「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第88回>
MIT Power Canada Investment Inc.
梅津 貴司 President & CEO 

MIT パワーカナダインベストメントの梅津社長にインタビューをして参りました。オフィスはダウンタウンど真ん中です。発電事業という私にとって難しい分野のお話だったのですが、資料を準備し分かり易くご説明くださり、理解を深めることができました。本当に様々な仕事があると驚かされます。多趣味でもある梅津社長のヨーロッパの赴任歴やプライベートもお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(梅津氏)MITパワーカナダインベストメントは、三井物産100%出資の会社で、オンタリオ州で発電事業の運営管理・監督を行っています。

三井物産とアメリカのCalpine社 が50%:50%の共同出資をして、Greenfield Energy Centreという会社をオンタリオ州のセントクレアタウンシップに設立し、当社は同社から委託を受け、その経理や財務、投資管理実務といった経営管理業務を一切合切引き受けております。2008年10月から商業運転を開始しましたので、丁度5年が経ったところです。

三井物産全体では、世界中の発電事業でネット持分850万キロワットもの発電設備を保有・建設中であり、これは北海道電力、北陸電力や四国電力よりも大きな設備容量です。当社はその一部のカナダの部分を担っているという位置づけとなります。従業員は現在10名で、その内三井物産からの出向者は3名です。

(松田)発電事業について、少しご説明いただけますか?

(梅津氏)ではまず、オンタリオ州の電力市場について説明します。オンタリオ州の発電設備容量は約3600万キロワットです。関西電力の設備容量が3500万キロワットですのでそれを上回る規模と申しますと想像がつきやすいかと思います。電力は、原子力・ガス火力・水力・石炭火力・風力などにより発電していますが、現在、老朽化した石炭火力を今年中には完全に退役させ、ガス火力、風力、太陽光のクリーンな発電に代替する政策が動いています。

季節や1日の時間帯により電力需要は変動しますが、このうち、原子力と水力がベース電源として一定の安定した電力供給をし、一日の中で電力需要がそのベース供給力を超える時間帯に、ガス火力が不足する電力を供給しています。ガス火力は毎日起動停止をしますし、常に動いているわけではないのですが、いざという時のため設備容量は原子力の次に多く、大変重要な電源です。Greenfield Energy Centre社のもつガス火力発電所は、オンタリオ州電力庁(Ontario Power Authority)と一定の電力供給力確保契約を結び、いざという時にも十分な電力を供給し、電力不足で停電になることがないように働いています。

また、オンタリオ州では、ケベック州やアメリカのニューヨーク州など近隣の州と電力の輸出入をし、補い合っています。

(松田)ではGreenfield Energy Centre社の発電事業の特色について教えてください。

(梅津氏)Greenfield Energy Centreのガス火力発電プラントは、100万キロワット強の容量をもつカナダで最大のCombined Cycle Power Plant(CCPP)です。
CCPPは、ガス燃料でガスタービンと蒸気タービンの2つの発電ができる設備を備えており、インプットした燃料を可能な限り有効な電気出力に変えることができる、大変効率の良い発電方法です。

簡単に説明しますと、まずは普通のガス火力発電と同様、ガスタービンで燃料を燃やして発電をしますが、CCPPではそのガスタービンから排出された排気を大気に捨てるのではなく、一旦ボイラーに通すことで熱を回収し、その熱を利用して蒸気タービンを回してまた電気を発生させます。ムダが無いだけでなく、ガスを使っているのでCO2の排出も少なくクリーンで環境に優しいという、1粒で2度も3度も美味しい発電方法です。

(松田)その他にも別のプロジェクトに参画されたということですが、そちらもご説明いただけますか?

(梅津氏)三井物産は2012年の12月、再生可能エネルギー(Renewable Energy)事業に出資参画をしました。この事業はGdF Suezという世界最大のIPP会社とFieraファンド会社と共に進めており、三井物産は30%出資しています。Renewable Energyとは、水力、風力、太陽光といった自然エネルギーのことをいうのですが、この事業ではカナダ国内に12ヶ所13プロジェクトのポートフォリオ資産をもっています(含建設予定)。当社は三井物産の出先として、投資管理を行っています。

13プロジェクトを合わせた発電設備容量は合計73万キロワットです。太陽光発電は火力発電と比べてエネルギー密度が低いため出力が少なく、イメージ的には同じ発電量を生み出すにはガス火力換算で10倍ほどの規模のことをやっているイメージです。つまり自然エネルギーで73万キロワットの設備ということは、火力発電イメージでは730万キロワットくらいの設備を持っているくらいのことであり、大変規模の大きい事業であることがわかるかと思います。太陽パネルや風車がものすごく広い場所にずらーっと並んでいる風景は本当に圧巻ですよ。

(松田)御社の事業が未来の環境にも配慮されていることが分かりますね。それでは今後力をいれていきたいことはどのようなことですか。

(梅津氏)まずは安定して発電をしていくこと。その結果安定した収益を得ることができますし、これは今後も変わらず力を入れていきます。次に、現場の安全確保です。発電は高圧ガスや重機などを使用するため危険を伴う作業も含まれます。そのため現場の従業員の安全には常に気を配っています。

またこれらの事業はプロジェクトファイナンスですので、事業の信用に基づき銀行からお金を借りています。そのためキャッシュフローなどの管理業務を確実に遂行していくことにも変わらず力を入れていきたいと思っています。

(松田)それでは、梅津社長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらですか。

(梅津氏)出身は札幌です。大学から東京に出て、卒業後三井物産に入社しました。入社からほぼずっと電力関係の仕事に携わっています。入社してから3年後に研修員としてニューヨークに行ったのを皮切りに、今まで海外はドイツに6年、ロンドンに4年と赴任しました。

(松田)今までで特に印象に残っているプロジェクトはどのようなものですか。

(梅津氏)28歳のときに富津火力発電所の建設現場事務所長を担うことになりました。三井物産がアメリカのGeneral Electric 社(GE)の代理店をしていましたので、東京電力とGEとの間に立ち、通訳や調整業務、輸入や重量物の輸送をする運輸会社の管理などをやっていました。若いながらに社長の代理として現場に行くわけで、とても責任の重い仕事をさせてもらいましたが、周りはみんな年配の方々ですので、もう平身低頭でした。現場の方たちは厳しさも持ち合わせていましたが、“同じ釜の飯を食う”ように時間を一緒に過ごし、一生懸命にやっていると「若いのになかなか頑張っているな」ととても多くのことを教えてもらいました。


そのときは1980年代の前半で、GEから発電プラントを輸入したのですが、GEの米国からの派遣技術者たちとの関わりを通じて、アメリカの文化やアメリカ人の考え方を知り、公私共に興味深い経験をさせていただきました。当時「クレイマー・クレイマー」という離婚を題材にした映画がありましたが、当時の日本では離婚問題や訴訟もまだ少なく、米国でこういうことが起きているということは対岸の話しとしてあまりぴんとこなかったのですが、彼らの生活や考え方に触れることで、現実に結びつきましたね。

(松田)ドイツへ赴任されていたときは、どのようなお仕事をされていたんですか。

(梅津氏)私がドイツにいたのは1993年~1999年で、1989年にベルリンの壁が崩壊した少し後で、東欧各国が資金が少なく人々がもがき苦しんでいた時代だったんです。その時期に日本のファイナンス力を軸に力になることができないかと、東欧各国を回りました。
発電だけではなく、鉄道の保線機械(沈んでしまった枕木を元に戻す機械)などを作っているオーストリアのメーカーの代理店をしたり、ドイツのジーメンス社の機械をJR東日本に納めたり、珍しいところではダイナミットノーベル社のバズーカ砲を防衛庁に納めたりもしました。他にはハンガリーの発電所のプロジェクトを受注して、ベルギーとチェコのメーカーと一緒に発電所を建設しましたね。

余談ですが、小林研一郎さん、コバケンという愛称で有名な指揮者がいるのですが、当時ハンガリーで指揮をされていました。当時の東欧で日本人が活躍されているのは大変印象的でしたね。

(松田)その時代に東欧にいらっしゃるのは大変な経験でしょうね。その後は日本に戻られたんですね。

(梅津氏)日本に戻りまた電力の仕事に就いたのですが、それまで三井物産は発電機器やシステムの売買を中心にしていたのが、その頃から段々と投資に目が向いていき、私が新規分野として事業投資をすることになりました。そして上手く大型買収に成功し、2005年からIPM Eagle LLPというイギリスのInternational Power社との合弁会社に出向しました。

イギリス6箇所、イタリア、スペイン、インドネシア、オーストラリア、プエルトリコなど世界中に発電所をもっており、事業であがってくる収益の管理をし、年に何回も世界各地の各発電所を回っていましたので、忙しく過ごしていました。4年間その仕事をした後東京に戻り、世界中の電力事業の資産を統括するという立場を担い、その後2013年4月にカナダに来ました。

(松田)世界中の電力事業を見られて、カナダはどのような印象をお持ちですか。

(梅津氏)当社の設立には裏話がありまして、実は現事業の契約が取れた後に、パートナーのCalpine社がChapter 11で倒産してしまったんです。今は立ち直り、優良企業としてやっています。当初はCalpine社がほぼ全ての管理運営をしていく話だったのですが、事業のストラクチャリングから全てやり直すことになってしまい、結局建設から経理関係のことまで全てうちが引き受けることになってしまったんです。実は、そのために当社を強化することになりました。今は収益も上がり安定していますが、苦労したプロジェクトだったんです。しかしオンタリオ州電力庁の方々も、三井物産が途中で投げ出すことなく最後までやり遂げてくれたと記憶し、感謝してくれており、有り難いですね。

また、Renewable Energyのプロジェクトに、ジェイビック(JBIC国際協力銀行)がファイナンスをつけてくれたんですが、ジェイビックが先進国のRenewable Energyプロジェクトに出資をするのはカナダが初めてだったんです。カナダは先進国で、需要が伸び盛りという国ではないのですが、新しい取り組みもでき、それなりのプレゼンスを発揮できる事業をやっている国ということで評価されていると思います。

(松田)では色々なご経験を踏まえ、梅津社長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(梅津氏)お客さんやパートナーに対する信用と信頼関係を築くことですね。「信無くば立たず(無信不立)」という言葉がありますが、正にそういうことだと思います。

それから、従業員やパートナーなど、人を大切にすること。特にチームワークを大切にしています。困っている人がいれば思いやりを持ちチームプレーをしようということは、いつも社員に伝えています。当社では昨年、皆で議論をし、MVV(Mission、Vision、Values)という社のモットーのようなものを作りました。仕事の意味、使命や目的を再確認し、コミュニケーションやチームワークの大切さを改めて見直す良い機会であり、従業員の心にも刻まれていると思います。

(松田)では、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、ご趣味や好きなスポーツはなんですか。

(梅津氏)趣味はサッカー観戦、クラシック音楽も好きですし、絵画鑑賞も好きです。またゴルフもシーズン中はよくやります。

サッカーは昔はプレイしていたんですが今は観るだけですね。イギリスにいたときもスタジアムに行きましたし、日本でも国立競技場はよく行きました。英国FAカップの決勝戦も2回観ました。

(松田)クラシック音楽は私も好きですが、ご自分で演奏もされますか?

(梅津氏)クラシックギターを少し演奏します。独学ですが1年半くらい前から始めて、今中級レベルくらいですね。音色も綺麗ですし楽しいです。絵画鑑賞は、うちの家内が好きなので、ヨーロッパにいるときにロンドンのナショナルギャラリーやテート美術館、スペインのプラド美術館などたくさんの美術館に行きました。カナダではオタワの国立美術館が良かったですね。

(松田)新しいことを始められるのはすごいですね。ゴルフはどのくらいされるんですか。

(梅津氏)トロントには近くにゴルフ場がたくさんありびっくりしました。シーズン中は週二回練習をして、一回コースに出るくらいですね。去年の夏もプレイしましたが、日本でしばらく中断していたためまだ調子が万全に戻っていなかったので、また来年の夏に向けて練習を深め、頑張りたいですね。

(松田)多趣味でいらっしゃいますが、今後カナダでやりたいこと、または厳しい冬の過ごし方などどのような予定ですか。

(梅津氏)自然が綺麗な国ですので、バンクーバーやバンフなど足をのばして大自然に触れたいと思っています。今年の冬は札幌生まれの私にとっても本当に寒いですが、コンドミニアムにジムなど施設が充実していて運動ができますし、部屋の中でゆっくり本を読んだりするのにも良い機会かなと思っています。

(松田)では最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願いします。

(梅津氏)当社は入会したのは2007年ということで、まだまだ新参者ですがこれからもどうぞ宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上になります。今日はどうも有り難うございました。



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