「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第96回>
SPP Canada Aircraft, Inc.
大西 正之 Vice President and Chief Operating Officer

SPP Canada Aircraft, Inc.(SPPCA)の大西氏にインタビューをして参りました。オフィスはミシサガです。約1年前にも取材に訪れましたが、以前は1階のみだったオフィスに2階部分も拡張されていました。

設立からわずか1年半ということですが、着々と軌道に乗られていることを感じました。珍しいご経歴やお考えからふと“SAMURAI”をイメージしてしまうような大西さんの、ご経験やプライベートもお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(大西氏)SPP Canada Aircraft, Inc.(以下SPPCA)は日本の尼崎に本社のある住友精密工業の100%出資海外子会社となります。SPPCAでは、航空宇宙事業、熱交換器事業、センサー事業等々、様々な分野に亘って事業展開をしています。

特に航空宇宙部門の中で力を入れている製品が、民間航空機用のランディングギアです。この製品に特化し、民間航空機用のランディングギアのための会社をマーケット近くに置くために設立したのが、カナダに進出してきた背景となります。

会社の登記は2012年4月で、2012年の10月にオフィスを開き、昨年より本格稼働を開始しています。社員数は現在40名。契約社員やインターンシップ等も含めると50名強となります。

(松田)御社は設立当初から製造工場をお持ちですが、全体ではどのような機能をお持ちなんでしょうか。

(大西氏)SPPCAは、設計、開発、マーケティング、営業、調達、製造、品質保証、総務人事と製造販売に必要な全ての機能をもっています。ただ製造に関しては、元来からある日本の製造拠点を最大限に使用する形をとっていますので、我々がカナダで行う製造は、最終組み立てに特化した限定的なものです。

部品等の調達は、従来は世界各国のサプライヤーの製品を一旦日本の本社に集約し本社から調達していたのですが、現在は、ここカナダから直接調達を推進中です。これによりロジスティクスやアドミニストレーションなど様々なコストダウンが実現できます。

また、同業他社に対抗するため、昨年の5月に、CFN Precisionというカナダの会社を子会社として買収しました。民間航空機のランディングギアの部品を製造する会社で、我々のみならず、世界のありとあらゆる航空機部品メーカーに部品を提供させて頂いています。

(松田)御社の強みはどちらにあるとお考えですか?

(大西氏)同業他社さんに比べますと規模的にもコンパクトということもあり、機動性とお客様に対する柔軟な対応が当社の強みです。また、小さいが故に従業員はどこにも負けない選りすぐりの人材が揃っていると自負しています。

今後は、商売を大きくすると同時に、発生するオーバーヘッド部分をいかに最小限に抑えていくかというのが一つの重要なポイントだと思っています。そして価格競争力を一つの武器として、他社との勝負に勝っていくことを狙いとしています。

また、フラットな組織を構築するように心がけています。各部門からの提案をいつでも私のところに直接持って来てもらえるように、そして即断即決し課題や問題を解決できるような、風通しの良い組織を心がけています。

現在非常勤の社長兼CEOが日本の役員を兼務しておりますが、私が副社長兼最高執行責任者として実質的なオペレーションを担っていますので、非常に迅速に対応ができていることも強みであると思っています。

(松田)御社の製品について少しご説明いただけますか。

(大西氏)民間航空機のランディングギア(脚)、そしてランディングギアの部分品、が主力製品です。その中でもボンバルディア社のCRJ(リージョナルジェット)の脚は、販売高としても非常に大きな割合を占めています。

また、ガルフストリーム社のランディングギアの部分品“メインサイドブレース”も主要製品です。これは機体が地上で駐機している時に脚を支える部分となるのですが、支えるだけでなく離陸するときの脚上げにも使われます。

現在は6機種を扱っていますが、今年新たに追加予定のものがいくつかあり、本年度内に10機種弱まで増やす計画です。

我々の主なマーケットのセグメントは、ビジネスジェットからシングルアイルと呼ばれる120席強ほどの乗客サイズの機体の脚です。もっと大型の機体まで拡げますと、競争が厳しいということもありますが、開発や製造に要求される設備や人員が飛躍的に膨大なものが必要になってきます。

我々は、基本戦略「選択と集中」の元に、中小型機の脚をメインターゲットにしたビジネスを行っています。


(松田)御社が今後力を入れてやっていきたいことはどのようなことでしょうか。

(大西氏)大きく分けると2つあります。一つは、我々がカナダに会社を設立した一番の目的ですが、グローバルなコマーシャルランディングギアのティアワンシステムインテグレーターとなることです。

ティアワンとは、機体メーカーから直接、設計開発から製造、アフターサービス等、全ての作業を請け負ってトータルでのランディングギアシステムの供給とサービスを担うサプライヤーですが、残念ながら現時点では当社の認知度はさほど高くありません。

SPPCAの地位をグローバルに認知されるティアワンシステムインテグレーターにまで引き上げていくことを目指しています。今日世界中でローンチされるターゲットとなるコマーシャルエアクラフトのプログラムで、他社と競争しながらどうやって新規に受注を取っていくか、というところが、我々の優先課題です。

そして二つ目に、研究開発です。我々の技術力向上に更に磨きを掛けていくため、そして他社にない先進の技術による差別化を実現するために、研究開発に力を入れていく所存です。

(松田)それでは、大西さんのご経歴についてもお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか?

(大西氏)出身は兵庫県の三木市です。大学も関西の大学に行きましたが、卒業後、航空自衛隊の幹部候補生学校に入りました。

パイロット訓練生として訓練をしていましたが諸事情があり退官し、その後住友精密工業に入社しました。それからは住友精密工業の航空機部門で、主にエンドユーザーである世界中のエアラインに対する技術支援等のサポートを統括する役割を担っていました。

その後、航空機部門全体の損益改善のプロジェクトリーダーをし、MRJのプロジェクトの建て直しや世界中のグローバルサプライチェーンの確立・システム構築に携わり、後に航空機部門の事業戦略、立案、実行を行う事業部門の責任者を務めました。その事業戦略の一つの大きなテーマとして、“航空機脚事業を専門とした海外の会社設立”という企画を発案しました。

(松田)その企画が今のSPPCAさんの設立につながるんですね。

(大西氏)はい。具体的な段取りなどを私が一番熟知していましたので、カナダでの立ち上げが実現したときに、当時の社長に「当然行くよね」と促され、カナダに来ることになりました。現在の社長にも、私の帰国時期は「他の駐在員が帰国しても君は会社が成功するまで、だよね」と言われています。

“会社の成功”というのは判断が難しいところですが、“会社の単独決算で利益が上がる頃”と自分で解釈し、その頃にはグループ企業の中核を担う存在としても認知されるようにと、2016年頃を目標にしています。 

(松田)航空自衛隊でのご経験が御社の中でも特別な視点を生み出しているということはありますか?

(大西氏)
航空自衛隊で学んだことは大変役に立っています。例えば“指揮幕僚”という授業があり、組織の指揮官として心構えやテクニックをOJTをしながら学ぶのですが、そういうことを経験している社会人はなかなかおりません。

また、過去の大戦について成功や失敗のケーススタディを繰り返し学びました。所謂、経済戦争の中で、そのような過去の事例をどう活用していくかという視点ができた、というのも大きいと思います。


(松田)まれなご経験ですが、ご苦労もあったんではないですか。

(大西氏)入社が決まった頃は、それまでパイロットになることしか考えておらず、しかも新卒者からは出遅れていて、このビジネスの世界でどうすればいいのか不安を感じたときもありました。

しかし入社してからは、それから脱却するには他人と同じことをしていてはダメだ、他人と同じ程度の努力ではダメだと思い、皆が遊んでいる間や寝ている間に、とにかく仕事し勉強するという生活を送っていました。

今考えるとあの時の頑張りが、今につながっていると感じます。実際、突然海外に進出し、ゼロから製造会社の全機能を持った子会社を立ち上げたというのは、他の日系現地法人の会社でも少ないと思います。

何もないところから、設計、調達、製造、販売をはじめとした営業活動に必要なあらゆることをわずか一年半の間でやりきったというのは、自分が過去にやってきた努力や経験が役に立っているのは確かですが、やはり全従業員の献身的な努力の賜物です。


(松田)それでは、今までの多くのご経験から、大西さんがお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(大西氏)どんな場面でも、まずどうやってそれに取り組むかという“計画立案”をすることです。計画を立てるときは、事前の分析や予想を綿密に行い、いかに達成確率を高く作りこむかを心がけます。

最初の計画をいい加減にしてしまうとその達成確率は低くなりますので、計画をきっちりと練ること、計画のないところに実行も実現もないということを全従業員にも伝えています。

あとは、“常に誠心誠意”ですね。自分が他人に比べて特別に優れているとは思いませんが、情熱をもって誠心誠意取り組む、責任を果たすために最大限の努力をする、という“覚悟”は誰にも負けないと思っています。


(松田)それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、好きなスポーツはなんでしょうか。

(大西氏)スポーツというと空手です。3歳の頃からずっと空手をやっていまして、段を持ち、若い頃は様々な競技会などにも出ていました。ただ今は少し途絶えています。

その他には釣りが好きです。カナダに来てアイスフィッシングに行きましたが、面白かったですね。今年は時期が来たらもう少し大きなレイクサーモンなどを釣りに出かけたいと思っています。去年の夏はちょっと勝手が分からず楽しみきれなかったので、今年の夏は楽しみにしています。

あとは、子供が好きだったので野球もしました。レクリエーションとしてのスポーツでしたら、自慢じゃないですけど万能ですので(笑)、結構何でもやります。

(松田)今は単身赴任とのことですが、お休みの日には何をされていますか。

(大西氏)仕事ですね。土曜日はその週にやり残した仕事や通常のオペレーション以外の戦略的な仕事、日曜日は翌週の準備をしています。

あとは、コンドミニアムについているジムでトレーニングをしています。なんていうか、これまで空手や自衛隊などを経て、自分を追い詰めるのが好きな傾向があるんですよね(笑)。

限界を感じるまで、仕事で疲れた身体を鍛え精神力を鍛えるために自分を追い込んだりしてしまっています。それを苦に思うことは決してなく、精神鍛錬というのを自然と求めてしまうんですね。

(松田)私には到底真似のできないことですので想像がつきませんが、そうした鍛錬があってこそ、今の大西さんの達成力があるんですね。
それでは、最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(大西氏)私共は設立からまだ日が浅い会社ではあり、日系企業の皆様にご指導いただく場面が多々あろうかと思います。私をはじめ従業員についても、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上になります。どうも有り難うございました。



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