「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第66回>
Fujitec Canada, Inc. / フジテック カナダ インク
平田 和宏 Manager

2010年の9月にも取材をさせて頂いたフジテックカナダさんにお邪魔して参りました。所在地はトロント北部のリッチモンドヒルです。今回のインタビューはエレベータートリビアが満載です!平田さんはとてもお話がお上手で面白く、インタビュー中は終始私の笑い声と「へぇ~」の声が響いておりました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いします。

(平田氏)フジテックカナダは、エレベーター、エスカレーター、動く歩道等の昇降機の販売、据付、メンテナンスを行っております。カナダには工場がありませんので、製造されたものを日本、アメリカ、中国の工場から輸入し販売しています。部品などは地場の協力会社から購入することもあります。

(松田)2年前に取材させて頂いた頃から、何か変化はありましたか?

(平田氏)2年前は社員数が150名ほどでしたが、現在は194名おります。トロントやバンクーバーは現在建築ラッシュですので、そのためにオフィスビルやコンドミニアムでの据付やメンテナンスをする社員が増えております。またフジテックグループの生産拠点が2年前は世界に11箇所でしたが、2011年からインドでも稼動し始めましたので現在12拠点となっています。

(松田)御社は社長はカナダ人で日本人はお一人ということですが、平田さんの役割はどのようなところにあるのですか。

(平田氏)弊社は取引先が地場の建設会社や不動産開発業者、メンテナンスをする物業関係の管理会社が多く、現地の方々と密接につながっていなければいけません。設立20年間の経験を通して、現地の社員が先頭に立って業務をこなしていく流れが仕上がっておりますので、我々日本人は側面支援としてその流れを支えています。新商品を投入する際や、品質の問題が起きたとき、または中国の工場からの部品や日本の製品に対する技術的な交流等を主に行っています。

(松田)製品についてお伺いしたいと思いますが、エレベーターは30年ぐらい前のものと比べてどのように進化を遂げているのですか?

(平田氏)元々エレベーターというのは、人が乗る「かご」と「おもり」をロープでつるべ式に吊るして、モーターで動かすというシンプルな構造です。一つ大きな変化というと、昔のタイプは駆動装置を置く為の機械室をエレベーター上部に設置していたのですが、現在はエレベーターシャフト内に取付ける事が可能となり、機械室が不要になりました。その為、外観がシンプルになり建築の幅が広がっただけではなく、建築コストも下がりました。

(松田)日本では数年前にエレベーター事故が起き品質問題が取りざたされましたが、カナダの品質はいかがなのでしょうか。

(平田氏)あの2006年の事故は、日本の制度が遅れていたということが原因にありました。あの事故は乗り場のドアが開いている時に急にエレベーターが動き出してしまったということでしたが、ブレーキを閉める力が何らかの理由で弱まっていたんですね。事故をきっかけに制度を見直し始め、2009年頃から二重ブレーキが必須になりました。しかし、その制度はカナダでは1994年から世界で一番早くに始まっていました。アメリカはカナダの8年後に始めましたし、カナダの安全面での取り組みというのは世界で見ても抜群に早いと思います。カナダでエレベーターに乗って、止まる時にガタっとするだとかドアの開閉が悪いなどは感じることはあるかもしれませんが、それはメンテナンスの良し悪しであって、根幹となる安全面での問題は古くから法律化されて取り組まれていますので安心して良いと思います。

(松田)エレベーターにはどのような安全対策が施されているんですか。

(平田氏)エレベーターというのは何重にも安全面での対策がなされています。電車が横を走るのが上下に向かって動いていると想像していただければ分かりやすいと思いますが、エレベーターはレールの上を動くようになっています。吊られているからといって横にぐらぐら揺れないのはそのためです。例えばロープが一本切れても何も影響がないように設計されていますし、もしもロープが全て切れてしまったとしても、そのレールをガッとつかんで緊急停止するようになっています。規定の速度をオーバーした時には機械的に停止しますし、先ほど申し上げたようにブレーキは二重になっており、電気的な停止装置も何重にもなっています。また、エレベーターのドアと乗り場の両方のドアが閉まらなければ動かないようになっています。こんなことはないですが、もしもそのような全ての停止装置が働いても止まらなかった時には、下に緩衝剤があって乗客を助けるようになっています。そのように四重、五重にも安全対策はしておりますので、安心して乗ってください。

(松田)高層ビルと低層ビルのエレベーターではどのような違いがあるんですか?

(平田氏)速度が速くなれば速くなる程技術的には難しくなります。安全対策にも更に綿密なシステムが必要になりますし、我々は乗り心地も追求しますのでそこでも技術が必要になります。高層ビルのエレベーターで耳がキーンとしたという経験があるかと思いますが、それを防ぐために気圧を調整する装置をつけたり、騒音を低減させる為に機体の形を流線型にして空気抵抗をなくすようにしたり、速度制限をうまくコントロールしたりする方法が考えられています。速度を上げること自体は難しいことではないですが、人が安全に快適にということをクリアしながら速度を上げることは技術だと思います。

(松田)それをクリアしたエレベーターはどれくらいのスピードが出るんですか?

(平田氏)カナダでの話ですが、バンクーバーにあるシャングリラホテルの弊社のエレベーターは分速で360mです。トロントのCNタワーのエレベーターは弊社のものではありませんが、同じく360m/分の速度ですので体感として感じられると思います。カナダではその速度が一番速いものですね。

(松田)エレベーターが何台もあるところではどのように管理しているんですか。

(平田氏)大規模なオフィスビルなどでどれだけ効率よくエレベーターを回転させるかというのも技術が必要です。そこはメーカーで差が出てきますが、フジテックは長年の経験により、その点には大変自信を持っています。群管理というのですが、例えば6台あるエレベーターのどれを先に行かせるかというのは、経験とデータと理論とをミックスして割り出しており、更に学習機能も搭載しています。例えば、午後3時くらいに15階の人がよく使うなという傾向が出てくると、その時間に15階に自動的に行くようになります。

(松田)学習機能もあるんですか。エレベーターってすごいですね。

(平田氏)そう、すごいんですが、私は特に皆様に気にされず、すごいとも思われず、毎日何事もなく上下の階を行き来し、生活の一部となっているものが良いエレベーターだと思っています。日本のメーカーのエレベーターは乗り心地を追求するというところにも重きを置いていますので、入って、ボタンを押して、動いてることを全く感じないのにドアが開いたらその階に着いているという、そのくらい静かで乗り心地が良いというものを目指しています。北米のエレベーターはギュイーンとスピードが出ていることを感じるものが多いですよね。こちらではスピードを感じることが良いのかもしれませんし、どちらが良いということではありませんけれど、感覚の違いかなと思います。

(松田)今後会社として力を入れていきたいことはどのようなところですか?

(平田氏)メンテナンスとモダニゼーション(既設のアップグレード)でお客様の満足度を上げていきたいと思っています。現在は新規の建物への据付けも多いですが、北米はエレベーター市場としては成熟していますので古いエレベーターも増えてきています。動くことに問題がなくても、時代に伴って技術も革新的に良くなっていますので、機械や電気部分をより優れたものに取り替えたり、見た目を綺麗にしたりということを推進しながら、お客様が安心して使えるように維持管理をすることが一番大事だと思っています。業界柄一般に広告を出すということはありませんので、良いエレベーターを提供し続け、顧客満足を上げてそれがじわじわと口コミのように広がったり、リピーターになって頂けたりしてもらえれば有り難いと思っています。

(松田)それでは、平田さんのご経歴をお伺いしたいと思います。

(平田氏)出身地は兵庫県の淡路島です。周りが海に囲まれていて海産物もお肉も美味しくて、とても恵まれた良いところです。高校までは淡路島にいて、大学から大阪に行きました。入社は1995年なのですが、入社する少し前の1月に阪神淡路大震災が起きました。地震のために大学の卒業試験がなくなって一つ不安な事項が減ったんですが(笑)、淡路島の実家も幸いにも半壊で済みまして、その時は命があれば何でもいいやという気持ちだったのでそんなに悲壮感もありませんでしたが、やはり大きな転機になりましたね。
入社後は大阪で3年間営業をして、その後10年間中国の北京に行きました。当時中国は高度成長期の真っ只中で、会社からは3年くらい行って帰ってこいと言われていたのに、結局10年もいました。でもとても貴重な経験をさせてもらいました。都市部は特に成長が著しくビルもどんどんと建設されて、市民からもこれから裕福になるんだというエネルギーが感じ取れ、私は日本の成長期は経験していませんが、こんな感じだったんだろうと思いました。その間に中国に留学をしていた妻に出会いました。中国で一番良かったことは妻を得たことですね(笑)。

(松田)いいお話ですね。日本に帰ってからはいかがでしたか。

(平田氏)その後日本に戻り、東京で3年程働いているときに今度は東日本大震災が起きました。その4月頃に人事部から連絡があったと聞いた時には東北の方に応援に行くのかなと予想したのですが、行き先はカナダで、2011年の6月に来ました。
私は10年間の中国生活で日常会話程度の中国語は問題なく話せますので、赴任があっても中国語圏かなと思っていたんですが、なぜか英語圏でした。始めは間違えじゃないかと思ったんですが、カナダも価格競争が厳しくなっており、徐々に中国製の部品等を取り入れていこうということで、中国のことも日本製品の品質のこともわかるものということで私が選ばれたようです。

(松田)カナダには中国人の方々もたくさんいますしね。

(平田氏)特にこのリッチモンドヒルやマーカム辺りは中華料理屋ばかりですね。社員にも中国人が数人います。もちろんなるべく英語で話すようにしていますが困った時に中国語で聞くことができるので助かっています。

(松田)中国とカナダを比べていかがですか。

(平田氏)カナダは空気がキレイです。北京は経済の発展に伴った大気汚染や時期によっては黄砂も関連していると思うんですが、黄色がかった空気でした。カナダ人の良いところは、仕事と家庭を別に考えて上手く切り替えるところですね。皆家庭が一番大事だと言いますし、私自身も子供が3人おりますので家族のために時間を費やせるのは嬉しいですし、人間らしい生活スタイルではないかと思います。カナダに来て日本や中国にいるときより早く帰宅できているので、妻や子供が喜んでいると思います。
また、中国では中国語が話せないと暮らしづらい部分があったのですが、こちらではたくさんの移民の方々がいますので、英語が片言でもみんなわかるまで聞いてくれますし、来た当初もあまり違和感を感じずすぐ溶け込むことができ、良い国だと思いました。

(松田)平田さんがお仕事をする上で大切にされていることはどのようなことですか?

(平田氏)コミュニケーションを大事にとるということです。製品の話をする時はどうしてもメーカー主体の視点になってしまうことがあるんですが、そうではなくてお客様の目線で考えて、望まれていることを適えられるように話を進めていくようにしています。そのように集めた市場からの声をきちんと開発陣にフィードバックして、それを製品としてお客様に提供し喜んでいただけるように、基本的なことを真摯に対応していくことが顧客満足の向上への近道だと思っています。

(松田)プライベートなことをお伺いしますが、好きなスポーツは何ですか?

(平田氏)今やっていることといえばゴルフですね。学生時代は陸上をやっていたこともあって、北京では3回マラソンを走りました。もう少し時間ができればまた鍛え直して走りたいなと思っています。あとは子供をプールに連れて行ったりします。3人目の子供が今9か月ですし、家庭のことに費やす時間を多く持ちたいと思っています。

(松田)お子さんが大きくなったらやりたいこととかありますか?

(平田氏)大きくなるまでカナダにいるかわかりませんが、過去の例があるのでどうなるかはわかりませんね(笑)。私が子供のとき淡路島で釣りをよくしていたので、危険なところでなければ子供を釣りに連れて行きたいです。せっかく家族で来ていますので、日本ではなかなかできない色んな体験を子供と一緒に出来たらと思っています。以前カヌーに乗った時は喜んでいましたし、乗馬をしたり、景色の良いところもたくさん連れてってあげたいですね。

(松田)子煩悩なのが伺えます。では、最後になりますが商工会会員へのメッセージをお願いします。

(平田氏)今7歳の長女が補習校に通っており、4歳の次女は来年から幼稚部に入園させていただく予定です。子供達は現地校で英語環境に慣れてきているところですが、いずれ日本に帰国したときに日本の授業についていけるようそのようなサポートをして頂けていることは大変有り難く思っています。また、ゴルフ大会や昼食会などで交流させていただけたり、セミナーや会報などで情報を頂けることもとても助かっています。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上です。どうも有り難うございました。





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