「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー




<第128回> 
JTB International (Canada) Ltd.
土江 亨 General Manager/Eastern Canada Region

JTB International (Canada) Ltd.の土江 カナダ東部事業部長にインタビューをして参りました。2015年2月に赴任された土江氏に、100周年を迎えられたJTBの歴史や多様な交流文化事業についてお話いただきました。また、オンライン化が進む旅行業界においてJTBが注力していることや、土江氏のニューヨークでの印象深いプロジェクトについても、お伺いしました。




(丸山)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(土江氏)JTBの前身であるジャパン・ツーリスト・ビューローが創立された1912年当時は、日本は貧しい国だったので、外貨を取得するために外国の方を日本へ誘致する訪日事業が中心で、航空券販売や国鉄のチケット(現在のJR各社)販売を行ったのが始まりでした。

唐突ですが、100年の歴史を持つJTBのエピソードとして「命のビザ」というのがあります。第二次世界大戦中にリトアニアに赴任していた外交官の杉原千畝さんが、ナチス・ドイツのユダヤ人迫害から逃れるためヨーロッパ脱出を図っていた避難民にビザを発給し、6000人の命を救ったという史実は有名ですが、その陰で渡航手配の世話をしたのが、JTBの前身、ジャパン・ツーリスト・ビューローの職員たちでした。この史実は一般的にはあまり知られていないのが残念ですが。




1912年の創立以来、旅行代理店として事業を行って参りましたが、2012年に100周年を迎えることを契機に、21世紀に向けた事業やコンセプトについて議論し、交流文化事業が事業ドメインとして位置付けられました。

悠久の時代から、人の移動と交流があってこそ文化は生まれてきましたので、当社は、交流の機会を創り出すことを推進し、豊かな社会の実現に貢献していくことを事業の中心においています。

社会貢献のために提案している文化事業として、1982年以来33年間、「杜の賑い」というイベントを企画してきました。地域に埋もれた、あるいは忘れ去られようとしている郷土の祭りや芸能を見つけ出し、掘り起こし、旅の中でお楽しみいただくことをコンセプトに、全国各地で開催されています。伝統芸能に長く携われた年配の方がいなくなり継承する若い方も少ないことから、伝統芸能が段々と廃れていくことを懸念して、地域活性化事業の一環として取り組んでいます。

他には、「地恵の旅」プロジェクトを提唱しています。これは、まちおこしに成功した地域を実際に訪れ、地域に残っている産業を掘り起こし顕在化し皆様に見ていただく企画です。例えば、東大阪市の「モノづくり観光」プログラムを取り入れたツアーを企画し販売しています。

現在、訪日者数が伸びていて、2014年は1400万人にも上りました。2015年7月時点で既に1000万人を超えているので、2015年は1600万人を予想しています。2020年に2000万人の訪日客を目標としている国の施策が前倒しになる見込みです。

国際交流文化事業としては、ハワイのホノルルフェスティバルを実施しています。1995年より毎年恒例となり、環太平洋諸地域、特にハワイやアメリカ本土における日本の伝統と風習、文化の保存の推進を主旨に、ハワイ在住者及び日本からの旅行者に文化的習慣や伝統技術を体験する独特の機会を提供しています。カラカウア通りという大通りで、バトン隊や鼓笛隊、ダンサー等によるパフォーマンスが披露されます。

ホノルルフェスティバルのフィナーレを飾るのが「長岡花火」です。太平洋戦争中、1945年8月1日の新潟県長岡大空襲で亡くなった方達の鎮魂のために、長岡市で毎年打ち上げられる慰霊の花火が、長岡出身の山本五十六が指揮した真珠湾攻撃の行われた地であるホノルルでも打ち上げられるようになりました。

当社のトロント支店は、従業員は10名で、法人のお客様を中心に、ビジネストラベルマネージメントと呼ばれる出張の際の航空券手配を行っています。

(丸山)御社が特に強みだと思われるのはどのような点でしょうか。

(土江氏)当社はホテルやクルーズ等を所有していないので、ステークホルダー、つまりホテル、航空会社、レストラン等と共同で商品を作り、シナジー効果を生み出しています。ですから、単にお客様に低価格の商品を提供するのではなく、旅行に携わっているステークホルダーと一緒にウィンウィンになれる商品を提供できていることが強みです。

例えば、高品質のサービスを提供している某リゾートホテルは、JTBにのみ代理販売権を与えてくださっています。ステークホルダーと共同で高品質のサービスを提供することにより、お客様にご満足いただいています。

また、サービス業ですから、「人」がお客様のお話を伺いながら商品をクリエイトしていくので、事業の根幹をなす人材育成に力を入れていることが強みです。当社では、「人」が財産であることから「人財」と表記します。様々なお客様のニーズにお応えすべく、知識の引き出しが多い人財を育成することを重要視しています。

それから、「人財」のダイバーシティにも取り組んでいます。私自身、アメリカからの出向でトロントに赴任しておりますが、日本を基点とせず、ヨーロッパからニューヨークへ移動等、国をまたがった人財交流に力を入れ、多様な人財が働くための環境整備に取り組んでいますす。

(丸山)御社はこれからどのようなことに力を入れていきたいとお考えですか。

(土江氏)2009年から2014年までの世界各国の旅行会社の売上高を見ますと、JTBは5位から7位に下がり、上位を占めているのは、オンライン販売に特化した旅行会社です。

以前は対面販売が中心でしたが、現在は24時間ウェブで対応できるオンライン販売へと販売手法が変化し、ウェブマーケットが強い流れにあります。

お客様が代理店を通さずメーカーと直接取り引きをするようになるという危機感があり、ウェブの流れにどう乗っていくかが当社の課題です。

お客様によって、マイレージやポイントを使いたい航空会社、ホテルの要望の多様化が進んでいますので、旅行会社がリードして提案するより、お客様のご希望を伺い、お客様主体の商品を提案していくことが、大切になってきます。

また、日本の人口がどんどん減る中、どう販路を見出していくかも重要な課題です。今後は、世界中の拠点を有効に使ったグローバル事業の推進により一層力を入れていく方針です。

当社は、訪日事業だけでなく、日本から海外に人を送り出してきたので、国際化が進んでいるというイメージをお持ちかと思います。実際のところは非常にドメスティックな会社で、世界発の商品は少なく日本発で海外に行く一方通行な商品が中心でした。

今後は、カナダ発のヨーロッパや中国行き等、商品のグローバル展開を視野に入れていきます。日本人のみに対応していた日本語の商品を外国人向けに、どういったものが好まれるか考えながら商品を作り出していきます。

北米マーケットは既に成熟しているので、アジアマーケットで圧倒的ナンバーワンを目指すことをコンセプトにしています。アジアマーケットは非常に規模が大きく、中国とインドだけで20億人、つまり世界の三分の一の人口に相当します。

法人マーケットでは、「MICE 」という事業を国内で展開してきましたが、今後は海外でも提案していきます。「MICE 」の「M」はミーティング、「I」はインセンティブツアー、つまり法人向け報奨旅行や招待旅行、「C」はコンベンション、カンファレンス等の国際会議、「E」はエキシビジョンから来ています。

(丸山)それでは、土江 カナダ東部事業部長のご経歴についてお伺いしてもよろしいですか。

(土江氏)出身は島根県松江市です。島根県は、縁結びの出雲大社や石見銀山で有名なところです。著名な出身者は、テニスの錦織圭、大相撲の隠岐の海関、作家の森鴎外、ミュージシャンの竹内まりや、俳優の佐野史郎など多くいらっしゃいます。今度、トロント在住の島根県出身者6名と、島根県人会を開催する予定です。

日本で8年間、営業職をした後、1988年、30歳の時に日本を出てアメリカに渡りました。当時ワシントンDCに勤めていた妻が日本に出向に来ていた時に知り合い、ワシントンDCへ妻と一緒に来る事になりました。

その後ニューヨークへ移り、JTBに入社したのが1990年です。当時グリーンカードを持っていたので、引く手あまたで就職には苦労しませんでした。JTBニューヨーク支店に25年間在籍し、2009年に支店長に昇進しました。2015年2月に、アメリカからの出向でトロントに着任し、現在に至ります。

(丸山)これまでのご経験を通じ、どのようなお仕事が印象に残っていますか。

(土江氏)ニューヨーク支店で支店長をしていた時のプロジェクトで、ニューヨークで2000人のツアーを敢行しました。日本から2000人が、チャーターフライトではなく一般フライトでばらばらに入国するので、日系航空会社と外資系航空会社の直行便だけでは足りず、経由便も手配しました。ニューヨーク市内移動用のバスは60台に上りました。

ツアーの一年前から準備を開始し、私は体制作り、つまり人員配置や管理を担当し、ホテルやイベント、トランスファー、食事、オプション等、各サービスごとにチームを作りました。チーム内、チーム同士で衝突することもあり、大変でした。

パーティーを開催するにあたり、ホテル内で開催すれば移動が不要で料金的にもメリットがあるのですが、オーガナイザーの意向によりニュージャージーに移動して開催することになりました。パーティー会場へ移動するのに60台のバスのオペレーションが必要になり、2000人の乗り降りだけで長時間要することから、イベントチームとトランスポーテーションチーム間で衝突がありました。

2000人が滞在しているホテルのあるタイムズスクエアはとても混雑しているので、ニューヨーク市警の協力もいただいて、タクシー専用道路をバス専用にしてもらいました。その甲斐あって、何とか30分でバスの停車と乗り降りが完了することができたんです。また、日本人だと、お客様も協力してくださり助けられました。

結果的に、チーム同士良い雰囲気で盛り上がり、会計チームや総務チームも現場に来てサポートをしてくれ、無事成功に終えることが出来ました。この大規模なプロジェクトから、人を管理し、育成する事を学びました。スタッフは大変苦労もしましたが、面白い、良い経験となり、お客様も楽しみ喜んでくれたので、自信につなげることができました。

(丸山)土江 カナダ東部事業部長ご自身がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことですか。

(土江氏)笑いを大切にしています。

お客様あってのサービス業ですから、色々な方に頭を下げることが多い仕事です。より良い条件の商品を提供するために、色々な方にお願いすることが多いです。お客様は絶えず期待してくださいますし、ステークホルダーの方にも、私達とお付き合いする事にメリットを感じてもらわなければいけません。

お客様に怒鳴られることも多い中、上司からは怒鳴られたくないでしょう。社員に注意しなければいけないこともありますが、一生懸命頑張ってくれていることを理解し、笑いを絶やさず仕事をしていきたいと、気を付けています。

(丸山)それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味についてお聞かせください。

(土江氏)ゴルフが好きですが、坐骨神経症になり、しばらく封印していました。
最初はぎっくり腰かと思って病院に行き、待合室で緊急と言っても緊急扱いしてくれず、辛くて床でうつ伏せになっていたら、何をしているんだと言われてしまいました。まだOHIPを持っていなかったので、900ドル払い薬だけもらって帰ってきました。最近、容態が回復してきて、ゴルフが再開できるようになりました。

JTBに勤めていながら、実は旅行があまり好きではないです。安くて良いところに泊まるには選択肢が多過ぎて、最適のホテルや航空券を見つけ出すのが面倒に感じるんです。ですから旅行会社の存在意義があるのかもしれませんが。

また、野球も好きです。もう歳ですからプレーは差し控えていますがトロントの皆様には申し訳ありませんがNYヤンキースのファンで観戦のためロジャースタジアムには行きます。商工会のチケット情報は私の中では非常に重要な情報の位置付けです。

 

(丸山)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(土江氏)商工会会員の皆様、どうぞJTBを宜しくお願いします。世界一の旅行会社にさせてください。

(丸山)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きましてありがとうございました。








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