「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第114回> 
FUJIFILM Canada Inc.
的場 隆一 President

ミシサガ にあります FUJIFILM Canada Inc.の的場社長にインタビューをして参りました。多様なフォトギフトグッズや的場社長ご自身が作られたフォトブックをお見せ頂き、一押しの新製品や、デジタルブームを経て多角化された富士フイルムの事業についてお話し頂きました。また、渡加前に赴任されていたニューヨークでのご経験やとても充実されているプライベートについてもお伺いしました。インタビュー後には、ギフトラボをご案内下さり、最先端の画像・映像処理技術の現場を見学させて頂きました。


(丸山)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(的場氏)FUJIFILM Canada は1980年に設立され、当初はモントリオールに拠点を置いておりましたが、1986年にミシサガに移りました。現在、社員は170名で日本からの駐在員は2名です。

カナダでの事業は4つのビジネスユニットから成り立っています。一つ目はデジタルカメラやインスタントカメラの販売。二つ目は1 Hour Photo Print というデジカメプリントサービス向けのプリント用機材、印画紙の販売で、SHOPPERS DRUG MART 、Loblaws、COSTCO 等のリテイラーがお客様です。

最近はデジカメプリントだけでなく、マグカップ、マウスパッド、カレンダー、キャンバスプリント、ジグソーパズル、 iPad カバーや iPhone ケース、コースター、クリスマスオーナメント等、写真プリントが施されたグッズの生産が多様化しており、フォトギフトと呼ばれています。店頭で対応できるものもありますし、大型設備が必要なものは、社内の工場にて生産しております。

   
 スマホ、タブレットケース生産設備  フォトブック・カレンダー生産設備

私はこの写真プリント分野に長く携わっておりましたので、フォトギフトの中でもフォトブックは思い入れがあります。フォトブックの作成は、予め用意されている背景やロゴを選択することも出来るので、一から作らなくても簡単に作成できるようになっています。

私自身、アメリカやカナダでの旅の記録としてフォトブックを作りました。ヨセミテ国立公園、ニューメキシコ州カールズバッド洞窟群国立公園、ホワイトサンズ国立公園、カナディアンロッキーなどを家族と訪れた時の思い出が詰まっています。

そして三つ目の事業は、印刷会社向けの大型機材や材料の販売です。一台数百万円から一億円するものまで扱っております。

四つ目は、記録メディア事業です。LTOテープというコンピュータ用データストレージテープを販売しています。

(丸山)今一押しの製品や新製品をご紹介いただけますか。

(的場氏)日本ではチェキとして馴染みのあるインスタントカメラ・Instax です。日本で15年前に初代のチェキが発売され、かなり売れました。当時は北海道で営業を担当しておりまして、何千台ものチェキを売ったことを覚えています。

その後デジタルカメラが主流になりチェキは下火になったのですが、数年前からアジア地域、特に韓国や中国でブームが再燃してきたのを受けカナダでも2年前から本格的に販売を開始し、今ではデジタルカメラにほぼ匹敵する程の売上となるまで成長しました。

デジタルカメラと違い、お店にプリントをしに行かなくても撮ってすぐに写真が出てくるという単純な構造が受けています。昔はポラロイドカメラと言われていましたが、デジカメ、スマートフォンが主流の現在、ティーンエイジャーなど若い世代の方にとってインスタント写真は初めて見るもので、撮影した後すぐにプリントが出てくるのはとても新鮮に映るようです。





   
   
そして発売したばかりの新製品、Instax SHARE Printer が今ホットな商品です。カメラを持っていなくても、スマートフォンで写真を撮った後、専用アプリから撮影データをWi-FI で送り、Instax のフィルムを使って即座にプリントできるという画期的な商品です。

スマートフォン専用アプリでは、多様なテンプレートが用意されていて、文字を入れたり、撮影データを加工することもできます。

印刷時にフィルムがゆっくり出てくるのにも理由があり、フィルムのフレームの下の余白部分に現像液が仕込まれており、カメラの中に組み込まれたローラーで押しつぶして現像液がフィルムに染み渡るようにし、化学反応で画像が出てくるという仕組みです。

画像が定着するまで1分ほどかかりますが、その間じわじわと色が出てきてワクワクする感じも特別感を生み出しているようです。又その余白部分を活かして、絵柄やハローキティー、季節に応じたハロウィン仕様等、幅広くフレームを取り揃えています。おしゃれな遊び心があり、ファッショナブルなパーティー盛り上げグッズとしても利用されています。

これらの商品は、コンピュータを操作したり、お店に行かなくても手軽に印刷できるので、みんなが集まるパーティー等に手軽に持っていける便利さが売りです。これからも更に売上げを伸ばしていけると思っています。

(丸山)今はスマートフォンで写真を撮る機会が多いので、これは本当に画期的ですね。では、現在御社が力を入れている新規事業について教えていただけますか。

(的場氏)富士フイルムの事業は急速に多角化を進めていて、近年はヘルスケア事業と高機能材料事業に力を入れており、更なる事業拡大を目指しています。

ヘルスケア事業は、元々X線用のレントゲンフィルム販売から始まりましたが、近年ではデジタルXレイや内視鏡、超音波診断装置など診断医療分野において成功を収めています。

また病気にならないようにするための予防分野としてサプリメントに進出、その派生形としてアスタリフトという化粧品を開発・販売するようになりました。また病気にかかってしまった人を治すための治療分野として、2008年に製薬会社の富山化学をグループ会社に加え、医薬品に参入しました。

富山化学が開発したアビガンという抗インフルエンザ薬が、実はエボラ出血熱にも治療効果があると言われ、最近メディアでも注目され、社会貢献事業として期待されています。予防、診断、治療の総合ヘルスケアカンパニーを目指しています。

また、高機能材料事業も富士フイルムを支える柱の一つです。写真のフィルムは実は何層もの薄い層が積み上げられるナノテクノロジーの集積で、そのフィルム製造で培った薄膜形成技術や塗布技術を応用した高機能材料事業を展開しています。代表的なものは、液晶ディスプレイに不可欠な偏光板保護フィルムや視野角拡大フィルム、また太陽電池用バックシートにも取り組んでいます。

(丸山)デジタルブームを経て、このような事業の多角化に成功するまで大変な道のりだったのではないでしょうか。

(的場氏)これだけ多角化に力を入れているのは、本業であった写真フィルムがデジタル化の影響をまともに受けて売り上げが劇的に下がってしまったからです。当初は、富士フイルムがなんで化粧品?なんて不思議がられていましたが、2012年にKodakがChapter11を申請してから、Kodakは倒産したのになぜ富士フイルムは生き残っているのか、と注目されるようになりました。

弊社会長の古森重隆が様々なメディアからインタビューを受け、その後出版社からインタビュー内容をまとめて書籍を出したらどうかとの提案があり「魂の経営」と「君はどう生きるか」という2冊の本を出版しました。

「魂の経営」では、冒頭に、"車が売れなくなった自動車メーカーはどうなるのか。 鉄が売れなくなった鉄鋼メーカーはどうすればいいのか。" という記述があります。我々はまさにそうした本業喪失の危機に直面しましたが、非常に厳しい事態を乗り越えて、今があると思っています。まだ道は半ばですが、第二の創業として位置付け頑張っております。

(丸山)それでは、的場さんのご経歴についてお伺いしてもよろしいですか。

(的場氏)就職した当時はバブル時代で、金融関係に行く友人が多かったのですが、私は鉄鋼メーカーに勤務していた父親を見て育ったこともありメーカーへの就職を希望し、縁があり富士フイルムに入社しました。

入社後は9年間東京本社で業務、営業を担当した後、札幌営業所に転勤が決まり、札幌で5年間、販売業務をしておりました。その後東京に戻り、国内販売会社への出向を経験した後、初めて海外営業を数年間担当してから、ニューヨークへの転勤が決まり、6年間駐在しました。トロントにはニューヨークからの異動で来ました。

入社してから勤務地は変わっても、ずっとイメージング事業に携わっておりました。今回カナダに赴任が決まり、イメージング以外の事業に加えて経営全般も見ることになり、新しい経験を得る事ができ、楽しみにしております。

(丸山)これまでのご経験を通じ印象に残っているプロジェクトはございますか。

(的場氏)直近のニューヨークでの経験ですが、アメリカのマーケットはWalmart、Walgreensなど大手のマーケット占有率が高く一社を取ったり取られたりでマーケットシェアががらっと変わる、リスクも高いがダイナミックな市場です。その中で、Walmart の即時プリント用KIOSKターミナルの商談に関わりました。

これはデジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像をその場でプリントするための機材の商談で、アメリカ人スタッフと協力して2年越しのプロジェクトを成功させることが出来たことが、大きな経験となりました。

(丸山)的場社長ご自身がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことですか。

(的場氏)判断を求められることが多いので、フェアに正しい判断をすることです。そのためには情報収集や先を読むことが大切です。もちろん判断がつかないことや迷うことも多々あります。

これは弊社会長の古森の受け売りですが、どうしても判断できない時は、もしかしたらどちらも正しいのかもしれないので、最後は腹を決めて決断する。そして決断した以上は自分の責任となるので、決めたことを成功に結び付けられるよう一生懸命努力したいと思っています。

(丸山)それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、休日はどのように過ごされていますか。
(的場氏)スポーツが好きで、夏はゴルフ、冬はスキーを家族や友人と一緒に楽しんでいます。この年末年始もケベック州のモントランブランに3日間滞在し、スキーを楽しんできました。娘もスキーができるようになったので、家族の楽しみが増えました。

ただスキーは毎週できるものでもないので、ここ数年楽しんでいる冬の休日の楽しみ方をご紹介します。

一つはアメリカンフットボールのテレビ観戦で、日曜日のNFLを楽しく観ております。スタジアムで生の試合も二、三回見ました。東海岸に住んでいたので、ニューヨークジャイアンツのファンですが、プレーヤーはニューイングランド・ペイトリオッツのクォーターバック、トム・ブレイディが好きです。

今年はペイトリオッツが勝ち進んでいるので、今週末、決勝戦のスーパーボウルをテレビ観戦するのを非常に楽しみにしています。

もう一つの楽しみは、映画鑑賞です。毎年3月に授賞式が行われるアカデミー賞にノミネートされる大作は、冬の時期にまとまって上映されることが多いので、なるべく観るようにしています。今シーズンは既に5本くらい観ましたが、「ゴーン・ガール」という映画が良かったですね。お勧めします。また、まだ観ていなノミネート作品が何本か残っていて、その中でも「アメリカン・スナイパー」が話題になっているので、これから観るのを楽しみにしています。

そしてノミネート作品を鑑賞した後、どれがアカデミー賞を受賞するのか占うのもまた楽しみの一つなので、3月の授賞式が待ち遠しいです。ゴーン・ガールの主演女優ロザムンド・パイクがアカデミー賞主演女優賞を是非とってほしいなど、感情移入しながら楽しんでいます。

(丸山)インドアとアウトドア両方のご趣味があり、とても充実したプライベートを過ごされていますね。それでは、最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(的場氏)トロント日本商工会は非常に活発に活動されていて、正直驚きました。小室会長を始め、理事の方々の努力の現れだと思います。私も今年度、商工会の活動に関わっていければと思っておりますので、今後とも宜しくお願いします。

(丸山)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きまして、どうも有り難うございました。







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