リレー随筆


カナダに居ながらにして海外留学 !?



スコシアバンク 住宅ローンマネージャー
内藤 洋子


16年前のことになる。
アメリカ留学の経験のある母の影響もあり、自分も留学するものだと信じて疑わなかった私が、あわよくばフランス語も習得できるかもしれないとカナダのトロントという地に降り立ったのは。あれから長い月日を経て今私が中国語を習得することになろうとはまったく予想もしなかった。

トロントは紛れもなく多国籍文化である。エリアによっては実際に旅行しなくてもその国に行ってしまったような感覚にとらわれる。そして、カナダに限らないとは思うが中国人人口は圧倒的に多い。話すと長くなるきっかけはさておき、私も中国語を習得したくなった。さてどこから始めよう?これが10年ほど前の私であった。

まずはもちろんCDつきのテキストブックを買って勉強をしてみた。でも誰もが知っている。語学を習得するにはその国に行って住んでしまうことが一番手っ取り早いということを。そこで私は中国に行ってみることにした。もちろん本当にではない。カナダの中国地区へ…。

チャイニーズフードをよく食べ、ラジオやテレビ、映画ももちろん中国語だらけ。中国語の歌を好んで聴き、中国一色にしてみた。そう、カナダに居ながらにして中国に語学留学することに成功したのだ。初めはちんぷんかんぷんだった。漢字を頼って理解しようとした。でも完ぺき主義ではない私、わからないことがまったく気にならなかった。何となくわかればそれで十分だったのだ。1年ほど経ち、そんな私でもやっと理解できるようになってきた。

こうなったらなりきり中国人だ!思い込みが激しい私にはまったく苦ではないこと。それから約5年、いつしか話せるようになっていた。カナダに来た当時「ニーハオ」なんて言われたら「こんにちはです」って答えていた私がだんだん中国人に間違われることが快感になってきた。演じ切れているということだから。

今や自分の中に日本人とカナダ人と中国人とがいる。ある意味それぞれが中途半端になってしまっているのかもしれないが自分の中のそんな多重人格的な部分を楽しみながら使い分けている。

カナダに居ると世界は実に狭い。さて、次はどこの国へ旅をしようか?



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