「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第106回> 
Canadian Kawasaki Motors Inc.
山崎 修司 President


カナディアンカワサキモータースの山崎社長にインタビューをしてきました。オフィスはトロント東部のスカボロー地区。山崎社長は15年ほど前にもカナダ駐在をされていて、今回で二度目のご駐在とのことです。

オートバイについてあまり詳しくない私にもわかり易いよう、会社紹介、スポーツバイク、オフロードバイクのコマーシャル動画を見せてくださり、理解を深めることができました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(山崎氏)カナディアンカワサキモータースでは、二輪車、ATV、ユーティリティビークル、パーソナルウォータークラフト、部品の販売をしています。設立は1976年で、もうすぐ40周年を迎えます。

社員数は約40名、日本人駐在員は私1人です。カナダで販売している製品の生産は、日本、アメリカ(四輪車)、タイ(小型オートバイ)の三カ国で行っています。

ではこちらから質問ですが、“カワサキのオートバイ”と聞いたときに、どのようなイメージをお持ちですか?

(松田)え!私はオートバイについて詳しくないのですが…カワサキさんのオートバイは、マニア向けと言いますか、バイクが本当に好きな方が乗っているイメージがあります。

(山崎氏)“プロ好み”、“通好み”、“男カワサキ”なんて言われますので、詳しくない方にもそのようなイメージをもっていただけているのは嬉しいですね。そういった印象をもっていただける背景にも理由があるんです。

我々の親会社である川崎重工業では、電車、新幹線、船、ニューヨークの地下鉄、イギリスとフランスをつなぐ海峡トンネルを掘った掘削機、ボーイング等の航空機の機体、ロケットの部品、ロボットなど、様々なものを製造しています。

その中の一つに、もしかしたら一番小さいかもしれないオートバイがあります。
そして、カワサキの初期のオートバイは、航空機部門が作りました。市販量産品ではない航空機を作っていたチームですので、技術や性能で他社には負けない、というプライドの塊が形になったんです。

(松田)重工業の方がオートバイを作られているというのは、少し意外な感じもしますね。

(山崎氏)川崎グループのミッションステイトメントは、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」です。つまり、高度な技術力で人々の生活を支え、かつ長期的なビジョンで豊かで幸せな未来社会を形成しようという理念です。

人々が豊かな生活を送るには、物心両面がいりますよね。物があれば皆幸せというわけではなく、人間は心が満たされないと豊かな生活は送れません。電車や船といったわかりやすく人々の生活を支えるものの中で川崎重工がオートバイを作り続ける理由は、オートバイ部門はその心の部分を担当しているためです。

そのため、我々のオートバイは、A地点からB地点にただ移動するため、または物を届けるためといったオートバイではなく、わくわくする気持ちを起こすためのオートバイなんです。

北米で“カワサキ”と言うと、おじいちゃんやおばあちゃんでも「Let the good times roll♪(良い時を過ごしましょう)」って歌いだします。これはTVコマーシャルにもなったカワサキのキャッチフレーズなんですが、その表現とおり、モーターサイクル部門は人々が良い時を過ごせるようにとオートバイを作っているんです。

(松田)カワサキさんのオートバイにはどのような特徴があるんですか。

(山崎氏)人間は、“速さ”だけでなく“加速”に対してワクワクする生き物です。ただ、すごくワクワクするものというのは往々にして同時にすごく危険を秘めたものでもあります。カワサキは世界最速のオートバイ、世界一加速が速いオートバイも作っていますが、これらは同時に危険と隣り合わせです。しかし安全のためにワクワクを置き去りにしてしまっては、心豊かではありません。

そこで、川崎重工の力がどこに生きてくるのかというと、世界一ワクワクして世界一安全なオートバイを実現するということです。この相反する二つのものを一つにすることは、重工業の世界では日常的に行われています。

例えば新幹線は世界最速を目指して開発されますが、同時に神話と言われる程の安全性も実現しています。その極限の技術と安全の双方を取り入れることを、一般の人が買うことのできるものに取り入れたのが、川崎重工のオートバイです。

発売当時世界最速であった当社のNinja ZX-11(1100cc)は、世界一の速さが出ると同時に、気軽に街角にタバコを買いに行くときに乗っていくようなこともできる、普通に扱えば安全で安心で取り回しも楽なバイクなんですよ。

(松田)バイク好きの方が魅了される理由がわかりますね。それでは商品についてご紹介ください。

(山崎氏)二輪車ですと、まずは北米ならではとも言える大型の商品で、クルーザーと呼ばれるタイプのオートバイ“Vulcan”。そして、我々の人気ブランドである“Ninja”のスポーツバイクでは、総排気量が636cc、1000cc等レースにも使用できるタイプのものが揃っています。

その他ツーリングを楽しめるバイクも多数揃っていますが、中でも“Ninja300”という比較的排気量の小さいスポーツバイクは、大変人気で売上げもとても好調です。多分街中でも見かけられると思いますが、ぱっと見ではより排気量の大きい600ccクラスとは区別が付けづらく、そこも魅力の一つだと思います。小さくてシート高が低いので安心して乗れると女性にも大変人気です。

そして舗装されていない道路を走るためのオフロードバイクも多くの種類が揃っています。

四輪車では、サイドバイサイド(Side x Side)という2人または4人乗りのオフロード車両とATVがあります。サイドバイサイドとATV共に、スポーツ仕様のものと仕事仕様、例えば農業や畜産業の方々が移動や運搬の手段として使用するタイプの二種類を揃えています。

そしてマリンスポーツ用の“ジェットスキー”。“ジェットスキー”は実はカワサキの登録商標なんです。

(松田)“ジェットスキー”は、水上バイクの総称かと思っていましたが、カワサキさんの登録商標なんですね。そちらの壁にお写真が貼られている社員向けイベントについて、ご説明いただけますか。

(山崎氏)我々は、お客さんに単にモノを売るのではなく、お客さんに楽しみを提供するということを仕事にしていますので、売る側が何を提供しているのかということを理解することがとても大切です。

従業員皆がそれを理解できるような工夫の一環として、社員が商品に乗って楽しめるイベントを開催しています。実際に色々な商品に乗ることで、こういう楽しみを感じられるんだ、こういうことでマイナスの印象をもってしまう可能性があるんだ、など、ユーザーの立場ではないと感じることのできない気持ちを理解してもらうようにとしています。


(松田)それでは、御社が今後特に力を入れて進めていきたいことはどのようなことでしょうか。

(山崎氏)“カワサキという体験を売っていく”ことに特にフォーカスしていきたいと考えています。カワサキから得られる独自の体験を理解していただくために、ブランド訴求の活動をもっとやっていきたいです。

当社では、例えばサーキットを借りて商品に乗ってもらうイベントを開催したり、商品の紹介と楽しみの紹介をパッケージにしてお客さんに提供しています。このようにお客さんにワクワクを提供するということに更に力を入れてビジネスをやっていきたいと思います。

(松田)それでは、山崎社長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(山崎氏)出身は東京です。就職するまでは東京にいましたが、就職後は川崎重工業オートバイ部門の本社がある兵庫県明石市にいきました。川崎重工業は神奈川県川崎市にあると思われがちなのですが、社名は創業者の川崎正蔵氏の名からつけられたんです。

入社して4年目に最初の海外駐在としてカナダにきました。5年半ほど駐在し、そのままアメリカへ3年半駐在しました。その後は日本に帰国して販売促進課に10年ほど在籍し、その後またアメリカへ2年赴任したあと、2014年3月にカナダに着任しました。
 
(松田)今回のカナダ駐在は二度目なんですね。それぞれどのようなお仕事をされていたんですか。

(山崎氏)最初のカナダ赴任では当時は駐在員2名体制でしたので、社長補佐として様々なことに関わっていました。現在は駐在員は私1名で補佐役無しですので、当時と比べるとズルイなと思ってしまいますね(笑)。

アメリカでは、ジェットスキーやATVの担当をしました。商品企画から仕入れ・販売在庫管理やマーケティングまで幅広く関わらせてもらえました。日本では販売促進の仕事をしました。大きいものですと東京モーターショーの企画、またサーキットを借りて新商品発表イベントをしたりと、グローバル発信の大元としてニューモデルを世界に訴求していく仕事です。

二度目のアメリカでは、コーポレートプランニングという事業企画的な仕事をし、そして今は社長職についています。

(松田)特に携わっていて印象深いお仕事というのはどのようなものですか。

(山崎氏)これまで色々と経験しましたが、自分では“お客さんに新しい製品と共にワクワクを届ける”というずっと同じことをやっているつもりです。
新商品発表に携わっていましたが、新しい商品のコマーシャルが世に出るときには、実はその商品はまだ開発中で存在していないんです。お客様に欲しいと思っていただけるような写真、映像、情報を公開して、手に入れる前から期待をしワクワクしてもらう、という工夫をする仕事が、私がしていて一番楽しい仕事です。

現在もNinja H2という新製品のため、日本の本部で製作された予告PVがウェブサイト上(http://www.ninja-h2.com/)にて少しずつ公開されています。特に「Vol.2 Mysterious Sound」の映像を見ていただきたいのですが、時々“チュチュッ”という音が聞こえます。

わかる人が聞けばわかると思うのですが、この音が何の音なのか、どういうときに出る音なのかというのが、バイク好きの方の興味をそそり、ネット上で熱い議論を展開してくれていて、更なる興味を引き起こすきっかけを作るんです。

(松田)人の心理に働きかける工夫がされているんですね。面白いですね。

(山崎氏)我々のビジネスは、エンターテイメント業界とファッション業界の両方に属しているような感覚でおります。バイク好きにとって、楽しさはもちろんですが、自分のバイクを「カッコいい」って言ってもらうことも重要なんです。

商品だけでなく、ショールーム、販売店、広告など、カワサキの全てが面白さと格好良さをきちんと提供できているか、それを無意識にするのではなく、改めて業務を見直して、意識して取り組んでいきたいと思っています。

(松田)山崎社長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(山崎氏)楽しみを提供するという仕事で一番大切なのは、提供する我々自身が何を提供しているかをわかっていること、そして我々自身が楽しむ、ことだと思っています。Good TimesはGood Timesカンパニーしか提供できないと思うんです。

そしてそれらは、気付いたら出来ていたというものではなく、意図的に取り組んでいかないと日々の業務に追われて忘れてしまいがちです。そのため、会社全体が楽しみながら日々を過ごせるようにと、社長自らが意識して取り組み、社員にも発信していきたいと思っています。

(松田)それでは山崎社長のプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、ご趣味はなんでしょうか。

 「Kawasaki のZ1000でツーリングを楽しむ山崎社長」

(山崎氏)趣味はやはりオートバイです。昔はオフロードバイクを楽しんでおり、前回カナダに駐在したときはレースに出たりもしてたんですが、肉体的な限界がありますので(笑)、今はスポーツバイクで普通の道を走っています。ただ、カナダはシーズンが短いのがちょっと残念ですね。


(松田)二度目のカナダということですが、これからされたいことはありますか。

(山崎氏)前回のカナダ駐在では、ケベック州やプリンスエドワードアイランド、バンフなど、カナダ国内を観光し素晴らしい景色をみたり楽しんだのですが、今回は近所の普通のお店やレストラン、ファーマーズマーケットなどにもっと行きたいと思っています。

というのも、エンターテイメントとなるとアメリカはやはり突出しています。そこでカナダは何が得意なのかと考えたときに、この大らかさだと感じたんです。これだけ経済の流れに巻き込まれ、隣りに大国があるという環境下、さすがに15年前に比べてトロントは非常に都会化しましたが、それでも維持している大らかさというのは、学ぶべき部分だと思います。

例えば、自宅付近のお店のショーウインドウに「I love deadlines. I like the whooshing sound they make as they fly by.」(締め切りって大好き。あの通り過ぎていく時のシューって音が最高。)とデカデカと書いてあります。カナダ人はエクストリームになり過ぎないよう、どこかでバランスを取るようにするんですね。

他にも、とても美味しいレストランなのに、もっと宣伝して忙しくしよう、という感じが見られないお店というのは皆さんも見たことがあると思います。そして、そういうバランスを保っているお店はそれなりに高いクオリティのものを提供しているんですよね。

この絶妙なバランスとクオリティを維持できるカナダ人の大らかさは、公私共に色々な場面で活かせるのではと思いますので、もっとカナダを近くで見たいと思っています。

(松田)とても面白い視点ですね。冬に街を歩くのも楽しくなりそうです。では最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(山崎氏)オートバイに乗られる方がいらっしゃいましたら、是非一緒に出かけましょう。また、当社は日本人体制一人で寂しい部分もありますので、多くの方と知り合い、情報交換をさせていただければと思います。宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。今日はどうも有り難うございました。




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