「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー





<第122回> 
Rakuten Kobo Inc.
相木 孝仁 CEO(楽天株式会社 常務執行役員)

Rakuten Kobo Inc.の相木CEOにインタビューをして参りました。2014年2月に赴任された相木氏に、成長を続けている電子書籍事業や発売されたばかりの一押しの新製品について、お話しいただきました。また、Rakuten Kobo Inc.の今後のビジョンや、相木氏がカナダに赴任される前に楽天で携われた様々な事業について、お伺いしました。




(丸山)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(相木氏)2009年秋に、Rakuten Kobo Inc.の前身であるKobo Inc. が、カナダ最大の書店チェーンIndigo の社内ベンチャーとしてトロントで設立されました。元々はカナダの会社でしたが、2011年に楽天グループに加わりました。

当社は電子書籍の会社で、電子書籍端末と電子書籍コンテンツを提供しております。創業以来、急速に事業を拡大し、現在、世界170カ国、2300万人のお客様がいらっしゃいますが、カナダのお客様が全体の3割を占めております。

電子書籍端末はアジアで製造し、企画・デザインはカナダ本社で行っています。当社の社員の半分は開発部門のエンジニア、デベロッパーです。アイルランドのダブリンにも開発拠点があり、その他、マーケティングや出版社様を担当している部門や、世界中の書店チェーンや家電量販店のパートナー企業様のサポートを担う部門などがあります。

駐在員として日本から赴任しているのは、現時点で私を含め5名です。当社の日本での事業は楽天内のKoboジャパンチームが行っています。常に日本から数名のエンジニアが長期出張ベースでカナダに来ています。

(丸山)2013年の前回の取材時からどのような変化がありましたか。

(相木氏)2011年の買収直後は、創業経営陣に経営を託し、日本の楽天から出向していた社員は彼らのサポートを行っていました。2014年2月に私が赴任し、新しい経営体制に変更しました。楽天の強みである改善アプローチと、カナディアンの業務効率の良さを組み合わせて、強いオペレーションを作ろうと取り組んでいます。

(丸山)御社が特に強みだと思われるのはどのような点でしょうか。

(相木氏)電子書籍のコンテンツと閲覧用ハードウェアの両方をグローバルで展開している企業は、AmazonのKindle と、Rakuten Kobo のみです。アメリカのナンバーワン書店、バーンズ・アンド・ノーブルが、Nook という電子書籍ビジネスをしていますが苦戦しているようです。ソニーは日本を除いて撤退しましたし、ヨーロッパのローカルの電子書籍企業も十分な事業規模になっていません。

KindleとRakuten Kobo の二社競合となっている中で、我々が注力しているのは、本を愛するお客様に、最高のリーディングエクスペリエンスとディスカバリーを提供することです。つまり、本をたくさん売るということよりも、本が好きな人に長く使っていただけるような高品質なebookサービスを提供することです。

具体的には、電子書籍コンテンツの種類、数はもちろん、カテゴリー、ジャンルごとにおすすめする本やレビュー等、本が好きな人が求めているサービスを次々と発信しています。

(丸山)現在一押しの製品をご紹介いただけますか。

(相木氏)電子書籍コンテンツについては、ご紹介しきれないくらいたくさんの新しいサービスを常に提供しております。
 
 Kobo Glo HD
デバイスで今一押しの新製品は、電子書籍リーダーの「Kobo Glo HD」です。2015年5月1日に英語圏で販売を開始し、ヨーロッパでは6月1日、日本では夏に販売を開始します。「Kobo Glo HD」は、Kindle の「Kindle Voyage」という最上位機種とほぼ同じ画質、解像度(レゾリューション)を維持しています。

当社では製造コストを相当工夫しているので、「Kobo Glo HD」は、Kindle の「Kindle Voyage」よりも70ドル価格を下げて提供しています。低価格に抑えながら、画質は非常に綺麗で、データ処理も速く読みやすいので、本好きの方に喜んでいただける商品です。英語圏のカナダ、イギリス、アメリカ、オーストラリアで売れています。





本機種の上位機種としてウォータープルーフの製品もあり、こちらも大変好調です。ウォータープルーフの機種は、丸ごと水に浸からせても全く問題ありません。

電子書籍は、日本では男性主導のマーケットですが、日本以外ではお客様の7割は女性ですので、水周り、例えばキッチン、お風呂、トイレで読まれる方も多いようです。「ジップロックに入れて読んでいます」という声をたくさんいただいたことから、ウォータープルーフの機種の開発に至りました。

先程申し上げました通り、本好きの方に読書をより楽しんでいただけるようなプラットフォームを作りたいと思っていますので、本好きの方が求めていることを察知し、本を読む瞬間をより楽しんでいただけるようなサービスを模索し、業界に先駆けていきたいと考えています。

(丸山)御社はこれからどのようなことに力を入れていきたいとお考えですか。

(相木氏)2014年2月に私が赴任してから1年3ヶ月が経過しました。経営の効率性を高め、戦略を再構築し実行し、概ね当初の目的を果たした現在、会社をよりアグレッシブな成長に向けて舵を切り始めたところです。

これからは、さらに新機能や新サービスを開発し、積極的に新しい国へ参入していきたいと考えております。実際に、この2、3ヶ月中に非常に面白い2カ国に参入することが決まっています。

電子書籍リーダー端末はたくさんの種類を作らずに、一機種あたりの販売量を増やしていきます。デバイスを購入してくださる本を愛するお客様に、最高の読書体験を提供することによって、コンテンツ収入を伸ばしていきます。

新規顧客をどこから獲得するか - デバイスでとるのか、アプリでとるのか、PCでとるのか、新規のお客様に長く使っていただくにはサービスをどう展開していくか、ということを日々思索しています。

私たちは雑誌やキッズ向け書籍も扱っておりますので、色々な種類の本を買っていただくためのリコメンデーション、サーチ、CRM(Customer Relationship Management) 等、一つずつ着実に進めています。

また、直近の話になりますが、楽天が、アメリカのクリーブランドに本社を置く電子図書館および教育機関向け世界最大の電子書籍プロバイダー、OverDriveを買収しました。Rakuten Koboと、新しく楽天グループ入りしたOverDriveとのシナジーをどのように具現化していくかも極めて重要な経営課題です。




(丸山)相木さんのご経歴についてお伺いしてもよろしいですか。

(相木氏)楽天に入社したのは2007年です。以前に勤めていた会社の先輩が先に楽天に入社していたので、その方の勧めで、三木谷と何度か会い、やりたいことを摺り合わせて楽天に入社しました。

カナダに赴任するまでは、楽天で色々なことをやらせてもらいました。入社して10日目に、通信会社のフュージョン・コミュニケーションズの建て直しを任され、大変な大赤字だったのを社員一丸となって改善し、今では健全優良企業に生まれ変わりました。

その後は、業界ナンバーワンの結婚相談サービス「オーネット」、日本の大学生なら誰もが知っている「みんなの就職活動日記」、マーケティングリサーチの「楽天リサーチ」など、さまざまなサービスに携わってきました。

このように様々な事業に携わり、とても充実していた中、2013年の年末にRakuten Koboに赴任するよう辞令が出て、現在に至ります。出張ベースでは何度も海外に来ておりましたが、海外の長期駐在としては今回が初めてです。

(丸山)これまでの様々なご経験を通じ、どのようなプロジェクトが印象に残っていますか。

(相木氏)印象に残っているプロジェクトはたくさんありますが、最近では2015年3月19日に記者発表をしたOverDrive社の買収が印象深いです。約4.1億米ドル規模の非常に大きな買収で、交渉に半年ほど要しました。

何度か難しい局面がありましたが、楽天のGlobal ebook businessをさらに飛躍させるために、このビジネスがどうしても必要だったので、三木谷をはじめ、楽天の経営陣を巻き込んで納得してもらい、最終合意を纏めることができました。

(丸山)相木さんご自身がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことですか。

(相木氏)日本で上手くいく経営手法がカナダで通用しないこともたくさんあります。日々学び、カナダ人の社員としっかり話し合った上で、経営者として、企業の価値を上げることを考えています。

この会社を強くしたいので、社員に厳しいこともいいます。「私もカナダに来て、経営スタイルを変えているが、皆さんにも変わってもらわないといけないときがある」と伝えています。ダメなときははっきりとダメと言うので、社員に怖がられている時もあるようですが、私は嘘を言わない、Rakuten Koboの未来のためにあえて叱咤しているという点は理解してくれていると思います。

私たちが目指している姿は高いところにあり、本気で世界一のebook プラットフォームになりたいと考えています。名だたる企業よりも小さく体力のない我々が戦っていくには、より工夫し、より努力せねばなりません。

(丸山)それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、休日はどのように過ごされていますか。

(相木氏)休日は妻と子供3人との時間を大切にしています。ドライブに行ったり、子供と本を読んだりして過ごしていますが、休日の半分は仕事をしています。仕事が本当に好きで趣味と言ってもよいです。北米以外に、日本とヨーロッパともやり取りが多いので、時差の都合上、仕事がずっと続いて終わりがありません。

カナダに住んでみて、ものすごくポテンシャルのある豊かな国だと感じます。もっともっと大きな産業が育ってもおかしくないのに、ベースが豊かな国なので、人がせかせか働いているわけでもなく、日本とは違いますね。

カナディアンライフもエンジョイしています。トロントの人は人当たりが良くフレンドリーですね。外国籍の方が多く、英語を母国語としない人に親切だと感じます。そういう意味で、カナダはとても好きです。

(丸山)最後になりますが、商工会会員へメッセージをいただけますか。

(相木氏)月の半分は海外出張があり、商工会のイベントには参加できておりませんが、メールで情報を発信していただき、大変ありがたく思っています。カナダには妻と子供と来ておりますので、帰国子女の教育等、駐在員だけでなく家族向けの情報提供をしていただいているので助かっています。これからも宜しくお願いします。

(丸山)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きましてありがとうございました。








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