「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第125回> 
Mitsui Sumitomo Insurance Company Limited.
鵜木 健輔 Chief Representative for Canada

Mitsui Sumitomo Insurance Company Limited.の鵜木首席駐在員にインタビューをして参りました。2015年度商工会常任理事に就任された鵜木氏に、カナダでの保険事業や北米特有の損害保険事情について、お話しいただきました。また、シンガポール駐在時の経験やご趣味についても、お伺いしました。






(丸山)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(鵜木氏)当社は、現地のCHUBB INSURANCE COMPANY OF CANADA (以下CICC)と業務提携し、三井住友海上火災保険のカナダ支店として事業展開しております。主な事業内容は、火災保険、賠償責任保険、自動車保険を三つの柱とした日系企業向けの損害保険事業です。

当社はカナダ全域にて保険販売の免許を持っていますが、オンタリオ州のお客様が8割を占め、残り2割はアルバータ州とブリティッシュコロンビア州のお客様です。お客様の9割以上は法人ですが、お客様の従業員様個人向けの自動車保険や火災保険の販売も行っております。

日本から赴任しているのは私1名で、他のスタッフはCICC所属となります。内訳は営業を主に担当する現地採用の日本人社員1名と保険リスクを専門的に査定する数名のアンダーライターで構成されております。

具体的な業務はお客様から相談頂いたリスクについて、例えば火災保険であれば、アルバータ州では雹災(ひょうさい)のリスクが高く、ブリティッシュコロンビア州では地震や洪水のリスクが高い、といった事情を専門的に考慮した上で、保険料率や引受条件を設定し、保険契約引き受けの可否を判断しております。

(丸山)北米特有の賠償責任保険について教えていただけますか。

(鵜木氏)北米では、日常業務に起因して第三者に危害を与えた場合、訴えられるケースが多く、そのリスクをカバーするための賠償責任保険は、大きな役割を果たしています。他国では北米ほど訴訟は多くないですし、アジアなどでは賠償責任という考え方がまだまだ北米ほど浸透しておりません。

北米では、訴訟をビジネスにしている弁護士がたくさんいるようです。日本では一般的に弁護士を雇う際、一定の着手金を払う必要があり、訴訟を起こす際は熟慮することが通常ですが、北米では、弁護士が無料で訴訟を引き受け、勝訴した場合のみ報酬としてその賠償金の何割かをもらうというケースが多く、無料ならと気軽に弁護士に依頼するケースが散見されます。この点が日本や他国との大きな違いで、北米を訴訟社会にしている原因の一つです。

北米でよく見られる集団訴訟を例に挙げますと、弁護士が被害者を募り訴訟を主導しております。「実際に被害に遭っていなくても該当製品を所有しているだけで、心配で仕方がないという精神的苦痛・心理的ストレスが発生した」、「商品の中古販売価値が下がった」等の理由で多くの人を集め、製造者、販売者に対して集団訴訟を起こす、ということが、弁護士主導の下でなされています。日本人の感覚としてはなかなか馴染まないですよね。

また、お客様に訴訟が提起されたした場合、保険会社としては賠償金のお支払い以外にお客様を訴訟でお守りする防御義務があり、保険会社側で専任の弁護士を雇い訴訟で戦わなければなりません。

極端な話ですが、結果的に100万円の賠償金しか払わなくていいケースで、訴訟費用は1000万、2000万掛かった、ということも珍しくありません。これは北米特有の事情ですね。

(丸山)御社が今後力を入れていきたいことはどのようなことですか。

(鵜木氏)カナダでは、非日系のローカルビジネスは、業務提携しているCICC が担当しており、当社は日系企業向けビジネスをメインに担当しておりますが、まだまだ規模が小さいと感じています。

一方、保険会社ですから、売上げが増えれば単純に利益が増えるわけではなく、大きな事故が起こると損失に繋がりますので、保険自体のリスクを見極めながら健全な成長を目指し、カナダ事業で安定した利益が生み出せる規模へと拡大していきたいです。

CICCと業務提携している理由は、カナダでの当社事業規模を考えた場合、カナダで一から会社を設立するよりも現地事情に精通した保険会社と提携する方が効率的で、より良いサービスをお客様に提供できるとの判断で進出当初より提携をしております。

お隣のアメリカや直近まで駐在していたシンガポールでは保険料規模も大きく、日本本社の海外子会社として独立しています。シンガポールでは現地の企業を買収したということもあり、600名の社員がおり、業界3位の規模で顧客全体の8割はローカル企業で残り2割が日系企業でした。

(丸山)シンガポール駐在時と現在の業務内容にどのような違いがありますか。

(鵜木氏)シンガポール現法には、日本からの駐在員が30名程いて、私は営業を専門としていました。カナダでは日本からの駐在員が私1人なので、営業実務のみならず、事故対応や、決算、監督官庁であるThe Office of the Superintendent of Financial Institutions (OSFI)への対応業務を行っています。

我々は規模は小さいですが、航空機の保険など大きいリスクを負っています。もし大きな事故があった時に、お客様にきっちり保険金を支払えるのか、といったことがOSFIの最大の関心事です。

ストレステストと言って、想像し得る最大のリスク、100年や200年に一回の災害が起きたことを想定し、お客様への支払いを保証できるのか、営業を継続できるのか、リスクは適切に分散できているのか、といったことを証明する為に、当社の業務内容、財務状況等をOSFIに定期的に報告しています。

(丸山)それでは、鵜木首席駐在員のご経歴についてお伺いしてもよろしいですか。

(鵜木氏)兵庫県宝塚市の出身で、大学卒業までは関西に住んでおりました。三井住友海上火災に入社して初めて東京に移り、7年間、東京で勤務しました。その後、大阪とシンガポールにそれぞれ5年間勤務し、2015年4月にトロントに着任、現在に至ります。

お客様とお会いして話をするのが好きなので、入社してからずっと営業を担当してきました。また、入社後は海外赴任を希望していたので、初めての海外赴任先となったシンガポールでの生活はとても充実していました。ただ、今思うと、シンガポールは日本とそんなに変わらないですね。

日本との時差も少なく、便利ですし、日本語を話せる現地の人もいらっしゃるくらいで、英語を話せなくてもほとんど生活には困らないです。シンガポールにはトロントよりもっとたくさんの日本食レストランがあり、海外というよりも日本の延長のような感覚でした。カナダに赴任し、初めて海外駐在らしい経験が得られると期待しています。

(丸山)これまでのご経験を通じ、どのようなお仕事が印象に残っていますか。

(鵜木氏)シンガポール駐在時に担当した、石油化学工場の保険引受業務が印象に残っています。

石油化学の工場ですので、爆発等の事故が一回でも発生すると経営に与える影響が大きく、特殊なリスクであるため再保険の引き受け先を自身で探さなければいけませんでした。

再保険というのは、例えば、工場の価値が数千億の規模となると、我々一社ではリスク全体を引き受けられないので、保険会社が裏で支えてもらう保険契約をすることを指します。

リスク分散の一つの手法で、例えば、地震が多い日本で、一つの保険会社が地震保険を一手に引き受けると、大震災があった場合、保険会社自体が倒産する可能性があり、お客様にご迷惑をお掛けすることとなります。

そこで、世界中で大災害が同時に起こることはまずないとの前提で、地域の異なる保険会社同士でリスクを交換しながらリスク分散をしています。日本の地震や台風のリスクを欧米の再保険会社に引受けてもらう一方で、我々がアメリカ西海岸の地震や南東部のハリケーンのリスクを買うこともあります。

日本本社には、再保険専門の大きな部署があるのですが、シンガポールでは日本より規模が小さかったので、特殊リスクに関しては各営業担当自身が再保険手配を行う必要がありました。特にリーマンショック以降は一時的に保険マーケットも縮小し、リスク引受が可能な海外の再保険会社を探す為に、ロンドンに行ったり、他のアジアの保険会社と交渉したり、本当に苦労して集めました。

(丸山)鵜木さんご自身がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことですか。

(鵜木氏)信頼関係を大切にしています。特に海外で働いていると、言語の違いから十分に真意が伝わらないということを実感します。その中で信頼関係を築いていくことが大切だと思っています。信頼関係を築くことができれば、言葉がたどたどしくても意図を汲み取ってくれますし、オープンに情報を流してくれます。

信頼を築いていくために大切にしていることは、ぶれないということで、自分の考え方や仕事の進め方に一貫性を持たせ、周りに理解してもらうということです。そのために、コミュニーケーションを大切に、誰に対しても誠実に接することを心がけています。

(丸山)それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味はございますか。



(鵜木氏)ゴルフが好きです。シンガポール駐在時は常夏ですので毎週ゴルフをしていました。最近は滅多にいいスコアが出ないので、情熱が薄れてきましたが(笑)。カナダではゴルフのシーズンが半年に限られてしまっているのが残念です。

シンガポールではゴルフ大会がたくさんありました。年に一回開催される大学対抗選手権は、各大学出身者の中から選ばれた代表者のみが出場する大会で、最大で28校140名も集まりました。中には同窓会員が300名超の学校もあり、その中から上位5名が選出され、勝手に大学の名誉をかけて戦います。私自身も代表に選出され、団体戦ベスト5に入ることを目標に頑張っていました。

スポーツ観戦も好きです。トロントには大リーグのチームがあり、ホッケーやバスケットボールも盛んなので、これからスポーツ観戦をするのが楽しみです。特に野球が好きで、日本では甲子園観戦にもよく行っていました。

シンガポール駐在時は、シンガポール自体が小さい国で飛行機も国際線しかなく、休みの度に、年に三、四回はタイ、インドネシア、カンボジア、マレーシア等へ旅行に行きました。シンガポールから東南アジア諸国へ行くのは、トロントからバンクーバーに行くよりも近いですからね。

夏に家族がトロントに来るので、家族と、カナディアンロッキー、アラスカにも行って見たいです。カナダ滞在中にカリブ海にも行こうと計画しており楽しみにしています。

実は、新婚旅行はカンクンに行く予定だったのですが、ハリケーン・サンディの影響でホテルが壊滅し、従業員も避難されており、その為、出発の2週間前に急遽行き先を変更せざるを得なかったので、今回は是非行ってみたいと思っております。

(丸山)最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(鵜木氏)皆様にとって損害保険は馴染みの薄いものかと思われます。本来は何事も起こらず、お会いしないのが一番ですが(笑)、業務中もしくは日常生活において万一事故に遭われた時やお困りのときは、声を掛けていただければアドバイスさせていただきます。どうぞ気軽にご相談ください。

(丸山)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きましてありがとうございました。








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