わたしのとっておきのお店


トロントの「ご当地パン」
Carousel Bakery & Sandwich Bar(カルーセル ベーカリー)


フリーランスライター 三藤あゆみ


日本では各地の特産食材を使った「ご当地パン」が流行しているようですね。埼玉に住む友人が言うには、大手製パン会社が展開するランチパックシリーズにご当地パンが加わって、埼玉県川越名物さつまいもを使ったスイートポテトパンや北海道の夕張メロンジャムとホイップクリームサンド等ひとつひとつ味見をするのが楽しいとか。東京フォーラムでも「全国ご当地パン祭り」が秋の恒例イベントになりつつあるらしく、大阪名物フットボール形カレーパンとか、愛知県の八丁味噌ダレとんかつサンドなどが雑誌で紹介されていました。

なんだか美味しそうで楽しそう、今すぐにでも試食したい!と思いましたが、残念ながら今年はもう帰郷のチャンスもなさそうです。しかたがないので、せめてトロントの名物サンドイッチでも買いに行ってご当地パンブームにちょっと便乗した気分になることにしました。というわけで前置きが長くなりましたが、今回はトロントのご当地パンが食べられるサンドイッチ屋さんをご紹介します。

移民都市トロントは食文化も多国籍で、名物を特定するのはなかなか難しいですが、ご当地パンだけは胸を張ってトロントオリジナルと宣言できる一品があります。トロント発祥のピーミールベーコンを挟んだ「ピーミールベーコンサンドイッチ」です。


セントローレンスマーケット内にあるCarousel Bakery & Sandwich Barは、このピーミールベーコンサンドの老舗です。生鮮食品やチーズマーケットなどが並ぶ一階の一番西側にあるサンドイッチ屋さんで、店名通り回転木馬のテントをイメージしたカラフルな看板が目印です。ここのピーミールベーコンサンドは国内外のメディアによく取り上げられ、アメリカの料理番組で有名なカリスマシェフ、エメリル・ラガッセのお気に入りでもあるとか。

その日の朝焼いたフレッシュで柔らかいカントリーバンにピーミールベーコンを気前よく6枚も挟んだサンドイッチが$6.20。ピーミールベーコンは、バラ肉を使った普通のベーコンと違い、脂肪の少ないボンレスの豚ロースを塩漬けにし黄色いコーンミールをまぶして保存したものです。Carousel Bakeryで使っているベーコンは、スーパーに売っているスライスパックほど塩からくないのでロースの旨みを堪能できます。マスタードを塗ってシンプルに食べるのがトロント地元流ですが、カウンターに置いてあるレリッシュや玉ねぎなどを好みで入れることもできます。


このお店の中に着席して食べるところはないのですが、マーケット内にところどころ置かれているテーブル席やベンチ、天気の良い日なら店のすぐ横から外に出たところにあるピクニックテーブルに座って食べるのもマーケットの雰囲気が味わえて楽しいかもしれません。ピーミールベーコンは、ハンバーガーなどと違い多少冷めても美味しいのでテイクアウトして持ち帰ってもよいと思います。

Carousel Bakeryではもうひとつのカナダ名物であるバタータルトも毎日焼いています。かなり甘いカントリースイーツなので、さっぱりした日本の洋菓子に慣れている人は半分でギブアップかもしれませんが話のタネにぜひ一度、コーヒーで流し込みながらお楽しみください。

ところで、ピーミールベーコンの表面の黄色い粉はコーンミールですが、19世紀のトロントでは本物のピーミール(豆の粉)を使っていました。イギリスへ豚肉を輸出するために開発した加工法で、ピーミールをまぶすと塩漬けがはやく進み味もよく保存しやすいそうです。ピーミールベーコンはイギリスやアメリカでは「カナディアンベーコン」と呼ばれています。特にアメリカではバックベーコンを燻製にしたものということになっていますが、カナダでは燻製よりもフライパンで焼くかオーブンでローストして食べるのが主流です。


<情報>
Carousel Bakery & Sandwich Bar
93 Front St. E. 
St. Lawrence Market 1階

支払いは現金のみ

営業時間
火8:00 am – 6:00 pm
水8:00 am – 6:00 pm
木8:00 am – 6:00 pm
金8:00 am – 7:00 pm
土5:00 am – 5:00 pm
定休日:日曜、月曜



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