「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第108回>
Kubota Canada Ltd.
朱膳寺 尚貴 VP & Treasurer

クボタカナダの朱膳寺氏にインタビューをして参りました。オフィスはマーカム市にあり、大きな倉庫が隣接しています。来年販売を開始される新製品について、そしてインドご駐在時の面白いご苦労エピソードなどについてお伺いしてきました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(朱膳寺氏)クボタカナダ(KCL)はトラクター、小型建機、芝刈り機、ユーティリティービークル、産業用エンジン、そしてそれらに付随するインプルメント・部品のカナダ国内における販売と、販売商品への小売金融を行っております。

設立は1975年で、来年ちょうど40周年を迎えます。社員数は現在115名で、こちらマーカムの本社に加え、カナダ各地域に計18名の営業マネージャーとサービスマネージャーがホームオフィスに常駐し、各地域で迅速な顧客対応ができる体制を整えています。

(松田)お客様はどのような方々が多いのでしょうか。

(朱膳寺氏)トラクターは農業用として使われることが多いので、農家の方、そして酪農家の方に多く使用していただいています。また、カナダでは冬にトラクターを除雪にも使っていますので、除雪のコントラクターの方もお客様になります。小型建機は工事業者の方、芝刈り機は芝刈りのコントラクター、及び一般家庭の方に主に使用いただいています。

(松田)商品についてお伺いしたいと思いますが、特に現在力を入れていらっしゃる新商品などはありますか。

(朱膳寺氏)クボタでは、来年2つの新分野の商品の販売を開始いたします。まず一つ目は大型トラクターです。これまでクボタでは135馬力までの中・小型トラクターを販売していたのですが、来年より、170馬力までの大型トラクターの販売を開始します。こちらは最近新聞発表しましたので、記事をご覧になった方もいらっしゃると思います。

トラクターは、日本国内では基本的に農業用として使用されることが多いのですが、先ほども申し上げました通り、カナダでは除雪などにも使用されています。また農業だけではなく、酪農にも荷物や飼料の運搬という用途で使用いただいています。このトラクターが大馬力になるということで、より規模の大きいお客様にも使っていただけるようになると考えています。

二つ目はスキッドスティアローダー(Skid Steer Loader:SSL)という小型建機です。
このSSLは、工事現場等で砂や土をすくうために使用されます。今までクボタではクローラタイプのもの(Compact Truck Loader:CTL)は販売していましたが、来年販売するのは車輪タイプのものです。こちらは各ディーラーからも早く出してほしいと要望がきていた商品で、我々も販売開始を大変楽しみにしています。

(松田)御社の強みというのはどちらにあると思われますか。

(朱膳寺氏)第一に、商品の“品質が良い”ということ、そして、第二に、“丈夫で壊れにくい”、この二点は我々が自信を持ってお勧めできるところです。それに加えて、“サービス体制”にも力を入れています。例えば、故障や修理が必要なときに迅速な対応ができるように体制を整えています。こちらは今後さらに力を入れていき、お客様の満足度をより高めていきたいと考えています。

(松田)御社が今後特に力を入れて進めていきたいことはどのようなことですか。

(朱膳寺氏)一つ目ですが、先ほど申し上げましたように来年は新分野の商品を2つ販売していきますので、まずはそれらの販売に力を入れていきたいと思っています。

二つ目に、KCLには現在カナダ国内に150ほどのディーラーがあるのですが、ディーラーの中にはクボタ商品のみを取り扱っているディーラーと、併売ディーラーという他社製品も取り扱っているディーラーがあります。その併売ディーラーをクボタ単独のディーラーに転換していくことを進めていきたいと思っています。

従来クボタは小さいトラクターのみを販売していましたので、小さいトラクターはクボタ製、大きいトラクターは他社製という風にすみ分けがされていたのですが、今後は従来よりも幅広いクボタ製品を提供できるようになります。その点を踏まえて、クボタ製品単独ディーラーを増やしていくことに力を入れていきたいと考えています。

(松田)それでは、朱膳寺さんのご経歴についてもお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(朱膳寺氏)出身は神奈川県ですが、小学生のときに東京に引っ越しました。朱膳寺という名前は珍しいかと思いますが、親戚の多くは横浜に住んでいます。

私がクボタに入社した頃はバブルが崩壊し、企業が採用を絞っている時期だったのですが、私はメーカー、特に水関係の事業をやっている会社に興味があり、運よくクボタに採用が決まりました。

(松田)ご入社後はどのようなお仕事をされていらっしゃいましたか。

(朱膳寺氏)クボタは食料・水・環境に関する事業を幅広く扱っておりますが、大きな柱として、農業機械や建設機械を扱う機械事業と、水道用のパイプや水処理プラントを扱う水環境事業の二つがあります。私は入社から今年で20年経ちますが、ずっと水環境事業に携わっていて、最近までは水道用の鉄管を扱う鉄管事業部におりました。

入社してから6年間は東京で鉄管の営業をしていましたが、その後尼崎にある阪神工場の管理業務に異動し、それ以来ずっと管理・経理畑におります。阪神工場での勤務の後は、2年間アメリカのシアトルに留学をしました。日本に戻った後、インドに新しい会社を設立するというプロジェクトに従事し、そのプロジェクトの検討期間の後、実際インドに駐在することになりました。インドに3年半駐在した後は大阪本社に戻り、今年の2月からカナダに参りました。

(松田)海外経験はカナダで3カ国目ということですね。これまで携わられた中で特に印象に残っているプロジェクトにはどのようなものがありますか。

(朱膳寺氏)インドで行ったプロジェクトが一番印象に残っています。私が所属していた鉄管事業部で、鉄管の製造販売会社をインドに設立するというプロジェクトでした。インドのタタ・グループの一社とクボタとの合弁会社をコルカタ(カルカッタ)に設立し、そこから西に130kmくらいのところにあるカラプールという街に工場を設立して鉄管の製造販売を行いました。

新しい会社を設立するところからスタートしましたので、会社のルールづくり、システム構築等、一から従事できたというのは非常に貴重な経験となりました。

(松田)初めてのご駐在がインドということで、ご苦労もあったのではと思いますがいかがでしたか。

(朱膳寺氏)仕事面では、インドの方は口が達者なのであれこれ意見を言ってくれるのですが、なかなか行動が伴わないという面がありました。実際行動を起こそうということになると進まないことが多くて、言ったことをきちんと行ってもらうというところに非常に苦労した思い出があります。

生活面でも、家族を帯同していきましたので、家族の安全や健康の面で非常に心配な面もあったのですが、幸いなことに特に大きな病気もせず、無事に任務期間を終えることができました。しかし生活をきちんと整えるというところに大変な面もありました。

(松田)具体的にはどのようなことがありましたか。

(朱膳寺氏)インド生活の話をするときにいつもこの話をするのですが、赴任してまもなく、冷蔵庫が足りなくて新しい冷蔵庫を購入することにしました。お店に行って冷蔵庫を選び、色も家の雰囲気に合うものを選んで購入し、配送をしてもらうことになりました。

購入したときは、次の日か2日後に配送してくれると言っていたので家で待っていたのですが、まずそれが届きません。電話をしていつ配送されるのか問い合わせると、「明日だ」などと良い返事がくるのですが、それでもなかなか実際に配達されて来ません。そしてそれから数日後、やっと配達された冷蔵庫は、なぜか色が違うんです。

シルバーを購入したのですが赤色の冷蔵庫が届き、「購入したものと色が違う」と伝えると、彼らは「いや、色は違うとしても機能は同じなんだからいいじゃないか」と言うんです(笑)。そこで負けずに「私たちが買ったのはシルバーだからシルバーを持って来い」と言って、再度届くのを待つことになりました。

数日後2回目の配送がありましたが、やはり不安なので箱を少しだけ開けて中をのぞくと、また赤色の冷蔵庫でした。インドでは配送の人は配送のみで間違って配送された冷蔵庫を持ち帰るということはしないため、家には赤色の冷蔵庫が2台並ぶことになりました(笑)。

そのときには我々も冷蔵庫が必要な状況だったので、「とにかくシルバーを持って来てくれ、ただ冷蔵庫は必要なのでそれまで赤色のものを使わせてもらいます」と交渉して、とりあえず赤色のものを使いながらシルバーの到着を待つことになりました。最終的にシルバーが無事に配送されたのですが、最初にお店で購入してから3週間ほどかかりました。

(松田)カナダの配送よりひどいですね(笑)。過ぎてみれば笑い話になりますが、海外生活ではそういうトラブル一つが大きなストレスになりますよね。

(朱膳寺氏)そうですね。そういう風になかなか思い通りにいかないということは他にもたくさんあったのですが、その一方で諦めてはいけない、自分の主張はしっかりと通していかなければいけない、ということがインドでは非常に重要だとそのときに学びました。

(松田)それでは、今までのご経験から、朱膳寺さんがお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(朱膳寺氏)“問題を正確に把握する”ということです。問題が起きたときに、実際に何が根本にあって、何がその問題を引き起こしているのか、ということをきちんと把握してから解決方法を考えなければ、解決まで時間がかかったり、同じような問題がまた起こる可能性もありますので、その辺りを非常に注意して行うようにしています。

問題解決のみならず、自分がわからないことや曖昧なことがあったらきちんと明確にした上で事を起こすようにしています。

これもインド駐在時の経験なのですが、ある事例で、「これはおかしいんじゃないかな」と思ったことがありました。ただ私の担当領域ではなかったため、その時指摘をするのをためらってしまったんです。

それが後々問題になってしまって、私が気づいたときに声を上げていたらその問題を防げたのではないかという思いが消えませんでした。それ以来、どのようなことでも曖昧なことがあったらその場で解決し、決してあやふやなまま先に進めることはしないようにと心がけています。

(松田)それでは、プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツはありますか。

(朱膳寺氏)好きなスポーツはテニスです。高校のときからずっと続けています。今住んでいる地域のコミュニティにテニスコートがあるのでそこのメンバーになって、毎週末プレイしています。日本では予約制が多かったのですが、そのコートはやりたいときに行って空いているところでプレイして良いので、気軽にプレイできますね。

カナダに来てから家族皆でやろうと、子供たちも一緒に始めたのですが、幸いなことに子供たちもテニスが好きになってくれて、週末は家族皆で楽しい時間を過ごしています。

(松田)ご家族皆さんで楽しめることがあるのは素敵ですね。

(朱膳寺氏)ただ、残念ながらそのコートは屋外ですので、4月から10月末までしかオープンしていないんです。冬の間はどうしようかと思ったのですが、妻がスキーが好きなので、スキーやスケートを家族でやりたいと思っています。

(松田)夏も冬もご家族皆さんでアクティブに楽しまれて、冬の過ごし方も特に問題はなさそうですね。

 
 ブルーマウンテンのScenic CaveにあるZip lineに乗った時

(朱膳寺氏)子供たちは土曜日に補習校に通っていますので、実質日曜日しか遊べる時間がありません。ですので、日曜日はスポーツをしたり外出したりと、子供たちのためにも、なるべく家族皆で楽しく過ごせるようにと心がけています。

(松田)今年の2月にカナダに来られたということで、10ヵ月ほど経ちますが、今後カナダでされたいことはありますか。

(朱膳寺氏)カナダは広く、まだまだ行けてないところがありますので、観光地を含めてカナダ国内の色々なところを訪れたいと思っています。仕事関係でもオンタリオ州とアルバータ州しかまだ行けていません。

妻は「赤毛のアン」が好きなので、プリンスエドワードアイランドには是非行きたいと今から言っています。私は「赤毛のアン」を良く知らないので楽しめるか不安ですが、来年の夏には家族で行きたいと思っています。

(松田)私も一度行きましたが、景色はきれいでシーフードは美味しくて、「赤毛のアン」をご存じない方でも十分に楽しめるところですので、お勧めです。是非楽しんでください。
それでは最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(朱膳寺氏)実は私はインドのコルカタにいたときに、コルカタ商工会の理事を務めさせていただいていました。当時、コルカタの日本人補習校は閉鎖になっていたのですが、当時のコルカタの総領事より補習校を再開させたいというお話があり、私が中心となって皆で協力して補習校を再開させました。今でも続いているということですので、少しでも日本の子供たちのためになることができたというのはとても嬉しいですね。

(松田)補習校の再開というのは大変なお仕事だったんじゃないですか。

(朱膳寺氏)コルカタ商工会自体が、会員企業10数社、全会員数が約80名というこぢんまりとした規模だったので、非常にアットホームでしたし、皆惜しまず協力をしてくれましたので、再開を決めてから半年くらいで開校することができました。その時の活動は大変というよりは、むしろ一致団結して1つのこと成し遂げたという思いが強く、非常に貴重な経験になっています。

トロント日本商工会は規模も大きく、なかなかそういう機会もないかと思いますが、機会がありましたら、是非可能な限りあらゆる面で協力、貢献させていただきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(松田)とても頼もしいお申し出をありがとうございます。是非宜しくお願いいたします。
インタビューは以上となります。本日はどうもありがとうございました。




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