「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第104回> 
JETRO(Japan External Trade Organization), Toronto
中村 和生 Executive Director

ジェトロ(独立行政法人 日本貿易振興機構)トロントオフィスの中村所長にインタビューをして参りました。オフィスはトロントダウンタウン。2014年9月より新オフィスに移転されました。

中村所長は二度目のトロント駐在で3年前にトロントに来られ、2014年7月に所長にご就任されました。知られざるジェトロさんの活動をじっくりと、そして中村所長のご経歴やプライベートについてお伺いしてきました。



(松田)ジェトロさんの事業内容のご紹介をお願いします。

(中村氏)ジェトロの主な活動の柱となるものは二つ、日本の中小企業の海外展開支援と日本への投資の促進です。その他に、日本とカナダの地域間交流の促進、カナダの政治経済や制度等についての調査があります。

トロント事務所の設立は1956年で、カナダで約60年の歴史があります。日本から3名の駐在員が派遣され4名のナショナル・スタッフを雇用し、合計7名の体制で事業に取り組んでいます。カナダにはもう一つバンクーバー事務所がありますが、現在は業務委託先による運営になっています。

(松田)トロント事務所ではカナダ国内どの地域までをカバーされているのでしょうか。

(中村氏)基本的にカナダ全州をカバーしていますが、主な事業実施地域はオンタリオ州、ケベック州、アルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州の4州になります。他の地域、例えばマリタイム地域や平原地域は農作物の収穫量、水産物の漁獲量などの調査事業が主な活動となっています。

(松田)それでは、ジェトロさんの活動を具体的にご説明いただけますか。

(中村氏)ジェトロの活動の中で現在特に力を入れているのが、農水産品、食品の輸出促進です。例えば、オンタリオ州、ブリティッシュコロンビア州、ケベック州に日本酒を入れるようにと取り組んでいます。

カナダはご存知のとおり専売制の市場なので非常に入るのが難しいのですが、ジェトロのプログラムを通じて日本の蔵元のお酒が少しずつ入るようになってきています。例えば福島、新潟、兵庫、熊本、大分などのお酒がオンタリオ州やケベック州で買い求めいただけるようになってきています。

食品だと、居酒屋GUUで出している“手作り豆腐”は、ジェトロから紹介して入れていただいた商品です。T&Tで売られているクッキー、焼きそばやうどん等もジェトロが紹介をして取り扱っていただけるようになりました。

(松田)私たちが様々な日本食や日本製品を手に入れやすくなっているのもジェトロさんのお力のおかげなんですね。

(中村氏)食品を含め日本の商品をカナダに輸出するために、ジェトロではカナダのバイヤーを日本に招聘するという事業も行っています。

例えば、農水産食品分野ではLoblawやT&Tのバイヤーを、デザイン分野ではロイヤルオンタリオミュージアムのミュージアムショップのバイヤーを日本に招聘し、日本企業との商談をコーディネートしています。

そういった活動が少しずつ実を結んで、日本の様々な商品が徐々にカナダで入手できるようになってきています。

(松田)バイヤーの方というのはジェトロさんで探し出されるんですか。

(中村氏)多くはジェトロで探します。カナダ政府の品目統計や日々の報道等からも主要輸入企業がわかりますので、その中から日本の商品に関心があると思われる企業に依頼をします。あるいは、バイヤーの方から我々に連絡をいただくこともあります。

例えば「日本からジーンズ生地を輸入したい」というご要望があると、ジェトロの貿易情報センターを通じ、岡山県倉敷などのメーカーを紹介し、日本での商談をアレンジしたりもします。

日本からの輸出に繋がるものであれば、分野は問わず個々の企業のために出来る限りの支援をさせていただいています。

(松田)日系企業のカナダ進出についても支援をされているとのことですが。

(中村氏)進出検討時、あるいは、法人設立当初の支援が中心になります。カナダの制度情報を提供したり、我々が日々の業務を通じ得た人的ネットワークを紹介するといった支援を提供させていただいている会社が現在もいくつかあります。

先日、無印良品の良品計画さんのカナダ進出の報道がありましたが、我々も微力ながら、同社のカナダ進出をお手伝いさせていただいています。労務関係や法人設立、満たすべき規格などの情報提供をし、カナダ進出が上手くスムースに進むよう支援させていただいています。

(松田)もう一つの柱である、対日投資促進にはどのようなものがありますか。

(中村氏)今年度は、オンタリオ州の大手IT企業の日本進出、日本に販売拠点をつくる食品機械会社のサポート等をしています。昨年度は、太陽光発電関連企業の日本進出の支援をしました。こちらも分野を問わず、日本に進出したいというカナダ企業があればできる限りのサポートをしています。

(松田)7名の事務所とは思えないほど幅広く活動されているんですね。

(中村氏)ジェトロでは、事業分野は問わず個別の企業のためにできることは何でも行います。カナダは市場も小さいため、どうしても一つ一つのプロジェクトに時間と手間がかかってしまいますが、一件一件を大切にして更なる日本商品のカナダへの輸出、カナダ企業の日本進出を支援していきたいと思っています。

(松田)今皆様にご紹介したいイベントやサービスはありますか。

(中村氏)今年度の我々のメインプロジェクトが、10月下旬に予定しているBC州へのミッション派遣です。今BC州ではシェールガス/液化天然ガスをアジアに輸出したいという機運が高まっております。また、日本企業も、カナダにおける資源開発、インフラ・プラント開発といったビジネスチャンスに注目しています。

その関係で我々はBC州へのシェールガス・LNGミッションを組み、一週間の日程で、上流の掘削現場の視察、下流のLNGプラント開発予定地等の視察などをしていただく計画です。

我々もこのプロジェクトに力を入れ、準備を万端に整えておりますので、是非期待していただきたいと思います。

(松田)日本とカナダの関係を更に濃くする絶好の機会ですね。ご成功をお祈りします。それではジェトロさんが今後力を入れて進めていきたいことはどのようなことでしょうか。

(中村氏)事務所として更に力をいれていきたいことは対日投資促進です。日本政府は2020年までに対日投資残高を倍増させるという目標を設定しており、その目標に到達するようにカナダ企業を積極的に誘致していきたいです。

第二に、輸出促進です。農水産・食品、日用品、デザインと様々な分野がありますが、全てにおいて力を入れていきたいです。

第三として、日本企業の海外進出支援にも力を入れていきたいです。とにかくカナダに着目していただき進出したいと考えていらっしゃる企業がありましたら、どのようなことでも積極的にサポートさせていただきたいと考えております。

(松田)それでは、中村所長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(中村氏)出身は岩手県です。高校まではずっと岩手県で過ごしました。ジェトロに入ってからの最初の赴任地はニューヨークでした。1992年から1995年までニューヨークにおり、その後東京と北米を行ったり来たりしています。2002年12月から2007年4月までトロントに赴任。2011年10月に二度目のトロントに着任し、今に至ります。

前回トロントにいた時は所員として赴任し、途中で次長に昇格。そして今回、再び次長として赴任し、先日所長に昇格しました。トロントで様々な役職を経験していますが、私は現場に出て仕事をしている方が好きなので、役職は変われど、ほぼ同じスタイルで仕事をしています。

(松田)トロント駐在は二度目なんですね。2002年に駐在された時と比較して、トロントはどのように変わったと感じますか。

(中村氏)当時と比べるとトロントが北米内で注目されるようになっており、日本企業もトロントへの進出に随分と関心を持ってきているように感じます。

今までは自動車関連を中心とした製造業が主になっていましたが、今回進出が決まった良品計画、またジェトロが支援したキンダーキッズというインターナショナル幼稚園、他にも自動車部品メーカーやレストラン等が進出を計画をしており、幅広い業種がトロントに注目をしていると感じます。

生活面においても、トロントの街は随分変わってきた気がします。日本食レストランや居酒屋などがかなり増えたこともありますが、レストランやモールなどが少しずつアメリカに追いついてきたというか、少しお洒落感が増し、随分暮らしやすくなっていますね。日本人の数も増えていると思います。日系コミュニティのイベント数も格段に増えていますし、街が盛り上がっていますね。

(松田)これまでのお仕事の中で印象に残っているプロジェクトにはどのようなものがありますか。

(中村氏)前回のトロント赴任時になりますが、対日投資に力を入れていたこともあり、カナダ大手企業の日本誘致に取り組みました。

大きなものだとスキーリゾートのオペレーターやリタイアメントホームのオペレーターの誘致プロジェクトがありました。日本のスキーリゾートや高齢者向け施設を北米のオペレーターの経営ノウハウを日本で活用すれば、地方のリゾートを活性化させ、より豊かなサービスを提供できるのではないかと考えました。
残念ながら、これらは実現はしなかったのですが、大変大きなプロジェクトであり、非常にやりがいのあるものでした。

(松田)中村所長がこれまでのご経験からお仕事を進める上で心がけていることはどのようなことでしょうか。

(中村氏)“とにかく一生懸命、汗をかく” ということですね。そうしないとやはり顧客から信頼を得ることは難しいですし、自分自身も満足がいきません。もしかしたら計画通りに進まなかったり、描いていた結果を得られないこともあるかもしれませんが、その時、自分が出来る限りの汗をかいてサポートをするようにと心がけています。

(松田)プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味はなんでしょうか。

(中村氏)高校まで硬式野球をしていました。高校球児で甲子園も目指していましたが、残念ながら夢は叶いませんでした。社会人になってからはマラソンやハーフ・マラソンの大会に出たりしていましたが、今はほとんど走っていません。週末、自転車に乗ったり、ウォーキングをする程度ですね。

最近の新たなチャレンジにウッドカービングがあります。私は初心者なので木の平面に彫るレリーフカービングに挑戦しています。上達すると木彫りの熊みたいな彫刻を作れるようになります。面白かったのですが、平面を立体的に彫るのは、かなり難しいですね。今後も続けていければと思っています。

(松田)ウッドカービングは面白そうですね。私もやってみたいです。では、今後カナダでやってみたいことはありますか。

(中村氏)ムスコカの方にいくと、湖がたくさん隣接あるいは繋がっていたりしますよね。そこを湖から隣りの湖へとカヌーで進んでいくというのを一度体験してみたいと思っています。オンタリオ湖でカヌーやカヤックをやったことはありますが、まだムスコカのほうではしたことはありません。いつか体験してみたいですね。

あとスノーシューイングもしてみたいスポーツです。スノーシューという日本でいう“かんじき”のようなものを足に履いて森の中を歩く、というスポーツです。そして自然の中で普段見ることの出来ない神秘的な光景を見たり、野生動物に遭遇したり、カナダだからこそ、という経験をしてみたいです。今のところやる機会がなく、してみたいというだけなんですが…。(笑)

ちなみに、前回のトロント赴任時にやり残してしまったリドー運河でのスケートは、今回の赴任で実現させました。少しずつ叶えていきたいと思います。

(松田)是非今年の冬にはスノーシューイングをやり遂げてください。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(中村氏)ジェトロでは本日ご説明したとおり様々な事業を行っておりますが、日本企業の役に立ってこそジェトロの存在意義があります。どのようなお問い合わせでも構いませんので、気軽に連絡をいただければ、一生懸命、汗をかきたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上になります。本日は有り難うございました。




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