「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第105回>
Honda Canada Inc.
池畑 義昭 Vice President

本年4月にご着任されたホンダカナダの池畑氏に取材をして参りました。オフィスはマーカムです。池畑氏には本年度の商工会理事も務めていただいております。

新しくフルモデルチェンジしたACURA TLXの前で写真を撮影させていただき、一押しの新製品のお話、ホンダジェットの販売に携わったご経験、ご趣味である旅行のお話等を伺いました。

(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(池畑氏)ホンダカナダは、二輪車、四輪車、ATV、エンジン等の汎用製品の販売、マーケティング、サービスを行っている会社です。カナダ国内ではセールスゾーンオフィスという形で、本社キャンパスであるこちらマーカム、バンクーバー、カルガリー、モントリオール、ハリファックス、の5箇所にそれぞれ販売、サービス、テクニカルセンターの機能をもっています。

本社を現在の場所に移したのは2010年で、今年で4年目となります。こちらのキャンパスの中にホンダカナダとホンダファイナンスが入っています。ホンダカナダの従業員数は400名を超え、設立は1969年、今年で事業開始45年です。

(松田)それでは、御社の取扱い商品についてご紹介ください。

(池畑氏)四輪の取扱い車種をご紹介しますと、我々の主力製品の“CIVIC”。その上のクラスの“ACCORD”、メキシコからの輸入を開始した“FIT”、ライトトラック(SUV)の“CR-V”、大型RVの“ODYSSEY”、“PILOT”。またACURAブランドとしては、大型高級セダンの“RLX”、大型高級SUVの“MDX”、小型高級セダンの“ILX”、また、モデルチェンジをしたばかりの“TLX”などがあります。

二輪車では、オンロードのスポーツモデルや1800ccゴールドウイングに代表されるクルージングタイプ、オフロードや小型スクーターに至るまで約70種類のフルラインアップを扱っています。

また、レジャービークルとして注目が集まるATVやサイドバイサイド(SxS)と呼ばれる四輪オフロード専用車や、船外機、芝刈機、除雪機、発電機および汎用エンジンなど、ほぼすべてのホンダ製品を扱っています。

(松田)いま特にご紹介したい商品はどちらでしょうか。

(池畑氏)ACURAの“TLX”は8月に投入したばかりですが、すでに大きな反響を頂いております。フルモデルチェンジによって、外観・内装共に一層スタイリッシュとなる一方、エンジンミッション性能が大幅に向上しました。

特に最新のP-AWSと呼ばれる全輪ステアやホンダ独自の全輪駆動技術によって、スーパーハンドリング性能という高度な走行応答性を持ち、走りに対する評価が高い“TLX”が、更に乗って楽しい車に仕上がっています。新TLXは何としても販売を増やしていきたい車種です。

次にメキシコの新工場で生産される小型車“FIT”です。こちらもフルモデルチェンジをし、今年の9月後半にカナダに投入を開始しました。室内スペースもさらに広くなり、燃費や走行性能も一段とアップして好評を頂いております。

そしてCivicはカナダの乗用市場で16年間ナンバーワンの販売を記録してきており、今年も17年目のナンバーワンを獲得したいですね。おかげさまで、今年の1月から8月まででトップの販売台数を記録していますので、引き続き年末まで順調に進めていきたいと思っております。

(松田)次々と新モデルをリリースされ、“CIVIC”は17年目のナンバーワンに向かわれているということですが、御社の強みはどちらにあるとお考えですか。

(池畑氏)ホンダの社員に聞くと同じ答えが返ってくることが多いのではと思いますが、世界各国で事業展開しているホンダが常に大切にしていることは、創業者の本田宗一郎の考え方に基づいたホンダフィロソフィーです。

ホンダフィロソフィーには、人が生活の中で求めている本質的な考え方や価値が含まれているため、国境や人種を越えて訴えるものがあるのだと考えます。それはメーカーだけではなく、我々のパートナーやお客様にも通じる普遍的なものであり、このような仕事をする上での企業哲学があるということは我々の強みであると思います。

カナダの中での我々の強みというと、一つ目に北米という大きな市場の中で資源を共有しながら展開することができるということだと考えます。カナダはアメリカと同じ商品ラインナップをもつことができ、リソースの活用が上手くいっています。先ほどから申し上げているCIVICのみならず、CR-Vやオデッセイ等もそれぞれのカテゴリーでトップクラスの販売実績を獲得しています。

特にCIVIC、CR-Vはオンタリオ州アリストンの工場で生産しており、地元のお客様からローカルで生産した商品への高い評価をいただいていることは大変光栄に思います。このように多くの皆様に愛される強い商品を持っているということはビジネスを展開する上で非常に大きなメリットとなります。

二つ目に、強い販売ネットワークです。我々のパートナーである販売店の皆様が、ホンダの方向性やビジネスの考え方を十分理解してお客様への対応をきちんと行うことによって、成長してきています。

三つ目に、カナダの中でのホンダブランドへの高い評価です。これが我々にとって一番の財産ですね。お客様からの信頼、ブランドに対する高い評価といったものは、これを築くことは難しいですが失うのは非常に早いものです。このカナダで45年間商売をさせていただく中で蓄積したものが実り、今につながっていると考えています。この信頼を保ち、更に成長させていくことは我々にとって一番難しいところであり、また最も重要な部分でありますので、引き続き大切にしていかなければなりません。

(松田)御社が今後力を入れて進めていきたいことはどのようなことでしょうか。

(池畑氏)ニューモデルの “TLX”と“FIT”、そして来年発売予定の新機種、メキシコ製小型クロスオーバーSUVの“HR-V”の導入です。非常にスタイリッシュで軽快なデザインを持っており、お求めやすい価格帯で、若い層を獲得したいと考えています。

カナダの自動車業界では小型車で良い製品を出している韓国メーカーの活躍がみられ、競争が激しくなってきています。この小型車を購入する人たちの中心が若いユーザーです。そのため新しいコンセプトのSUVにて従来以上に若い層を獲得し、お客様層を広げていきたいというのが、我々が強化したいことの一つです。

(松田)それでは、池畑さんのご経歴についてお伺いしたいと思います。ご出身とご入社のきっかけについて教えてください。

(池畑氏)出身は茨城県つくば市です。私は大学生の頃から出版社等のメディア関連に興味をもっており、特別自動車に興味があったわけではないのですが、あるきっかけでホンダ創業者の本田宗一郎氏の考え方やユニークな社風を知り、興味を持って入社しました。高校生の頃にはバイクに乗っていましたので、身近にも感じていました。

(松田)ご入社後はどのようなお仕事をされましたか。

(池畑氏)一番始めに配属になったのは、大阪にある二輪の営業所で、4年間務めました。当初社内の配属面接では販売促進や広報を希望したのですが、実際の配属先は希望とは真反対の現場でした(笑)。実はホンダにはよくあることなんです。始めはガッカリしたんですが、入社早々から商売の町、大阪で経験をつむことができたのは、後々私の大きな財産となりました。

その後は殆んど海外に関係する仕事をしました。フランスに2年、イギリスに4年ちょっと、アメリカに3年、韓国に4年駐在し、そしてカナダで海外生活5カ国目になります。入社して30年以上になりますが、14年くらいを海外で暮らしていることになります。日本にいた時も海外関連部署に所属することが多く、アジアや南米、米国などへの出張を繰り返しました。

商品としても、私はホンダが生産している二輪、四輪、汎用製品、ホンダジェットなど、全てに関わりました。ホンダジェットの販売に関わったのは数多きホンダの社員でも私しかいないと思いますし、ホンダの中でも全ての製品に関わった者は稀有だと思います。
海外の様々な地域にて、様々な商品を、幅広く経験させていただいたことは大変ありがたいと思っています。

(松田)池畑さんが特に印象に残っているお仕事にはどのようなものがありますか。

(池畑氏)ホンダジェットはホンダにとっても初めての航空事業への参入であり、このプロジェクトに関わらせていただいたことは、大変貴重な経験でした。

本社で南米地域の四輪の仕事をしていた2006年のある日、上司に呼ばれ、「ホンダがビジネスジェットに参入することになったので、販売の責任者としてプロジェクトに入って欲しい」という話をされました。

ホンダジェットについては社内でも秘密にされていたため、“ホンダがビジネスジェットに参入する”ということ自体がピンと来ず、そして私自身ジェット機について何の知識も経験もありませんでしたので、突然の話にとても驚き頭の中が混乱しました。

そしてプロジェクトに入ることになり、アメリカのノースカロライナに赴任をしましたが、チームには私が一人販売担当として入ったのみで、他全てのメンバーは日米の研究開発の人たちでした。そして、アメリカ内の販売パートナーはほぼ決まっていたため、アメリカ以外のヨーロッパやメキシコ、カナダの販売ルート構築を任されました。

(松田)初めてのことでは、ご苦労もたくさんあったと思いますが、どのようなことがありましたか。

(池畑氏)まず、普通飛行機って売ったことないですよね?(笑)そのため、誰にも聞くことができず、何から始めたら良いかもよくわからない状況で、文字通りゼロからスタートしました。

まず始めに行ったのが、業界の中の様々な人に会って話を聞くことと、自分自身でもリサーチを開始すること。そうやって必死にもがいている時期が半年くらいあり、その内、やはり自分の中でもがいていても進まないと思い、航空業界のコンサルタントやスペシャリストを探して外部の知見を借りることにしました。

通常ホンダでは部門やチームにメンバーがいて協力し合いプロジェクトを進めるのですが、その時は私が雇った庶務業務をするアシスタント以外は社内に誰もいなかったため、文字通り何でも自分一人で行いました。そのような経験は前にも後にも初めてで、貴重な経験となりました。

その間、アメリカからヨーロッパに出張し、関連業界の人と会うことが多かったのですが、皆ホンダは知っていてもホンダジェットは知りませんので、話を聞いてもらう取っ掛かりを得ることが難しかったです。飛び込み営業のように突然電話してアポを取ったり、足を使って回ったりと、大阪の営業所で培った経験がこんなところで役に立ちましたね。

そして徐々に、業界の中で何が重要なのか、パートナー選定上のKeyは何か、ということを走りながら考え、学び、最終的にヨーロッパでそれなりに良いパートナーを見つけ契約を結ぶことができました。

苦労もたくさんありましたが、4億円もするジェット機を何機も購入するお客様にお会いしたり、時差関係なく中近東やインドといった世界中のお客様から携帯に突然連絡が入ってきたりと、通常のビジネスではなかなか経験できないようなダイナミックな出来事がたくさんあり、忘れられない思い出になっています。

(松田)とても珍しい特別なご経験ですね。韓国でのご駐在経験があるとのことですが、これまでお会いした代表者の方の中でも韓国駐在をされた方というのは初めて聞きました。

(池畑氏)私も珍しいと思います。ご存知のとおり、韓国には自動車業界で非常に強力なライバルがおり、8割程は地場のメーカーが占有する市場でしたので、正直なところビジネスは難しいものがありました。しかし、生活面では4年間韓国で暮らし日本人だからという理由で嫌な思いをすることはほとんどありませんでした。

驚いたのは日本語を話す韓国人がとても多く、私が日本人だとわかると日本語で話しかけてくることが大変多かったです。日本人に比べると韓国人の性格は気が短く“何でも早くやる”と言われています。韓国語で“パリパリ(意味:早く早く)文化”というのですが、何においてもスピードが速いです。

それまでヨーロッパや北米にいて物事がスローだと感じることが多々ありましたが、韓国では初めて、日本よりもスピードの速い国があるんだと知りました。ただ、スピードが速い分日本ほど慎重ではない面もあるので、安全性や確実性という部分では、不十分ではないか、という反省(?)も最近は聞かれるようです。

そして、男性は良い大学に入って大企業に勤める、女性は外見の美しさを追及する、一元的な価値観がまだまだ強い国ですね。とにかく人よりも上に行くことを目指し、上昇志向の大変強い、バブル以前の日本を見ているような気がしました。

韓国というのは行ってみて色々なことがわかる国だと思います。一度行くと好きになる日本人も多いですし、私は韓国は非常に興味の尽きない国だと思っています。

(松田)それでは、池畑さんがお仕事を進める上で大切にしていることはどのようなことでしょうか。

(池畑氏)チームワークが重要だと思っています。“皆で一緒に…”というチームワークではなく、 “得意領域を得意な人が受け持って一人ひとりが高い能力を発揮し、それが集まることによって高いレベルの仕事をする”というような形のチームワークです。異能の者が集まり、目標付け・動機付けをして同じところを目指し、個々の能力を発揮できる環境を整えることで、組織として高レベルの仕事をすることができます。

ただその時に難しいのが、人間関係とお互いのコミュニケーションです。数人のチームでは例えズレが生じてしまってもしばらく仕事を進めるうちに気付くものですが、チームが50人、100人となると、個々のコミュニケーションと人間関係を良好に働かせることが大変重要になってきますので、気をつけなければなりません。

これは私自身が出来ていることではなく、目指している形ですね。このような形のチームを構築し、組織として最大のパフォーマンスができるようになればと考えています。

(松田)それでは、池畑さんのプライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味はなんでしょうか。

(池畑氏)学生の頃は剣道をやっていたんですが、最近は運動不足ぎみで、定期的に行くスポーツジムやゴルフにお付き合いするくらいですね。ゴルフは韓国にいた時に、「韓国ではゴルフをしないとビジネス世界で口を聞いてもらえないよ」と韓国人同僚から言われて始めました。あまり上手ではありませんが、続けています。
趣味で言うと、旅行やドライブが好きです。歴史や文化を見て、人と触れ合うことを楽しみにしています。今夏には車でボストン、先日もモントリオールに行ってきました。どちらとも美しい街で個性のある文化があって、良かったですね。

(松田)お休みの日の楽しみは何がありますか。

(池畑氏)音楽、特にクラシックや古いポップスやジャズなどノスタルジックなものが好きで、聴いています。フランスにいた時にワインも好きになりましたので、美味しいワインを楽しむ時間というのも大切にしています。フランスやイタリアにワイナリー巡りの旅にも行きました。カナダでは、まだ行っていませんがナイアガラにワイナリーがあるというので楽しみにしています。

(松田)これまでに行かれたご旅行先で特にお薦めの場所はありますか。

 
 フランス旅行にて

(池畑氏)フランス駐在の時に田舎を旅したことが一番楽しい思い出です。フランスは農業国ですので田舎がとても整備されていて綺麗で、また食べ物がとても美味しく、ワインも土地のものが揃っています。オーベルジュというホテルとレストランがセットになっているところや、ちょっと奮発して古いお城を改築したシャトーホテルに泊まるんです。

フランスは食事時間が長いので、宿に到着しゆっくりした後に併設のレストランで夜8時から12時くらいまで食事をしていると、時間の流れがゆっくりで贅沢な気持ちになりますね。まとまった休みにそうした場所を車で回りながら、土地の人達との交流を楽しんでいると、せかせかした日常をすっかり忘れ、急に豊かになったような錯覚も感じられて(笑)、とても楽しい旅行でした。

(松田)私も一度行ってみたいです。それでは最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(池畑氏)トロントは、これまでの赴任先、例えばロンドンなどと比べますと、日本人の人口はそれほど多くはありません。しかし、商工会活動は非常に活発に行われており、会員各社の皆様も非常に熱心に取り組まれていると感じます。これまでの商工会の皆様や各社の皆様の努力の賜物だと思いますので、今後も継続していくべきだと思います。

またトロントには色々なエスニックコミュニティがありますが、その中で日本人や、日本人コミュニティの存在を高めていくことは大切なことと考えます。私も本年度の理事を仰せつかっており、理事の一員として貢献をさせていただきたいと思いますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)今後も理事として、引き続きのお力添えを宜しくお願いいたします。本日はどうも有り難うございました。





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