「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第102回> 
Toyotetsu Canada, Inc. (TTCA)
谷口 憲文 President

自動車部品を製造・販売されているトヨテツカナダの谷口社長にインタビューをして参りました。オフィスと工場の所在地は、トロントから約150km、約2時間のドライブで到着するシムコーカウンティです。谷口社長は2012年1月に赴任され、今年の春に社長にご就任されました。
インタビュー後には、社内の研修センターにて製品のサンプルモデルを拝見させていただきました。自動車部品には本当に様々な種類があって、一つ一つが最適な形状、素材で作られているということを改めて実感しました。谷口社長は大変気さくなお人柄で、趣味のお話しではとても楽しそうにご紹介くださいました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(谷口氏)トヨテツカナダ(TTCA)は、豊田鉄工株式会社のカナダの事業体で、トヨタ系の自動車部品、特にプレス品を製造・販売しています。主に車の骨格部分の部品をToyota Motor Manufacturing Canada Inc.(TMMC)に納入しています。

設立は2006年2月で、従業員数は現在492名です。私が来た2年半前は300数名でしたので、150名以上増えていることになります。

(松田)この地域で500名近くの雇用というのは、地域にとっても多大な貢献でしょうね。御社の生産拠点はどちらにありますか。

(谷口氏)日本国内・海外合わせて計9カ国に17事業体があります。海外拠点は、アメリカ、カナダ、トルコ、中国、インド、インドネシア、フィリピン、タイです。私が入社した当時は国内外事業拠点は一つもなく、工場が国内に2つのみでした。ですので、入社当時は海外で仕事をするということは夢にも思っていなかったですね。

(松田)数十年で幅広く拡大されたんですね。それでは製品について教えていただけますか。

(谷口氏)当社が製造している製品は車のボディ部品、例えばセンターボディピラー、ルーフレイル、ラジエーターサポートなどです。車体の骨格としてボディ強度や各パーツの連結・保持に加え、衝突の際には衝撃を吸収するような技術も盛り込まれています。TMMCで製造されているカローラ、RAV4、レクサスそれぞれの部品を製造し、納入しています。部品の納入単位数は200以上あるかと思います。

(松田)一般の方には知られていない技術なども含まれているかと思いますが、ご紹介いただけますか。

(谷口氏)技術はたくさん盛り込まれていますが、トヨタさん独自の作り方をしておりますので、申し訳ありませんが公言はできません。

ただ、例えばこちらの“シャシー部品”ですが、一見ただの鉄の棒のように見えるかもしれませんが、自動車の後輪にあるリアサスペンションを構成しており、タイヤが取り付けられるため大変重要な部品です。それを出来る限り低価格で、軽く、かつ機能を果たすものを作るために最適な素材、形状のものになっています。

私は以前日本にいた時に、この部品製造の勉強のためにトヨタ自動車に出向した時期がありました。そのため大変思い出深い部品です。

(松田)御社の強みはどちらにあると思われますか。

(谷口氏)豊田鉄工には、“トヨテツマインド”という我々のDNAとも言える信念があり、これを各国の言葉に翻訳し、世界中の17事業体全てにて統一しています。“トヨテツマインド”はこのように木の形に描写されているのですが、大きな実となって育った「お客様第一」「安全第一」「品質第一」の3つの第一が、我々が最も大切にし守るべきモットーです。

そしてそれを更に向上させるために、「挑戦」「改善」「現地現物」を常に念頭に置き日々の作業を進めます。そしてそれらの基礎となる根っこのところに、「人財育成」「コミュニケーション」「チームワーク」があります。

TTCAでは従業員全員が毎日通るミーティングスペースに貼り付けて、日々目にすることができるようにしています。従業員に根付いていることも実感していますし、こういった基本的なところから全従業員の意識が変わっていくと思います。

(松田)御社では、安全や品質についてはどのように対策されていますか。

(谷口氏)“トヨテツマインド”が掲げられているスペースで、毎日12時半~12時45分にミーティングを行い、前日の安全、品質、生産性の状況等について報告、確認しあうようにしています。

また、当社には研修センター(Training Dojo)を設け、新入社員から安全と品質について学びます。安全面では、実際に現場で働いている者たちの意見を取り入れて従業員自らが作った安全装置を置いています。

例えば、我々が製造しているプレス部品は側面が鋭いため、刃物のように肌などは簡単に切ることができてしまいます。そして溶接の機械でも使用を間違うと、指などは簡単にプレスされ潰れてしまいます。怪我の起きるリスクがあるということを装置で体感できるようにしており、実際に各々が目にする事で怪我を未然に防ぎ、対策を徹底するようにしています。

そして品質面では、実際に製品が取り付けられた車体を置き、どの製品がどのように使用されているのかを一目で理解できるようにしていたり、質の悪い部品を並べ、質の良い部品、悪い部品を目で見て触ってわかるようにしています。

言葉だけでは伝わりませんので、“現地現物”のとおり、どのような部品がどのような目的で作られているかを目にし、そして従業員一人ひとりが何のためにこの会社にいるのか、ということをしっかりと理解してもらうようにとしています。

(松田)御社が今後特に力を入れて進めていきたいことはどのようなことでしょうか。

(谷口氏)北米の自動車産業は現在も成長していますので、それについていきたいと思っています。現在我々は工場の拡張工事をしており、1万平米ほど大きくなる予定です。それに伴いお客様の更なるご要望にお答えすることができるようになりますし、我々も更に向上し、従業員とその家族にも満足してもらうことができると思います。

また、工場には拡張後もスペースの余地がありますので、我々は今後更に成長拡大していくことができます。お客様の更なるご要望にも十分に対応する能力を持ちあわすことができますので、いつでも準備を怠らないようにしていきたいと思っています。

(松田)それでは、谷口社長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(谷口氏)出身は愛知県の瀬戸市です。大学までずっと愛知県にいました。入社のきっかけは、やはり小さい頃から車が好きで、自動車関係の仕事がしたく、機械系の大学を卒業して入社しました。

入社後は、図面を書く仕事、特にプレス品の金型設計をしていました。現在はCADなどコンピューターで作図をするのですが、当時はドラフターという定規がついた製図台を使っていたので、毎日右腕は鉛筆のカスで真っ黒でしたね。それを8年やっており、途中でトヨタ自動車に2年間ほど勉強をしに行きました。訳もわからずに走り回っていたという感じですが、多くのことを学びとても楽しい時期でした。

(松田)トヨタ自動車さんではどのようなことを学ばれましたか。

(谷口氏)トヨタ自動車という製造の最終段階にいるということは、とても責任が重いことだと痛感しました。ここで製造したものが、次は実際に運転をするお客様の手に渡るわけですので出来上がるものは100%のものでなければならない。そして我々は疑問点があればお客様であるトヨタさんに伺い問題を解決することができますが、最終段階では誰にも相談できずやり遂げるしかない、ということを心から実感しました。

そして「現地現物」というモットーのとおり、疑問点や確認したいことがあったら必ずその場に行って自分の目で見るようにしていましたが、工場が本当に広いので、毎日歩き回っていました。万歩計を付けていたのですが、毎日最低2万歩、約15kmは歩いていましたね。

(松田)その後はどのようなお仕事をされましたか。

(谷口氏)その後は、我々の金型製作メーカーで設計した金型図面の検図や、実際に金型が出来たときのチェックなどをする仕事をしました。

その後またトヨタ自動車に出向し、このシャシー部品を担当することになりました。それがアメリカの工場での生産だったこともあり、その後、豊田鉄工のグローバル事業部に配属されました。

グローバル事業部には8年ほどいましたが、そこではほぼ中国の担当でした。そのためもしかしたら中国に赴任することがあるかなと思っていましたがお呼びがかからず、その後2年ほど調達部というところに所属した後、配属されたのがカナダで、2012年の1月にカナダに来ました。

(松田)今までで一番印象に残っているプロジェクトはどのようなものでしょうか。

(谷口氏)トヨタ自動車に出向し、シャシー部品を担当したときのことですね。これは私の仕事人生が変わった部品です。この部品は、それまではトヨタ自動車が内製していたのですが、それを我々サプライヤーに製造を任せるということになり、海外で技術、設備、人材等が整っている部品メーカーの中で白羽の矢が立ったのが豊田鉄工でした。

豊田鉄工とトヨタ自動車が共同で初めて部品を作るということになり、私が豊田鉄工からの代表としてトヨタ自動車の中に入って生産準備をしました。豊田鉄工の看板を背負っていましたので、プレッシャーもありましたがやりがいもありました。豊田鉄工にとっても多少なりとも貢献できたと思いますし、私の人生の分岐点ですね。

また、人間関係が非常に良くて、一緒に出向した人や、一緒に働いたトヨタ自動車の方々とも今でも関係が続いています。現在もここTTCAでこのシャシー部品を扱っていますので、何か縁があるのかな、と感じてしまいますね。

(松田)谷口社長が、お仕事を進める上で心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか。

(谷口氏)コミュニケーションですね。今社長になって2ヶ月くらいですが、最初の挨拶のときに“Greet with your biggest smile(最大限の笑顔で挨拶を)”が私のモットーであると社員に伝えました。オフィスに座っているのではなく、できるだけ現場に出向き、現場の状況、従業員の思いなどを肌で感じられるようにということを大切にしています。

また、仕事始めに毎日現場の従業員が体操をしているのですが、私も時間がある限り一緒に体操をするようにしています。大体目を見ると、今日の調子はどうかな、とかわかるじゃないですか。そしてそれを続けていると皆とても気軽に話しかけてくれるようになって、それがとても嬉しいですね。

同時に、お客さんや地域の方々、従業員や従業員の家族の方々に、TTCAは明るくて活気がある会社だと思ってもらえるようにしていきたいと思っています。

(松田)プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、ご趣味はなんでしょうか。

(谷口氏)まず一つ目は、私は写真が大好きです。せっかくカナダに来たので、カナダの写真をたくさん撮りたいと思っています。そして、日本に帰った時に個展を開くことが目標です。日本では写真クラブに所属しており、その仲間に手伝ってもらって、小さい会場で良いので実現させたいですね。そのためにたくさん写真を撮り集めています。

(松田)写真はどの辺りで撮られているのですか。

(谷口氏)先週少し時間ができたので、PEI(プリンスエドワード島)に行ってきました。自然の風景や灯台をたくさん撮りました。他には、カナディアンロッキーですね。カナダ以外だとグランドキャニオンにも行きました。

(松田)一番の自信作はどのようなものですか。

(谷口氏)グランドサークルのモニュメントバレーの朝日の写真です。そして、朝日を撮ったので夕日を撮りたくなって、先週PEIでは夕日を撮りました。PEIのウェストコーストに宿が付随した灯台があって、そこに泊まって夕日の写真を撮りました。その朝日と夕日の写真の2つが自信作ですね。

(松田)では二つ目のご趣味はなんですか。

(谷口氏)実は、私は大の阪神ファンなんです。今日はその紹介のためにグッズを持参しました(笑)。カナダに来て一番残念なことは、甲子園に行けないことです。甲子園は愛知県から遠いのでそんなに頻繁にはいけないのですが、行くときは娘と行くんです。

私は娘を阪神ファンに育て上げまして(笑)、年に一度2人で甲子園に行くというのがイベントになっていたのですが、私がカナダに来たことで途切れてしまいました。こうしてメガホン(応援し過ぎて割れてしまっているんですが)に、行った日にちと対戦相手、試合結果を書き続けていたのですが、これが2012年で終わってしまっています。それがとても寂しいですね。

(松田)娘さんも寂しがっていらっしゃるでしょうね。ユニフォームもお持ち下さったんですね。

(谷口氏)このユニフォームは全面に阪神のロゴが入ってるだけのものだったのですが、甲子園に行く度にワッペンを購入してオリジナルのものを作りました。これが残念ながら今は行けてないので変化がないんですよね。ロジャーススタジアムも行きましたが、日本の応援と比べると落ち着いていて、あまり楽しめなかったです。

(松田)次に日本に帰られたときに応援に行けると良いですね。

(谷口氏)でも応援をするのは、本当は甲子園より名古屋ドームの方が好きなんです。名古屋ドームでの阪神戦は年に数回しかないのですが、レフトスタンドに熱狂的なファンだけが集まっているので、親しみが湧くというか、知らない人でもすぐに友達のようになれます。

でもその時しか連絡取らないんです。シーズンオフの時に飲みに行こうということは絶対なく、その時だけの友達なんですが、それがまたいいんですよね。しかも勝率もあまり良くないのですが、負けたとしても一度は良い瞬間があるので、その瞬間に一緒に叫び合って、抱き合って、というのを楽しみにしていきます。

(松田)周りの方とすぐに友達のようになってしまうというのも谷口社長のお人柄でしょうね。では最後になりますが、商工会へメッセージをお願いします。

(谷口氏)仕事のためにカナダに来た我々駐在員にとっては、カナダで生活をする上で知らないことがたくさんありますが、カナダでの生活を2倍、3倍、5倍、10倍と楽しむことができれば、仕事にも活かすことができ、人生経験としても非常に濃いものになると思います。

商工会がカナダ生活の縁の下の力持ちとなって下さり、そうしたバックアップを今以上にしていただけると、とても有りがたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上になります。今日はどうも有り難うございました。




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