「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第74回>
Nippon Express Canada Ltd./カナダ日本通運株式会社
President 佐竹 陽一 

2012年11月にご着任されたカナダ日本通運株式会社の佐竹社長にインタビューして参りました。オフィスはミシサガです。佐竹社長には、本年度の商工会副会長も務めて頂いております。大阪の営業畑のご出身だけあり、大変面白く分かり易くお話しいただき、会社の新サービス、今までのご経験など、たくさんの貴重なエピソードをご披露いただきました。


(松田)御社の業務内容のご紹介をお願いします。

(佐竹氏)当社の業務内容は、総括して言うとロジスティクス産業です。ロジスティクスとは実は軍事用語で、軍の最前線にいかにして物資を運ぶかという戦略の意味をもつ言葉ですが、現在は主に物流という意味で使われています。本来のロジスティクスという意味を含め、お客様の物流戦略をサポートし実践していくというのが当社の業務です。その中で、利用航空輸送、利用海上輸送、陸送・利用鉄道輸送、倉庫業等を組み合わせてお客様にサービスとソリューションを提供しております。

(松田)設立、社員数、事業拠点について教えてください。

(佐竹氏)カナダの設立は1983年、今年の9月で30周年を迎えます。社員数は現在約160名、事業拠点はバンクーバー、エドモントン、カルガリー、トロント、モントリオールの5ヵ所にあります。
  
(松田)お客様はどのような方が多いでしょうか。

(佐竹氏) 弊社は、設立以来ロジスティクス業をやっていますが、時とともに業務内容の比率が変わり、同時にお客様の比率も変わってきています。当社の海外事業というのは、お客様の海外進出に一緒に付いていくところから始まり、その業務は日本で製造したものを海外で販売されるための物流を一緒に構築するということがほとんどでした。そのため、ほぼ全てのお客様が日系企業でした。航空貨物、海上貨物に関わらず、当地日系お客様への輸入貨物取扱いが大きな比率を占めていました。

ところが昨今、海外工場を設立され生産されることが増えたため、海外から日本への輸出、当地のお客様に対しての調達物流提供という機会が大変増えております。弊社では、今までは太平洋をまたぐ物流取扱が多かったのが大西洋をまたぐものも増加し、アメリカ大陸と欧州間という全く日本・アジアから切り離されたルートがも出来てきました。そのため非日系企業のお客様の需要も高まっており、社名は日本ニッポンエクスプレスですが、近年は業務をグローバルに展開し「世界日通」として活動しております。

(松田)御社の強みや力を入れていらっしゃるところはどのようなところでしょうか。

(佐竹氏)世界でも上位5社に入る世界ネットワークは非常に大きな強みです。他社にはない情報やネットワークを使った輸送を提供する事ができます。
また、社全体としてグローバルを合い言葉に力を入れています。海外売り上げを40%に伸ばして行こうというのが本年度からの三カ年計画です。他の日系企業様ですとすでに50%、60%を占めていらっしゃるところもあると思いますが、我々は日本の売り上げが大半を占めていました。数字で言う40%は少なく感じられますが、それを達成して行くというのが現在の目標です。

(松田)御社が提供している新しいサービスはありますか。

(佐竹氏)アジア地域で、SS7000という名の上海からシンガポールの7000kmをトラック輸送により幹線していくというサービスがありますが、これの北米版がつい先日出来上がりました。名前は「XB3300」というのですが、Xはクロス、Bはボーダーで、「クロスボーダーで3300kmを結ぶ」という意味です。これはトロントを起点とし、トロントからアメリカを経由し、メキシコのサンルイスボトシという都市まで、一貫したトラックルートを作って定期便を走らせるというサービスです。幹線輸送というのは、一気に終点まで走る訳ではなく、トロントを出て北米のいくつかの都市を巡り、各都市で集めた貨物をメキシコに送り、そしてメキシコから北上する逆ルートも同じ流れを通ります。
この主要目的は、自動車産業を中心としたお客様へのより便利なサービスの提供、調達物流をサポートしていく事です。トロント近郊にもたくさん日系の自動車関連工場がありますが、現在メキシコの成長は著しく、各メーカーが進出し工場を設立されています。輸送品目は自動車関連部材が中心ですが、電気・電子機器や薬品、引越貨物等もなどを輸送し、総合して幅広いサービスを皆様にご提供することが出来ます。

日本では滝川クリステルさんがコマーシャルをやっており、当社ウェブサイトのコマーシャルのページから見て頂くことができます。最後の方にトロントの街並みが映っていますので、宜しければ見てみて下さい(http://www.nittsu.co.jp/corporate/cm/ )。

(松田)他に御社のユニークなサービスはありますか。

(佐竹氏)当社には重機建設事業部というのがあり、非常に特殊なサービスを提供しています。新幹線車両などの巨大なものを運んだり、国立天文台ハワイ観測所の施設の一部として、ハワイ島にある約4200mのマウナケア山頂に世界最大級のすばるという望遠鏡を運びました。重機建設事業部は、その名の通り重量機器を道路等を建設しながら運んでいくという事業部ですので、山や谷があるところに道を切り開き、橋を作りながら運びます。その一部として、北米でも特殊なトレーラーを使い、飛行機の翼や部分品を運ぶというサービスをしています。私も入社の時に社内ビデオで見まして、プロジェクトを組み巨大なものを運んで行く重機建設事業部は、「男のロマンだ」と憧れを抱きました(笑)。

(松田)今後力を入れていきたいことはどのようなことでしょうか。

(佐竹氏)先ほどのXB3300と特殊輸送の部分で、日本で培った技術とノウハウを世界に広めていくというのは当社だからこそできるところであり、力を入れていきたいと思っています。特にXB3300は、日本ではコマーシャルを流し比較的お客様にも浸透頂いておりますが、カナダでは流すことができないため、営業に力を入れてお客様にしっかりとご理解頂きたいと思っています。また、引越サービスが唯一個人のお客様とつながりがある部分です。日本流のサービスを提供し、こちらの業者との差別化を図って行きたいと思っています。同時に環境にも優しく、お客様からの預かり品だけでなく、ご自宅やコンドミニアム内も傷つけないようにやっていくのが私たちのサービスです。

アメリカにいた時ですが、エッグアートという卵の殻に装飾を施すアート製作を趣味にされているお客様が多くいらっしゃいました。大変繊細で壊れ易いものなのですが、それを日本に無事に輸送するために一番適切な梱包材を研究し「枕の綿」を発見した担当者がおりました。彼の創ったサービスはお客様にも大変好評をいただきました。そのように見えないところのサービスを充実させることで、真のサービスを追求して行くことを変わらず続けていき、また、日本のお客様だけでなくもっとカナダのお客様にも使って頂けることを目標としています。

(松田)運ぶものに適した梱包材の研究までされるとは素晴らしいサービスですね。それでは、佐竹さんのご経歴についてお伺いしたいと思います。

(佐竹氏)生まれは兵庫県の姫路です。学生時代も関西で過ごし、関西学院大学を卒業しました。当社は東京に本社がありますが、入社後もすぐに大阪で勤務を開始しました。日本通運に28年間おりますが、2001年から2006年の初めまでアメリカ、ニュージャージーにいた期間以外はほとんど大阪地区におりました。アメリカ人に私の英語は関西弁ぽいと言われたこともあります(笑)。昨年カナダに来るまではほぼずっと航空輸送の営業をしておりました。

(松田)入社してから現在までで、印象に残っているプロジェクトはありますか。

(佐竹氏)2000年のシドニーオリンピックの時に携わった業務が印象に残っています。オリンピックというのは、現地に行くのでなければ全世界の人がテレビで放送を見ますよね。オリンピックの放映というのは、オリンピック放送協会というものが作った画像を全世界に配信していくという仕組みで、そして10日間のオリンピックのために一つの放送局をつくります。私の当時のお客様がその放送局をつくる業務を受託されておりました。

2000年の9月~10月にオリンピックが開催されましたが、1999年の12月から現地に入り組織を作り、世界から届く放送機材の保管、タイムリーな輸送、またそれらの機材の貸し出しと返却の管理などを行いました。貸し出した機材の返却管理では、例えばイヤホンなどの小さいものも一つ一つ数を数えるという地道な作業もありました。倉庫を管理するWMS(ウェアハウスマネジメントシステム)というシステムがあるのですが、2000年当時はWMSは未だ発展途上で、通常の輸送、保管、返送という作業に加えて、貸し出して返却してもらうという稀な作業が必要だったため、それをシステムに組み込むという仕事も行いました。1年間かけて、システム構築、倉庫管理、そしてお客様の要望を伺うということをやり、そしてオリンピックが終わった途端、5日間で全てを撤収しなければなりませんでした。1年間かけて運んだものを間違いなく5日間で送り返すことは大変な作業でもありましたが、今でもシドニーオリンピックの映像をみると、その映像を配信する一部を担ったということで、感慨深いものがありますし、非常に大きな経験をしました。

(松田)とても貴重な経験ですね。他にも記憶に残っていらっしゃることは何かありますか。

(佐竹氏)1995年の阪神淡路大震災の時に、私は神戸で勤務していました。幸いなことに私は直接大きな被害には見舞われなかったのですが、会社が神戸の六甲アイランドにあり、そこへ渡る橋がずれて、会社に3ヵ月行けなくなりました。そのような困難な状況下でも被災者への物資の輸送などを担い、微力でしたが復興支援としての業務を遂行できたと思います。

また、2001年からアメリカのニュージャージーに赴任していた時に、9.11の事件が起きました。マンハッタンは対岸でしたがちょうど貿易センタービルが見える位置に事務所があり、まさに目の当たりにしました。その後数日間は飛行機が全く飛ばない状況になり、また途中で止まってしまっている飛行機もたくさんあり、業務で航空貨物を扱っている私にとっては大変な状況でした。航空貨物というのはお客様にとっては緊急品なんですね。その緊急品がどこにあるのか、今後どのような状況になるのかという情報収集は、数日間夜も寝ずに続きました。

この2つの大きな災害は、大変な被害が出て、現地にでは今でも完全に復興したとはいえない部分もあると思います。しかしそのような状況下で業務を遂行、復興支援を少しでもできたことは私にとって大変大きな経験であり、現在の糧ともなっています。

災害時や危機の時に、如何に業務を続けて行くか、如何にしてお客様にサービスを提供していくかという経済産業省が推進している BCP(ビジネスコンティニュイティープラン)というものがあります。カナダは冬は厳しいですが、地震も災害もほとんどなく、大変平和な国だと感じます。しかしいつ起きるか分からない緊急時のために、そのBCPを確立し、お客様のいざと言う時に日本通運の底力を出せるように対策講じています。

(松田)佐竹さんがお仕事をする上で大切にされていることはどのようなことでしょうか。

(佐竹氏)何をおいても、お客様第一です。ロジスティクス事業は目に見えるものではなく、運ぶという陰に隠れた商品ですが、それを使用頂きいかにお客様に満足していただくかということを、いつも第一に考えています。
第二に従業員が満足しているかです。従業員が満足していない会社は、決してお客様に満足していただける商品を売ることはできません。従業員の満足度を上げていくことにも尽力したいと思っています。第三に品質向上です。日本流であることに誇りを持ち、日通の品質というものをより高めながらお客様に提供していくことに日々力を入れております。

(松田)それでは、佐竹さんのプライベートについてもお伺い致しますが、好きなスポーツやご趣味はなんでしょうか。

(佐竹氏)やはりカナダに来たらゴルフ。ゴルフが趣味です、宜しくお願いします!といいたいところなんですが(笑)、ゴルフ歴は長いんですが、日本ではあまりプレイする機会はありませんでした。ゴルフ場も遠方にあり、昔は料金も結構高かったので、夏でも2ヵ月に1回、冬には半年に1回プレイする程度でした。カナダに来たのでもう少し頻繁に行きたいと思っています。

大学時代は自動車のレースをやっており、自動車に乗ること、メンテナンスをしたりというモータースポーツが趣味でした。レースはラリーというカテゴリーに入るんですが、普通の自家用車をレース仕様にした車で、サーキットではなく普通の山道を走ります。きちんと国の許可も取っています。サーキットで走るレースは速さを競うものですが、ラリーというのはある一定の地点から一定の地点までを正確な時間で走ることを競うものです。

「次の交差点を右折しなさい」のような指示は主催者から出ているのですが、地図は持たないので自分がどこを走っているのかもよく分からず、A地点からB地点まで何kmあるかも分からないのですが、そこを指示されたスピードで走って、正確なタイムを競います。もちろん道にはカーブはありますし、信号があれば停止しなければいけません。車にはドライバーとナビゲーターの2人が乗車し、ナビゲーターがコンピューターで計算しながら走り、正確さを競うというスポーツです。このスポーツは発祥がヨーロッパで、モンテカルロラリーという歴史の古いレースもあります。カナダでもケベック州ではとても盛んなスポーツのようです。

(松田)またラリーに参戦したいと思いますか?

(佐竹氏)それがラリーは結構体力を使うんです。一晩中、300キロや400キロを走り続けなければならなかったり、地点によっては速度だけを競い、とにかく速く走らなければいけない場所もあります。モータースポーツってスポーツと名のつくくらいですから、非常に体力を使うんです。山道を高速で走ると、ハンドルを回すだけで肩の筋肉をとても使い、3キロも走ると腕がパンパンになってしまいます。残念ながら、体力的にもう難しいかなと思っています。

(松田)今後カナダでやっていきたいことはありますか。

(佐竹氏)ここ数年、自動車を使ったオートキャンプとキャンプ先でのカヌーなどのアウトドアを趣味にしています。犬を飼っているのですが、旅行にいってもキャンプ場での宿泊は犬を連れていても大丈夫ですし、あと自己満足でカヌーの前方に犬を乗せて、対岸から家内に写真を撮ってもらったりしていました(笑)。これから初めての夏ですが、カナダはキャンプ場も多いですし、カナダの素晴らしい自然も満喫していきたいと思っています。また、トロントは異文化が混在する都市ですので、色々な文化を吸収し、弊社の業務に対してフィードバックしていきたいと思っております。

(松田)最後に、商工会会員へメッセージをお願いします。

(佐竹氏)本年度、商工会副会長の役職を頂きました。2012年に11月に赴任し、まだ半年ほどの慣れない中ですが、できる限り日系企業様の発展に尽力出来るように頑張っていきたいと思っております。どうぞご支援ご協力を宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上となります。今日は有り難うございました。




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