「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第101回>
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ (Canada)
浅田 浩司 President & C.E.O.

今年1月にご着任されたカナダ三菱東京UFJ銀行の浅田頭取に取材をして参りました。オフィスはトロントダウンタウンのユニオン駅のすぐ側です。

浅田頭取には、本年の商工会副会長と、トロント補習授業校の運営委員長を務めていただいております。今回のインタビューでは、これまでのご経験やプライベートなことをお伺いしてきました。



(松田)御行の事業内容のご紹介をお願いします。

(浅田氏)カナダ三菱東京UFJ銀行の事業内容は、企業様向けホールセールビジネスで、カナダ全域の企業様向けにご融資や銀行サービスの提供をしています。弊行のカナダでの歴史は古く、最初に旧東京銀行のトロント駐在員事務所が設立された1954年に遡ります。今の100%現地法人が設立されたのは1981年です。

従業員数は会社全体で約120名で、そのうちトロントに約100名、バンクーバーに約20名、モントリオールに2名在籍しております。そのうち日本から派遣されている日本人は10名で、トロントに7名、バンクーバーに3名おり、カナダ全土を遍くみています。

(松田)お客様はどのような企業が多いでしょうか。

(浅田氏)割合でいいますと、約7割が非日系企業、約3割が日系企業となっています。

様々な業界にお客様がおりますが、大きな特徴でいいますと西部ではオイル・ガス産業、シェールガス・オイルサンドに関わる企業融資やプロジェクト融資が増えています。こちらは2015年以降急拡大すると予測しておりまして、これから更に我々の役割は非常に大きくなると考えています。

東部(トロント・モントリオール)は大企業の本社が多くありますので、幅広い業種の大企業との取引をさせていただいております。

(松田)その他に御社が力を入れていらっしゃる事業にはどのようなものがありますか。

(浅田氏)我々は、長年プロジェクトファイナンスに力を入れており、特に電力関連、オンタリオ州中心の風力発電、ソーラー発電といったプロジェクトに数多くの実績を残してきました。プロジェクトファイナンスにおいては、ここ3~4年は米銀行やカナダ銀行も含めたマーケット全体でも圧倒的な一位を占めています。今後、その強みを活かしてビジネスを更に拡大していきたいと思っています。

他には、企業買収に関わるファイナンスについても、我々は非常に数字を伸ばしています。特にカナダ系企業が国内外で企業買収する際のファイナンスにおいて、ここ2、3年で急激に伸びています。

そしてカナダ全体の収益ベースを見ますと、2011年頃と比べてほぼ倍に伸びています。カナダのような成熟市場でこれだけ伸びるというのは世界でもなかなか無いことです。そして、更にこれからカナダ西部でのオイル・ガス関連が拡大していくと予測されていますので、我々としてはしっかりと準備を整えて、今後の対応に備えたいと考えております。

(松田)多くの分野で拡大されていらっしゃるんですね。御行の強みというのはどちらにあると思われますか。

(浅田氏)当行は、昨年の12月に本社より3億カナダドルの増資を受け、現在資本が10億ドルを超えています。現在では、BTMUグループの銀行現地法人の中でも、アメリカのユニオンバンク、中国現地法人に続き、世界で3番目の規模になりました。

それだけ責任も重くなりましたが、東京にも認められ期待をしてくれているということですので、更なる飛躍に邁進したいと思います。

また、我々はプロジェクトファイナンスやローンシンジケーションなど様々な金融プロダクトにおいてもカナダの銀行にひけを取らないだけのノウハウ・情報をもっています。

先ほど申し上げたように、我々のお客様の7割は非日系企業ですが、地場に根付いてしっかりと情報を集め、それらの情報を日系のお客様のビジネス展開に活かしていただけるというのも我々の強みであると考えています。

また、西部のエネルギー産業は、カナダ企業のみならず、日系企業はもちろん、アジア、例えばマレーシアやインドのお客様が進出してくるなど、更なる拡大余地があります。

グローバルな銀行として世界中に拠点があるという利点、そしてアジアのメガバンクであるという点でも、カナダ、アジアのお客様に期待していただいており、我々が活かしていくべき点であると考えています。

(松田)御行がこれから力を入れて進めていきたいことはどのようなことでしょうか。

(浅田氏)西部でのオイル・ガス・LNGのビジネスと、M&Aの資金提供、そして東部でのプロジェクトファイナンスに引き続き力を入れ、ソリューション提供型のサービスを通じて顧客層も増やしていきたいと思っています。

そういった動きの中で日系企業さんへの広い意味での情報提供と先進的なファイナンス、例えば、地場の企業がこのマーケットで利用している最新の金融手法などをご案内しながら各企業さんにサービスをご提供していくことに注力していきたいと思っています。

(松田)それでは、浅田頭取のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(浅田氏)出身は東京です。ただ子供の頃から海外が長く、ロンドン、シドニー、ニューヨークに合計9年ほどおりました。中学生くらいまでは父親の仕事の関係で、3年くらいの周期で転々としましたので、東京もその一部という感じでした。

(松田)浅田頭取には、現在トロント補習授業校の運営委員長をお務めいただいておりますが、浅田頭取も子供の頃に補習校に通われていたんですね。

(浅田氏)はい。ロンドンでは補習校にお世話になり、ニューヨークでは全日制の日本人学校に通いました。現在、トロント補習校の運営委員長を務めさせていただいておりますが、昔とは授業の進め方など色々と変わっていることに気付くと共に、懐かしさも感じ、他人事とは思えない気持ちでおります。

余談ですが、三井住友海上保険の岡島氏、当行の副頭取の豊田と私は、ニューヨーク日本人学校(中学校)の同級生なんです。その時一緒だった3人が、それほど 日本人コミュニティが大きくないトロントで、今また同じ時期を過ごしているというのはなかなか無いつながりですよね。

(松田)それはとても運命的なつながりですね。実際に日本人学校に通われたご経験により、より児童・生徒のための補習校運営にお力添えいただけることと思います。引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。それでは、ご入行後の経緯を教えていただけますか。

(浅田氏)大学を卒業し、三菱銀行に入行しました。すぐに新宿新都心支店にて外国業務課に配属され、3年後には営業本部の大阪営業部に異動となり大企業取引を行いました。
その後海外派遣として留学をさせてもらい、カリフォルニア大学バークレー校にてMBAを取得しました。そしてロンドンに赴任となり、M&Aの業務を始め、5年いましたが半分はM&A、半分はヨーロッパ企業取引を担当しました。

日本に戻った後は、4年間三菱商事さんとのお取引担当を務め、その後三菱証券に出向してクロスボーダーM&Aを担当、銀行に戻って鉄鋼業界の担当を経て、モルガン・スタンレーとの提携プロジェクトに携わり本邦の証券会社統合のお手伝いをしました。

その後LBO・買収ファイナンスの仕事を担当し、2011年にニューヨークに赴任しました。ニューヨークでは副支店長のポジションで、1年間日系企業とのお取引を担当し、その後1年間は投資銀行プロダクト担当の部長を務め、そして今年の1月にトロントに赴任となりました。

(松田)特に印象に残っているプロジェクトにはどのようなものがありますか。

(浅田氏)色々な仕事に携わりましたが、クロスボーダーのM&Aを長く手掛けていましたので、日系企業さんの海外進出のビジネスが特に印象に残っていますね。お客様にアドバイスやファイナンスをするのですが、一つ一つの案件を経営者の方々と悩みながら、最終的に対象会社を抽出し、実際に運営していくまでのプロセスを経験することができたのは、私のその後の糧となりました。

(松田)ご苦労もあったのではないですか。

(浅田氏)M&Aの仕事というのは普通の銀行員が関わる仕事ではないので、決まりが特にありませんでした。自分がどうやって付加価値をお客様に付けられるか、限られた時間の中でどのように案件をまとめていくか、を常に考え、業界についての知識を付けるための勉強など、休日も夜も仕事に費やしてプライベートなどないような感じでやっていました。

振り返ってみれば良い思い出にもなっていますが、その当時は辛い思いもしていましたね。
今もそうですが、海外出張が非常に多くて、日本からオランダに日帰り出張をしたりもしました。そういった弾丸出張が連続であったりしましたので、身体的には結構辛かったですね。

(松田)モルガン・スタンレーとの提携プロジェクトのお仕事はどのようなものだったのですか。

(浅田氏)こちらは、日本の証券会社を一つにするというプロジェクトだったのですが、全く違うバックグラウンド、カルチャーの2つの企業を統合する仕事でしたので、大変なこともありました。また、私はそれまでお客様にM&Aのアドバイスを行っていましたが、今度は身内の会社の合併を仲介することになりましたので、とても大きな違いでしたね。

お客様の立場に立つことで、アドバイスをする側と受ける側では大きな差があるということを身をもって体験し、より良いアドバイスの有り方を知ることができるとても良い経験となりました。

(松田)ニューヨークではどのようなお仕事をされていましたか。

(浅田氏)プロジェクトファイナンス、シンジケーション、証券化、リース、貿易金融といった非従来的なプロダクトのチームを統括する立場におりました。ニューヨークから米国、カナダ、ラテンアメリカを含む米州全域をカバーしていましたので忙しく過ごしていました。当時からカナダは伸びており、注目マーケットでしたので、引き続きこの戦略市場でやっていけるという幸せなポジションに配属していただけたと嬉しく思っています。

(松田)それでは、浅田頭取がお仕事を進めていく上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(浅田氏)人脈や人とのリレーションシップです。私は企画、人事等の本部的部署の経験があまりなく、ずっとお客様の近くで仕事をしてきました。銀行員としては珍しいことだと思いますが、私はそれが天職だと思っているので感謝しています。

そのためこれまで多くの方々にお会いし、頂いたお名刺が段ボール箱に3箱くらい溜まっております。これが私の財産ですね。未だに過去のお客様がカナダやアメリカにいらっしゃるというときにはお会いしたりと、交流を欠かさないようにしています。

様々な業界の方とご一緒させていただきましたので、何かあったときにはこの方にお伺いすれば力になってくれる、有益な情報をいただける、というネットワークは、私のこれまでのキャリアで一番の宝です。

この人脈とその方々と培った経験を活かしながら、現在目の前にいるお客様に最良のアドバイスを提供していく、ということが私の全てだと思っています。その時その時はトレンドなどもありますので毎回勉強をするのですが、過去に何を経験し、それをどれだけ活かせるかというところが、唯一他人との違いが出せるところだと思っています。

(松田)それでは、プライベートについてもお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツはなんでしょうか。

(浅田氏)好きなスポーツと言えるかはわかりませんが、走るようにはしています。7、8年前に出張が多く不摂生が続いてしまったときに健康管理のために始めました。平日はなるべく朝起きたら体を動かし20分でも30分でも走るようにしており、週末は大体1時間、出張先でもなるべく走って汗を流すようにしています。

通常は10キロくらい走るだけですが、何年か前に東京マラソンのフルマラソンに出場しました。まだカナダでは大会には出ていませんが、競技は好きですので、今後また挑戦したいと思っています。また、ゴルフも楽しんでいます。

学生時代は高校、大学とアーチェリーをやっていました。競技人口が少ないのでオリンピックに出れるかもと騙されて始めたんですが(笑)、体育会の部で真面目に7年間続けました。卒業してからは全く弓に触れていませんが、当時の仲間や後輩とは今も仲良くしています。

基本的には体を動かすのは好きなので色々なスポーツをしていたのですが、最近ではゴルフ、走る、時々泳ぐくらいですね。

(松田)運動以外には何かされますか。

(浅田氏)ニューヨークにいた時にサクソフォンを始めました。私はジャズが好きで、ニューヨークのジャズクラブに聴きに行ったりしているとやはりサクソフォンが格好いいんですね。

音楽は全くダメな人間なのですが、何か新しいことにチャレンジしたいと思っていたところ、ある日楽器屋さんをぷらぷら歩いていたら安売りしていたので衝動買いしてしまって、先生を探して、ニューヨークで習い始めました。全然上達しませんが(笑)、今も時々家で自己練習しています。カナダでも先生を見つけたいと思っています。

(松田)カナダは8ヵ月目とのことですが、印象はいかがですか。

(浅田氏)ニューヨークもエネルギッシュで好きな街なのですが、ここもとても過ごし易く、人の温かみに触れることができますね。ただ、極寒と言われる今年1月の一番寒いときに来ましたので、最初の印象は正直決して良くありませんでした(笑)。けれどこれがカナダの冬だと感じることができたので、きっと来年以降はサバイブできるだろうと思っています。

5月に入ってからはまるで違う国のような気候ですので、今から冬が来るのが寂しいような気持ちになっています。これから冬に向けて何か新しいことに挑戦したいですね。カナダの国技のアイスホッケーは難しいかなと思いますが、カーリングなんかもいいかなと思っています。

ビジネスにおいてもそうですが、何事もアメリカとはやり方が違うと感じていますのでまだ勉強中ですが、その違いを頭に入れながら、新しいことに取り組んでいきたいと思っています。

(松田)それでは、最後になりますが商工会会員へメッセージをお願いします。

(浅田氏)先ほども申し上げましたが、色々な機会でお知り合いになれた皆様とのリレーションシップが私は大切だと思っています。これから先10年、20年とお付き合いできる関係を育みたいと思っていますので、是非気軽にお話しをさせていただければと思っています。公私共にどうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。今日はどうも有り難うございました。




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