「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第109回>
MHI Canada Aerospace Inc.
楠見 光俊 Director of Business Administration & Supply Chain Management


MHI Canada Aerospaceの楠見氏にインタビューをして参りました。オフィスはピアソン国際空港の近くにあり、天井の高い大きな組立/製造工場が隣接しています。日本からカナダへ業務移管される経緯や、近年の短期間での事業拡大についてお伺いしました。そしてインタビュー後には、工場にて飛行機の主翼部分の組立工程を間近で見学させて頂きました。


(丸山)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(楠見氏)MHI Canada Aerospaceは、三菱重工業の100%子会社として2006年に設立しました。カナダの航空機メーカー、ボンバルディア社に納めるビジネスジェットの主翼と中央胴体の製造と組立が、カナダにおける事業となります。

扱っているのが飛行機であり営業活動をして都度受注をするようなものではないので、カナダには営業機能はなく、受注は本邦で行われています。設計作業は基本的に名古屋で実施され、カナダは、組立製造工場という位置付けになります。

部品についても、従来は日本国内で製造をしておりましたが、組立作業の移管に伴い、部品調達もカナダで行い、組立をサポートするようにしています。2012年に私が赴任したのは、その調達部門を立ち上げるためです。

当時は駐在員中心のオペレーションでしたが、その後事業規模の拡大に併せ、ローカライゼーションを進め、2014年4月から社長も現地の人に代わりました。事務部門2名、製造部門4名の駐在員6名が社長を筆頭とした現地従業員とともに事業に取り組んでいます。

(丸山)カナダに進出した背景についてお伺いできますか。

(楠見氏)ボンバルディアにビジネスジェットの主翼を提供する契約を結び、最初の契約締結からおよそ20年が経過しています。従来は日本で作りカナダへ輸出していましたが、最終的に客先に納入する前の手直し作業等を行うために2006年にカナダに子会社を設立致しました。手直し作業から始め、以後従来日本で行っていた主翼の組立作業を徐々にカナダに移管し、2012年の新工場設立と同時に部品調達の移管作業も始め、現在に至っています。

従業員数は赴任当時の2012年10月は従業員250名程度でしたがここ2年で3倍となり 760名強にまで増えています。

(丸山)楠見さんが赴任されてから、2年という短期間で目覚しい成長を遂げましたね。では、御社の製品のご紹介をお願いします。

(楠見氏)弊社では2つ製品ラインがあります。1つは、ボンバルディア社のグローバル5000、6000 というノンストップでニューヨーク―東京間の就航が可能な最高級ビジネスジェットです。主翼と、中央胴体と呼ばれる胴体の主翼に接続する部分が弊社の担当部位となっています。

もう1つは、チャレンジャー350 と呼ばれる中型のビジネスジェットで、主翼の製造を担当致しております。それぞれの大きさにつきましては、ウィングスパンという翼の端から端までの長さで言いますと、グローバルは30メートル、チャレンジャーは20メートル程度です。

(丸山)お客様はボンバルディア社のみとのことですが、ビジネスジェットはどのような方々に利用されていますか。

(楠見氏)ビジネスジェットは、スティーブンスピルバーグのような有名人や中東の王族等裕福な方が、ビジネス、プライベートの移動の際に利用されます。また、最近はリース会社がビジネスジェットを大量購入し、時間貸しに対応するというビジネスが広がってきており、ビジネスジェットの需要は旺盛です。

(丸山)航空産業が盛んなオンタリオ州において、御社の強みというのはどちらにあると思われますか。

(楠見氏)トロントやモントリオール地区は航空産業が発達しクラスターを形成していますが、ボンバルディアを除き、他は部品メーカーがほとんどです。民間機の主翼や胴体といった、キーとなる主要構造体の組立能力を有している会社は極めて限られ、おそらく現状では弊社がカナダでは最大手だと思います。

(丸山)移管作業を始めた当初はご苦労もありましたか。

(楠見氏)主翼は構造上キーとなる部分でして、非常に複雑で取り扱いが難しい製品です。すり合わせ技術が重要で、100%図面通りに製造するにはノウハウと技量が必要となります。グローバル、チャレンジャー両機種ともビジネスジェットとしては非常に市場の評価も高い機種で、航空機業界の中では比較的高い生産レートです。これを短期間で立ち上げるのは非常に難しく、本邦からの技術支援も仰ぎながら進めています。

日本との比較では、こちらは航空機産業が発達しており経験のある作業者も多いのですが、ここ2年で500名近く従業員を増やしたため未経験者も相当数採用しており、教育をしながら生産ピッチを上げるのには苦労しています。

(丸山)御社が今後特に力を入れて進めていきたいことはどのようなことでしょうか。

(楠見氏)現在、グローバルの主翼の組立は半分強をカナダ、残りを日本で担当しています。目標としては、2014年度中に製造移管を完了させ、2015年からは100%カナダで組立をすることです。そして、部品の現地調達比率を更にあげ当地で完結できる生産体制を構築することを目指しております。

(丸山)それでは、楠見さんのご経歴についてもお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(楠見氏)出身は東京都杉並区です。航空機は輸入品が多く、主として海外からの資材調達に携わってきました。2002年から2006年までは、米国ロサンゼルスで調達の駐在員として滞在しておりました。

(丸山)アメリカと比較しカナダの印象はどうですか。

(楠見氏)ロサンゼルス地区での経験からですが、労働力はカナダの方が平均的な質は高いように感じます。ただ、労務費は高いですね。

(丸山)これまで印象に残っているプロジェクトはありますか。

(楠見氏)カナダに来てから2年ですが、全く何も無い状態から調達組織を立ち上げ、従業員も約3倍に増えました。ロサンゼルス駐在時は小さな調達オフィスにおりましたので、ある程度想定内の問題しか起こりませんでしたが、500人を抱える製造現場を抱えるここでは、想定外のことも起こります。

人事労務面はいままであまり経験してこなかったことなので、こちらに来て一番苦労している部分でしょうか。そうした苦労を乗り越え達成したメイド・イン・カナダのグローバルの主翼初号機出荷は非常にうれしかったです。

(丸山)それでは、今までのご経験から、楠見さんがお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(楠見氏)大切にしているのは、バランス感覚と常識です。想定外のことが起っても、あたふたせず、客観的に常識的に考えて判断を下すよう心掛けています。

(丸山)それでは、プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味などはありますか。
(楠見氏)スポーツは、なかなか上達しないのでとても得意と言えるような腕前にはほど遠いのですが、月に2回程度会社の同僚とゴルフをします。旅行も好きですね。昨年の夏休みは車で、家族を連れてケベック州を1週間程かけてゆっくりまわってきました。ケベック・シティーでたまたま入ったパン屋のクロワッサンがすごくおいしくて、娘にはまたケベック・シティーにパンを食べに連れていってとせがまれています。

今年の夏はフランスとイタリアを駆け足で周りました。フランスとイタリアは初めて訪問したのですが、パリのビストロで頂いたおいしいワインと料理、そして、海が荒れていて今日は見られないと言われ諦めかけていたものの直前になって天候が回復し中に入ることができた青の洞窟が印象に残っています。

(丸山)カナダで行ってみたい場所はありますか。

(楠見氏)カナディアンロッキーはかつてアメリカに駐在していた時に行ったことがあるので、一度イエローナイフの方へオーロラを見に行きたいと思っております。レイクルイーズは写真で見る通り本当にエメラルド色をしているのだと妙に感心し印象に残っています。

(丸山)最後になりましたが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(楠見氏)弊社の駐在員や家族に、セミナーや懇親会に積極的に参加するように伝えています。これからも宜しくお願いします。

(丸山)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂きまして、ありがとうございました。





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