「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第98回>
OBAYASHI CANADA  
河野 亙秀 Executive Vice President, OBAYASHI CANADA HOLDINGS, LTD

今回のインタビューは、大林カナダの河野氏です。大林カナダさんのメインオフィスはミシサガですが、今回はトロント西方にあるエグリントントンネルJV工事事務所にて取材をさせていただきました。
大林カナダさんは現在、トロント公共交通機関TTCの拡張プロジェクトの一つであるエグリントンアベニュー線の地下鉄トンネル工事を施工されています。また、ユニオン駅とピアソン空港をつなぐ鉄道の拡幅、地下化工事にも関与されています。
トロントに住む私たちに大変興味深いお話と、通算15年以上にもなる海外駐在のご経験などについてお伺いしてきました。。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(河野氏)大林組は、いわゆるゼネコンと呼ばれる総合建設会社の一社です。設立は1892年です。建設周辺の事業を通じてお客様に安心・安全を提供することを使命としております。

橋やトンネルの施工のイメージが強いと思いますが、施工に限らず建設プロジェクトの計画、設計などの初期段階から、建設後のメンテナンスや運営サービス、不動産業等、建設に関係する事業に幅広く関わっています。

また、最近では東京スカイツリーを施工した会社として知られていると思います。カナダでは主にインフラ関係の土木プロジェクトを手がけています。

(松田)御社の拠点について教えてください。

(河野氏)大林組は日本国内各地に9支店、海外では、北米、東南アジア、中近東の3つのエリアに地域拠点がある他、子会社や関連会社が国内外にあります。日本国内と海外の事業の比率は、現時点で約日本80%、海外20%ほどであり、海外20%のうち約半分強が北米(カナダとアメリカ)です。

ご存知のように日本の建設市場は縮小傾向にありますので、それを補完するために海外比率を増やし、今後は海外比率を30%まで上げることを中期的な目標としています。

(松田)大林カナダさんの設立の経緯をお聞かせ願えますでしょうか。

(河野氏)大林組の北米事業の拠点はサンフランシスコにあり、私もサンフランシスコで6年ほど勤務していましたが、カナダで建設業を行うチャンスがあるということで、北米拠点内に大林カナダを設立しました。

ここ数年でトンネル等の土木プロジェクトが本格化したこと等に伴い、現在私を含め9名の日本人駐在員がトロントに常駐しています。

(松田)御社はカナダに進出している唯一の日系大手ゼネコンとのことですが、カナダに他の建設会社がいらっしゃらないのは何か理由があるのでしょうか。

(河野氏)建設業というのは地元に密着した業種です。実際工事を行う人たちは、地元の職人さんや地元のサブコントラクターであり、そこで仕事をするにはローカル化が不可欠と理解しています。外国の地に建設業で根を張るのは予想以上に時間がかかると実感しています。

大林組はミシサガにあるKenaidan Contracting Ltd.を3年前に子会社化し、カナダではKenaidanと共に、必要に応じて北米の他の会社とも共同企業体を組成して公共工事の入札や工事に参加しています。

失敗も含め過去の経験から来るものですが、特に北米大陸では有力な地元の会社と資本等の面で協力をして一緒にやっていく、そこに技術面等日本企業ならではの良いところを上手く持ち込む、というのが事業を継続するひとつのパターンではないかと思います。

(松田)御社は開設が予定されているTTCエグリントン線のトンネル工事に携われているとのことですが、ご説明いただけますか。

(河野氏)皆さん実感されていると思いますが、トロント市の交通渋滞は深刻なものがあり、公共交通機関の充実が急務となっています。2008年に州政府の担当機関が今後25年間でトロントエリアにライトレール等の公共鉄道網を張り巡らす計画「Big Move」を発表しました。

その一つがエグリントン線のライトレールの新設です。ライトレールといってもダウンタウン部分は地下トンネルとなり、エグリントンアベニューの直下に、大林カナダが代表となっている共同企業体が、現在トンネルを掘削しています。

全長6.2kmの上りと下りの二つのトンネルを2台のTBM(トンネルボーリングマシーン)という直径約6メートルの円柱型の機械を使って掘進しています。Black Creekからスタートし、東に向かっており現在Dufferin Street辺りにさしかかるところです。

(松田)そんなに大きいものが、エグリントンアベニューの地下を進んでいると想像するだけでわくわくしますね。駅や鉄道レールの建設もされるのですか?

(河野氏)駅の建設や鉄道の敷設、その後のメンテナンスについてはトンネル工事とは別に、PPP(Public Private Partnership:民間企業がファイナンスを含め事業参加する)方式でこれから入札が行われます。当社グループにとって北米では始めてのPPPとなりますが、経験のある欧米の企業とチームを作り、事業参画を目指して取り組んでおります。

エグリントン線は2020年に開通する予定で、Black Creekから既存のAllen RoadやYonge駅の下を交差し、Kennedy駅までつながります。沿線に地下駅が15駅、地上駅が10駅の合計25の駅が設置されることになります。我々がトロントの交通事情を少しでも緩和することに貢献できればと考えています。

(松田)私もエグリントン沿いに住んでいますので、エグリントン線の開通を本当に楽しみにしています。トロントではその他にも路線が拡張される予定ですよね。

(河野氏)はい、「Big Move」ではエグリントン線以外にも、スカボロー線、シェパードイーストLRT、フィンチウェストLRTなど、トロント地区にいくつかの鉄道建設を計画しています。また、ミシサガやハミルトンなどにも鉄道を充実させる計画があります。

カナダには我々建設会社にとって先ほどのPPPを含め多くのチャンスがありますので、今後も積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 
ウェストントンネル建設工事現場にて 


(松田)トロントの大規模開発に日系企業が関わっているというのはとても嬉しいですね。また、御社はユニオン駅とピアソン空港を直結させる鉄道事業にも携わられていると伺いましたが。

(河野氏)ウェストン通り沿いの既存のGo Trainの軌道の一部約1.7キロを複線化及び地下化する建設工事で、2015年に開通予定のユニオン駅とピアソン空港をつなぐAirport Linkの一部となります。こちらの事業は子会社のKenaidan社が主体となり施工しています。

(松田)河野さんのご経歴、入社のきっかけ、ご家族等についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(河野氏)千葉県出身、経済学部出の私が、大阪で有名な大林組のことを知るようになったきっかけは、学生時代に旅行で京都の街を歩き回っていたときに見た、桂離宮にあった大林組の看板です。

新しい建造物の建設だけでなく、「昭和の大修理」のような様々な大型プロジェクトのコーディネーション役、というイメージをもちました。

(松田)海外駐在経験も長いとのことですが、どちらにいらっしゃいましたか。

(河野氏)これまでの会社人生27年のうち、トータルで15年程北米に駐在しています。最初の海外勤務はロサンゼルスで8年半ほど主に不動産開発関係の仕事を担当していました。その後一度日本に戻り5年ほどした後、サンフランシスコに約6年間駐在しました。そして昨年8月にトロントに参りました。

(松田)今までで特に印象に残っているプロジェクトのエピソードはありますか。

(河野氏)ロサンゼルスの不動産子会社の再構築です。当時所有していた不動産プロジェクトを売却整理し、別会社に移管し再開発するという仕事に携わりました。最初の海外勤務地での仕事ということもあって、強く印象に残っています。

(松田)河野さんがお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(河野氏)先ほども申し上げたように、建設業は大変ローカル性が高い仕事です。地元で実際にオペレーションを行っている人達や地元の会社との関係を大事にすること、一方でそこに日本で培った技術力や品質を持ち込み、グループとしての相乗効果を挙げていくことができればベストと考えています。

そのためにはコミュニケーションが大変重要ですが、なかなか難しくて毎日が反省の連続です。

(松田)それではプライベートなことも少しお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツやご趣味はなんでしょうか。

 
 モントリオールの旧市街にて

(河野氏)趣味というほどのことは無いですが、強いて言えば旅行や街歩きでしょうか。海外に旅行したり居住することは子供の頃からあこがれていたので、また幸いにも家族も付き合ってくれていますので、各駐在先での生活をできるだけエンジョイしようと考えています。

(松田)駐在生活をご家族で楽しまれているのはとても良いですね。駐在地以外にはご旅行は行かれていますか?

(河野氏)娘が二人いるのですが、長女がサンディエゴの大学院を今年卒業しました。学年が変わる毎に寮やアパートの引越しがあり、サンフランシスコとサンディエゴの間をミニバンで頻繁に往復しました。片道800キロ程度の大旅行です。

高校生の次女も夏になると各地の音楽キャンプに行くことが多く、週末を利用して車でLAやサンタバーバラに送り迎えしたこともあり、子供の教育関係だけでも旅行は結構充実していました。カナダに来てからは、ナイアガラの他、最近モントリオールに行きました。

(松田)まだカナダは1年弱とのことですので、これからご家族でたくさん楽しまれてください。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(河野氏)トロントに来て肌で感じたのは、交通事情がまだまだ不便な状況であるということです。インフラの充実によりそれを少しでも緩和することに携われればと思っています。

また、多数の民族が混在する国際都市トロントにあって、微力ながら建設の分野で少しでも日本企業の存在感を出すことができればと考えております。今後共よろしくお願い申し上げます。

(松田)大林カナダさんがトロントを過ごし易くしてくださるのを楽しみにしています。今日は有り難うございました。



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