームには5万2千人が25人の男たちを応援し続けていました。秋のクラッシクと言われるワールドシリーズ第6戦、ナショナルリーグの王者、フィラデルフィアフィリーズと前年度ワールドシリーズの王者で、また93年もアメリカンリーグの王者になって2連覇を目指すトロントブルージェイズの試合でした。
打席にはジョー・カーター。
人生で一番大きな場面になると思わず振ったあのバットが、劇的な逆転サヨナラ3点本塁打になりワールドシリーズの長い歴史の中でも屈指の名場面と言われることになるのを彼は想像もしてないはず。それでトロント・ブルージェイズは2連覇2回目の優勝、全盛期になりました。
その時のラジオの中継は今もよく頭で残っています。
"Touch 'em all, Joe! You'll never hit a bigger home run in your life!"
「塁を全部踏んで、ジョー!人生で二度とこんな素晴らしいホームランは打てないから!」
元々野球が大好きでずっと野球をしていた私はその年にトロントへ来てこの素晴らしい野球チームをみてブルージェイズの大ファンになりました。
それで22年が経ちました。今までの成績は大体Bクラス。94年も強かったがリーグのストライキでリーグ中止。またカナダの景気も悪くなり、カナダドルの暴落、不動産のバブル崩壊等々の外部的な問題や、メージャーリーグの選手達も国外であるカナダのチームよりアメリカのチームを選り好みしてブルージェイズは段々戦力が弱くなっていました。

またその時に集中的に投資をしたヤンキースやレッドソックスのライバルの中でいつも途中挫折する暗黒気が続けました。たまにカルロス・デルガドやロイ・ハラデイぐらいの孤独なスーパースターが出て唯一の楽しみになったりしてくれましたが成績の面は全く希望が見えなかったです。
ホッケーが大好きなトロントの市民はやはり段々野球から関心が下がって観客もずっと減りました。野球は4月から9月までのレギュラーシーズンには行って10月はプレーオフの時期なので93年のその優勝以来トロントで10月の野球は行ってませんでした。




22年の長い間、テレビで他のチームの試合を観ながらいつかいつかはと望んだそのプレーオフに2015年の今年、念願の秋のクラッシックにトロントブルージェイズが出る事になりました。アメリカンリーグ東地区優勝チームでリーグ地区シリーズで逆転3連勝のリバーススウィープで勝ってアメリカンリーグチャンピオンシリーズへ進出しました。

高校1年生に来たカナダトロントですが、今は二人の子供の父として子供にブルージェイズの昔話と今の凄さを楽しく話したり一緒に試合を観たりしながら笑ったり泣いたり出来るのでとても幸せを感じています。私が自分の父から言われた昔のブルージェイズの話から、また私が自分の子供達に話す今のも含め、夢と喜びで表現が出来ないぐらいです。

22年振りの秋のクラッシク、どこまでこの夢の時間が続くかは分かりませんが、きっと私と子供達にとって、これからずっとプライドを持って野球話しが沢山出来るようになった年として忘れられないでしょう。








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