「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第112回> 
Trans-Mit Steel Inc.
濱口 淳一 President

トロントから南西へ車で2時間弱のWoodstock にあるTrans-Mit Steel Inc.の濱口社長にインタビューをして参りました。会社設立の経緯や今後のビジョン、これまでの海外駐在時のご経験についてお伺いしました。インタビューの後には、工場にて、電磁鋼板を加工する様々な機械を見学させていただきました。



(丸山)御社設立の経緯についてお話いただけますか。

(濱口氏)Trans-Mit Steel Inc.は、カナダ三井物産100%出資の電磁鋼板加工会社として2013年8月に設立しました。"Transmit"には「送る」「伝える」等の意味があるのですが、Transformer(変圧器)用部品の為のMitsuiの会社、と言う意味を込めた合成語で"Trans-Mit Steel" と名付けられました。

三井物産では鉄は古くからコアビジネスで、カナダにおいても鉄に強い商社として、日本製の電磁鋼板を輸入し、加工は現地の企業に委託する事でビジネスを拡大してきておりました。近年、お客様や調達元の鉄鋼メーカーさんから鋼板加工会社設立の要望があり、事業を拡大するチャンスと捉え、約2年間の検討の結果、新会社設立を決めました。

各種鋼板を扱った鋼材加工の関係会社は三井物産として世界に約70拠点ありますが、Trans-Mit Steel Inc.は、カナダにおいては初の電磁鋼板専用の加工センターという位置付けになります。設立から1年の準備期間をかけ、2014年10月20日に工場の開所式を行いました。

日本から赴任しておりますのは、私と営業部長の2人です。現在の従業員は18人ですが、2015年半ばまでに2シフト体制にし、30人程度まで増やす計画です。幸い、当地で採用したメンバーは新しい事業に携わる喜びを感じている様子で、絶対に成功させようというやる気に満ちています。景気があまり良くないカナダで、新規進出企業の弊社に対する期待は大きいと感じています。

(丸山)新工場の開所、おめでとうございます。では、御社の製品についてご説明いただけますか。

(濱口氏)主に、電磁鋼板の狭幅コイルや変圧器用電磁コアを変圧器メーカーに納めます。電磁鋼板コイルや電磁コアは、電力会社が送電する時に電圧をコントロールする大きな設備、あるいは、各工場に送電される電気を引き込む時に電圧調節する変圧器に使われます。

また例えば私たちが日本でも目にする電信柱に取り付けられている柱上変圧器の中にも、鉄のコアが入っています。そのような変圧器用の部品を作るのが我々の事業です。

(丸山)御社が特に強みだと思われるのはどのような点でしょうか。

(濱口氏)先程申し上げました通り、親会社である三井物産は世界中に70拠点もの鋼材加工センターを操業していますので、長年の経験によって培った鋼材加工の技術やノウハウが私たちの強みです。安全、加工技術、デリバリー管理については高いレベルにあります。

また、製品の高い品質レベルも私たちの強みです。新日鉄住金さんとの長年の信頼関係に支えられ主に同社の材料を使用させて頂いてます。高品質のものは製造キャパシティが限られる為、貴重な材料の特性を理解し、質の高い顧客サービスを提供できる当社の機能を評価頂いています。
原材料である電磁鋼板により変圧器の能力・品質が決まりますので、日本製の高い品質を重視する需要が北米でも増えてきています。これまで三井物産は、ヨーロッパに本社がある世界最大の変圧器メーカーABBの北米の拠点に新日鉄住金の材料を納めてきました。

人口増加と共に電力需要も伸び変圧器生産も増える中、欧米では国を挙げて変圧器の高効率化に取り組んでおります。変圧器メーカーに対し具体的に何年後までに性能をここまで上げるようにと政府が指導し規制化しようとする流れがあります。

変圧器の性能が悪いと歩留まりロスが発生し電気の無駄使いになります。せっかく作った電気を無駄にするのは発電の為のエネルギーの無駄であり、地球環境にとって大きな損失です。

そう言う意味で、変圧器の高効率化の為に原材料を良いものにしようという動きが出てきており、地場鉄鋼メーカーよりも品質の高い日本製電磁鋼板に大きな期待が寄せられています。

本事業はエコ・省エネの流れに乗り、大きな意味で社会貢献にもつながりますので、三井物産社内でも注目されています。

また、三井物産は既にCambridge/Woodstock に自動車用鋼板加工センターのSteel Technologies Canada を操業していますし、輸送会社としてTransfreightに事業を展開しています。彼らから当地における会社設立、工場の操業についてのアドバイス、技術支援を受けられるのもメリットでした。つまり三井物産はこの地域では新参者では無く、既に地域社会に貢献している企業として評価されており、本事業も大きな期待を持って受け入れられました。

(丸山)濱口社長はTrans-Mit Steel Inc. をこれからどのような会社にしていきたいとお考えですか。

(濱口氏)これまでの海外赴任時に加工業の現場を見てきた経験から、安全を最優先にする会社にしていきたいと思っています。商社マンとしての営業経験しか無かったらこの感覚は出てこなかったはずですが、香港やタイ赴任時は加工現場を見ながら日々心配が尽きませんでした。

鋼材を扱っているので、少しのミスでも重大事故になりかねません。安全には妥協せず、当たり前のことである安全最優先をくどいくらいに言い続けそれが染み付いた会社にしていきたいです。日本の商社がTrans-Mit Steel Inc. をカナダで設立し、日本から来た社長が最初に何を言うか従業員が注目して見ている時に、「安全最優先」と私が言ったことで、彼らも安心してくれました。

カナダは特に安全管理に厳しい国です。安全対策として実施していることの一つとして、Slitter という鉄板を切る設備の周りを全てフェンスで囲っています。これは、安全にうるさい日本でも義務化されてない事です。カナダは従業員の安全を最優先にする人に優しい国という印象です。

また、これも当たり前のことですが、高い品質を維持していきたいです。品質が悪い変圧器を出すと事故が起こり、お客様側での安全に問題が出てきますから。

(丸山)それでは、濱口さんのご経歴についてお伺いしてもよろしいですか。

(濱口氏)長崎出身で、大学入学と同時に上京し、卒業後は海外に関わる仕事がしたいという思いから三井物産に入社しました。入社してすぐに海外出張があり、この会社に入って良かったなと単純に思いました。6年目で初めての海外赴任が香港に決まり、鋼材の販売を担当しました。

その後、2006年からタイのバンコクに4年間赴任し、自動車用鋼板加工センターの営業担当副社長をしておりました。日本に戻ってからは、Trans-Mit Steel Inc. 設立事業のサポートをしていました。出張で何度かカナダにも足を運び設立準備に一から携わり、2013年11月に渡加し現在に至ります。

(丸山)香港やタイでの海外赴任時で印象に残っているプロジェクトはありますか。

(濱口氏)タイ赴任時に経験した機械トラブルです。自動車メーカー向けに溶接した鋼板部品を納めておりましたが、機械故障で溶接が上手くいかないトラブルがありました。設備メーカーの担当技術者に来てもらい夜を徹して修理するも解決せず、納期遅延を起こしそうになりました。

納期が間に合わないとお客さんのラインを止める大問題になります。その後、何とか解決し事なきを得ましたが、今でも夢にも出てくるくらい厳しい経験でした。

(丸山)それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、休日はどのように過ごされていますか。

(濱口氏)土曜日は子供たちを補習校に連れて行きます。そして日中は、Yorkdale まで移動し妻と買い物をしています。私は買い物には余り興味ありませんが、Window shoppingだけでも満足してくれる妻のために家族サービスをしています。日本に残している高校生の長男が夏に遊びに来た時は、家族でナイアガラの滝へ行きました。

タイ赴任時は、お客さんとのゴルフや美味しい食事を楽しみました。香港赴任時は、中華料理が最高に美味しく、毎晩のようにお客さんと中華料理を堪能して太ってしまいました(笑)。

カナダではゴルフはまだ1回しか経験していないのでもっとゴルフをしたいですね。また、日本にいた頃はドラゴンボートのチームに入っていました。カナダはドラゴンボートの本場なので、挑戦したいです。


それと山登りも好きなので、カナダの西の方の山登りもしたいですね。一昨年、次男と富士山に初めて登ったのは良い思い出です。






(丸山)それでは、最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(濱口氏)Woodstock 近辺は日本人が少ないので、商工会会員企業さんで事業を拡大する際は、是非こちらにも支店を作っていただいて、日本人コミュニティを盛り上げていきたいです。Woodstock は自然が豊かで、Highway 401も近く交通に便利な良い場所です。

(丸山)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きまして、どうも有り難うございました。







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