「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第77回>
SPP Canada Aircraft, Inc.
中村 信一 President


今年の1月より商工会にご入会されたSPP Canada Aircraft, Inc.の中村社長を取材に行って参りました。所在地はミシサガです。中村社長は大変分かり易くお話し下さり、航空機産業についても色々と教えていただきました。昨年カナダに進出された経緯や今後のビジョン、プライベートでのご経験など伺ってまいりました。


(松田)御社の業務内容のご紹介をお願いします。

(中村氏)SPP CANADA Aircraft, Inc.(以下SPPCA)は、住友精密工業(Sumitomo Precision Products 以下SPP)の100%子会社です。本体の住友精密工業は、兵庫県尼崎市に本社があり、元々は住友金属工業において、プロペラや航空機用脚を製造する一事業所だったのですが、1961年に分社化し一本立ちしました。
SPPの事業としては、航空機事業と熱交換器事業の大きな2つの柱があり、そこから様々な新規事業へと展開しております。元来のプロペラ製造から航空機用脚(Landing Gear)を製造するようになり、これがSPPCAの主要な製品となっております。そして航空機の熱交換器製造から派生し、現在は一般産業用の熱交換器や天然ガス(LNG)の熱交換器も手がけております。

更に新規事業として、オゾン発生装置を開発し、オゾンによる環境水処理事業、上下水処理やプール水の清浄システムの生産等もおこなっております。また、センサーの開発、角度センサーや姿勢制御センサーも手がけており、例えば車のナビゲーションシステムに使われています。また、「セグウェイ」というバランスをとって進む乗り物をご存知でしょうか。セグウェイの中には弊社の姿勢制御センサーが入っています。

(松田)SPPCAの設立はいつですか?

(中村氏)会社の登記は2012年4月です。北米には他にダラスに関係会社、ニューヨークに事務所がありますが、製造拠点はトロントが初めてです。SPPCAでは航空機の脚を主に製造しております。こちらでは最終組み立てのみをしており、部品は現在主に日本から購入しておりますが、今後は現地での直接調達も拡大していく予定です。

すでに先日発表を致しましたが、2013年5月にCNFというオンタリオ州にある部品の機械加工会社を弊社の100%子会社として買収しました。CNFの買収により、現在日本から購入している部品の最終完成品を直接調達することも可能となり、迅速でフレキシブルな部品調達ができるようになります。

(松田)社員数はどのくらいですか。

(中村氏)社員数は現在35名、日本人は9名です。他の日系企業に比べると日本人の人数が少し多いかもしれませんが、優秀な現地のスタッフと共にやっていくためには、技術・営業・調達・品証・製造・顧客サービス・HR等の各機能に日本人スタッフを投入し、我々の思いを皆に早く伝えることができればと思っております。

(松田)お客様はどのような方でしょうか。

(中村氏)SPPは航空機の事業を長年手がけてきており、当初のお客様は、防衛省の航空機が主体でしたが、20年ほど前から民間の航空機も手がけるようになりました。その大きな足がかりとして、カナダの航空機メーカー、ボンバルディア社の事業がありました。ボンバルディア社にはCRJ(リージョナルジェット)という70人から100人乗りまでの中小型ジェット旅客機シリーズがありますが、我々はこのCRJの開発当初から脚を納めており、設計から関わっておりました。これは当社が民間航空機では初めて設計から参画した事業であり、これを足がかりに民間航空機への進出を進めてきました。そして10年程前は10%程度であった民間航空機への納入が、現在は半分以上を占めております。

(松田)御社がカナダに進出してきた理由は何でしょうか。

(中村氏)航空機製造のクラスターとも言うべきこの地に位置し、お客様やサプライヤーにより近いところで直接やりとりをするためです。日本にいてはコミュニケーションが取り難く、こちらの状況も理解し難いというデメリットがありましたので、そこを改善したいと思っています。そして、経験豊富な現地の人材の確保が容易であるという大きなメリットがあります。クラスターに近いという事で、航空機分野において経験が豊富な人材を比較的容易に確保することが可能です。

お客様と直接渡り合え、あらゆるご要望にお答えする事ができる優れたメンバーを採用することにより、早期に新たな受注につなげたいと考えております。設計開発技術はもとより、営業、カスタマーサポート、購買など、色々な分野のエキスパートを揃え、この拠点を強化していきたいと思っています。

(松田)今後目指すところは何でしょうか。

(中村氏)カナダに進出してきた最終目的は、世界をリードする航空機用脚のメーカーを目指すことであります。そして海外機体メーカーのティアワンサプライヤー(一次請け)になることです。我々はボンバルディア社に脚を納めておりますが、直接納入ではなく、別のメーカーを経由しております。現在三菱ジェットとホンダジェットには我々がティアワンとして納入させて頂いておりますが、今後海外の機体メーカーにもティアワンとなることを目指しています。

世界二大脚メーカーであるUTAS社やミシェ・ダウティ社には中々かないませんが、同じフィールドを狙うのではなく、我々は中小型機の脚製造に力を入れていきます。航空機分野は、今後20年間で現在の約2倍まで需要が増えるだろうと言われていますが、我々はその波に上手く乗り、更に発展していきたいと考えています。

(松田)先日御社のオープニングセレモニーが開催されたとのことですが、いかがでしたか。

(中村氏)このセレモニーはSPPCAの設立を祝う式典で、カナダ政府関係者など約170名に参列していただきました。開催に当たっては、SPPCA関係者が日夜準備に取り組み、前日までバタバタした結果、何とか滞りなく終了し、参列者からは好評を得ることができました。準備関係者に感謝するとともに、参列者の多さにSPPCAへの関心の高さを痛感いたしました。世界市場での飛躍を目指し、社員一同身の引き締まる思いです。

(松田)それでは、中村社長のご経歴についてお伺いしたいと思います。出身はどちらでしょうか。

(中村氏)出身は北海道の苫小牧市です。アイスホッケーなどのウィンタースポーツが盛んで、トロントにとてもよく似ていると感じます。私も昔はアイスホッケーをプレイしていました。学生時代はずっと北海道にいて、卒業後は住友金属に就職しました。住友金属は製鉄会社ですが、私は大阪にある製鋼所に配属されました。製鋼所は主に素材ではなく製品を作る事業所で、鉄道用の車輪や車軸、自動車のクランクシャフト、原子力事業に使うような径の大きな特殊パイプなど、製鉄会社の中では特異な分野を手がけている事業所でした。私はその中でも鉄道用の車輪や車軸、台車等の製造に携わっていました。

1991年から1994年までシカゴに駐在し、技術担当として車輪や車軸の販売、BIG3へクランクシャフトを売り込んでいました。その頃は子供が3人とも小学生だったこともあり、楽しい3年間を過ごしました。
そして、1999年に住友精密に異動してきました。私は入社以来ほぼずっと製造に関わってきましたが、住友精密でも航空機部門の製造、生産技術を担当しました。

(松田)今までで特に印象に残っているお仕事はありますか。

(中村氏)シカゴに赴任している時に、ニューヨーク地下鉄に車輪を売り込むプロジェクトがありました。車両試験というものがあるのですが、夜電車が止まっている間に、実際の線路に我々の車輪をつけた車両を走らせるんです。お客様が乗っているような擬似の重りを乗せ、温度の上がり方や応力の上がり方、耐久性などを測る試験です。一週間程毎日、路線の中で一番勾配のきついところやカーブの厳しいところなどを選んで何往復もさせました。結局何とか無事に納めることができ、その後も注文は継続しているので、ニューヨークの地下鉄を走っていると思います。 新しいものを売り込むというのは中々大変ですが、貴重で楽しい経験でした。

(松田)中村社長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことですか。

(中村氏)私は現場の経験が長いものですから、現場の方々とのコミュニケーションは大事にしたいと思っています。生産技術などをやっていますと、現場の作業者の方に大変な仕事をお願いする事が多々あります。そのときなるべく気持ちよく仕事をしてもらえるように、常日頃心がけて対話をするようにしています。日本にいるときから心がけていたことですが、今も毎朝ミーティングをし、約一時間毎に少しでもくるっと工場を回って皆に声をかけるようにしています。今後もかかさず心がけていきたいと思っています。

(松田)それでは中村社長のプライベートについても少しお伺いしたいと思います。好きなスポーツはありますか?

(中村氏)13年前に住友精密に入社してからジョギングをするようになりました。その頃の上司や仲間に走るのが好きな人が多かったため、会社のジョギングチームに参加し週一回くらい走っていたら段々と楽しくなってきて、ゆっくりですが、結構長い距離も走るようになりました。そして皆で大会に出ようという話になって、私はハーフマラソンもフルマラソンも経験はなかったのですが、「じゃあこれにしよう」と勧められたのが、100キロマラソンでした(笑)。

(松田)突然100キロですか!?もっと詳しく教えてください。

(中村氏)四国にしまなみ街道というのがあるのですが、本州と四国の間に6つ島が転々と連なっていて、そこにかかっている橋を渡ると本州から四国まで走れるんですが、橋なので結構勾配があってきついんですよね。朝5時に出発して、制限時間は16時間なんですが、それを14時間半くらいで何とか完走しました。最初に出たのが7、8年前の話ですが、その後合わせて4回出場して3回完走しました。フルマラソンもその間に何度か走り、香港マラソンは2回出ました。

10月のトロントマラソンも出たいと思っているのですが、最近はあまり練習していないので、ゆっくりと完走できればいいかなと思っています。今も土日のどちらかは走るようにしています。家から走って15分くらいのところにDon River Trailというのがあって、それを走って家に戻ると大体10キロくらいなので暖かくなってからはよくそのコースを走っています。

(松田)アイスホッケーもされていたということですが、NHLは観戦されましたか?

(中村氏)先日、オープニングセレモニーに来てくださったオンタリオ政府の方にエアカナダセンターに連れて行っていただき、ゴールの真後ろという大変良い席で観戦しました。その時もメープルリーフスは残念ながら負けてしまいましたが(笑)、来年のシーズンも観戦するのを楽しみにしています。他には、若い頃はバスケットボールをやっていて、会社に入ってからもバスケットはしばらくやっていました。シカゴにいた時はマイケル ジョーダンが全盛期の頃で、一度だけ試合を生で観ましたが、本当にすごかったですね。

(松田)今後カナダでやっていきたいことはありますか。

(中村氏)自然がこれだけ豊富なので、山を歩いたりしたいなと思っています。下手なゴルフも、良いコースがたくさんあるようですので、楽しみたいなと思っています。

(松田)最後に商工会会員へメッセージをお願いします。

(中村氏)大変積極的に活動され、セミナーやイベントの情報などをご案内いただいていて大変有り難く思っています。弊社には家族帯同のものがまだ2人だけですが、これからまだ増える予定ですので、今後とも家族も参加できるイベントの情報を頂けると有り難いですね。 同時に会員の皆様とも交流を図っていきたいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上になります。どうもありがとうございました。




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