「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第79回>
Sony of Canada Ltd.
澤村 宣亮 SVP Marketing and Retail


ソニーオブカナダの澤村氏にインタビューをして参りました。オフィスはノースヨーク、ハイウェイ404沿いにあります。新商品を一つ一つご説明くださり、電化製品にあまり詳しくない私は新しい機能の説明を頂く度に歓声を上げて驚いてしまいました。その時はまだ社外に出ていなかったコマーシャル映像も見せて頂きました。グローバル化の先駆けであるソニーさんに長年勤められている澤村氏の考え方やご経験をみっちりとお伺いしてきました。


(松田)御社のご紹介をお願いします。

(澤村氏)ソニーオブカナダの設立は1968年ですが、設立から1995年まではGen Dis(General Distributors)という代理店との合弁会社で、1995年に初めてソニーオブカナダという100%ソニーの子会社になりました。その後、ワールドファースト、世界最小という製品をどんどんと売り出して今に至ります。従業員は現在700名程で、トロント以外にはバンクーバーとモントリオールにオフィスがあります。事業内容はテレビを始めとした電子機器の販売です。プレイステーション等のゲーム部門、ソニーピクチャーズ、ソニーモバイルといった各社の販売部門もここトロントオフィスに入っています。

(松田)では、御社が今お薦めしている商品をご紹介いただきたいと思います。

(澤村氏)現代のように人々が既に一通りの製品を持っている世の中では、既に持っているが買い替えたいと思ってもらえる商品、そして今まで存在していなかったまったく新しい商品、という二種類の商品を開発し、需要を作っていくことが我々のような会社の使命だと思っています。

まずは、新しい機能を搭載した昔からある商品ということでご紹介したいと思いますが、NFCというのはご存知でしょうか。NFC(Near Field Communication)とは近距離の無線通信技術のことで、ソニーのスマートフォンを含め、今新しく発売されている殆んどすべてのスマートフォン(iPhone以外)にはNFCのチップが入ってます。ソニーでは、この老若男女多くの方が持っているスマートフォンを基点として、より手軽に楽しみの幅を拡げることができるよう、NFCに対応した新商品を次々と販売しています。

例えばこちらのヘッドフォンですが、このヘッドフォンにNFCチップが入ったスマートフォンを数秒かざすだけで音楽がヘッドフォン内に取り込まれ、ワイヤレスですぐに音楽を聴くことができます。こちらの映像は、このヘッドフォンのコマーシャルなんですが( With a Touch feat. NFC One-touch )、男の子が女の子に音楽を使って告白をするというとても可愛らしく微笑ましい内容です。例えば昔、赤外線機能を使って携帯電話内の情報を交換していたことを思い出していただけると、わかりやすいかなと思います。

こちらの丸いボールのようなスピーカーは、NFCを使って大勢がいる場でも簡単に音楽を皆でシェアすることが可能です。そしてスピーカーにはマイクも搭載されており、例えばこのスピーカーで音楽を聞いている時に電話が鳴ったら、スピーカーについている受話ボタンを押すだけで、ハンズフリーフォンのようにそのまま通話することが可能です。出張先などでの電話会議のような機会にもお薦めすることができます。ヘッドフォンやスピーカーはほとんどの家庭で既にお持ちだと思いますが、このようにNFCの機能を付け加えることで新しい楽しみ方が加わり、また以前と比べて音質も大変良くなっているため、買い換えても必ずご満足いただける製品です。

(松田)とても簡単な操作で、色々な使い方が出来そうですね。他にも力を入れていらっしゃる商品はありますか。

(澤村氏)ソニーの王道のテレビ部門として「4Kテレビ」にもとても力を入れています。今出ている通常のテレビは解像度が2Kなのですが、4Kテレビはタテヨコそれぞれ2倍の解像度となります。画質が高密度になり、近距離でも大きい画面でも粗くない鮮明な映像が見れます。通常のテレビ放送やブルーレイディスクは2Kなのですが、4Kテレビにはその2Kの映像を4Kにアップコンバートする技術が仕込まれていて、その技術がテレビメーカー各社の腕の見せ所です。ソニーは他社に先駆け今年の4月末から販売しています。テレビは大変値下げ競争が激しいカテゴリーの一つであり、結果として利益も出しにくい業界なのですが、それならば新しい市場を作ることが弊社の使命だと思い、早くから取り組んでいました。

(松田)では、今までなかった新しい商品というのもご紹介いただけますか。

(澤村氏)こちらのアクションカムというビデオカメラですが、アタッチメントを使ってヘルメットに付けたり、自転車のハンドルバーにつけたりして、今までと別の視点でスノーボード、スキー、カヌーなどのスポーツを撮影することができます。これらの映像は、まるで自分自身がスポーツをしているかのように躍動感のある映像を楽しむことができ、今までになかったエンターテイメントということで、今大変人気が出ています。

そしてそこにソニーがソニーらしく参戦していくということで、こちらの商品を開発しました。犬につけるハーネスです。このカメラは多少揺れてもぶれないように出来ており、このハーネスを使って犬の背中にカメラを固定して撮影できます。犬の目線からは人間はどのように見えてるの?他の犬はどのように見えてるの?という世界は興味をそそりますし、カメラを付けている犬を別のカメラで撮ってみるというのもとても面白い遊び方です。アクションカムをスポーツの撮影だけではなく別のアプローチで楽しむことができる、今ソニーが提案している商品です。

(松田)とても面白いです。犬を飼っている方々にとっては一度は使ってみたい商品ですね。それでは、御社の強みはどこにあると思われますか。

(澤村氏)ソニー全体ということでお話ししますと、過去に成功体験をした人間が社内にまだたくさんおり、そのような経験をした者から直にトレーニングを受けられるというのは、私から見ると非常に強みではないかと思います。そしてそういう人に限ってあまり成功体験にこだわっていないんですね。新しいものを作ると言うことは、既存のものを壊さなければいけないということにもつながりますが、過去自分たちが成功したカテゴリーを、自らの手で入れ替えていくという考え方が浸透している会社だと思います。

ソニーオブカナダについてですと、まずはみんな基本に忠実に仕事をする人が多いということ、そしてディーラーと一般のエンドカスタマーという我々のお客様両方に対して、関係を良くしようと非常に距離を近く保っているというのが、私が今までいた他国のソニーと比べても浸透している会社だと思います。そのように「人」として好印象であり、その中で成功経験をすることで、自信のようなものができ、非常に前向きに物事をとらえられるようになります。そういったネアカな人間が多いのが特徴ではないでしょうか?

(松田)御社が今後力を入れていきたいのは、どのようなところでしょうか。

(澤村氏)20世紀にマイファーストソニーという子供向けの製品がありましたが、21世紀版のマイファーストソニーを作り、初めてソニー製品を使った時の驚きや感動を感じてもらって、その後も一生ソニーのファンになっていただけるような市場を作っていくことに力を入れていきたいと思っています。ソニーは60年程経ってますので、ソニーのファンの方々というのはベイビーブーマーの方が多いため、彼らの子供世代より下のジェネレーションYと呼ばれる今20代の方には、色々な製品に触れて育ったけれどあまりソニー製品には触れる機会がなかったという方々がいます。その世代をターゲットに、今まで出来なかったことがすごく簡単にできて、「これ知ってたー?」と友達と話せる、ソニーって何だか面白いよね、クールだよねと思って頂きたいなと思っています。

新しい市場の開発というのはすぐに結果が反映されるわけではないですが、目先の短期的な評価を重視するのではなく、中長期的な投資をしてブランドを強化し、若い人たちに選ばれるソニーを目指して作っていくということが大事です。これは5年計画として、私の後任のさらに後任者くらいの人に「やってくれてて良かった」と思ってもらえたらいいですね。

(松田)澤村さんのポジションは、今まで現地の方がされていたんですよね。

(澤村氏)私の今のポジションは10年ほど現地の者がやっていて、今回日本人に戻ったんですが、ソニーの感覚からいくと、カナダのように先進国で歴史が長いマーケットで現地人がこなしていたポジションをまた日本人がやるというのは少し残念な気がするんです。ソニーの過去の成功パターンとしては、私より優秀なローカルの人間に現地に根ざしたマーケティングをやってもらうというのが本来の姿だと思っています。そこを考えると、私のミッションというのは、まずは商売を立て直すこと、そして若い世代のこれからソニーを愛してくれる人をどれだけ作れるかということ、そして現地に根ざした優秀な人材に私を引き継いでもらうこと、だと思っています。

(松田)では、澤村さんのご経歴についてお伺いしたいと思います。

(澤村氏)出身は奈良県、大学時代は神戸で過ごし、ソニーに入社しました。入社後3年くらいした時に、イギリスに3年くらい行ってこいと言われて行ったのですが、イギリスの後はドイツに3年半、アメリカのサンディエゴに8年と行き、次に東京に帰ったのは15年後でした。入社したときは管理畑、今で言うサプライチェーンマネジメントということをしていたのですが、その当時は生産を海外に出したばかりで、イギリスでは生産のフレキシビリティがあまりなく、リードタイムが5か月くらいかかっていたのを4週間でできるようにしろという無理難題を言われて、それを3年半かけて成し遂げました。90年代の頭頃に、海外のオペレーションで、在庫・生産・販売のバランスを把握してリードタイムを短縮化させるというのは、当時としては世界的にも画期的なことであり、苦労もしましたが、成功した時には世の中不可能はないんだなと感じました。

(松田)その後ドイツに行かれたということですが、いかがでしたか。

(澤村氏)販売側の仕事をしてみないかと言われ、ドイツかフランスから選ぶように言われたのでフランスを希望したら、ドイツに行けと(笑)。当時私は20代後半だったのですが、ドイツでは生まれて初めて言葉がわからない、仕事の内容もわからない、生活環境が全然違うということに直面し、ここまで自分が何もできない男かと愕然としました。海外への赴任者はある程度以前の仕事で成功を収めた方々だと思うのですが、言葉と仕事と生活環境がいっぺんに変わるというのは想像以上に負担が大きく、過去の自分とのギャップを埋めるのに一年や二年は相当苦労するんです。今、初めて赴任する人にはそういう経験を必ず伝えるようにしています。

私もドイツの最初の一年くらいは本当に分からないことだらけで、言葉も、自分の意見をいうときは英語で話し、英語の分からないドイツ人には通訳をしてもらうような状況でした。けれど苦労の多かった分、ドイツで働いた3年半は非常に内容の濃いものでした。その当時のドイツでは、土曜日昼の2時にお店が閉まってしまうんですが、例えば1時50分からかごを持って列に並んでいても、セキュリティに追い出されてしまうんです。2時に閉店するということは、2時に鍵を閉めてスタッフが全員帰るということでして、それはイギリスとも全く違う点でした。そのようにルールにものすごく忠実で、例外の入る余地がないというドイツ人の気質、文化の中で、ソニーという個人の力量で仕事をするスタイルの会社がやっていくという二律背反には苦労しましたが、終わってみると大概のことに驚かない自分がいて、その後アメリカで仕事をするのに役に立ったと思っています。

(松田)日本に帰られたのは15年ぶりだったということですが、どのようなお仕事をされたんですか。

(澤村氏)15年ぶりの日本で、私はまるで浦島太郎のようでしたね。日本に帰ってからは、グローバル本社の業務の中に入り、例えばウォルマートやベストバイ等の国を跨いでオペレーションをしている巨大リテイラーを相手にどういう協業ができるかという戦略立案をしました。他には、毎年1月にラスベガスで行われるCESという大きな新製品展示会のプロジェクト責任者をやりました。展示方法や記者会見の内容などをまとめていく作業なんですが、その仕事は会社や事業のトップとお仕事することが多く、学ぶことがたくさんありました。また、100人程でしたが、日本人の部下を持つことで、人を育てることに関してとても勉強になったと思います。日本に帰って良かったと思いました。

(松田)たくさんのご経験をされていますが、澤村さんがお仕事を進める上で大切になさっているのはどのようなことでしょうか。

(澤村氏)私が、というよりも、ソニーにいる同じくらいのポジションの人は皆同じことを言うと思うんですが、仕事において大切なことは、自分の意見をもつということ、そしてそういう人間を大事にすること、だと思っています。自分の意見をもっている人が一番成功する確率が高い、なぜならばその意見にものすごく本気であるから、そしてそれを実行させよう、成功させようというところにエクストラパワーが加わるからです。ソニーのブランドにとって良いことはどんどんチャレンジし、ブランドにとって良くないと自分で判断したことは、たとえ上司が何を言っても絶対に止めるべきだと思っていますし、実際に今までそうしてきました。

私が入社したばかりの新人のときの体験からも来ているんですが、当時の課長に「○○のように思うので、この計画を進めても良いですか」と相談にいったところ、「お前はどう思うんだ」と返され、「僕はやったほうが良いと思います」と答えると、「まだお前は新人だけれど、この仕事に関しては俺よりお前のほうが詳しいんだ。そのお前がやったほうが良いと思うんならやればいい。やる前から相談に来ないでくれ。失敗しそうになったら相談に来い」と言われたんです。ちょっと前まで学生だった当時の私からすると、会社って報告・相談・承認の塊だと思っていたのに、目からうろこが落ちるような気持ちでした。

もちろん最低限の相談や報告は必要だと思いますが、組織表の上にいるほどお客様や現場から遠くなってしまうということは現実であり、実際いま実感しています。当時の課長の一言は大変記憶に残っていますが、その後に上司となった全ての人達が、それぞれ違うスタイルを持ちながらもその点に関しては共通しており、ソニーの成功というのは「人」だなと思います。皆さん技術だ製品だマーケティングだという風におっしゃいますが、それを行っているのは全て「人」なので、人に対しての任せ方、頑張らせ方というところを一番大事にしたいと思います。

(松田)ソニーさんだからこそというお話が聞けて嬉しいです。それでは、プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、ご趣味はなんでしょうか。

(澤村氏)スポーツは今はゴルフくらいしかしませんが、カナダに来てから自転車を家族分買いまして、車に積んで出かけて家族でサイクリングをするという、今まであまりやったことのないことを始めました。

あとは、F1観戦が好きです。ヨーロッパにいたときに結構観ていましたが、先日もモントリオールに観戦にいき、感動しましたね。そこまでの道のりの運転はつまんなかったですけれど(笑)。私はドイツにいたために100キロくらいで5時間走るというのは苦痛で仕方なかったです。ドイツでは車の性能どおりのスピードを出すことができますので、お金のある人はスピードの出るタイプの車を買って時間をセーブするという、大変ロジカルな社会ですよね。

モントリオールはとても良いところでした。英語の通じるフランスという感じで、家内とももう少し近ければ毎週行くのにねと話していました。

(松田)カナダの印象はいかがですか。

(澤村氏)オフィスの中だけでなくプライベートで出会う方々も非常に人がいいなと感じます。あと、私はアメリカが長かったので、カナダは物価が高いと感じます。税金、車、保険などのリビングコストが高く、隣国なのにこんなにも違うものかと驚きました。でもそれを補っても余るくらい、カナダの人や環境の良さは素晴らしいですね。また、カナダの方はワークライフバランスを上手く成立させていてすごいと思いますし、心の余裕をもつという点は日本人も学ぶべきだと思います。

(松田)今後カナダでやっていきたいことは何かありますか。

(澤村氏)アメリカ時代にカナダの観光地といわれるところは大概行ってしまったのですが、行ってないところが2つあります。一つはケベックシティ、そしてもう一つはオーロラを見にいきたいと思っています。私は今年の2月に来たのですが、今年の冬は余りにも寒くて雪も多く、そして夏も冷夏で、それは全て私のせいだと皆に言われてますので、果たしてオーロラを観にいっても本当に観られるのかなと不安ですが(笑)、カナダにいるうちに行きたいと思っています。

(松田)最後になりますが、商工会会員にメッセージがありましたらお願いします。

(澤村氏)カナダに来て6ヶ月になりますが、知り合いがまだすごく少ないので、是非何かの機会にお声がけいただければと思います。また、ソニーの商品に関してのご意見や困ったことなどもありましたら、何らかのお力になれるかと思いますので、どうぞご連絡ください。宜しくお願いします。

(松田)インタビューは以上になります。どうもありがとうございました。







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